提督が外国からレーベを迎え入れて仲良くなろうと頑張る話。
と、それに振り回される、艦娘たちのお話。

*会話文のみ
*提督→Z1が書きたかっただけ

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会話文だけ



うちの変態提督がレーベに一目惚れしたようです

「ねえ、むっちゃん」

「なあに、提督?」

「女同士のケッコンって、どう思う? 相手は艦娘なんだけど」

「ケッコンカッコカリ、という意味で?」

「ケッコンカッコガチ、という意味で」

「…………別に、いいんじゃないかしら」

「何で間があったのよ」

「そんなこといきなり聞かれて戸惑わない艦娘(おんな)がいるとでも?」

「……そりゃそうよね、ごめんなさい」

「で、女性同士っていきなりどうしたのよ。誰かに惚れたの? あなたが重用してると言うと……金剛か木曾、赤城かしら。幼いところでは初雪や電、ゴーヤに……ああ、出撃ではないけれど、愛宕も重用してたらしいわね、おっぱいまくらとか言って」

「どれも違う。というか何で最後の知ってるのよ」

「この間、愛宕が酔った時にぱんぱかぱーんと暴露してたわよ」

「……だから高雄辺りの視線がこの頃厳しかったのか。別に重用してるわけではないわよ。頭をうずめたのは確かだけど」

「弁解してるつもりで弁解になってないわ、それ。流石に引くわよ」

「え、引く? やわらかそうだなって思っただけなんだけど」

「思っても普通は行動に出さないわよ」

「えー……女同士なんだしちょっとくらい、いいと思うんだけどなあ」

「女同士だろうが嫌な子もいるだろうから気をつけなさいよ。……話を戻しましょう。で、相手は誰なの?」

「この間、本部で会った海外から来た駆逐艦の子。レーベレヒト・マースって子みたい。手続きはしたし、その内むっちゃんも会えるよ」

「へえ、海外の……あら? 手続きって何のことよ?」

「彼女の受け入れ先の手続きよ。だれか提督の保護下につかなきゃいけないっていうんで、即行で立候補したわ」

「……提督、うちの母港に余裕ないの判ってる?」

「ちゃんと母港拡張の申請手続きも一緒にしたわよ」

「それならいいのだけれど……いえ、あんまりよくないというか、その拡張の資金はどこから……」

「大丈夫、ちょっと掃討ノルマが増えるだけだもの」

「あのねえ……まあ余裕があるから大丈夫だとは思うけれど」

「むっちゃん、信じてるわ」

「私は提督を信じられなくなったわ」

「えー」

「その艦娘を受け入れるためだけに、私たちの負担を増やす提督のどこを信じろと言うのよ」

「轟沈艦を出してない。上から与えられた作戦は成功している。資材は……たまに危なかったけれど、出撃できないほど枯渇したことはないわ。これじゃ不足?」

「……いいえ、十分。反論したいのに反論できないのが悔しいところだわ」

「それに、レーベを受け入れるため“だけ”じゃないわ。もともと母港は拡張しようと思っていたし、遅かれ早かれこうなってた」

「どうだか。それで、その子はいつくるの?」

「色々と検査や手続きがあるみたいだから、半月後ね」

「ふーん。じゃあ、駆逐艦寮の空き部屋を清掃しておくよう、伝えておくわ」

「まだ早いような気もするけど、そうね、お願いする」

「で、また話は戻るんだけど。その子が提督の懸想相手?」

「そうよ、一目惚れしたわ」

「ふーん。提督が好きになるってことは、胸が大きいのかしら?」

「え、何で私が好きになるイコールおっぱいなのよ」

「え、違うの?」

「違うわよ。むしろ貧乳……いえ、品のある乳と書いて品乳ね。でも彼女の魅力は胸より脚よ、脚」

「……秘書艦やめたくなったんだけど、やめていいかしら。その駆逐艦に引き継ぐから」

「だーめ。付き合いの長いあなたが傍にいなきゃ、艦隊の指揮も十全にできなくなるもの。まあ、一年くらいかけて彼女が慣れた後ならいいけど」

「そういうところは常識的なのね」

「全体的に常識的寄りよ」

「寄り、なのね……」

「まあ、女同士でカッコガチしたい、なんて思う時点でちょっと常識から外れている自覚はあるわ」

「あったの」

「じゃなければ意見を求めたりしないわよ」

「ああ、そういえば話の始まりはそこだったわ」

「って、結構長く話してしまったわね。あとはこの書類が終わってから話しましょ」

「正直もうお腹いっぱいよ」

 

