Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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また日常編にもどりました。
雑談話ですがどうぞ!!

FGOの宅配イベント。絆ポイントが美味しいですね。
それにしてもアルテミスタワーも高いなあ。
(作者はこの段階で裏アルテミスタワー50階)
クーレムエネミーも強い。


徐州での日常4

346

 

 

血で血を洗う修羅界の如き世と、日がな一日ダラダラと寝て過ごす日々。

どちらがいいかと問われれば勿論、平和の方が遥かに良いに決まっている。降り注ぐ日の心地よさといったら素晴らしい。

雲の動きものんびりと、太陽をかくさないように上手く立ちまわっている。だが、こんな日でも戦いと無縁というわけではない。

政務とは血が流れない戦いである。戦時中に積もりに積もった問題は無視できないものばかりだ。

例えば、田んぼを焼かれた人たちへの生活保障。家族を失った者の多く、理屈でも情でもなく、可及的速やかな対処は必須である。

誰かが言った、「戦後は他国の侵略を受けやすい」と。まだまだ弱小国の徐州にとって失ったものばかりに目を向けているわけにはいかない。

 

「まあ、それは徐州…桃香さんたちの問題だけどね」

 

藤丸立香たちにとってはあまり関係ない。彼らには彼らの目的があるのだから。

最も、彼の性格的に気にはなっているので何かしら手伝う事はしようと思っている。だが余所者に政務云々を関わらせるのはよろしくない。諸葛孔明はいの一番で手伝わされているが所詮は面倒な案件の雑務程度だ。

国の運営に関わるようなものは手を出していない。それが普通の事だろう。

 

「…こっちかな?」

 

今日のような良い天気の日はお昼寝、日向ぼっこ日和だ。ならば『彼女』はどこかでどちらか両方をしているかもしれない。

背の高い木々が生い茂る辺りまで来ると探していた『彼女』を見つける。

 

「………くー」

 

呂布こと恋を発見。

彼女は前までは妖気の影響で暴れていた。今では諸葛孔明や華佗のおかげで正常である。しかし経過を見る必要があったのだ。

その役目として洛陽では案外懐かれていた藤丸立香と月が様子を見る事になっていた。

 

「うん。大丈夫そう」

 

恋は幸せそうにお昼寝をしている。

 

「それにしてもいっぱいだなぁ」

 

恋を中心に犬猫の大群が集まっている。

これらの動物たちは戦時中に主人と逸れた、主人が亡くなった動物たちだ。それら全てを彼女は拾って世話をしている。

その結果がこの大群である。しかし、これでもごく一部の数だ。動物たちはそんな優しい恋に懐いている。

 

「……ん?」

 

恋は重そうな瞼をパチクリと瞬かせた。どうやら目が覚めたようだ。

 

「起こしちゃったかな?」

「…………立香?」

「はい、立香です」

 

目をまた閉じる。二度寝をするかもしれない。

猫のように寝返りをしてまた丸くなる。

 

「…………ふわ」

 

本当に幸せそうに昼寝をしている。その姿を見ると羨ましくもなる。

 

「…………立香」

 

二度寝したかと思えばまた目を開けた。上体は起こさずに寝たままではあるが。

 

「どうかした恋さん?」

「………ありがと」

 

いきなりお礼を言われた。何のお礼かを考えてしまう。

すぐに暴走していた恋の事を思い出す。しかし、それは藤丸立香だけの手柄ではない。そもそも藤丸立香個人としてはほんの少しくらいの貢献だ。

 

「俺はあまり力になれなかったよ。寧ろ桃香さんや愛紗さんたちにお礼を言ってあげて」

「……もう言った。だから立香」

 

桃香よりもおっとりしてそうで天然な彼女は既に関わった者たちにお礼を言っている。だからこそ藤丸立香にお礼を言ったのだ。

 

「……あの時の恋は、月を助けたい。それだけだった」

「うん」

 

あの暴走状態の恋の様子を見れば、それはすぐに分かる。月を助けたい一心で徐州に攻めてきたのだ。

 

「月を助けたい…それだけしか考えられなかった」

 

本当にそれだけしか考えられなかったのだ。今、思うとその時の自分に怖いと感じたのである。

恐らく、あのままだったら自分が何をするかも分からなかったのだ。そんな自分を助けてくれたのが桃香たちである。

 

「助かった…ありがと」

「みんなが恋さんを助けたがってたんだ。月さんもねねちゃんたちも喜んでいたよ」

「……うん」

 

再会できた月は心の底から喜んでいた。正常に戻った音々音も喜んでいた。

その恩を返すために今の彼女は助けてもらった劉備陣営に力を貸すと決めたのだ。

 

「…立香も助けてくれた。だから、困った事があったら今度は恋が助ける」

「ありがとう。何か困ったら助けてもらおうかな」

 

ニコって笑った恋はまたスヤスヤと幸せそうに眠るのであった。

 

 

347

 

 

