Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
有言実行。早く更新出来ました。
FGOのクリスマスイベントはどうでしょうか。
面白かったです。私はボックスガチャの輪廻からなかなか外れません。
真・恋姫†夢想~天下統一伝の方でもイベントをやっているみたいです(自分はやってないですけど)
統一伝も様々なイベントや物語があるみたいですね。


反董卓連合-張譲-

303

 

 

「うあああああああああああ!!」

 

恋は高らかに吼えた。

周囲に亡者兵が出現しているというにも関わらずに吼えたのだ。全ては反董卓連合を倒して月を守るためである。

 

「お、おい恋。気合があるのは良いが何か異変が起きてるぞ!?」

 

猪突猛進の華雄であっても今の異変に目を向ける冷静さはあるのだ。

周囲には亡者兵が出現している。更に戦死した董卓軍と反董卓連合の兵士たちが起き上がってきているのだ。

亡者兵に驚き、死んだ仲間たちが起き上がって襲ってくる始末だ。もはや董卓軍と反董卓連合の決戦は大混乱である。

そんな大混乱の中でも恋の視線は倒すべき敵を見据える。その者たちが愛紗や雪蓮たちだ。

 

「…関係無い!!」

 

身体能力をフルに活用して恋は愛紗たちに向かって跳んだ。

 

「マズッ…!?」

 

ギリギリ反応した雪蓮たちは急いで回避した。

先ほどまで雪蓮たちがいた場所には亡者兵たちもいた。恋は亡者兵なんて気にも留めずに粉砕したのであった。

戦死した兵士はバラバラになり、骸はコナゴナになっている。その状況を見て顔が青くなる。

 

「…今の直撃したら死んでたわね」

「…だね」

 

雪蓮と梨晏は本気で死を想像してしまう。無論、彼女たちだけでなく愛紗と鈴々もゾっとしてしまった。

 

「す、凄いのだ…」

「こ、これが人間の力か?」

 

ギロリと恋は愛紗たちに視線を移す。最早、彼女のターゲットは決まっている。

 

「あの子…周りが見えていないのかしら?」

 

周りとは亡者兵たちの事だ。恋は亡者兵を敵と見ていなく、まるで道端に落ちている石くらいしか思っていないのかもしれない。

気にもせずに亡者兵たちを轢いた事が、その表れである。

 

「どうする孫策殿。この亡者共もどうにかしないといけないが…どうにかしていたら呂布に轢き殺されるぞ」

「そうよねぇ……やっぱ呂布をどうにかしないといけないでしょ」

「それしかないか」

「勝てると思う関羽?」

「勝つしかないだろう」

「よね」

 

勝てる勝てないの問題ではない。戦って勝つしか道がないのだ。

 

「おーい。お前たち大丈夫かー!!」

「公孫賛殿。無事だったか!!」

「そっちもな。こっちは皇甫嵩を降したんだが、いきなり死んだ兵士たちが起き上がって襲ってきて大混乱だぞ。いや、どこも大混乱だ」

 

亡者兵たちはどこにでも出現しており、反董卓連合は大混乱である。反董卓連合だけでなく董卓軍も大混乱だ。

最初はどこも大混乱で戦線は崩れてしまったがすぐに曹操を筆頭とする諸侯たちは態勢を建て直して亡者兵を討伐し始めている。

助かった点があるとしたら董卓軍はほぼ制圧されており、反董卓連合に牙を向いていないということだ。

反董卓連合は董卓軍の相手から亡者と戦う羽目になるとは誰もが想像しなかっただろう。いの一番に冷静になって対処している曹操も死んだ敵や仲間の兵が起き上がって襲ってくるなんて予想出来るはずもない。

 

「俵殿と趙雲は既に亡者の討伐をしてもらっている。本陣にいる孔明たちもすぐに増援で来るから耐えてくれ」

「耐えたいのはやまやまだが…」

 

チラっと愛紗は恋を見る。

 

「ん、呂布か。だが呂布の相手をしている暇なんてーー」

「躱せ公孫賛殿!?」

「え…うわ!?」

 