 

 

 *

 

 

 

「ねえ、むっちゃん」

「……嫌な予感しかしないのだけれど、なあに、提督?」

「レーベって、天使よね」

「嫌な予感、的中ね。こういう時、まるゆにいて欲しくなるなあ……」

「むっちゃん×まるゆかな?」

「違うわよ」

「まさかのまるゆ×むっちゃん!? それは火遊びじゃ済まないんじゃないかなあ」

「違うわよ!」

「その勢いで否定するなんて怪しい。まるむつ濃厚、っと……」

「41センチ砲撃つわよ」

「撃ってもいいけど独房ものよ」

「……わかった、聞くわ、聞くからその聞くに耐えない言いがかりをやめて。あとそのメモも捨てて」

「レーベって、天使よね」

「……。ドイツ生まれとはいえ、普通の駆逐艦だったわよね。技術の国から来た割に、意外だったわ」

「かの国=変態技術、みたいなイメージあるわよね。レーベが変態……ふむ。アリね」

「レーベが可哀想だからやめなさい」

「はーい。まあ、かの国って造船技術はそこまででもなかったらしいけどね」

「あら、そうだったの」

「みたいよ。WW2期に完成した空母もいなかったらしいし、レーベも艦隊決戦は苦手みたいだしね」

「ああ、だから練度上げは演習か遠征なのね。ふうん、意外と考えてるじゃない」

「本当はずっと秘書艦にして抱きしめてクンカクンカして『提督、何かな、それがこの艦隊の挨拶なのかな』ってジト目で見られたいけどね。でもやっぱり、彼女も艦娘だから。お仕事はさせなきゃ、と思って。それが駆逐艦である彼女の願いだと思うし」

「反応に困る話と普通にいい話を同時に言われると、どう反応していいか迷うわね……」

「レーベをずっと秘書艦にして抱きしめて髪を梳いて耳元で愛をささやいて首元クンカクンカして『提督、何かな、それがこの艦隊の挨拶なのかな』って照れたように言われたいわ」

「どうしてそっちだけにしたのよ。というか増やさないでよ」

「反応に迷うって言うから」

「そこまで極まられると、余計迷うわよ」

「えー。……あ、そろそろレーベが遠征から帰ってくるわね。たまたま通りかかったのよと、さりげなさを装って出迎えに行ってくるわ」

「ぶれないわねえ」

 

 

 

 *

 

 

 

「ええと、提督」

「なに、レーベ?」

「ここは……こんな感じでいいのかな?」

「ん、ちょっと見せてね……うん、それで大丈夫。あとは、遠征隊の旗艦の名前をそこに書いて」

「旗艦……あ、僕だね」

「うん、それで報告書は完成。お疲れ様、レーベ」

「ううん、そんなことないよ。忙しいのに教えてくれてありがとう、提督」

「気晴らしになるから、こちらこそって感じかな」

「提督は、いつも頑張ってるもんね。陸奥さんもいつも大変そうだし……僕も頑張るよ!」

「ありがとうレーベ、頑張って」

「ふふ、頑張ってね。私の代わりに、秘書艦になれるくらい」

「ぼ、僕が秘書艦? え、えっと、うん、提督と陸奥さんの期待に沿えるように頑張るよ……! じゃあ、失礼しました」

「……」

「……」

「何あの天使」

「ちょっと、提督、顔、顔」

「え?」

「やばい顔してるわよ」

「どんな?」

「……煩悩ダダ漏れな顔、かしらね」

「まあ、仕方がないよね。あんなに可愛いんだもん。なんかそばにいて思ったけど、レーベ女の子の香りがする。吐息ですらフローラルじゃない? 生き物として有りなのあの香り。やばいわ胸がドキドキする」

