ケロロ軍曹 ~金木犀の君と~ 作:ありさ
世間はクリスマス一色である。
ネットによれば、ケーキを売る日のようだ。どこかにいるというサンタ=サンはいつか狩りに行こう。
一部の街で、異常な猛吹雪が発生していて、襲われているフユキがいたので守ってやる。氷耐性の能力を発揮しておいたため、ブレスを受けきる。
全身が白く、ニンゲンの女性のようにも見える。
どうやら雪女のようだ。ゴルゴンについて調べて以来、ネットサーフィンに夢中な俺は分かる。
「フユキ、また会えて嬉しい。」
「助けに来てくれたの?」
「闇に潜む者を狩りに来た。フユキが呼び寄せてくれた。」
「この猛吹雪の張本人も、僕が呼び寄せたって言うの?」
雪女から、雪男へと姿を変える。変わらず全身は白く、不格好な巨人である。
ニンゲンが作ってあった巨大な雪だるまが飛んできたが、アリサの盾になる。ネブラは拳となって巨人をぶっ飛ばす。
ブレスを放ってくると、視界が悪くなり、その場を離れたようだ。ヴァンパイアの能力で、アリサは飛ぶ。
「行こう、フユキ。」
「ねぇー、さっきのやつも宇宙人?なんで捕まえるの?」
「それは…」
「必要だからだ。アリサをニンゲンにするために。」
アリサの代わりに、黒い影のようなネブラが言う。
「え、喋ってる。これも生きてるの?」
「ダディ。」
「君の、お父さん?」
「我が名はネブラ。アリサ・サザンクロスは我が愛しき娘。」
「俺の名はツキキ。さっき守ってあげたから、借りはなしな。」
「えぇ…でもアリサを人間にするってどういう…?」
フユキに答える前に、目的地に着いたようだ。電波塔の上でフユキを降ろし、ネブラは同じく巨人となる。
「ちょっとー、降ろしてよー」
「きた。やはりフユキは獲物を引き寄せてくれる。」
「大物だ。あれほどの生命エネルギーがあれば、アリサを……今度は逃がさん!」
夢中になってしまったネブラはアリサから離れてしまう。
「アリサちゃん!」
落下しようとするアリサを救ったのはフユキ。電波塔の上から手を伸ばして支えてくれる。
俺も助けたいのだが、寒いために調子が悪いのである。ずっと使っていた氷耐性のトランス能力で喉が渇いたし……
なんだか眠い。
ダディ、ダディ…と呼ぶ彼女は父親呼ぶ娘のようで。
「フユキ、どうして私をそこまで…?」
「だって、僕たち、友達じゃないか!」
「トモダチ……」
「私は今まで自分がどこの誰なのかという一切の記憶を失っていた。お前に触れた瞬間に全て思い出した。私は宇宙からやってきたのだ!」
―――滅んだ星の何十億という人の想いが集まってできた存在。
黒と赤と青の宇宙人が加勢に駆け付けてくれる。
傾いた電波塔から落ちた俺たちはケーキの空き箱に救われる。熱い男に引っ張られるソリで緑も来てくれたようだ。熱い男のおかげで体調も戻ってきた。
アンゴル族の少女もいることだし、勝ったな(確信)
「ありがとう、来てくれたんだね。」
「それは、プレゼント交換会のため……いやいや、ピンチとあればいつでもどこでも駆け付けるであります!」
二の腕のリボンから、アリサの背中に竜の翼を生やす。すでに決着のついているネブラの元へ飛んで近づく。
「私は見つけることができた、アリサという希望を。だから、お前も私と一緒に生きるのだ。」
―――我らは元々同じ星の同胞なのだから
どうやら俺より先に自分を見つけたようである。それでも、何百年とかかったらしいがな。
ホッとする顔で、嬉しそうな顔のアリサを見て、俺も顔が綻んだ。
「わ、吾輩たちを食べても美味しくないでありますよ~。」
「知ってる。」
怯える緑にネブラは握手を求める。おそるおそる手を取ってくれる。
「おかげで助かった。」
「どういたしましてであります。」
「やったー!これで万事めでたしめでたしですねー、軍曹さん。」
「で、ありますな!」
***
水道で水分補給しておいたし、会場は暖房や加湿器が効いていて最高である。それに、クリスマスプレゼント交換会とは粋なのではないだろうか。
「アリサちゃんも一緒に参加しようよ。プレゼント交換会。」
「え、でも…」
「フユキくーん!こっちこっち。」
「西園さん待ってて、今行くからー」
「ありがとう、フユキ。」
それだけ伝えて、俺たちは去る。
人の恋路を邪魔するわけにもいかないしな。
あれ、外までフユキ追いかけてきてんぞ。
「アリサちゃん、また会えるよね?」
それだけ伝えて、フユキは会場に戻って行く。
フユキの住むこの地にある洋館に俺たちは最近住んでいる。この捨てられた場所は闇の世界の住人に似合っているだろう。
リボンから、元の姿に戻る。そして俺が取り出したのはシンプルなクリスマスケーキ。
「これ。クリスマスプレゼントにと、熱い男から貰ったんだ。」
彼女はケーキを見つめているだけである。
「あ、でも、悪い。食べれないよな……」
ゆっくりと手を伸ばし、イチゴを口に入れる。
「甘くて美味しい。」
「「やったぞー!」」
俺とネブラは大騒ぎし始める。
彼女ははじめてニンゲンらしい食事をしたのだ。生命エネルギーも僅かながら得ていて、闇に潜む者を必要以上に狩ることはなくなるだろう。
彼女がニンゲンになるための獲物を探して狩っていけばいい。
「プレゼントありがとう、ツキキ。」
金木犀の香りが雪の世界に広がっていた。
本当に、運命は加速している。