今章からオルレアン編となります。さて、ガイジ共がアップを始めましたね。あと、知っている人は知っている後書きシリーズも始まります。
今回は召喚回です。キチガイの天敵が出ます。
次回はオルタの日常回です。既に残念英霊になってます。
ヒント・出身地
抑止力の英霊(対キチガイ用)
外界の人類は滅亡している。
現段階で生き残っているのはカルデアの数十人のみ。
これが人類史が滅亡しかけている俺達の現状である。もうすでに救うべき人類のフレンズが滅亡しかけているのに、一般人の俺がどうしろとって話である。
カルデアにレイシフトシステム……タイムマシンみたいなものがあって本当に良かったと思う。なかったら既に詰んでるじゃん。こういう人類の逆転のチャンスを残しているあたり、今回の黒幕の能力がある程度推し測ることが出来るだろう。
それとも余裕の表れだろうか? まぁ、ナメてくれるならそれに越したことはない。
俺は所長に呼ばれてカルデアの廊下を歩いていた。
外側はガラス張りになっており、雪が深々と積もる様子が見れる。へぇ、雪ってこんなに積もるんか。
「──おう、人類最後のマスター様じゃねェか」
「それなら人類最後のアルバイター様とでも呼べばいいのか?」
T字路でばったり会ったのは、灰色の長髪を後ろで束ねた、少し俺より身長の低い、ガラが物凄く悪い少年。もちろん外見通りの粗野で野蛮な言葉使いから、コイツがどのような人物かは察することが出来るだろう。
こんなのを
学校の制服感覚かよ。
俺の皮肉が同郷の人間に効くことはない。
その言葉に不良職員は鼻を鳴らすだけだった。
「はン。田舎のクソバイトよりゃ時給がいいンだぜ? 最低賃金スレスレのコンビニバイトの店長を殴りたくなるレベルにはなァ。人類最後のアルバイトにしちゃ最高じゃねェか?」
「え、うっそマジかよ。そんじゃ俺の時給も高いんかな? 今度所長に聞いとこ」
もしコイツより低かったら、どうしてくれようか。
密かにオルガマリー所長の処遇を考えながら、俺はスマホを操作しつつ、ジョンと廊下を歩く。俺が向かっている場所と一緒だと聞く。
カルデアの要を同じ地域に置くのはどうなんだろう? 確かに何かあった時に向かいやすい反面、爆撃されたら前のように麻痺してしまうのではないか? さすがにドクターも所長も馬鹿じゃないから、そこら辺は対策を講じていると信じたい。既に改築工事をダニエルに頼んでいるかもしれない。
「つか、マイケル。テメェ何スマホを睨んでやがンだ?」
「……確かカルデア以外の人類って滅んでるんだよな?」
「馬鹿かテメェ。じゃなきゃ人類史救う理由にならねェだろうが。オレ達は何と戦ってるんだ、あァ?」
俺はスマホをジョンに見せた。
「妹から『醤油買ってきて』ってLINE来たんだけど」
「………」
これにはジョンも絶句する。
そして急いで自分の携帯端末を確認し始めた。
「……まぁ、電波繋がってる時点でお察しなんだけどな。あ、Twitterも確認しとこ」
「オレもLINE来た」
「何て?」
「『モンスターハンターなう』って」
どうやら写真付きで送られてきたらしい。LINEに添付された画像には『灰色の髪の美少女が血まみれの笑顔でデーモンとツーショットしている写真』という、情報量が多すぎる上に思考が追いつかない一幕が収められていた。ちなみに写真に写っているグラマラスな美少女はジョンの妹である。遺伝子が仕事していない。
そして、写真のデーモンが冬木市で見た魔物と酷似しており、これ等が人類滅亡の原因であると推測した。
なんかジョンの妹は死んでないけど。
Twitterを確認しても『紅い月珍しい』だの『蛮神の心臓何に使うの?』とか『変な魔物と会った。とうとう一日七十八時間労働してたら幻覚見えてきた』などと、不可思議なことが起こっているのに、日本は今日も元気なようだ。
俺等のやってるソシャゲのTwitter救援もいつも通り流れている。
「何か海外はTwitter動いてねェようだなァ。日本は存命だが」
「……そりゃ死んでも仕事は減らないからな」
日本の社畜精神と異世界耐性の前に、人類滅亡程度じゃ母国は揺るがない。
俺は「お母さんがワイバーン狩って来たんだけど、今日の晩飯どうする?」という新しい通知に、思わず遠い目をするのだった。
♦♦♦
「先輩、おはようございます。急にお呼び出しして申し訳ございません」
「マシュ、おっはー。あれ、所長いないん?」
「司令塔管制室でダニエル先輩とジョン先輩に仕事のご指導をしているようです。詳しいことまでは分かりませんでしたが……」