北郷一刀は有害図書もといエロ本を持って庭で座っていた。

外で堂々とエロ本を読むとは中々、ある意味男らしいかもしれない。スケベ根性かかってこい、みたいである。

 

「うーん」

 

実はエロ本を読んでいるわけではない。エロ本で悩んでるわけではないのだ。

 

「どうしたの北郷?」

「藤丸か。いや、これ……もそうなんだが、ちょっとな」

 

北郷一刀が持っていた書物には『夜皇遊戯』と書かれていた。

 

「何それ?」

「簡単に言うとエロ本」

「男だな」

「お前もだろ。てか、俺が読んでたわけじゃないから……こら、嘘だろ、みたいな顔をするな」

 

北郷一刀も藤丸立香も男だ。エロ本に興味がないわけがない。だが、本当にエロ本を読んでいたわけではないのだ。

 

「このエロ本だけど…鈴々から没収したんだ」

「え、鈴々ちゃんから?」

 

鈴々がエロ本を持っているのが意外すぎた。彼女はそのような物とは無縁かと思っていたからだ。

その考えは北郷一刀だって思っていた。しかし、鈴々だって女性だ。そういうものに興味を持つ年頃なのだろうと思う。

 

「どうやらこのエロ本は朱里から貰ったようなんだ」

「朱里ちゃんから…」

 

またも意外な名前が出てきた。失礼かもしれないがこういうのを吹き込む人物は星とかを想像してしまう。

 

「まさか、あの鈴々や朱里がエロ本を持っててショックだったとか?」

「ああ…娘がエロ本を持っているのを見つけた気持ちってこんなんなのかなーって」

「……分かる」

「分かるか」

 

カルデアの子供サーヴァントが同人誌を読んでいた時を見かけた気持ちに近い。

最初は全年齢の同人誌でも読んでいたかと思えばエロ同人誌を読んでいたと分かった時は何とも言えない気持ちになったのだ。

案外、ナーサリーライムやアビゲイル・ウィリアムズはおませさんだったりする。

 

「…それはしょうがないよ。受け止めるしかない」

 

教育に悪いから、もう読むなとは言えない。言ったとしてもどうせ聞かないからだ。

最初は藤丸立香も取り上げては、「どうして読んではいけないの?」と聞かれれば「教育に悪いから」と言っていた。しかし「本は誰にでも読む資格はあるわ」と言われてしまえば反論できない。

物語の英霊であるナーサリーライムに言われてしまえば本当に反論できない。

 

「本は誰にでも読む資格があるからね。しょうがないよ」

 

同人誌を読んでから何を感化されたか分からないが子供英霊たちはマスターに対してより積極的になったりするのは別の話である。

 

「…それは、まあしょうがないと思ってる」

「じゃあ、何で悩んでるの?」

「………………鈴々からさ「お兄ちゃんが大人になるための方法を教えてくれる?」って言われたんだ」

「ウゥ~~ウゥ~~~~」

「パトカーのサイレンの声真似をしないでくれ!!」

 

もしかしたら人の事を言えない藤丸立香だが、取り合えず棚の上に置いておく。

 

「実は……………という事があったんだよ」

 

経緯を聞いた藤丸立香はすぐに理解した。これでも理解の早い男である。

 

「そっか鈴々ちゃんも恋を知る歳なんだね」

 

よく思い出せば鈴々にとって近い異性は北郷一刀だ。よく懐いていたが、その気持ちが恋へと昇華したのだろう。

そもそも北郷一刀に対して淡い想いを抱く者は他にもいる。見ればすぐに分かる桃香、それで隠しているつもりなのかの愛紗だ。

桃園姉妹が奇しくも同じ男性に恋をするとは不思議な巡りだ。

 

「俺、物凄いことを約束したかもしれないんだ」

「かもしれないじゃなくて、したね」

 

大人になる方法を教えるとは、大人にする、という意味なのかもしれない。

 

「そりゃ、鈴々も女の子だし…そういうことに興味を持つのもわかるけど」

 

男だろうが女だろうが、いずれは恋、性に対して興味を持つのは運命だ。必ず人間はその道を通る。

 

「………どうしようか」

「うーん……」

 

北郷一刀は悩んでいるが、きっとこれからもっと悩む事になる。

今は鈴々の好意に対して頭を悩ませているが桃香と愛紗もいるのだ。他にも朱里や雛里達もいる。他にも北郷一刀に好意を抱く者は他にもいる。

羨ましい限りで彼はモテモテだ。

 

(……北郷は桃香さんと愛紗さんの気持ちも考えないといけないよね)

 

桃香も愛紗も北郷一刀の事が好きだ。北郷一刀は鈍感な方だが、あからさまな好意に気付かないほど鈍感ではない。

実は北郷一刀が知らないところで桃香と愛紗は己の恋する気持ちを互いに話し合ったのだ。恐らく女の醜い争いは起きないと思うが、好きになった男性は北郷一刀という点だ。

2人は振り向いてもらうためにこれから北郷一刀に対してアタックを続けるだろう。これだけでも3人に女性に関わる事になる。

誰か1人を選ぶのか、それとも全員を手に入れるのかは未来の彼の選択肢次第だ。

 

