角持つ少年人理を救え   作:天城時雨

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二話目です。

どうかよろしくお願いします。


英霊召喚(裏)

気がつけば、タイムスリップしていた。

 

ちょっと何言ってるかわかんないだろうが、俺も分からない。俺はどうやら過去に転生したらしい。何故そう思うのか。簡単だ。

現代には藁で編まれた家なんて殆どないし、その日の食料を狩りに行く人だってそうそういない。しかし、俺の目の前ではそんなことが当たり前のように行われていた。

 

別にトラックにひかれた記憶は無いし、ましてや誰かに召喚されたわけでもない。

ふと気がつくとそこにいた。

 

とはいえだ。別にもとの生活に未練があるわけでもない。

何かを成したわけでもなければ、誰かの助けになったわけでもない。

強いて言うなら、ここでの生活は少々不便であることだけだ。

 

というわけで、俺はここで暮らしていくことにした。

ここでの親と、共に暮らす日々。

母に家事を習い、父に狩りを教わり、近所のおじさんに畑仕事を覚えさせられた。

とても新鮮で、最高の日々だった。

 

そんな中、俺はある問題に直面する。

 

娯楽が無い。

 

これは由々しき事態だ。

ここがいつの時代かは知らないが、娯楽というものが無さすぎる。彼らはこの生活を昔から続けて来ているので問題ないだろうが、こちとら現代社会産の養殖一般人。

狩り、家事、畑仕事の毎日では、ストレスが溜まってしまう。

 

そこで俺は小説を書くことにした。

とはいえこんな大昔(多分)に紙なんてものは無い。

代わりに木版に字を彫ることにした。

当然日本語では無く、この村で使用されている言語だ。

 

そして、いざ小説を書こうと思っても、アイディアが浮かばない。

なので初めは設定を考える必要の無い二次創作に手を出す。

初めての作品は俺が現代ではまっていたゲーム『ワンダと巨像』の二次創作だ。

さぁ、腕が鳴るぞ。

 

その日の夜から不思議な夢を見るようになった。

自らがワンダとなってあの世界を冒険する夢だ。

その夢では、俺は現実のことを覚えていない。しかし夢から覚めた時には、すべて覚えている。

控えめに言って最高だった。

 

アグロと共に広大な大地を駆ける疾走感。

数々の美しい景色。

大迫力な巨象とのスリリングな戦い。

 

そして、二年ほどかたったある日。

仕事やら何やらの合間に続けていた執筆を終えた。

凄まじい達成感。だが、こんなもの誰かに見られてはたまったものではない。

自分の名前を記すのはやめておこう。

 

初めて小説を書き終えた日から何十年もたった。

俺ももう老いた。そろそろくたばるだろう。

結局あの小説以外ではどんな物語を書いても夢に見ることはなかった。

あの夢が何なのかは結局わからない。

 

俺はこの人生を楽しめた。それだけで満足だ。

ああ、もう眠たい。

 

 

こうして俺の人生は幕を閉じた。

 

 

そのはずだった。

 

 

☆☆☆

 

 

目が覚める。

俺は確かに死んだはずだ。

しかしまだ意識はある。

 

情報が頭に流れこんでくる。

ここは『座』という場所らしい。

俺の小説が掘り起こされ、有名にたったことで俺は英霊というやつになったらしい。

しかし、『ワンダと巨像』の作者としてではなく、『ワンダと巨像』の作者の意識を持ったワンダとしてだ。

英霊というやつは聖杯戦争に呼ばれて戦うらしい。

俺は戦いなんざやったことは無い。せいぜい夢の中で巨象を壊して回っただけだ。

せめて呼ばれないことを祈ろう。

 

そんなことを考えていた矢先にお呼びがかかった。

しかし、これは聖杯戦争ではないようだ。

たった一人、よくわからない場所にほうり込まれて、それでも前に進もうとする一人の女の子。

正直にいえば応じたくない。戦いの役になんて立たないだろう。でも、助けを求められている。

ならば。

 

そう思い、召喚に応じる。

一瞬目の前が光に覆われ次の瞬間には、一面の火の海が広がっていた。

目の前にいるのが俺のマスターだろう。

ええと、確か召喚時の台詞は……。

 

「サーヴァント・バーサーカー。真名はワンダ。召喚に応じ参上した。

あんたがマスターか。ま、うまく使ってくれよ」

 

これが俺と彼女、藤丸立花との出会いだった。




このような駄文を手に取っていただき、ありがとうございます。

誤字報告、アドバイスお待ちしています。

では、またいつか。
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