愛紗は公孫賛を押し倒す勢いで回避させた。

いきなりの事だったので公孫賛はわけが分からない。だが先ほどまでいた自分の所を見るとすぐに冷静となって顔が青くなった。

恋が弾丸のように突進してきたからだ。方天画戟によって地面が人間の力ではあり得ないくらいに抉られている。

 

「…え、嘘だろ?」

「呂布の相手なんてしている暇は無い…なんて言えないぞ公孫賛殿。それにあいつは亡者たちなんて気にも留めていない」

 

今の状況で恋を無視して亡者の相手をしていたら突進されて身体がバラバラになる。

 

「ねえ、雪蓮。私たちの軍も大丈夫かな?」

「それなら心配してないわ。冥琳たちが何とかしてるはずだから。それにこういう状況は一度味わってるから慣れてるし」

 

怪異の群れに関して雪蓮たちは慣れている。今更、亡者たちが地面が這い出てこようが驚きは無い。

実際に冥琳たちはすぐに怪異の群れに対して対処している。

 

「黄祖の時に比べればこの程度……だから今、警戒するのは呂布よ。今の呂布はさっきよりも異常に強くなってるわ」

 

今の恋が異常だというのは雪蓮だけでなく他の者も気付いている。仲間である華雄も今の恋は何か違うと思っている始末だ。

 

「お、おい恋?」

 

華雄は恋に声を掛けるが返事は無い。恋は真っすぐに愛紗や雪蓮たちしか見ていないのだ。

 

「公孫賛殿も手伝ってくれ。今ここで呂布を討たねば殺されるぞ」

「ええッ?」

 

「私なんかが呂布に勝てるわけがない」なんて思ってしまう公孫賛だが戦わねば殺されるとなれば戦うしかない。

公孫賛を加えれば5対1になる。それでも今の恋を倒すイメージが浮かばないのであるが。

 

「やるしかないわよ関羽」

「分かっている孫策殿」

 

5人がそれぞれ武器を構えて恋に突撃した。

 

「…無駄!!」

 

回転するように方天画戟を振るって5つの方向から武器を振るってくる愛紗たちを吹き飛ばす。

 

「…さっさと片づける!!」

「さっさと片づけられてたまるか!!」

 

愛紗はすぐに態勢を建て直して青龍偃月刀を振るう。

 

「私は玄徳様のためにここで死ぬわけにはいかんのだ!!」

「恋だって…恋だって負けるわけにはいかない!!」

 

方天画戟と青龍偃月刀がぶつかるが勝ったのは恋の方だ。

 

「愛紗ーー!!」

「鈴々!!」

 

愛紗と入れ替わりに鈴々が蛇棒を振りかぶって跳んでくる。彼女だけでなく李案が恋の背後から向かってくる。

 

「はああああ!!」

「てやあああ!!」

「私だっているわよ!!」

 

更に追加で雪蓮と公孫賛も剣を振るってくる。

 

「まだまだぁっ!!」

 

愛紗もすぐに立ち向かう。

 

「呂布に何もさせるな。武器を振るわせるな。攻めに転じさせるな!!」

 

呂布の異常な力は脅威だが何もさせなければよいだけだ。

5人は全力で武器を振るって恋を攻めから守りだけに転じさせる勢いだ。

 

「…鬱陶しい!!」

 

それでも恋は方天画戟を軽々しく振るう。

 

 

304

 

 

斬、という擬音が聞こえるくらいの勢いで亡者兵を一刀両断した俵藤太。すぐに弓を持ち換えて矢を亡者兵の頭に向けて射る。

 

「まったく数が多いな!!」

「泣き言か俵殿」

「はっはっはっは、まさか」

 

軽口を言ってくる星に対して俵藤太は笑い飛ばす。

 

「せぇぇぇい!!」

 

星も負けじと亡者兵を倒していく。

戦死してしまった仲間とはいえ討伐するのは気が引ける。しかし倒さねばこっちが殺されるのだ。

 

「まったく死者を冒涜している。死んだ者をまだ戦わせるとは…」

 