「私たちと同じように、潮の臭いがしているかと思うんだけれど。だって艦娘よ、私たち。レーベなんてさっきまで海の上よ」

「じゃあ思い込みかしら? 思い込みってすごいわね……でも本当にいい匂いがふわってするのよ。私の心の中の雄にビンビンくるわ」

「絶対、レーベには聞かせない方がいいわよ、それ。一目散に逃げられるわよ?」

「……判ってるわよ。でもね、本当に好きで、好きすぎて、嫌われたくなくて、逆に壊れ物を触る感じにしか会話できないの……どうしたらいいかなあ、むっちゃん」

「あらあら、そうなの……その気遣いの一割でも私たちに向けてくれないかしら。この間、龍驤がセクハラされたって騒いでたわよ。『提督にむっちゃウチの胸を褒められてな、あの時はなんか嬉しく思うたけど、よう考えたらこれセクハラやんな』って」

「あら、嬉しく思ったならいいじゃないの」

「よくな……いや、いいのかしら……?」

 

 

 

 *

 

 

 

「ねえねえ、レーベ」

「ん? 何かな、川内さん、那珂さん」

「那珂ちゃんは那珂ちゃんでいいのにー。那珂さんとか堅苦しすぎだよー」

「え、あ、でも……」

「あー、呼び辛いなら那珂さんでもいいけどさー」

「う、えっと、じゃあ、那珂ちゃんって呼ばせてもらうね。それで、二人とも、どうしたのかな?」

「レーベが提督に変なことされてないかなって、心配になって」

「え、変なことって?」

「『そんなに夜戦したいなら私と夜戦しようか、ぐへへ』とか」

「『アイドルなんだからグラビア写真撮ろう、まずはアヘ顔ダブルピースからいこうか』とか」

「……え? 提督がそんなことを?」

「うん、そんなことを。ちなみにね、夜戦は格闘戦だったよ。提督もなかなか強くてさ。燃えちゃったよ」

「え、夜戦って本当に闘ってたんだあ……。と言いつつ、那珂ちゃんも普通に写真撮ってもらったんだけどね。後で出来上がった写真貰ったら、普通に良くて那珂ちゃんびっくりしちゃった。なんで提督ってば提督やってるのかなあ」

