銀魂〜クロスオーバー乱舞〜 混ぜりゃ面白い時だってある!! 作:イビルジョーカー
イビルジョーカー「新年明けましておめでとうござます! 去年は色々ありましたが…」
銀時「おいコラ、クソ作者。なに平然と何事もなかったように挨拶してんだよ。
最初の投稿から何か月立ってんと思ってるんだよ」
イビルジョーカー「いや、しょうがないじゃん! 今俺が書いてる中で一番熱意注いでるダリアマ(ダーリン・イン・ザ・アマゾン)に集中したかったんだもん!」
銀時「もんじゃねーよ! ただでさえ色々問題あんのに時間を無駄に気かオメーは」
イビルジョーカー「じゃ、今年はできるだけ早めに。そして面白さをより一層提供
できる様努めますので、応援よろしくお願いします!」
……………新年早々、冒頭でこんな茶番してすまみませんでしたァァァァッ!!
「で、なに? なんで俺みたいな状況になってんだよヅラぁ」
「ヅラじゃない桂だ。ともあれ、この異界の地にて友と再会できたのは嬉しい限りだ」
「俺はマジで死ぬかもってぐれーに最悪だけどな、このヤロー」
一方は嬉々と。もう一方は忌々しげに。
そんな場面を作り出しているのは、このベローネ学院一のスポーツ美少女として女子からも絶大な人気を誇る“美墨なぎさ”。
窓際の令嬢という言葉が相応しいほどにお淑やかで頭脳明晰。なぎさと互角の人気を持つ“深雪ほのか”。
この二人は大変仲が良く、親友と言ってもいい程なのだが、何故かそんな空気とは程遠い雰囲気が二人の周囲を形成していた。
別に仲が悪くなったとか、変な感じなったと言うわけではない。実はこの二人の中身は魂的な意味で別人の存在が彼女らの肉体に憑依した状態となっているのだ。
なぎさの方には、銀時が。
ほのかの方には、桂が。
同じ境遇の者が同じ場所で出会うという奇跡のような再会の出だしから、ほのかになった桂の顔面へ盛大にドロップキックを見舞った銀時はすぐさま桂を掻っ攫い、人の気のない校舎裏側へと連れ込んだというわけだ。
とにかく互いに意見を述べるが全く噛み合っていないのは気にしてはいけない。いつもこうだからだ。
「つーかよ、お前ここが何処だが分かんの? 少なくともベローネ学院なんて場所聞いた事ねーぞ」
単に知らなかったと言うことは否定できないし、学び舎に興味を持つような理由も性癖もないからこそ知らなかった可能性は十分有り得るのだが、しかし桂はその可能性を否定した。
「銀時。お前が知らなかったのも仕方のない話だ。それにここは探そうとして探せる場所ではない」
「なに? なんかの秘密基地かここ? 学院てのは嘘で実は防衛軍か悪の秘密結社の基地なんてオチじゃねーだろうな?」
「異世界なのだ、ここは」
「……へ?」
間抜けな声を漏らす銀時に桂は特に気にも留めず、話を続ける。
「銀時。信じられないのは無理もない話とは思うが、俺たちは原作やアニメの方で猫になったり、またはお爺さんになった身だ。時空を超えて異世界へ魂のみで転移し、このような少女らの肉体に憑依するなど有り得る…」
「ワケあるかぁぁぁぁぁぁーーーーーーッッッ!!!!!」
「ぐぼぉわッッ!!」
話を遮えるように叫んだかと思えば、銀時は桂の両頬を片手で掴み、タコの口のようにして血走る目つきで迫る。
「なんでタイムスリップじゃなくてワールドスリップしてんだぁぁぁぁぁぁッッッ!!! しかも魂だけで?! ふっざけんなぁぁぁぁぁーーーーーーーッッッッ!!!!!」
「お、おじづげ、ぎんぼぎ。ばばぜば……」
「どう話したって分かんねーよ!! 何コレ?