その気持ちは分からないでもないが英霊としていささか同意しにくい言葉だと思ってしまう俵藤太。

最も英霊と目の前にいる亡者兵は根本的に違うのであるが。

 

「しかしこの怪異はまさか…俵殿たちが言う于吉の仕業か?」

「…かもしれん。洛陽の外でこれだ。内側がどうなっているか想像もつかん」

 

洛陽の外では亡者兵が董卓軍、反董卓連合の両軍を襲っている。第三の勢力が新たに現れて襲ってきたら抵抗するのは当たり前。

董卓軍と反董卓連合は互いに争っている場合ではなくなったのだ。剣先は董卓軍でも反董卓連合でもなく亡者兵に向けられる。

 

「今は董卓軍と戦っている場合ではない。それは向こうも分かっているはずだ」

「そうだな。亡者兵が殺した兵士は、そのままあちらの仲間となって襲ってくる始末だからな」

 

殺された兵士たちはそのまま亡者兵となって襲ってくる。殺されれば自分も死体の兵士となって仲間を襲うと分かれば抵抗するしかない。

殺されれば亡者となって襲ってくる空間。まるで呪いがこの周辺に掛けられているようだ。

 

「これは早く元凶をどうにかせねば此方が負けるぞ」

 

亡者兵は今だに地面から這い出てきており、上限は分からない。更に敵が殺した数だけ増えていくという最悪な展開だ。

どんなに敵を斬り伏せても永遠と這い出てくるなんて勝利への道筋が見えもしない。

 

「こういう時はそちらの孔明殿の専門ではないか?」

「今頃こっちの異変に気付いて向かっているだろうな」

 

俵藤太の言う通りで諸葛孔明は今まさに本陣から出陣している。

 

「ほらほら早く孔明さん。頑張って!!」

「急いで急いでー!! 頑張ってー!!」

「わ、私は体育会系ではないので応援で足は速くならん!!」

 

諸葛孔明は電々と雷々と頑張って走ってた。

 

 

305

 

 

詠の前に立ったのは秦良玉。悪意ある絡繰り人形の魔の手から防いでみせた。

 

「だ、誰…?」

「詠さん!!」

「って、あんたは藤丸!!」

 

更に藤丸立香に玄奘三蔵、哪吒が跳び込むように入り込んできた。

いきなり藤丸立香たちが禁城内に現れて詠は大混乱だ。彼らが反董卓連合に参加していたのは知っている。だが、反董卓連合が侵入してきたという報告はまだ無かったのである。

 

「どっから侵入してきたのよ!?」

 

藤丸立香たちが禁城内にいるのは手引きをした者がいるからである。その者こそ趙忠だ。

趙忠が藤丸立香たちを誘拐の如く禁城に転送術式を使って勝手に呼んだのである。

 

「ちょっとした手引きでここまで来たんだ」

「て、手引き!? 一体誰が!?」

「その話は置いておいて」

 

説明したい所だが今はそれどころではないとすぐに状況的には分かったからだ。

秦良玉が警戒しながらトネリコの槍を向けている先には月がいる。その警戒の理由は趙忠から説明を受けているのだ。

だからこそ真実かどうか今ここで確かめなければならない。

 

「詠さん状況説明をお願いします!!」

 

もう既に状況説明は受けているが真実かどうか、その答えを知っている詠に聞くのが当たり前であった。

 

「……それよりも何でここに」

「助けに来たんです!!」

「っ!!」

 

藤丸立香は何の迷いも無く言い放った。彼らがここまで来たのは月たちを助けるため。ただそれだけのために戦の中を突っ走って来たのである。

ただ助けに来た。それだけの理由が詠にとっては救われた気分になる。例え先ほどまで敵対していたとしてもだ。

 

「……な、何よ反董卓連合に組していたくせに!!」

「それは後にしてください。まずは説明をお願いします。月さんはどうしたんですか!?」

「月は操られているの」

 

操られている。そうでもなければ月と詠が敵対することは無い。

 

