ケロロ軍曹 ~金木犀の君と~   作:ありさ

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予約投稿のつもりだったけど、勢いあまって出してしまった。


第3話 春擬き

 

 

1人の少年が本を読んでいた。

外では雪が降っているのに金木犀の香りがする、街の静かな図書館。

 

「アリサちゃんが狙っていた相手って伝説のモンスターやUMAにそっくりだ。吸血鬼、狼男、ミイラ男。もしかして、モンスターの正体って過去に飛来した宇宙人なのかも。すごいや!それなら闇に潜む者っていう呼び方もイメージぴったりだし!」

 

「あ、アリサちゃん!」

 

いつのまにか隣に座っていた少女たちに驚く。ヘアバンドとリボンからは目が生えているがフユキは怖がることはない。

 

「博識だなー、フユキ。だが時代はツ〇ッターだぜ。獲物の目撃報告に溢れてるんだ。」

 

「突然失礼、フユキ君。」

 

「アリサちゃんのお父さんに、君は…?」

 

「そいつに会いたいか、フユキ?闇に潜む者に。」

 

「えっと…」

 

「さあ、行くぞ。」

 

「もしかしてまた僕を狩りの餌にするために来たの?」

 

「当たり前だ。」

 

辛辣なアリサに耐性がついたのか、フユキは苦笑いだけする。

 

「でも、チュパカブラが目撃されたのは南米だよ?行くのには遠いし…」

 

「飛んで連れてってやる。」

 

「せめて春休みくらいまで待ってよ?」

 

「なら、そのハルヤスミまで待ってやる。」

 

椅子にちょこんと座って、フユキが積んでいた本のうち一冊を読み始める。

 

 

***

 

地球に棲む宇宙人が集まる、宇宙人街。

数多くの種族が集まっていた。

 

自治会長から発表があるそうだ。

 

「みなさんにお伝えしたいことはこれです!」

 

スクリーンに映し出されたのは、オレンジ色の髪の少女と黒い影。宇宙人の失踪事件が多く報告されており、その犯人が彼女だと言っている。

 

 

「どうするです?」

 

「うーん、吾輩たちも被害者といえば、被害者でありますからなー」

 

「怠慢な宇宙警察に手を貸す暇はない。下手に手を突っ込むな。」

 

「そうそう。触らぬカレーは食えねーぜ。クックックッー」

 

「まぁー、そうですなー」

 

偶然訪れていた4人組が相談をしていると、宇宙警察が話しかけてくる。

 

「そこのケロロ小隊、何か心当たりがあるポヤ?」

 

「ギクッー、心当たりなんて……そんな小娘見たことも聞いたこともございませんでさー、お代官様!」

 

「あなたたちはトラブル発生率が高いポヤ。」

 

「もしかして、あの少女に捕まったことがあったりして?」

 

(ず、図星…でも…)

 

「し、失礼なー。吾輩たちはハロウィンで捕まったこともー、クリスマスの夜にピンチを救ったことも―……」

 

「ぼ、墓穴を掘ってどうする!」

 

「タママインパクトォ!」「ゲロォー」

 

なんとか宇宙警察には、誤魔化せたようである。

 

 

 

***

 

本を読んでいたら、すでに閉館時間が近づいていた。

 

「ハルヤスミになったか?」

 

「あ、ご、ごめん。夢中になってて。」

 

 

図書館から出ると晴れていて、夕暮れが綺麗だった。

 

「雪、すぐにやんだんだ。クリスマスのときからもう雪はこりごりだよー」

 

「私は楽しかった。」

 

「君のお父さんが、君をニンゲンにするって言っていたけど……あ、スカイフィッシュだ!」

 

「闇に潜む者…やはりフユキは獲物を呼び寄せてくれる!」

 

 

 

蝙蝠の翼を広げて飛んで追いかけた先には、廃工場。

 

「なかなかの獲物だ。」

 

捕食タイム前に、飛んできた何本もの矢を俺がバリアとなって防ぐ。

 

「はっはっはっ、まんまと罠にかかったな!」

 

「地球で言うスカイフィッシュは残念ながら真っ赤な『偽物』よー!」

 

どうやら二足歩行の人面魚2人組と、宇宙一のモンスターハンターのナントカが来てくれたようだ。

 

「お前に狩られた親分の仇を討つためになー」

 