「へえ。アヘ顔は?」

「ないない。本当に普通の写真。撮る時、『いいよいいよ、那珂ちゃんいいよぉ~』って、ちょっと変態くさかったけど」

「な、なんだ、二人ともびっくりしたよ。変なことって、提督の言葉の選び方がちょっと変ってことなんだね」

「いや、言葉も行動もおかしいよ?」

「ええっ」

「愛宕におっぱいまくらぱふぱふ、とかやってたもんねー」

「みんなの太腿褒めたり撫でたり」

「卵焼きたべりゅうううううううとかわざわざ野太い声作って言ってたし」

「うなじ最高ですペロペロ、とか言いながら抱き締めてきたり」

「あ、それもやってたやってた! もう日常茶飯事すぎて変だって認識できない感じだよねえ」

「うーん……僕にはそんなこと言わないよ? 触れられたことも、あんまりないし」

「えっ、そうなのぉ!?」

「あの提督が! 意外だね」

「あれっ、レーベ、大丈夫? なんか暗い顔してるけど」

「僕、まだこの艦隊……というか提督に馴染めてないってことなのかなあ」

「そんなことないと思うけどなあ。だって提督ってレーベのこと大好きだし」

「いや、気を遣ってくれなくても大丈夫だよ、うん」

「いやいやいや、本当に、私が夜戦好きなくらいには、提督はレーベのこと好きだと思うけどな」

「それって大好きじゃ済まないよね、川内お姉ちゃんの場合」

「夜戦命だからね!」

「那珂ちゃんはアイドル命!」

「それじゃ、ドルオタみたいだよ、那珂ちゃん」

「あ、確かに! って、川内お姉ちゃんに突っ込まれた! 那珂ちゃんショーック!」

「あはは、二人とも仲良しだね」

「姉妹艦だからってのもあるけど、提督があんな感じだからね。みんな仲良くもなるよ」

「被害者の会、みたいな感じだけどねー」

「そっか。僕も提督とこの艦隊に馴染めるように頑張るよ!」

「うん、頑張って! じゃあ、私たちはこの辺りで。邪魔しちゃってごめんね?」

「那珂ちゃん、お邪魔しましたー」

「Danke、川内さん、那珂ちゃん。……僕も早くみんなと仲良くなりたいな」

 

 

 

 *

 

 

 

「ねえ、むっちゃん」

「なあに、提督」

「私、どうしたらいいのかしら……」

「とりあえずその書類を片付けたらどうかしら」

「……そうね、そうよね……」

「……あら、反論もなしに仕事に戻るなんて、本当に悩んでるみたいね。ふうん、わかったわ、聞いてあげる。どうしたのよ」

「ありがとう、むっちゃん。……なんだか最近、レーベがよそよそしい、気がするの。何だか、表情が硬いというか」

「ああ……それは、そうかもしれないわね」

「えっ、何か知ってるのむっちゃん! 教えて!」

「知ってるというか……提督、自分の態度を思い返してみたらどうかしら」

「自分の態度……? 私、何か、変なことしちゃったかしら……?」

「逆よ、逆。変態なことしてないから問題なのよ」

「えっ。もしかしてレーベってそういう趣向が……!?」

「違うわ」

「えー……じゃあ何よ?」

「それは本気で言ってるのかしら。あのねえ……所属艦娘全員に変態行為しまくってる提督が、自分にだけ何もしてこない……ってなったら、疎外感覚えるに決まってるでしょう」

「全員にはしてないよ?」

「いや、全員にしてるわよ」

「えっ、羽黒とかはそういうの苦手だろうから、何もしてないのに」

「『諸君、私は羽黒が好きだ』から始まる演説を朝礼でぶちかましたのはどこの誰かしら」

「思いの丈をぶつけただけよ! それに、曙とかにも何もしてないよ? 私のこと嫌ってるっぽいし」

「『このクソ提督!』って言葉に対して『ありがとうございます! ありがとうございますッ!』って言ってたじゃない」

「え、それも駄目なの!?」

「駄目ってほどではないけど、変態よね」

「変態チェッカー厳しいです」

「厳しくないわよ。あ、あと別に曙は提督のこと嫌いじゃないと思うわ」

「え、本当!?」

「好きでもないでしょうけど」

「それって無関心ってやつじゃ……うーん、今度抱きしめよう」

「どうしてそうなるのよ」

「『離しなさい、このクソ提督! だから離せってば! え、普通に提督って呼んだら離す? 誰がそんなっ……わか、わかったわよ、呼ぶ、呼べばいいんでしょう!? て、てて、提督……ちょ、何でさらに力が強くなったのよ、離してっ、離せってば、この嘘つき提督! クソ提督!』みたいなこと言われたいから」

「長い。そして気持ち悪いわ、提督」

「だって曙可愛いんだもの。あの反抗期っぽいのがいいわよね」

「男だったら捕まってるわね」

「女だからやってるんですうー」

「……話は戻るけど、その調子でレーベも抱きしめればいいんじゃないの?」

「えっ、でもっ……そんなことしたら緊張と歓喜で溶けて爆発してちびりそう」

「純情なんだか変態なんだか。でも今のままだとレーベとの関係は進展しないと思うけどな」

「う、うう……わ、わかったわ。今度、レーベを抱きしめる」

「逆に私たちへの変態行為をやめればいい話ではあるんだけど」

「え、それは無理です」

「あ、言い切るのね、それは」

 