「誰に!?」

「張譲よ」

 

その名前は知っている。藤丸立香たちがこの外史に来てから初めて大きな敵ともいえる存在だ。

仲間たち全員で戦い勝利した相手である。そして趙忠から聞いた元凶の名前と一致した。

 

「張譲 悪龍 倒したはず」

「信じられないかもしれないけど張譲は怨霊として月に取り憑いてるの」

(怨霊…やっぱり趙忠さんの言った通りなのか)

 

月を見ると彼女らしからぬ凶悪な顔をしている。

 

「………ククッ。まさかあの時の小僧がまたボクの前に現れるなんてね」

 

背筋がゾワリとした。月の声なのに得体のナニカに声を掛けられた気分になる。

 

「確かに月ちゃんには怨霊が憑いてるわね」

「うん 月 怨霊憑依」

 

玄奘三蔵と哪吒は月の後ろに取り憑いている怨霊である張譲がはっきりと見えているようだ。

張譲は自身の怨念と太平要術の力によってこの世に怨霊として留まったのである。

 

「あの時と同じだ。またボクの前にお前たちは急に現れた。本当に関係無いのに、順調に進んでいた策を斜め上から崩すようにお前たちは現れる」

 

不気味に感じる妖気が滲み出す。同じ空間にいるだけで不快な感覚が襲う。

 

「だが今度は負けない。今度は間違えない。今度こそボクがこの国の頂点になるんだ!!」

 

濃厚な妖気がこの場を支配する。

 

「あなたが国の頂点を目指すのは否定しない。でも月さんは返してもらう!!」

 

張譲が国の頂点を目指すのは否定しない。乱世の世に生まれた者たちならば天下を目指す者が多くいても不思議ではないのだ。だが、その為に月に無理矢理取り憑いて利用するのは許容できない。

 

「ここでボクの邪魔する者は全て殺す」

 

張譲は手に絡みつく紐を操り、絡繰り人形を自分の正面に移動させる。

 

「人形遊びをする歳ではないが…この絡繰り人形は特別製で様々な仕掛けがあるよ」

 

クイクイっと紐を動かすと絡繰り人形の腕から刃が飛び出す。

特別製と言った張譲。今の仕掛けを見るに絡繰り人形の内部には様々なギミックが組み込まれているのが分かる。

 

「死ね!!」

 

絡繰り人形が目指す先は藤丸立香。

張譲も前の戦いでカルデアの中で誰が一番優先的に守られているかを見極めている。その者こそが藤丸立香だ。

どんな戦いであれ大将を討ち取れば勝利なのである。ならば彼が狙われるなんて当たり前だ。

 

「マスターには…指一本触れさせません!!」

 

藤丸立香が討たれればカルデアの敗北は決定している。そんな事実は昔からとうに分かっている事だ。

だからこそ藤丸立香は意地汚くとも生き残ってきた。そして英霊たちも彼を守って来たのだ。

 

「はあああああ!!」

 

トネリコの槍を振るう秦良玉。それに対して張譲は手に繋がった紐を縦横無尽に動かすと連動して絡繰り人形の両腕から飛び出された刃が振るわれる。

槍と刃の応戦だ。この応戦に彼女は一瞬たりとも油断はしない。

秦良玉の振るう速度に追いついてくる絡繰り人形に油断なんてできるわけがない。

 

「ふふふ…」

 

張譲は不適に笑いながら絡繰り人形を動かすのを止めない。

 

(リャンの槍捌きに対応している!?)

 

絡繰り人形が特別製だと言っているが秦良玉の槍捌きに対応している時点で今まで戦ってきた絡繰り仕掛けのエネミーより超えている。

よく観察すると絡繰り人形の強みと仕掛けが分かってくる。絡繰りだからこそ人間では不可能な動きが出来るのだ。

 

(なるほど…絡繰りか。あの自由な機動域が絡繰りの強みってところか)

 

絡繰り人形の腕は人間の腕とは違う。人間では不可能な曲げ方や動きをする事が出来るのだ。

秦良玉と絡繰り人形の応戦を観察するとすぐ分かる。絡繰り人形の腕はあり得ない曲げ方をしたり、回転したりしてトネリコの槍を弾き返しているのだ。

更に操演者である張譲が使っているのは腕だけ。そもそも借り物の身体だ。いくら使ったところで怨霊の張譲は疲労なんてものは一切無い。

 

(ん?)

