銀魂〜クロスオーバー乱舞〜 混ぜりゃ面白い時だってある!!   作:イビルジョーカー

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※『君の名は』はネタとしてでしか出ません。




第1訓『君の名は』を見て、最高だと思った日を僕は忘れない

 

 

 

 

侍の国、僕らの国がそう呼ばれていたのは……。

 

「おい、もういいだろこの下り」

 

「そうね。いちいちこんな説明しなくていいアル。読者もきっと呆れてる筈ヨ」

 

「いや、そんな身も蓋もない話しないで下さいよ。一応知らない人もいると思いますし…

…」

 

「おいおい、ぱっつぁんよお〜。これ二次創作の有名サイトだろ? このサイトをご利用している方々はもう銀魂なんて知ってるからね。全然考慮なんて必要ねーよ。今年で実写化第2弾までされてる俺達を知らない奴なんていないって」

 

「そうネ。それなのに知らない奴は見るなって話アル」

 

「なに喧嘩売るような事言ってんの?!苦情来ますよ!!」

 

「苦情だぁ? なめんじゃねーよ。俺達はこれまで、幾多の敵を相手にして来たんだよ。東○とか、子供の教育に悪いだ何だと騒ぐ○○○○会とか!!」

 

「ちょっとおおおおお!!!! それダメな奴ですから! 敵に回しちゃいけない人たちですからね!!」

 

「でも、東○に関してはもう敵に回したも同然アル。色々仕出かしたし」

 

「いや、それはまぁ諸々あったけども! でもその件はとっくに解決したし……」

 

「つまりもう怖いものは無しだな。じゃー、思い切って○○とか、○○○や、○○○○もやってみるか」

 

「伏字だらけじゃねぇか!! 何をやらかす気ですかアンタは!!」

 

「まぁ、こんな所で恒例のグダグダ会話続けるのもアレだから、そろそろ本編行くか!」

 

「「「銀魂〜クロスオーバー乱舞!〜 混ぜりゃ面白い時もある! 開幕!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

万事屋銀ちゃん。

簡単に言えば何でも屋のそれだが、その店主である坂田銀時は木製の事務用机の椅子に腰を落とし、そして死んだ魚のような目が特徴的な締まりのない顔に心底うんざりとした表情を浮かべている。

 

「何としてくれよ銀さん!! マジでヤバいんだって!!」

 

理由は万事屋からそう遠くない松野家の六つ子の1人、三男のチョロ松が原因だった。きっかけは10時頃。いつものように客足はろくになく金になるような話も入ってこない暇過ぎる状況の中でジャンプを見ていた時、チョロ松はやって来た。

 

しかし来て早々、顔は切迫詰まるとばかりに慌てた様子で落ち着く気はないに等しかった。

 

とりあえず。このままではまともに話を聞けなかったのでチョロ松の顔面めがけ蹴りをぶち込み、やや強引ながらも鎮静させた銀時は改めて事情を聞いたのだが……。

 

「考えてもみてよ。あのクソ長男だよ? エロのエロ、もうエロの帝王にでもなった方がいい位のエロさと全っっ然働く気もないニート。そして平然と他人を裏切ったり、人の事なんか御構い無しの無神経さ!! まるで、クズを寄集めて出来たようなクズの化身!! そんなおそ松兄さんが………」

 

ダンッ!

 

「普通に何気なく荷物の多さに困ってるお婆さんの荷物を持ったり、迷子の子供を見つけて交番まで送り届けたり、時には親の人探したりとかして。それで家事とか掃除をしたり……色々おかしいんだよ!!」

 

机をこれでもかと思いっきり叩き、自分の兄にして長男であるおそ松に対して散々な感想を述べ立てる。たが、後半に関しては別にどうと言う事ない普通過ぎる親切な行動のためか、銀時の顔はやはり呆れ顔を崩さない。

 

「おかしいのはお前だろ。つーか、前半の部分に関しては同類だろーがシコ松」

 

「シコ松言うなァァッ!! ともかくおかしいんだよ! おそ松兄さんがそんな事するような人間じゃないって、知ってるだろ?!」

 