ソウルソサエティに行って魂元の身体に戻してもらうかしかねーの? 助けて○護ぉぉーーーーーー!!!!!」
混乱ここに極まれり。そんな言葉が的確な程に銀時の心は困惑と動揺、そして明日への光が見えない真っ暗闇な現状に対する不安が嵐の如く荒ぶっていた。
それはもう、某卍解死神漫画の主人公に堪らず助けを呼ぶ程に…。
「ぶはっ、ええい見苦しいぞ銀時! それでも侍か貴様は!!」
「侍らしいとこ原作やアニメで碌にしてねー奴が言うなボケ!!」
何とか手を振り解き文句を言うも、銀時はそれを正論の一刀の下に切り捨てた。
「ともかく! まずは聞け! ……何故、我々がこの世界に来て、こうなっているのかを」
言葉から察すれば、どうやら自分達が何故こうなってしまったのか。その理由に関しての情報を持っているようだ。ならば聞かない訳にはいかない。
「はぁ、分かったよ。その口ぶりなら知ってるっつーことだよな?」
「無論だ。全てはあの日…二日前に遡る」
※
「その日俺は、これまでにない激戦に身を投じていた」
回想に出て来たのは苦悶の表情を顔に出した長髪の男、狂乱の貴公子こと桂小太郎の本来の姿だった。余程の苦痛がその身を蝕んでいるのか……額に大粒の汗が浮かび、その身体を異常なほど震わせている。
そして、とうとう口から一筋の血が流れ落ちる。
『な、なんということだ……よもやこの俺がここまで追い込まれるとは』
だがその瞳に宿る狂乱の炎は消えてなどいなかった。
『だが、負けん! 俺は必ず……この戦いに、勝つ!!』
敗北などしない。その決意は未だ死の窮地にあって尚、果てることはない。
『そう我が腹を襲いし……この便秘に俺は打ち勝つぞぉぉぉぉッッッッ!!!!!』
「何と戦ってんだァァァァァーーーーーーーッッッッ!!!!!」
ギャグアニメなどでよく見る回想する時の、なんかモヤモヤとしたものを突き抜けた銀時の拳がそのまま、桂の顔面へと清々しいまでに真っ直ぐ的確に打ち込まれた。
「ぐはぁぁッッ!!! な、何をする銀時……俺はただ便秘という悪夢のような敵と戦っていただけ…」
「そんなので一々シリアス風の雰囲気醸し出してじゃねーよ!! もうめんどくせぇからさ、黙ってくんね? お願いだよ三百円あげるからさ
!!」
「話を聞け! 肝心なのはこの後だ」
少し鼻血を出しながら、必死に言う桂。とりあえずは聞いておくとして。もしまた何か下らない事を言おうものなら誰の体であろうが構わず、もう一発決めてやる腹積もりの銀時は顎をクイっと前へ出すジェスチャーで続きを催促した。
「では話の続きだ。便秘と激戦を繰り広げる中、突然周りが黒一色に染まった何もない空間と化した」
何もない真っ黒な空間。不思議と妙な近親感を覚えた銀時だが、構わず桂は話を続ける。
「そこで俺は“あの仙人”に会った」
「仙人って……まさか“あいつ”のことか?」
銀時の中で1つの候補…と言うか、それしかいない人物の記憶が蘇る。
仙人。正確には洞爺湖の仙人と言っていいのか。
銀時の持つ木刀“洞爺湖”に宿った化身的な、あるいは精霊的なものか。とにかく一言で表すと“よく分からない存在”と答えるしかない50代くらいのグラサンをかけたおっさんである。仙人というのも勝手に銀時がそれっぽいと言う感じで言ったに過ぎないない為、正式にそうなのか疑問が生じるのだが。
「うむ。洞爺湖の仙人殿だ」
「ま〜たアイツかよ。原作とアニメで二回、小説版銀八先生で一回、合わせて三回しか登場しねないモブ野郎じゃねーか。そんなヤツがこんな二次創作に出てまで何しに来たんだよ」
「そう言うな銀時。仙人殿は大事なことを伝えに俺の下へと参じたのだ」
「なんで便所で用足してるタイミングで来るんだよ。もっといいタイミングがあるだろーが」
銀時が正論を言うものの、桂はそれを気にも止めず話を進めた。
『突然すまないな。我が主の戦友、桂小太郎よ』
『き、貴殿は洞爺湖の仙人殿!! よもやこんな二次創作にまで出て来るとは……いったいどうしたのだ?』
恒例のメタい台詞を普通にスルーし、仙人は桂をこの異空間と呼ぶに相応しい場所へ導いた理由を口にする。
