言葉の壁はノリで超えてゆく!   作:おおっさん

4 / 5
今日のコンディション:ちょっと本気出す
今日のやる気:うおおおおお
今日の童貞力:100/100
今日の一言:なんとかなるよね


四日目

さて今日からみんな大喜びの新学期が始まる日だ。一年生にとっては辛く苦しい受験勉強時代をぬけて、大学生活に期待と夢をこめている日だろう。しかし、俺の場合は違った。台湾では9月に入学式が行われる。そして俺は9月に留学してきた。新入生と言葉が全くわからない俺と比較してもらえばわかることだが、今の俺にとっては大学生活が恐怖と不安にまみれている。そんなことを書いても仕方ないのでなるべく楽しくこの日記を書いていこう。今日は授業が始まる日らしく、寮を出るとたくさんの人が道を歩いていた。台湾人の人は大学内を歩いているとき、だいたい何人かのグループで歩いている。間違ってたらごめんな。一人で歩いているやつもいるが、俺の目にとまるのは稀だ。仲間がいる彼らを羨ましいと思っているが、それは今日で終わる。今日は日本に留学していた台湾人の学生が学校に来て俺の面倒を見てくれるというのだ。これはいい友達になれそうだ。

約束の時間に国際センターに行くと、まだ誰も集まっていない。人はいるにはいるが、留学生と関係ない人ばかりだった。とりあえず受付の前においてある机について待ってみた。待っていると、ガタイのいい男が話しかけてくる。

「你是哪国人?」

「我是日本人」

たぶんこれが台湾人と初めて行った中国語のコミュニケーションだ。これに感動していた矢先、留学生を担当する先生に発見されて、別室に連れていかれた。別室に向かう途中「何やっているの?こっちへ来なさい」とかなんとか言われたが、そんなことはどうでもよかった。初めてコミュニケーションが円滑に進んだことが何よりもうれしかった。

別室に来ると、韓国人の留学生とそのサポーター、そして俺のサポーターがいた。先生に「自己紹介をして!」と言われたので自己紹介を始める。一人は身長が180はありそうな温厚そうな男の人。もう一人は俺と同じぐらいの身長と体系の温厚そうな男の人だった。まず初めに大男が口を開く。

「私は祝といいます。よろしくお願いします。」

「私はおっさんと申します。よろしくお願いします。」

「彼は日本語が聞き取れるが話せないので、私が代りに紹介しますね」

以後、俺と大男の会話になった。もう一人の人の名前も聞いたが、忘れてしまい申し訳ない。

いろいろが終わって書類の説明に入った。これらの説明は俺からすれば何もわからない。頼りになるのは日本に留学していたこの二人だけ。二人に期待してなんとなく頷きながらこの場は乗り切った。説明が終わるとみんなが一斉に動き出す。俺もそれに合わせてとりあえず動く。そんな俺に大男は優しく日本語で説明してくれた。どうやら次は語学センターで勉強する語学を選ぶんだそうだ。

語学センターにつくとまず教室に案内されて、自分が履修する中国語の教室のレベルを選ぶように指示された。無論俺は中国語を理解したのではなく、大男がそう説明していたのでやることがわかっただけにすぎない。Aコースは全くの初心者、Bコースは少し中国語やった人がいくところだと聞いた。俺は迷わずBに行くことを決意した。まあ、ハッタリでもなるべく上のクラスにいたほうがいいしね。しかし、このコースを選んだことにより、この後たいへんなことが起こる。コース選択が終わると時間を言い渡された、今日の午後からこの語学の授業があるらしい。新しい先生と学びの環境にウキウキしながら次の書類の作成を始めた。

それが終わると、自分の学部に行き履修登録をしないといけなということで、学部棟に向かうことにした。俺はここで面接をやるんじゃないとか、自己紹介をさせられるんじゃないかと震えて待ったが、そんなことはなく、大男が丁寧に教えてくれてなんとか終わらせることができた。途中でこの学部の教授らしき人が来て何かを話していたがまったく聞き取れず、何も返すことができなかった。みんな話すのが早すぎるぞまじで。なんか韓国人の留学生は上手くやってるが、俺どうすんだまじで。まだ死んでいないことだけが救いの俺はこれから先が不安でしょうがない。

次は図書館へ行って個人情報を登録しないといけないらしい。この個人情報の登録とは俺にはさっぱりわからないが登録しないといけないらしい。図書館のPCを使い個人情報を登録していく。幸いPCのことに詳しい大男だったので様々なことが円滑に進んだ。