「やっちゃってください!」

 

数多くの矢と手裏剣がアリサを襲う。防ぎきれず、1つが掠ったが顔色は変わらないまま。血も流れることはない。

 

「なるほど、やはりお前は痛みを感じないようだな!」

 

「逃げるんだ、アリサ。奴は手強い。」

 

 

 

頷いて撤退しようとしたときに、フユキが名を呼ぶ声が響いた。そして人質として捕らわれた。

 

「一旦逃げるか?殺しはしないだろ。」

 

「迂闊に動くんじゃない、アリサ。」

 

「嫌だ。フユキを取り返す。2人が手伝ってくれないなら、1人でやる!」

 

あらあら、アリサは反抗期のようで。それでも手を貸すけどな。

 

 

チュパカブラ(狂暴宇宙ペット)が召喚される。

 

「私を心配してくれるの? でも、私がニンゲンになるためには必要なこと。そして、フユキが呼び寄せてくれた獲物だから!」

 

予想以上の強敵で苦戦していると、いつのまにか4人組が来たらしい。

 

状況の進まないことに焦ったアリサに対して、チュパカブラが腹の口を開くと、ネブラが吸収されてしまう。

 

―――人形のように動けなくなる。

 

「カシオペアンショートヘア―、そいつにとどめをさせ!」

 

―――それでも顔を上げた。そして怒る。

 

「ダディを返せ……ダディを返せ!」

 

 

4人組の攻撃から守り、ステルス能力を使う。もともと、別の作戦があったみたいだけどな。

 

ハンターは獲物を横取りされたとキレて、4人組を新たな標的にしたらしい。ヤバそうな状況に人面魚は逃げた。赤の銃弾さえも、黒の光線さえも、いつのまにか来ていた青の斬撃も、巨体のチュパカブラには通用しない。

 

アリサを物陰に隠しておいたあと、本来の姿に俺は戻る。

 

―――過去と向き合うのは今なんだ。

 

 

尾槌竜の能力、巨大なハンマーでチュパカブラをぶっ飛ばす!

 

「ゲロッ!?」「タマッ!?」「ギロッ!?」「クルッ!?」

 

「軍曹と同じ、ケロン人?」

 

 

雷竜の能力、雷を纏った槍をチュパカブラの胸に突き刺すと、腹の口を開く。毒怪鳥の能力で伸ばした手でネブラを引っ張り出す。

 

ハンターは一目散に逃げたようだ。

背を伸ばした俺はアリサを抱えてフユキたちの元へ向かう。軽すぎるけど、俺にとっては重い。

 

 

「アリサちゃん!?」

 

人形のように力なく起き上がれないアリサに、フユキは呼び掛けてくれる。

 

「アリサは人形です。数百年前、私とアリサは出会いました。言葉を喋ることができ、心のある人形だった。ですが、人形であるが故に人間たちに受け入れてもらえない。『哀しみ』だけの存在でした。だからせめて私はアリサをニンゲンにしてやろうと。闇に潜む者たち、宇宙人の生体エネルギーを求めて狩りを続けてきました、何十年も何百年も。」

 

―――でもアリサはニンゲンにはなれませんでした。

 

「数年前、俺と出会ってからは少しずつ『嬉しさ』という感情を得てきたらしいな。そんでもって、今日は『怒り』を見せた。」

 

「そしてフユキ君、君が必要なのだと教えられました。あなたと出会って、狩りを『楽しむ』ことを覚えたのです。今日は、親からの『自立』という考えにまで至った。」

 

―――いつかニンゲンになれるでしょう。『本物』の人間に。

 

「僕も信じているよ。君が人間になれるって。」

 

 

 

 

「それでそれで!お前は何者でありますか!」

 

俺を指差して、緑が尋ねてくる。

 

「名はツキキ。……それしか知らん!」

 

「それって…記憶喪失?」

 

フユキに対して俺が静かに頷くと、沈黙が訪れる。

 

ゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロ……

タマタマタマタマタマタマタマタマタマタマ……

ギロギロギロギロギロギロギロギロギロギロ……

クルクル…クルクル…クルクル…

ドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロ……

 

「なにをして、る?」

 

ツキツキツキツキツキツキツキツキツキツキ……

 

本能的に口から出たモノ『共鳴』

 

溢れ出てきたのは失っていた涙。

 

 

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