「オメーもな」

 

人間としては非常に当たり前で良い事なのだが、それを自主的に実行することがないのが松野家の六つ子たちだ。

 

クズ、エロ、ニートという三拍子を完璧に持ち合わせた彼等は人として落ちまくった存在と言える。

 

そんな彼等の長男ことおそ松が何気なくやる、それも自主的にというのがチョロ松や他の六つ子達にとっても驚愕の一言に尽きるのである。

 

「アレだろ? ようやっと自分自身のダメさに気づいて目覚めたって感じだろ? 考えてもみろよ。お前らは誰がどう見てもニート、いやニート以下の穀潰しの寄生虫みたいなもんだろ? そりゃあ『そうだ。このままじゃいけない!』ってなるよ。うん。だから、おそ松も生まれ変わったんだよ。よかったじゃねぇか」

 

「よくあるかアアッ!! アンタ僕たちの事をそんな風に見てたの? 思ってたの? 傷つくはッ!!!!」

 

「ともかくこれでよかったんだよ。真人間になるってことは、良き社会人になるも同義なんだから。お前らも見習って早くニート脱却しろシコ郎」

 

「チョロ松だって!! つーか、もはや誰?! 僕の存在がなくなってんだけど!」

 

チョロ松の非難を軽く流し、耳を小指でほじくる銀時の顔はめんどくさいの文字がありありと浮かぶほど、どーでもよさ気な雰囲気のそれだ。

 

まともに相手するだけ無駄と判断されているのだろう。

 

「いやいや、ダメなんだって!! あんな調子じゃ今後どう接していいのか分かんないって!! それになんか最初の頃自分は誰だとか、妹云々言っちゃってるし!妄想と現実が曖昧になって、もう病気だよアレは!!」

 

「どーせギャルゲーの主人公的なキャラ作りだろ。妹萌えタイプに行こう的な。

お前だってやりそうだし、つーかやるんだろ?」

 

「やらねーよ! イタ過ぎるわッ!!」

 

もやは聞くつもりはないのか。

 

銀時はギャーギャー喚くチョロ松を置き去りに店から出ると停車しておいた愛用の銀の字印のスクーターに乗り、切らしていたイチゴ牛乳を買う為にエンジンを鳴らし走らせた。

 

「ったく、チョロ松の野郎。ちっとは金になる話でも持ってこいっての」

 

先程のことで嫌味たらしく愚痴を零す銀時は手慣れた操作でスクーターを運転し、目的のスーパーに向かっていく。

 

ある程度走らせて、目的地が見えたその時、見に覚えのある人物の姿がスーパーのある側の歩道をゆっくりとした普通のペースで歩いているのを目撃した。

 

「アレは…おそ松か」

 

チョロ松の相談の話題に上がっていた件の人、松野家の長男松野おそ松だった。

 

チョロ松と全く同じ顔と髪型。しかし着ているパーカーはチョロ松が緑だったのと違い、おそ松は赤。しかしパーカーそのものと服の中央にある柄が松野マークである事に関しては完全に共通している。

 

丁度、銀時と同じスーパーに入るらしく自動ドアを潜って店内に入っていくおそ松。それを見届けた後でスクーターを適当に空いている場所に置き、同じように自動ドアを潜っていく銀時はすぐにおそ松を見つけることができた。

 

「よぉ、おそ松」

 

気軽に声をかける銀時だが、返ってきた答えは……。

 

「え? あ、銀さん……で会ってますよね?」

 

「………」

 

いやに敬語のそれだった。

 

断っておくが、おそ松という男が知り合いに対し敬語を使うような男ではない。そもそもデリカシーすらない。そんな男が敬語交じりに見ず知らずの他人とでも接するような雰囲気で接するなどありえないのだ。

 

「あ、あの?」

 

「え、あ、あーそうだよ? 万事屋の坂田銀時こと銀さんだけど? つーか、本当に変だよなお前。チョロ松が言ってたけど」

 

「え? チョロ松がですか?」

 

「あー、なんかお前の様子がおかしいってんでどーにかしてほしいって来たんだよ俺ん所に。まぁ確かに変ちゃ変だけどよ、前に比べたらなんかイイ感じでいいんじゃない?」

 