 

 

 *

 

 

 

「そっか、遠征ご苦労様、五十鈴。今日はもう休みに入ってね」

「わかったわ。提督、他に何かないの?」

「? 特にないわよ」

「そ、そう。わかったわ。じゃあ、失礼しました」

 

「……ねえ、夕張」

「あれ、五十鈴? 遠征終わったの?」

「ええ、さっき帰ってきたところよ。ちょっと聞いていいかしら」

「なに?」

「最近、提督ってばおかしくない?」

「え、おかしいのはいつもだよね?」

「夕張、最近メロンちゃんって呼ばれた? 中玉サイズで甘くてとろけて美味しそう、みたいなことは?」

「……そういえば、言われてないかも。五十鈴は?」

「ツインテへのこだわりも、パイスラッシュへの賛辞も、ここのところ聞いてないわ」

「ああ、それは確かに変」

「やっぱりそう思うわよね」

「今夜、陸奥さんに聞いてみよっか」

「そうね、そうしましょう。ところで夕張、何作ってるのよ、それ」

「全自動追尾機能つき酸素魚雷」

「あら、珍しくまともそうな改造ね」

「それがさあ、熱源反応を追尾するようにしたら、発射直後に私たちに向かってきちゃうのよね」

「駄目じゃないの!?」

 

 

 

 *

 

 

 

「あの、陸奥さん。夜分遅くにすみません」

「あら、五十鈴、夕張、どうしたの?」

「その、提督のことで聞きたいことが……」

「あなたたちも来たの? ふーん、提督ってば存外に慕われてるのねえ」

「『も』?」

「とりあえずあがって頂戴」

「お邪魔します……って、みんな!?」

「金剛さんや如月ちゃんは判るけど、まさかの加賀さんや曙ちゃんまで……」

「何よ、私がいたら問題あるっていうの?」

「そういうわけじゃないけど。でもいつもクソ提督って言ってるでしょ?」

「クソ提督の行動が普通になったら、クソ提督って呼べなくなるじゃない。普通に提督呼びするなんて、あたしはまっぴらごめんよ」

「つまり、変態行動以外は有能だって認めてるってこと?」

「しかも、様子が変な提督が心配ってことよね?」

「「素直じゃないんだから」」

「ち、違うわよ! あたしがクソ提督の心配してるなんて、冗談じゃないわよ!」

「ぼのぼの、喧嘩はNOデース。五十鈴と夕張も、からかっちゃ駄目ネ。いい加減、むっちゃんに事情聴取したいデース」

「ねえ、その言い方だと私が何かしたみたいじゃない」

「オー、ソーリー、日本語って難しいデスネー」

「いい加減本題に入りましょう。……赤城さん、先ほどから一人で食べすぎです。この時間のお菓子は太りますよ」

「一航戦のおかき、こんなところで失うわけには……」

「ちょっと待ちぃな。それウチが持ってきたんやけど」

「かりんとうの補充もありがとうございます。助かります」

「だから待って? それウチがみんなで食べよおもて持ってきたお菓子やからな?」

「話が進まないわね……」

「そうね……」

 

 

 

 *

 

 

 

「あの、提督」

「はあ……どうしよう……抱き締めよう抱き締めようって思えば思うほど、尻込みしちゃうわ」

「……提督?」

「だってあんなに尊いのに触れてくんかくんかしてペロペロするなんてそんなこと……」

「提督!」

「ひゃあっ!? あ、ああっ、レーベ!? どどど、どうしたの!?」

「なんだか提督が思い悩んでいるみたいだったから……邪魔だった、かな?」

「いいえ、いいえ! 邪魔なんてこと、あるわけないわ!」

「そう? ならいいんだけど……ねえ提督?」

「何かしら?」

「僕を抱いてくれない、かな?」

「っ!? えっ、き、聞き間違いかしら? レーベが私に抱いてって言ってるように聞こえたんだけど」

「えっと、あってるよ?」

「いいいいいつのまに私たちそんな関係になったのかしらえっとカッコカリですらまだなのにいつからガチになったの私たちえっとぺろぺろしていいってことなのよね全身くまなくぺろぺろしてもいいってことなのかしらいいのよねだってレーベが公認で」