『単刀直入に言うが、汝には我が主の銀時と共に異なる世界を救ってほしいのだ!!』
カッと目を見開き、至極真剣な面持ちで語る仙人。それに桂は戸惑いの声を漏らす。
『こ、異なる世界とは?』
『無理もないことかもしれんが、今は急を要する。詳しいことはいずれ、後ほど話す時が来る。強制的で申し訳ないがこれも世界間における均衡の為だ』
突然のカミングアウトに桂はただ驚くしかなかった。さしもの桂も異空間へ連れて来られて、突然こんな事を宣う白髭白髪の老人には絶句しかない…
『そ、それはもしや……ディ○○ーラ○ドの事なのかッッッ!!!!』
なんてことはなかった。
『え?』
『そうか。とうとう俺もかの鍵の聖剣を手に取り、様々なディ○○ー世界を救う日が今! ここに来たというわけかッッ!!』
『いや、あの、違うよ? なったらマジヤバいからソレ。あっちの偉い人たちが黙ってないからね?』
『ならばお供はド○○○にグー○○○で決まりだな!! 仙人殿! 早くキー○○ー○を!』
『ちょ、話を聞いて!! 本当にシャレになんないから!! 』
「とまぁ、こんな会話があって仙人殿から世界を救ってほしいと言う願いを了承したわけだ。
しかし、なんでも俺たちは本来この世界にはいない存在。そのままの状態だと世界の抑止力的なアレによって存在が消えてしまうらしい。そこで、俺たちの魂のみをこの世界の存在である少女らの肉体に移し、作用を起こさないようにしたというわけなのだ」
「回想の必要性がないんだけどォォ!! これただお前がキー○○ー○使いになりたいだけの話じゃねーかよ!!」
全くもって銀時の指摘は正論だった。しかし桂に反省などという字は存在しない。
「そうだとも。故に惜しい。キー○○ー○が手に入ればミッ○ーと共に戦場を駆け抜けられると思ったのだが……」
「こんな作品がディ○○ーとまともにコラボできるわけねーだろ!! 俺たちの心臓握り潰されるわボケがッッ!!!!」
魂のシャウトと言わんばかりに叫ぶ銀時は叫んだが、確かに色々と心臓を握り潰されかねない位にヤバいのは事実。
というか、もうこの時点でアウトなのかもしれない。
「それとだな。どうにも俺たちだけでは忍びないということで、何人か助っ人を同じように魂のみでこの世界へ転移させたらしい。無論同郷の者だ」
「あ? 俺らみたいなのが他にもいるのかよ。めんどくせぇーな」
言葉通り、顔にも面倒さを滲ませる銀時。
色々と予測不能な事が起き過ぎているせいか、かなり苛立っているようでそれを隠そうともせず、銀時はめんどくさいと不満を呈する。
「そう言うな。何分この世界は全くの未知なる地なのだぞ。人数は多いに越したことはない」
「つーか、その助っ人って役に立つの? そもそも知ってるヤツなのか?」
「案ずるな。既に接触には成功している。故に言わせてもらうが相手は知己の人物であるし、信頼もできる武士たちさ」
不敵に笑う桂だが、銀時には分かる。
こういう場合、桂という男が自信満々と答える時は必ず最悪な事態が起きるか、あるいは碌でもない事が起きるかのどちらかだと。
※
放課後。
既に日は夕暮れへと差し掛かり、用のない者は帰路へ、部活に励み時間を費やす者は精一杯努力して青春の汗を流している。
そんな時間帯に銀時と桂は、ある場所を訪れていた。
「すまない。みんな待たせたな」
訪れた場所は今は使われていない廃墟の建物。その駐車場には計6人の少女達が屯していた。正確に言えば、桂が来るまで待っていた、と言うのが正しい。
「本当だよヅラ〜! 俺ら待ってたんだから」
「フッ、まさか銀時までこの世界へ誘われようとは……まさにFate!」
「うっさい黙れクソ松」
「にしても有り得なくない? 僕等がこんな可愛い女の子になるなんて」
「そうだよね〜嬉しいと言えば嬉しいけど、
なるってのはね〜」
「ハッスルハッスル〜!!」
一人目は一見すると少年と見間違う程に一国の王子様の如き魅力を出しつつも胡座をかいている赤髪の少女。