この後も色々なハプニングがあったが、大男のおかげでなんとか乗り切ることができた。そしていよいよ今日のメインイベントである、語学の講義に向かう。語学の講義が行われる教室の前で20分ぐらい待ったが誰も来ない。そこで何やらサポーターたちが話しあいを始めた。それが終わると大男は語学センターの手違いで今日の講義が無しになったことを俺に告げる。俺はこの後の時間が暇だったので、大男と何をするか話していた。そしてほかの韓国人の留学生もなにをするか迷っているようだった。のんきにこれから遊ぶことしか考えていなかった俺に天罰が下る。少しぽっちゃりした女の先生が来てなにやらハツラツと言葉を投げかけてくる。そろそろこの文を入れるのをやめにしようと思うが、俺には彼女が何を言っているのか全く分からない。しかし、大男がついてきて下さいというのでついていくことにする。すると、一階上の教室にゾロゾロと入っていく。ゾロゾロといっても先生と生徒含めて4人なんだけど。そしてここから本当の地獄が始める。まず、前に中国語の先生は中国語ペラペラ。そして隣にいる韓国人の留学生はそのペラペラな中国語を聞き取れるし、自分の意見も言える。そして俺の場合中国語は聞き取れないし、聞き取れないので意見も言えない。そう、俺だけがこの教室から乖離しているのだ。乖離という言葉を使ったのはなんか格好がつくからだ。因みに乖離の意味を俺はよく理解していないので、間違った使い方をしていたら察してくれ。そんなわけで講義がスタートした。本当に不安しかないぞ。

語学のマシンガントークがとびかうなか、俺だけ全弾命中しているにもかかわらず、韓国人の留学生たちはひらりとかわしていく。もうやめてくれ、俺のライフポイントはゼロだよ。しかし、先生のマシンガントークは終わらない。本当につらいが俺はもう死体の抜け殻のようになっていたので途中からはとくに何も感じなくなっていた。むしろ、このピンチの状況をなるべく楽しくストレスフリーにすることを考えた結果、講義を終始笑顔で受けることにした。まあ、顔の筋肉は疲れるがこわばった顔で静かにしているよりは幾分かましだ。そして最後はカードゲームをした。ルールは簡単まず、すべてのトランプのカードを人数分に等分する。そして1~13までの数字を順に言いながら自分の山札のカード真ん中に置いていく。自分の言った数字と出したカードの数字が同じなら、真ん中に置いてあるカードの上に手をのせる。最後に一番上に手がのっていた人は真ん中のカードをすべて山札に加える。山札のカードが全て無くなった人から勝ちになるというシンプルなゲームだ。このカードゲームはゲームというよりむしろ運動に近い。頭を使うよりも俊敏性のみで圧倒できるこのゲームに惨敗した俺はノロマの烙印を押されて家路につく。語学の講義はトラウマになりそうだ。そんなことを考えていると、大男から一通の連絡がはいる。

「今日はBBQしましょう」

「OK!」

OKは本当に便利な言葉だ。海外旅行するときはOKとNOさえ覚えていれば肯定文は完璧だ。

待ち合わせ場所は寮の下にあるセブンイレブンの前にした。ついて一分ほどで大男が現れて、俺に悠遊カードの買い方とチャージの仕方を教えてくれた。そしていざBBQ会場へ向かう。が、しかしバスが定刻になったのにも関わらず来ない。と思ったら、大男が時間の言い方を間違えていただけだった。バスが来てそこから乗り込もうとするが、あまりにも乗りたい人が多すぎてバスの入り口はかなり混雑した。最初は列ができていたが、バスが来てから三秒ほどでその列は崩れ我先にと入り口に押し寄せる。俺も負けじとなんとかバスに乗り込む。乗り込んだ後、窓から外を見るとまだ乗れていない人がいた。彼らは次のバスまで待つのか。今度は頑張って乗車しろよ。

バスに10分ほど乗ると目的地に到着したようだった。因みにこの悠遊カードは10Km以内なら無料でバスに乗れるから覚えておいて損はないだろう。下らない雑学を披露しつつ今日のBBQの参加メンバーを待った。