さも適当に言う鼻の穴を人差し指でほじくりながら言う銀時。

 

「そ、そうですか?」

 

「そーそー。知り合いのおでん屋で金を払わずツケを溜めまくったり、四六時中エロい事や競馬とかパチンコに耽って働きもせず、親のスネを齧るしかない寄生虫的存在。それがお前たち松野家の六つ子だろーが」

 

「そ、そこまでなんですか?」

 

銀時の言葉におそ松は引きつった苦笑を浮かべる。

 

「まっ、何があったのかは知らないけどよ。お前もこれで立派な社会人だな」

 

「は、はぁ……」

 

「じゃ、せいぜい頑張れよ」

 

とにかく問題はない。

確かに以前と比べて変わってはいるが、それだけだ。あの雰囲気から察すれば結構まともになったのかもしれないと銀時は判断し、もしもまたチョロ松か、もしくは他の六つ子たちが何か言いに来たとしても絶対無視しようと密かに胸の内で決めてその場を去ろうとした。

 

「あ、あり?」

 

突然、形容し難い異様な感覚が銀時を襲う。

 

そんな今までにない異様な感覚がしたかと思えば、銀時の意識は深く深く、まるで奈落の闇にでも落ちていくかのようにその意識を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「う……ん。………ここ何処?」

 

少し寝ぼけたような頭の重い感覚が残りつつも、銀時はその意識を覚醒させて上半身を起こし周囲を見渡す。

 

まず見慣れない場所ということは理解できた。

 

周囲には茶色に近い色合いの西洋風の建物があり、時計塔のようなものがある。

 

銀時はハッキリ言ってこの様な場所に見覚えはなく、忘れているという可能性もあるかもしれないが今の段階では記憶にないのは事実なので仕方ない。

 

「え、なにココ?」

 

目が覚めたら見知らぬ建物のある場所…それもどうやら敷地内の芝生の桜木の下で倒れていたらしい。記憶が正しければ銀時は、スーパーで奇妙な感覚に襲われ意識を失った筈。

 

これに関しては覚えている。

 

しかしあの時の状況を鑑みればその後は病院に搬送される筈だ。このような場所に寝かせる意味など全くない。考えれば考えるほど、今の自分が置かれた状況が意味不明過ぎた。

 

と、ここで銀時は自らの身体の異変に気付いた。

 

手を見る。何かが違った。簡単に言えば男性特有の無骨さがなくなりり、何処か華奢な印象を受ける小さな両手。

 

「……え、何コレ? 俺こんな女みてーな手してたっけ?」

 

更に銀時は気付いた。自身のアイデンティティとも言えなくもないお馴染みの服装が消え、完全に学校や通学路でよく見る女子制服のそれになっている事実に。

 

「………あれ? 俺こんな格好してったけ? え

、ちょっ、コレ……女子中か高の制服じゃね

?」

 

困惑がまるで湧き水のように次々と溢れ出ていく。そして嫌な予想が銀時の脳裏に過る。以前デコボッコ神なる存在を崇める宗教集団が引き起こしたテロで紛れもなく美少女になってしまった過去の珍事件。

 

思い出されたそれから一つの予想が構築され、ある確認によって現実となった。

 

確認は簡単だった。運良く手元に落ちてあった制服の内ポケットに入るほどの小さな手鏡を取り、自分の顔を鏡へと覗かせる。

 

ただそれだけの行為。

 

「…………」

 

顔を見た瞬間全く言葉が出ず、銀時はまるで石像の如く白目を剥いた状態で固まってしまった。何故なら、普通ならモジャモジャ白髪の天然パーマに死んだ魚のような目。そんな締まりのない男の面が見える筈なのだが、鏡に映るその顔はボーイッシュな短めの茶髪をした、

 

完全に10代の少女のそれだった。

 

当然だが、銀時はこの少女の顔に全く見覚えが無ければ、心当たりもない。

 

だが唯一、見覚えがある箇所があった。

 

“目”だ。

 