「………難しいな恋って」

「……そうだね難しいよ」

 

藤丸立香も思う事はある。彼だって北郷一刀に負けないくらい女性から好意を持たれているのだ。

彼の悩みも分からないでもない。そしてこの外史の北郷一刀よりも藤丸立香の方がある意味、恋愛経験者だ。

 

「………もしかしたら何の為にもならないけど、恋バナ聞く?」

「聞く」

 

藤丸立香の恋バナと聞いて興味津々だ。同世代の恋バナは大好物だろう。しかし藤丸立香は話す恋バナはある意味、悲恋だ。

メルトリリスとシャルロット・コルデーとの物語である。

この話が北郷一刀になんの為になるかは分からない。だが分かる事は1つある。

 

「……後悔はしないことだよ」

 

 

348

 

 

ノウムカルデアにて。

藤丸立香はレムレムと寝ている。

その様子を心配そうに見守るのが我らが可愛い後輩マシュ・キリエライトである。

静かにベッドの布団を捲ると清姫がいた。

 

「捕獲です!! そして先輩の部屋から退去!!」

 

ポーイっと清姫を部屋から追い出す。

 

「ふう…」

 

またベッドの布団を捲ると源頼光がいた。

 

「確保です!! 退去!!」

 

今度は源頼光をポーイっと部屋から出す。

 

「次!!」

 

またも藤丸立香のベットの布団を捲ると静謐のハサンが寝ていた。

 

「アーラシュさん!!」

「はいよ」

 

アーラシュ・カマンガーが静謐のハサンを担いで部屋から出ていく。

このあと、他の英霊たちもマスターのベッドに潜り込んでいたが何とか全て追い出す。

ベッドに潜り込んでいた英霊たちに理由を聞くとマスターの護衛だと言うのだ。

 

「まったくもう、何ですかそんな理由は。そんな羨ま…」

「我が臣下は大事無いか?」

「はわっ!? し、始皇帝さん!!」

 

ぬるっと始皇帝がマスターのマイルームに入ってくる。

 

「先輩なら大丈夫です。バイタルも異常なしです」

 

藤丸立香の顔を見ると問題無くスヤスヤ寝ている。

 

「まったく、此方は大変だと言うのに立香はスヤスヤと眠りおって」

 

始皇帝からおでこをピンっとされる。

 

「……ノウム・カルデアからまた何騎か英霊が消えた。やはり中国圏内の英霊だ」

 

前に蘭陵王と秦良玉がノウム・カルデアから消えた。そして新たにまた中国圏内の英霊が消えたのだ。

 

「はい。報告に聞いています…司馬懿さんたちですね」

「うむ」

 

更に陳宮、赤兎馬、李書文(アサシン)、楊貴妃がノウム・カルデアから消えている。

 

「ふむ、そろそろ朕も呼ばれるかのう?」

 

ノウム・カルデアでは藤丸立香の行方を捜している。ダ・ヴィンチちゃんとシャーロック・ホームズ、シオンたちの力によって多少は情報を見つける事ができたのだ。

調べた事により、やはり予想通り藤丸立香は過去の中国大陸にいる事が分かったのだ。更にその過去というのが三国時代だ。

ここまで分かればすぐにでも助けに行ける。しかし、それが出来なかったのだ。

確かに藤丸立香は三国時代の中国大陸にいる事は分かった。だが反応があるにも関わらずに居ないのである。

反応があるのに藤丸立香は居ない。まさに矛盾な状況である。

 

「不思議なものだのう」

「はい。三国時代の中国大陸にいるのに…反応があるのにいない。不思議です」

 

ダ・ヴィンチちゃんたちは更に調べている。謎の矛盾についての解析にひっきりなしであるのだ。

その『謎の矛盾』というのが『外史』である。まだその謎を解き明かすには時間が足りない。




読んでくれてありがとうございました。
次回も1週間後予定です。早く更新出来たらします!!

346
恋の後日談というか治療後の様子見みたいな話しでした。
特に異常はなく、動物たちとお昼寝という平和な1日です。

347
原作でもあった北郷一刀と鈴々の約束。
まあ、流石は一刀だよね!!
そして藤丸立香の恋バナ。私としてはある意味、悲恋みたいなものだと思います。
再会はしてますけど、特異点や異聞帯の彼女ではありませんからね。
なかなか、複雑なところです。

348
ところ変わって、現在のノウム・カルデアでは。
藤丸立香のベットに護衛と生じて好意を抱く者、面白そうと抱く英霊たちが彼のベットに潜り込んでいます。
それは置いておいて、新たに中華圏内の英霊たちが恋姫世界に飛びました。
まずは誰が登場するかは内緒です。そして全員が4章で登場するかは未定です。

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