二人目は青く長い髪を特に結わずにそのままストレートにした髪型で何処か委員長的空気があるのだが、かなりイタい台詞のせいで台無しになってしまっている。
三人目は青髪の少女と同じくストレートな髪型だがこちらは紫色をしており、その目つきを鋭くさせ、まるで獲物を狙う猫と言わんばかりの凶悪さで睨みを効かせる。
四人目は緑色の髪をボブカットにした少女で今の現状に対してどうやら不満を抱いているようだ。
五人目はそれに同意したピンクの髪をチョココロネのような団子状に纏めた少女。やはり緑の少女と同じく不満の溜息を漏らしていた。
六人目は最初の赤髪の少女と同じくボーイッシュな茶髪の少女。両腕でガッツポーズし、元気溌剌さをアピールしているかのようだ。
皆何とも言えない個性の強い面々だが、銀時には1つの納得感があった。
確かに彼女らの顔は今日初めて見る顔だ。
だが、言動や仕草は銀時が認知する知り合いの中でベスト・オブ・クズと称されかねない程ニートでしょうもない六つ子の兄弟の、まさにそれだった。
「このクソ松がァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!」
「べぶらぁぁッッ!!!!」
的確なキックが赤髪の少女…正確にはその顔面を捉えて、見事に命中した。
「痛っってーよ!! バカじゃねーの! マジでバカじゃねーのオイ!!」
「バカのなのはテメーだゴルァッ! なんで、なんでお前ら?! もっといい人材いたよね? テメー等クズ・ニート・バカの三拍子揃ったアホ共でどうしろっつーんだよ?!」
「オーオー、落ち着けFriend」
怒鳴り散らす銀時を見かねてか青髪の少女…正確には、中身だけ松野家次男のカラ松が説得を始めた。
「いいか、こんな状況でpanic且つshockになるのは分かる。大いに分かるとも。だがここはcoolになることが大切なんだ。氷の如き…いや、まさしく冬の季節のようなcool goodな思考じゃなきゃ、Best ideaは生まれない。
そう、誰しも人は不完全。No perfectなんだ。けどそれでも俺たちは逆境の中を進まなくちゃいけない。いけないんだ……だって俺達は、やっぱりNo perfect…」
「ノー・パーフェクト二回言うなァァァァァ!!!!!」
「中村ァァァッッ!!」
その拳に聞くに堪えない説得術を長ったらしく聞かされた苛立ちと、カラ松という存在に対しての不満とウザさと切なさ、他になんか色々とを込めて。
銀時はガチのグーでカラ松を殴った。
「ったく、ちょっと期待して損したぜ。よりによってコイツ等とかもう世界滅亡レベルで終わってんだろ」
「散々な言い方なんだけど!! 自覚はあるけどさ、そこまで酷く言わなくもいいだろ!」
銀時の散々な物言いにさしもの三男チョロ松は非難の声を上げる。
ちなみに緑の髪の少女が彼である。
「まぁ落ち着け銀時。まだ頼れる同郷の友はいるぞ」
「こんなクソニート共が出て来た時点で信用できねーよコラ」
「なに、もうじき此処へ…」
桂が言い終わる前に何かが銀時達の前へ降り立つ。
異形。眼前に現れたソレはそう表現するしかない存在だった。
二体いて、一体は人型ではあるものの筋骨隆々という言葉が相応しい程赤い肉体を筋肉で膨張させ、その姿はまるで蚊を彷彿とさせる虫の怪人。
もう一体はスレンダーな白亜の身体で、シルエット的に言うと何となく、あの台所に出て来そうなGっぽい感があるのが否めない。
「ちょっとぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!! 何よGって?!
せめてSかMにしないよ! 」
「そういう問題?! つーか、ナレーションにツッコミ入れるもんじゃないぞ、くノ一女!」
銀時は察した。この時点で2匹の怪物の正体を。聞き覚えのある台詞や声から容易に割り出したのだ。
「オィィィィィィーーーー!!!!!
ただの変態女にゴリラじゃねーかッ!!」
テラフォー○ー的な蚊の怪人…近藤勲。
白いG的なアレ…猿飛あやめ。
銀時の世界において“ストーカー”の異名を無意味に背負った二人だった。