ケロロ軍曹 ~金木犀の君と~   作:ありさ

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第7話 学校に行こう

 

吉祥学園中等部。

冬樹や夏美達が通う『学校』というものである。人間の子どもが集まって勉強をする、訓練所のような場所だ。

 

アンチバリアのおかげで、この教室内では特定の者にしか俺の姿は見えていない。

 

『転校生は美少女であることが多い。』

 

「今日は転校生を紹介します。さ、こっちに来て、自己紹介してください。」

 

どこからともなく脳内再生されたナレーターさんの一言のあと、先生という人が2人に声をかける。ツリ目のオレンジ色の髪の少女、薄幸そうな水色の髪の少女、どちらも外国人のようで、異なるタイプの美少女である。心なしか男子たちのテンションがはね上がった気がする。声を上げて喜ばないのはこの男子たちが大人しいからであるだろう。

 

さあ、練習の成果を見せる時だ。

 

「アリサ=サザンクロスだ。よろしく頼む。」

 

威圧することなく言い切ることができた。俺と冬樹は同時に息を少し吐きだし、ホッとする。緊張はしていないだろうが、初対面の者たちにはあまり興味を示さないのである。

 

どうだ と言わんばかりに俺たちの方を見てきたので、グーサインを出しておく。

 

 

もう1人の少女が口を開き始めたところで、いくつかのトラブルが起きる。彼女の靴の紐が切れる、掃除用具入れから黒猫が飛び出す、晴れが急に雷雨となる。

 

「すみません、転校早々、縁起が悪くて……木下黎です。趣味は、オカルトです。」

 

冬樹のほうを見て、小さく微笑む。

不思議な雰囲気を持つ彼女は、宇宙人である。といっても、俺たちはあまり狩りをしない。いや、する必要がなくなった。

 

加えて、狩りの獲物も闇のオーラを纏ったような怪物や妖怪、闇の住人を選んできた。彼女は負のオーラ『不幸』を纏っているだけで、危険性のある宇宙人ではないだろう。

 

そんなことよりも、アリサだ。

『日本語』の習得はなんとか間に合ったとはいえ、慣れない集団生活、『平和な環境』に苦戦している。桃華の協力もあって、冬樹たちと同じクラスになれたことは幸いだった。持つべきものは兄と義姉である。クラスの雰囲気が、落ち着いていて良好であることも、アリサが『日常』を生きることに一役買ってくれたようだ。

 

 

 

「では、全員揃ったところで、オカルトクラブの定例会を始めたいと思います。」

 

今は放課後、理科室に来た。冬樹と桃華が所属する部活にアリサも入ろうとしているからである。体育で見せてしまった彼女の身体能力から、夏美のように運動部に引っ張りだこになりそうだったが、逃げきれた。

 

ケロロたちに会う前から、オカルト好きだった冬樹らしい部活である。彼が自ら立ち上げたもので、部員は2人しかいなかったみたいだが。それにしても、アリサ自身がオカルトの塊で、オカルトに出てくる者たちを狩っていたんですがそれは。細い体で、高い身体能力を持っていて二重人格な桃華もなかなかである。

 

「アリサちゃん、木下さん、オカルトクラブへようこそ。」

 

自己紹介で言った通り、木下さんも来た。3人の美少女を侍らすとはさすが冬樹だ。人の良い彼をこっそり狙っている女子も多かったが、鈍感な彼はまったく気づいていない。

 

窓ガラスが割れ、サッカーボールが部室に入ってくるが、アリサが片手でキャッチする。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「どういたしましてだ。」

 

 

割れて振ってきた蛍光灯の破片を、翼の風圧で吹き飛ばして彼女を守る。

 

「あ、また……。なぜ?」

 

今日で何度目だろう。

災いが彼女にどんどん降りかかっている。ヘアバンドに擬態するネブラを使うわけにもいかないので、俺が陰ながら、彼女に危害が及ぶから防いでいる。

 

 

帰宅中にも、

財布を何度も落とし、傘を差せば落雷、振ってくる金槌、飛んでくる野球のボール、バナナの皮、……。よく生きてこれたなこの少女。

 

 

桃華や木下を伴って、帰宅する。

冬樹が持っているというオーパーツを見せるとか。

 

 

 

日向家の地下に’無駄に’広がる、秘密基地で一際暗い場所にあるラボに向かう。

 

カレーの香りがするんだけど、なぜかバスタブだけあるんだけど。

 

「それはアタール星人だな。」

 

ラボに博士に事情を説明すると、振り向きながら教えてくれた。

 

「降りかかってくる『不幸』に関係が?」

 

「ああ。じっとしているだけで『不幸』に遭う体質で、《絶対幸運石》が必須アイテムだー。そういえば隊長がそれを持っていたなー。今は小遣い稼ぎに勤しんでいるところだぜ~クック~」

 

侵略じゃなくて、ガンプラのためなんだろうな……

 

「おっとー、動きがあったみたいだぜ~」

 

画面に映し出されるカメラの映像。

ケロロの部屋に、ケロロたち、アリサ、冬樹、夏美、桃華、そして件の少女が集まっている。トラブルが生じて、事故とはいえ、桃華の頬に冬樹はキスしてしまう。

 

吹っ切れたのか、裏人格に触発されたのか、桃華は唇を近づけていき……

 

時が止まる。

ケロロたちは静止する。

 

「石を拾ってくれたのがあなたでよかった。日向君、さようなら。」

 

「行くのか?」

 

絶対幸運石を取り戻して、『不幸』のオーラが中和された彼女に、アリサは尋ねる。

 

「はい。帰る場所があるので。今日はありがとうございました。」

 

「そうか。また会おう。」

 

2人は別れの握手をする。

きっと、学校で作った初めての『友達』なんだろうな。

 

 

 

次の日、

チャイムが鳴る。

美少女なアリサが転校してきたことで、まだ浮き足立っている。

 

ナレーター『宇宙人は地球を去るとき、摂食したすべての人の、記憶を消し去っていきます。』

 

 

1つ空いた席。

そこに1日だけ座っていた少女を覚えている者はいない。

 

それでも、覚えている友達もいて、その少女は『寂しい』気持ちになっていて、

 

「おにいちゃん、お弁当を一緒に食べよう。」

 

冬樹を兄と慕ったことで、騒ぎが起きる。

 

 

アリサの学校生活は始まったばかり。

 

 

 

 

 

 

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