「あの、提督? ハグって、日本語で抱くだよね?」

「……あっ、あ、そ、そうよ! ハグは抱くであってるわ!」

「あ、そうなんだ。提督が蹲って小声で何か言い始めたから、間違ってるのかと思っちゃった。僕変なこと言っちゃったのかなって」

「いいえ、そうじゃないの、ごめんなさい。でも抱き締めるのほうが正しいわ。誤解を招いて薄い本みたいにならないよう、今度からは抱き締めて、を使うことをお勧めするわ」

「う、薄い本?」

「ええ、薄い本。それでその……私はレーベを抱き締めて、ハグして、ぎゅーっとしていいのよね?」

「うん。お願いできるかな」

「じゃっ、じゃあ、いくわ、いくわよ!」

「うん」

「あのっほんとに、いくわよっ! いいのよね!?」

「うん」

「えっと、その、いくんだから……! いくわ!」

「……提督、やっぱり僕のこと嫌い、なのかな」

「そんなわけないじゃないの!」

「あっ」

(……勢いで抱き締めたはいいけど、ここからどうしたらいいかわかんないっていうかレーベいいにおいするやわらかいかわいいかわいいあったかいかわいいなめまわしたいかわいいかわいいやわらかいふわふわふわあたまがふわふわするレーベかわいすぎるっていうかなにこのてんしきっとこのこはちじょうにおりたったてんしなんだわレーベてんし! てんし! ふっほぉおおおおおおお!)

「……」

(そして私はそれを堕とす悪魔なのよね知ってた」

「悪魔?」

「いえ、何でもないわ。でもレーベ、どうしていきなりハグなんて言い出したの?」

「……提督に抱き締められるのが、この艦隊での通過儀礼だって聞いたから……その」

「そんな通過儀礼は……ないって言えないわね。ごめんなさい」

「……? どうして謝るの? 素敵だと思うよ?」

「いえ……えっとその、……ありがとう」

「ヤーパンにハグ文化はないと思ってたけど、あるところにはあるんだね。ごーにいってはごーにしたがえ、だったかな。僕も早く慣れるように頑張るね、提督」

「……が、がんばって!」

 

 

 

 *

 

 

 

「何よ、結局私たちが話し合ってる間に普通に解決してるじゃない」

「話し合えてないけどね。提督『通過儀礼とか文化とかじゃなくてただの趣味アンド欲望なのに言い出せないわやっべー』って顔してるわね」

「如実に判りやすいわね」

「でも、これで私たちへの被害が再開することになるのかしら。レーベと交流深めたみたいだし」

「そうなるのかしら? 嫌だわ」

「……夕張ったら、満更じゃない顔してるわ」

「……五十鈴もじゃない」

「慣れって恐ろしいわね」

「そうね」

「ま、いつも通りの私たちが戻ってくるってことで、いいんじゃない?」

「そう……なのかしら?」

「そうよ」

「そっか」

 




ちなみに羽黒への演説はこんなの



諸君 私は羽黒が好きだ
諸君 私は羽黒が大好きだ

その声が好きだ
艶やかな黒髪が好きだ
ふとももが好きだ
控えめな性格が好きだ
表情が好きだ
可愛いしぐさが好きだ
たまに見せる凛々しさが好きだ
目元が好きだ
全てが好きだ

鎮守府で 海上で
執務室で 南西で
母港で ドッグで
出撃で ドロップで
遠征で 工廠で

この鎮守府に降臨した羽黒という存在が大好きだ

旗艦の羽黒が命じる一斉射の指示すらも敬語なところがが好きだ
空中高く撃たれた砲撃が敵艦に直撃したときの小さな喜びの声など心がおどる

羽黒の操る20.3cm砲……
(この辺りで羽黒が倒れて朝礼がgdgdになりました)

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