ケロロ軍曹 ~金木犀の君と~ 作:ありさ
2月
リビングで休日をくつろぐ日向姉弟とケロロ。
妖怪の話を聞いたケロロは心の中でニヤリとする。もちろん顔にも出ているが。
進まない~侵略が進まない~
つまり、侵略が進まないのは妖怪のせいにしたのだ。しかし信じて貰えない小隊メンバーに対して、仕返しを始めようとする。
冬樹の部屋にあった仮面を被ると、小隊メンバーに悪戯をしかけていった。明らかに妖怪に乗っ取られている。
フユキの家にあった仮面……つまりアリサの狩りの対象なのだ。
「狩らないで~~」
***
翌日。
お面が取れないままのケロロに会うためにフユキの家にお邪魔しに来た。
「うちに泊まりたいって?」
「今回追っていた獲物はまだこの家の中にいる。マズそうなやつが着けていた仮面だ。」
「なので、しばらくの間、お世話になります。」
珍しいのだろう、アリサとネブラはテレビに近づいて行った。いやいや、時代はタブレット端末でしょう。
「えっと、あんたも、ボケガエルの仲間?」
「ああ、はじめましてだな。ニンゲン…ペコポン人。」
「な、夏美よ。」
「よろしく。俺の名はツキキだ。」
赤髪の短めのツインデールの女性だ。なんだかすぐに拳や蹴りが飛んできそうだ。勝気な女性は嫌いじゃないぜ。
「何か思い出した?」
「ぜーんぜん。俺がケロン人ってことぐらい。あんまり急ぐことでもないしな。」
タブレット端末を操作してネットサーフィンしながら返事をすると、2人揃って苦笑いしてくる。地下の方で、アンゴル族の力を感じて一瞬焦ったが、地球は無事なようだ。
おもむろに、アリサは洗濯板で洗濯し始める。
洗濯板はネブラである。2人とも文化が中世で止まっているようで……
夏美が洗濯機の使い方を教えてくれたようだ。
「あんたも見習って掃除したら?」
サイトを開いて方法を調べる。
俺たちは能力を使いながら家事手伝いを楽しんだ。
***
スキヤキうまい、ジャパニーズフード最高か。
アリサはケロロを見つけたのか席を立つ。
細い緑のオーラが、紫のオーラに包まれている。完全に憑りつかれ始めている証拠である。
「昔話で聞いたことがある、お面を被って人を驚かしていたら、一生お面が剥がれなくなったという呪いのお面の話。」
フユキの解説に対して、ギロロや夏美はビビる。
ケロロごと掴んだ後、アリサは洗濯機に入れる……?
「よしっ」
どこが良いんだろう、悲鳴がずっと聞こえる。
仮面が無事取れた、薄いケロロができる。
「こんなものいつのまに…」
「正確には宿主を操る寄生型の宇宙生物だにょー」
ハカセ!
アンチバリアに関しては、ありがとうございます!。
***
泊めてもらった翌日、運動不足だというフユキを連れ出すことにした。
ナツミとアズマヤ、ケロロ4人組、そしてモアと来た。ニシザワというお金持ちの所有する場所だから、貸し切り状態である。
「これがアイススケート……フユキ教えろ。」
フユキを引っ張っていこうとするアリサは氷の上でこける。アリサを引っ張って立たせたフユキも氷の上でこける。
結論、アリサがフユキを押し倒した。
「あら、冬樹ったら大胆。」
女性たちは喜ばしい声を出す。誤解させたようで、ニシザワさんがブチギレしている。遠くから見れば、イチャイチャしているようにも見えるからな。
『ただいまより、女子限定氷上障害物レースを始めます。優勝者にはペアで行く北海道ツアー、副賞にはご当地ダンガルをおつけします。』
対策を始めたのだろうか、放送が入る。
「へー、アリサちゃんもやってみたら?」
「『楽しい』?これも、『楽しい』なんだな。やってみる。……そうだフユキ優勝したら私たちと一緒に旅行に行くぞ。」
「うん、いいよー。じゃあ、応援してるね、アリサちゃん。」
フユキそれマズいって、氷の下から嫉妬のオーラが溢れてるぞ。
ケロロ、ギロロ、タママも参加してきた、女子限定とは一体。ハカセ作成のペコポン人スーツを着込んでの登場である。ナツミとアズマヤ、そしてニシザワも参加している。
1番目の障害物は巨大プリン。タママの歯が砕け、ギロロはぶつかった。
『ただし、氷点下ゆえカチンコチンに凍っております。』
ニシザワは拳で砕き、アズマヤは忍術で溶かす。
「冷たくて美味しい。」
「では、私も一口。うーん、美味。」
ネブラのドリルで砕いたアリサはプリンを舐める。残りは俺が能力で暴食しておいた。
2番目の障害物は氷上釣りコンテスト。どこがレースなのだろう。
ニシザワは本マグロを釣りあげ、アリサはネッシーを掴み上げた。
3番目の障害物はジャンプラージヒル。先にゴールに降り立った選手が優勝。
スキーボードなどもはや関係なく、ジェットブースターと翼で飛んで向かう。
ぶっ飛んできたケロロにぶつかって落ちるニシザワを、アリサは救った。
***
優勝はアズマヤのようだ。
「あなたとの勝負楽しかったです。いずれまた。」
恋敵のアリサにニシザワは笑顔でそう告げて去る。恋する乙女は強しだな。
「そうだ、ツキキ。一緒に滑ろう。」
「でも、まだこのスーツの操作慣れてないんだけど。」
「知ってる。だから私は練習してきた。」
「お、おい。」
俺を引っ張って連れ出すアリサはどこか顔が赤かった。
夕暮れの中を滑る俺たちはギクシャクしていて、それでも、
「楽しい?」
首を傾げて聞いてくるアリサはいつもと違っていて、俺は見惚れていた。
初めて、アリサの笑顔を見れた。