ケロロ軍曹 ~金木犀の君と~ 作:ありさ
休日、
珍しい人物が日向家に来たようだ。
学校の先輩であるサブローである。
彼も俺たち宇宙人の存在を知っていて、博士と仲が良いらしい。家に来た理由も彼に会うためみたいだ。
アリサやネブラ、俺は自己紹介しておいたが、気さくな人だった。
「サブローせんぱぁい、お茶とお菓子もってきました~」
「あざとい。」
ドガッ
練習していた台詞に口に出てしまった呟きに対して、俺に鉄拳制裁の一撃が入るが、あまり効かない。
ハイテクな秘密基地に俺たちはやってきた。近未来的な設備にアリサやネブラはキョロキョロしている。夏美はジュースとクッキーをお盆に載せて、先輩の元へ向かう。
「あれ、ここさっきも通らなかったっけ。」
「ラボなら、場所は分かるぞ?」
「そういやあんた、意外と仲が良かったわね。」
「いろいろ、頼みごとしているうちにな。」
―――生まれ、とか。
「あ、夏美ちゃん、どうしたの?」
「あ、えっと、これ、お茶とお菓子をサブロー先輩に持っていこうとして! これ手作りなんですけど。」
「うん、なかなか。……秘密基地の中、見学しようとしていたんだけど、道に迷っちゃって。」
「そ、そうなんですね。私もなんです。」
「そっか。じゃあ、一緒に探検してみる?」
「は、はい!」
ラボから出たあと、ウロウロしていた先輩に会えたようで、そのまま時間つぶしを続けるようだ。そわそわしているアリサに耳打ちする。
「俺たちは俺たちで回ってみるよ。」
「先輩、またあとで。」
「ごゆっくり~」
こうして、2人きりの『デート』をさせることができたわけだ。鈍感なのか一歩引いているのか、夏美の想いに先輩は気づいていないようだが。
《地下基地中央指令室》、まるでガンダムのホワイトベースのような場所だ。《高湿度ルーム》、俺たちケロン人が好む環境になっている。《温泉》、どこから湧いてきた。《ジュラシックパラダイス》、まるでジュラシックパークのような場所だ。《いきなり団子製造工場》、今は止まっているがお菓子を作る場所のようだ。《空地》、まるで猫型ロボットが出てくるアニメの空き地だ。《崖》、まるで戦隊ものが戦いそうな場所だ。
侵略と無関係な場所が多いことが再確認された。アニメに出てくるような珍しい施設に、アリサは心なしか胸が躍っているようだ。
《ガンプラルーム》
ケロロの趣味であるプラモデルが多数飾られている。
彼が『趣味』に没頭していることがはっきり分かってくる。家事や、ついでに侵略が疎かになる理由なのだろう。侵略予算を私的利用しているとかなんとか。
上から檻が降ってきて、どこかへ俺たちはワープさせられる。
薄暗くて少し狭い場所の閉じ込められたようだ。
「君たちは…」
「アリサちゃんたちまで!?」
『ゲ、ゲロッ!? アリサ殿やツキキも!?』
「もしやこれは脱出ゲームというやつか。」
すでに夏美や先輩が部屋にいた。放送で聞こえたケロロの声はどこか焦っていて、アリサはいまだに遊園地に来た気分のようだ。
『そこは宇宙行のロケットの中だ。クックッ~』
「ボケガエルのせいよ!」
『で、でも、吾輩の大切なガンプラを守るためでありまして、、』
「見つけたぞ。」
脱出ゲームを楽しむアリサは隠されたスイッチを押す。
『それは最新のカラオケセットであります!これさえあれば、宇宙の果てに行っても退屈しな……』
なぜか備え付けられたカラオケセットの説明をしてくれた。爆風が聞こえて途切れたので、ギロロが外部からどうにかしようとしているのだろう。もう一度爆風が聞こえる。
『クックックッ~、無駄だ。それは宇宙一硬い特殊合金でできている。』
『拙者に任せるでござ……ボクの刀ぁ……』
『無駄だと言ったろ~』
『それじゃあ、私がルシファースピアで穴を開けます。』
『そいつはムリだな。ペコポンが割れるくらいじゃないとロケットは割れないぜ~』
『こうなったら、視聴者さんのみなさんから脱出方法を集めるであります!』
彼らって芸人気質あるよね、ホント。
『くそっ、2人きりになどさせるか!!』
―――ギロロが発射中のロケットにしがみつく
「トイレ~、漏れる!!さっさと出て行ってよ!」
部屋の扉が開き、俺たちを追い出す。
簡単に言うと、俺たちはロケット内部に転移指定のミスで、ワープさせられてはいなかったのである。クルルが冷静だったり、ギロロの銃撃の揺れはなかったし、ドロロの気配はしなかったし。
屋根の上で、みんなで夜空を見上げる。
「ギロロ、貴様のことは一生忘れないであります!」
「いいから早く迎えにいってきなさ~~い!」
叱られたケロロたちは秘密基地に急いで戻って行く。
「もし記憶が戻ったら、ツキキは宇宙へ行ってしまうのか?」
こんな『日常』はいつまで続くんだろうな。