 

ニヤリと笑っている張譲。その顔を見てすぐに嫌な予感がゾワリとした。

 

(絡繰り人形…仕掛け…もしかして!?)

 

張譲は絡繰り人形には様々な仕掛けがあると自分で言っていた。ならばただ両腕から刃を出すだけで終わるはずが無い。

 

「一旦離れて秦良玉!!」

「は、喰らえ!!」

 

クイっと張譲が紐を引っ張ると絡繰り人形の口が開いて火を噴き出した。

 

「く…っ!!」

 

火が届く前に後退して吹き出された火を避ける。

 

「まだまだあるぞ!!」

 

カチャカチャと絡繰り人形から音が聞こえる。

絡繰り人形の胸が開くと小さな砲門が出てきた。妖気が集中するのを感じた瞬間に何が起こるかすぐに分かってしまう。

 

「いけない!?」

 

想像の通り訪問からは妖気弾が放出された。

妖気弾の狙いは変わらず藤丸立香。そうはさせまいと全てをトネリコの槍で叩き潰していく。

 

「まだまだぁ!!」

 

絡繰り人形の仕掛けはまだまだある。張譲の操る絡繰り人形は様々な仕掛けが組み込まれているが、更に妖術も組み込まれているのだ。

その証拠が先ほどの妖気弾である。太平要術の力を使うのならば当然だと考えるべきだろう。

 

「なるほど…兵器やら妖術やらがたくさん詰まっていますね」

「秦良玉、気を付けて。ああいうのは何かしらとっておきがあると思う。それに毒とかも仕込まれてるかもしれない」

「はい、マスター!!」

「よく分かってるじゃないか」

 

ガチャリと管が吐出されて紫色のガスが噴出された。見るからに毒ガスにしか見えない。

毒ガスが部屋全体に充満するのは避けねばならない。藤丸立香には毒は効かないが一緒にいる詠は違う。

毒ガスが充満すればまず最初に命を落とすのは詠だ。

 

「任せて ますたー!!」

「哪吒お願い!!」

 

哪吒が飛翔して毒ガスの中に無防備に突っ込んだ。

 

「何だ自殺志願者か?」

 

毒ガスの中に突っ込んだ哪吒。その様子を見て馬鹿を見るような目で見る張譲であったがすぐに考えを改める。

彼らが自殺という行為をする様子なんて今まで無かった。だから毒ガスに突っ込んだのは別の理由。

 

「毒無効 絡繰り人形 破壊!!」

 

哪吒は元は人間ではなく、道術によって創られた人造人間だ。ちょっとやそっとの毒は効かない。

火尖槍を勢いよく振るって絡繰り人形を狙う。一撃必殺のつもりで破壊する。

 

「ちっ…!!」

 

張譲はすぐさま絡繰り人形を回避させるが毒ガスを噴出させている管は破壊され、更には操っている紐まで切断された。

 

「化血神刀 持ってこい」

「……やってくれたな」

 

カシャァンと絡繰り人形が床に本当に糸が切れた人形のように倒れた。

すぐに張譲を倒そうと飛ぶが背後から秦良玉の声が聞こえてきた。

 

「哪吒殿!!」

 

秦良玉はすぐに駆け寄って哪吒の後ろに迫っていた絡繰り人形を蹴り飛ばした。

 

「人形 起動 何故?」

 

絡繰り人形は張譲が操っていないのに勝手に動いていた。その答えは妖術で操れるからである。

 

「言っただろう特別製だってね」

「なら紐で操る必要無くない?」

「…五月蠅い」

 

ついツッコミを入れてしまった。恐らく見た目や雰囲気的な問題だったかもしれない。

 

「人形遊びもそろそろ終幕にしようか」

 