しばらくして、BBQの参加メンバーが現れた。彼らはこの大学の剣道部の部員で今日BBQをやることにしたらしい。だが、剣道部員の割合は20%それ以外は友達とかだった。台湾では9月24日の中秋の名月になるとBBQをするという習慣がある。これは焼肉のタレの会社が二つあり、そのCMを9月24日にしていたからなんだそうだ。その日は焼肉のタレも安くなるし、肉も安くなるんだとか。でももう夜だぞ?どこでBBQするんだ?すると大男は言った。

「ビルの屋上でやるんですよ。今私の友達が場所を確保してくれています(ニッコリ)」

「天啊!!!」

日本語ばかりだったので中国語で驚いてしまった。ビルの屋上で夜にBBQなんて。驚きつつもそのビルへ向かうことにした。

ビルにつくとあまり大きくない普通のビルだった。大男の友達がこのビルに一室でシェアハウスをしながら暮らしているらしい。もちろんその友達も大学生だ。しばらくして大男の友達が出てきた。ガタイがよくて、少しお腹が出ている優しそうな人だ。触らせてもらったが、お腹は本当に柔らかい。柔男と話すと俺と同い年だということがわかった。そして日本のアニメが好きで、日本のアニメソングが歌える。驚いたことに絵を描くことも得意だ。彼はアニメの絵をタブレットを使って書いている。そのクオリティは一流の絵師にも匹敵するほどだ。その技術を生かして今は大学と兼業で絵の仕事をして稼いでいるらしい。好きなことを極めた結果wwwというタイトルで2chに乗りそうな経歴を持っているのか。いや、すごいと思うよ。ホントに。その後も何人か来てさっそく肉を焼き始めた。台湾のBBQは焼いた肉をパンに挟んで食べる。これが本当にうまい。やったことない人がいたらぜひやってみてくれ。ステマはこの程度にしてBBQの感想を述べる。楽しかった。

飲んだり食ったりしていたら、寮の門限が近づいてきた。時刻は午後11時。寮の門限は11時30分なのでそろそろ帰ろう。帰りは大男がスクーターで送ってくれた。台湾ではスクーターで40Kmまで出していいので、かなりの速度感を感じることができる。俺自身バイクに乗ったのは10年ぶりくらいなのでかなり怖く感じた。途中で横転したら死ぬぞ。大げさと思う人もいるかもしれないが、それぐらいの速度で走っていたのだということを理解していただきたい。まじで危ない速度感だからな。

駐車場で大男に別れを告げて寮へ急いだ。何とか寮の門限に間に合ったと思ったが、間に合ってはいなかった。係員の女の子二人に呼び止められて門限が11時までだったことを知る。

「イレブン~~」

だから英語わかんないよ。でも今回は数字だったので意味は理解できた。必死に弁明したが彼女たちは見逃してくれなかった。かわいい顔してけっこうきつい…。

学籍番号を控えられただけでその日は終えることができた。開校日一日目にして寮にマークされることになってしまった。

寮に戻ると新しいメンバーが増えていた。もちろん台湾人だよ?眼鏡をかけて常にダブルスクリーンでゲームと動画サイトを平行しているフク君。とりあえずBBQで疲れた俺は風呂に入ろうとしたがその時だった。誰かが部屋をノックしている。半裸の俺は急いで浴室に入る。ちょっと待て、これって俺が門限守らなかったからか?シャワーを浴びた後ルームメイトに聞いてみた。しかし、何も起こらない。俺の言葉が下手糞過ぎて、向こうが理解できないのだ。俺の使えるキーボードはピンイン入力のもののみ。台湾語を入力するジュンインと呼ばれるものには対応していない。そこでグーグルをつかい、ジュンインのキーボードを見つけてインストールし、それを使わせて翻訳サイトに入力させるという工程を踏んでようやくコミュニケーションがとれるようになった。しかし、それを向こうは使いづらかったのか、自分のPCでグーグル翻訳サイトを使い始めた。あるんかい!

「さっき話していたのはなんですか?」

翻訳

「防災訓練のことです」

理解できた。

「今日門限に遅れたんですけど、何か問題ありますか?」

翻訳

「留学生ならもっと安全に気をつけるべきた」

ごもっともです。

「なにかルールとかありましたっけ?」

翻訳

「週に二回遅刻すると親に連絡されますよ」

まじかよ。ふああああああああ。

「寮を追い出されたりしますかね」

翻訳

「それはない」

なら問題ないな。

今日も色々あったがなんとか一日を乗り切った俺は今日もゆっくり休めそうだ。

 




寝る前に一言:もう死にたい
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