生気をこれでもかと抜け切った死んだ魚のような両眼。それが彼の中で本能的に……とでも言うべきか。この顔が今の自分の顔なのだと言う事実を手間暇かけず、瞬時に感じ取らせた。

 

「え、ちょ、マジ……ええええええええええええええええーーーーーーッッッッッ!!」

 

この異常過ぎると言っても当然と答えられる状況の中で、銀時はとりあえず叫んだ。

 

喉潰れるんじゃね?って位に叫んだ。

 

「ど、どどーすんだよコレェェッ!! なんで女になってんだよ?! え、なに、銀さん今度は別人レベルでまた女化しちゃったの?!」

 

パニックになっているせいか、色々メタい事を平然と吐き出していく銀時。過去に一度女性へ性転換したことがあったが、その時は普通に街中を歩いてた際デコボッコ神教の特殊兵器によるレーザー光線の照射により強制的になってしまったのだ。

 

無論、自分の意思でそうなったわけではないし、今回も自らの意思でこうなった覚えなど毛頭ない。以前と状況は異なり、突然気を失い目を覚ましたら少女になっていたと言う、ちょっとした『君の名は』状態なのだ。

 

「ま、マジでやべぇぞコレ。つーか、これ、女化っつーより……ひょっとして入れ替わり系な感じなのか? アレか? 『君の名は』的 な感じで彗星をどうにかしなきゃならねぇのか??」

 

冷や汗を滝の如く流し、狼狽を顔に張り付かせる銀時。

 

何とかしようと混乱に陥った頭で元より出来の悪いI.Q値を高速回転させ、この状況を打破する術を捻り出そうとするが皆無に終わった。

 

無理もない。

 

銀時のやろうとしている行為はとてつもなく広く真っ暗闇の中で当てもなく、ほぼ手探りの状態で目的の物を見つけ出す。そんな無謀同然のもの。無事成功へ至る可能性は天文学的数字になるだろう。

 

「と、とにかくだ。まずは誰かに聞かねぇと……」

 

よって銀時は、一先ず誰かを探すことにした。

 

この建物に詳しい関係者なら今自分がいる場所について分かるかもしれない。あくまで可能性の話だが、しないよりはいいし合理的と言える。

 

「あれ、こんなとこで何やってんのなぎさ」

 

立ち上がって誰か探そうとした時、ふと声がかかった。振り向くと自分と同じ制服を着た少女らが2人いた。

 

「ああ、丁度良かった。ここどこか教えてくれねぇか?」

 

「え? どこってベローネ学院だよ。何言ってんのなぎさ?」

 

ベローネ学院。場所が場所なら名前も聞いたことがない単語だった。

 

「っていうか……なぎさ、そんな口調だっけ?」

 

「まぁ、アレだ。イメチェンだよイメチェン」

 

「それになんか目が死んだ魚みたい……」

 

「これもイメチェンだから気にすんな。いざって時はもうバリバリに煌めくから」

 

「そんなイメチェンいる?」

 

死んだ魚のような目のイメチェンという、訳の分からない返答に苦笑を浮かべる少女ら。対し銀時はいちいち、ごまかすのが面倒とでも言いたげな顔で人差し指で鼻をほじくる。はっきり言って美少女でそれをやるのはどうかと思うが、それを気にしないのがこの男だ。

 

「こんな所にいたか」

 

後方から声が聞こえた。

 

明らかに少女のそれに振り返った銀時の目に入ったのは、1人の少女だった。同じ制服を着ている所見ると彼女もこのベローネ学院の女子生徒らしい。容姿はボーイッシュな雰囲気の美少女な銀時のそれとは違い、何処かの令嬢のような気品を纏っている。

 

そんな別ベクトルの美少女だった。

 

「あ、ほのかさん」

 

「ほのかさんじゃない……桂だぁぁッ!!」

 

「おめぇぇぇかよーーーーーーーーッッッッッ!!」

 

恒例とも言える台詞のおかげで一秒足らずで少女の正体を見抜いた銀時の行動は実に迅速で、的確に彼女の顔面めがけドロップキックを炸裂させた。

 

 

 

 









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