カチャカチャと何か仕掛けが起動する音が聞こえてくる。絡繰り人形の至る所から排出口が現れたのだ。

先ほどの妖術弾の件があったからすぐにまた何かが噴射されるというのが分かってしまう。

 

「とっておきだ!!」

 

各排出口から妖力が溜まる。そして絡繰り人形を中心に術式が複数展開された。

 

「死ね。天・元・崩・壊!!」

 

妖力の極太レーザーが各排出口から放たれた。

 

「まだまだぁ!!」

 

絡繰り人形は回転するとレーザーも比例して軌道がずれ、空間内全てに放出される。

大広間の損傷なんて気にもしない。最優先は藤丸立香たちを殺せればいいのだ。

 

「あっははははははははは!!」

 

妖力の極太レーザーが終息していく。大広間は目も当てられない惨状である。

 

「しまった。さっきせっかく呼び出した骸たちも消し炭にしてしまったよ。まあ、いいか」

 

特別製の絡繰り人形。様々な仕掛けや妖術が組み込まれている。

その全てを仕込んだのは于吉である。張譲も太平要術の力を持っているとはいえ、これほどの仕掛けを作ることはできない。

 

「これはいいものだな。于吉の奴も良い物を置いてってくれた。人形遊びをする歳じゃないけど…力としては中々だ」

 

カチャンカチャンと絡繰り人形が元の形態に戻っていく。

 

「さて、奴らは肉塊に…いや肉片も残らずに消し炭になったかな?」

 

絡繰り人形を浮遊させて辺りを確認させる。

 

「せええええい!!」

「なにっ!?」

 

舞っていた煙の中から秦良玉が飛び出して一瞬で絡繰り人形をバラバラに破壊した。

カランカランとバラバラに破壊された絡繰り人形が無残にも床に転がり落ちていく。

 

「…まさかとっておきが効かなかったのか。しかも1人も殺せなかったのか?」

 

秦良玉は無傷であり、後方に控えていた藤丸立香たちも無事であった。

 

「え、えと…無事なの?」

 

詠も自分たちが無事である事に驚いていた。藤丸立香たちが無事だった理由は概念礼装のおかげである。

張譲の言うとっておきが発動する瞬間に藤丸立香はある魔術礼装と概念礼装を使用した。

概念礼装『月霊髄液』をまた使って身を守り、秦良玉には魔術礼装のスキル『予測回避』を付与させて前線で回避し続けた。

回避が終わった瞬間に絡繰り人形を破壊する手筈で、成功したのである。

 

「上手く行ったみたいで良かった」

 

ホっとする藤丸立香。概念礼装と魔術礼装の持続時間が終わる前に先に相手の攻撃が終わって助かったと思っている。

妖力の極太レーザーが今だに続いていたら無傷どころの話ではない。本当に肉塊になっていたかもしれないのだ。

 

「……ふん」

 

カラコロンと足元に転がって来た絡繰り人形の頭を張譲は踏んでコロコロとボールのように転がす。

 

「せっかく人形を褒めた矢先でこれか」

 

力込めて絡繰り人形の頭を踏み砕いた。

 

「…だけどこれで終わりじゃないからね」

 

張譲から妖気が滲み出す。

 

「今度は龍になれないが前よりも太平妖術の力を使えるんだよ!!」

 

大広間を埋め尽くす勢いで骸が召喚された。

 




読んでくれてありがとうございました。
次回も未定ですが…早く更新できたらします!!(頑張れ私!!)

303
恋がメッチャ強化されてます。
原作でも元々人外レベルの強さでしたから変わらないかもしれませんが。

304
諸葛孔明(カルデア)が頑張って現場に向けて走ってます。

305
やっと藤丸立香たちの出番でした。
張譲の操る絡繰り人形(董卓覚醒)の戦い方はオリジナルになっております。
傀儡の戦闘スタイルってやっぱ某忍者漫画を思い浮かべてしまいますね。
とっておきの『天・元・崩・壊』という技名に関しては統一伝の公式です。
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