中央管制室であるココには、いつもより機嫌が良さそうに見えるマシュと、おまけで白髪のマイペース野郎がニコニコと笑いながら鎮座していた。話によると、花子は司令塔管制室に遊びに行ったようだ。所長とドクターが可哀そうではある。
裏を返せば俺達は安全なわけだ。それを今は喜ぶとしよう。
心の中でロマンと所長に南無阿弥陀仏を唱えていると、マシュがキラキラした瞳で言葉をまくしたてる。
興奮を押さえられないと顔が言っている。
「先輩、私は昨日自室のベッドで寝たのですが、とってもフワフワでぐっすり眠ることが出来ました! 他の職員さん達も大満足だったようです!」
「そ、そうなんだ。……御礼なら長身で胡散臭くて眼鏡かけてる奴に言うんだよ?」
もしかしなくてもダニエルである。
数十分ほどベッドの凄さを語ったマシュは、思い出したように要件を述べる。
「所長に頼まれて、先輩の英霊召喚のサポートを任されました。ちゃんと石も用意してあります」
マシュが特異点で見たような
「あ、それでサーヴァント?ってやつを召喚するんだね。そっかそっかー」
「何か思うことでもあるのか?」
「ダニエルがそれを自室で育ててたよ」
「「育てる」」
「植木鉢に生ってた」
「「植木鉢に」」
思わずマシュとボブの言ってることを復唱してしまった。
マシュから渡された石をまじまじと眺めてしまう。ダニエルが自室の鉢に水をやる光景を想像しながら、これって木から生えるんだ……と呻く。この石にはサーヴァントの魔力供給やマスターの魔力ブーストにも使えるが、カルデアで所持する石は数個程度しかないと説明を受けたので、ダニエルのアホは何をしでかそうとしているのだろうか?と疑問を持つ。
この石だってカルデアに残ってる最後の三個だ。それが生ってるって……お前……。
ボブの衝撃のカミングアウトを一旦置いといて、俺は改めてマシュが用意してくれた召喚サークルの前で石を握る。あの恥ずかしい詠唱をするモチベーションは限りなく低いが、戦力は俺の供給ができる範囲内で多ければいい。感覚で理解しているのだが、俺がかろうじで供給できそうなサーヴァントの数は、カルデアのサポート込みで三体程度。
残念だが今は魔術師としての格を上げている余裕はない。
自分の不甲斐なさを痛感しながらも、俺は例のポエムを詠唱するのだった。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、
王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する。
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!
またもや吹き荒れる暴風。
前回は目を閉じていて目視することはできなかったが、俺の魔力がガクッと持って行かれる感覚と、手の石から糸の様に召喚サークルへ流れていく光景を映す。
その虹色に輝く繊細な糸は、徐々に俺の魔力と混じり合うかのように人の形を形成していき、『英霊の座』から英霊たらしめる存在の現身を顕現させる。その形となる英霊の周囲には虹の輪がクルクル回り、魔力が循環していく。
限りなく色彩の薄い桜色の髪に、凛とした佇まい。
物腰が柔らかそうな大和撫子……という印象を見受けられるが、その瞳にはオルタとは別方向の意思の強さを感じ取れる。濃い桜色の着物に、鮮やかな紅色の袴は、大正時代の女学生みたいな出で立ち。ここまでハイカラな服装の似合う人物も居まい。
開かれた薄い琥珀色の瞳は俺を捉える。
若干頬を染めながら、英霊として召喚された彼女は口を開くのだった。
「新選組一番隊隊長、沖田総司推参! あなたが私のマスターです──え、ちょっと!? マスター何で逃げてるんですか!? いやいや、待っ──」
『新選組』
『沖田総司』
この単語を聞いた瞬間。
俺とボブは脱兎の如く中央管制室から逃げ出した。
外見のモデル
マイケル……『銀河英雄伝説 die neue THESE』のヤン・ウェンリー。作者的にはCVは旧作の方が好き。
ジョン……『戯言シリーズ』の零崎人識がモデル。知らない人は調べてみよう。これがカルデア職員とか終わってんな。
ボブ……『刀剣乱舞』の鶴丸國永をイメージしよう。あの外見に白衣とか上から下まで真っ白やんけ。
ダニエル……『黒執事』のセバスチャンが元ネタ。これに眼鏡かけている。何でもできるイケメンを想定しているが、後に性癖がこじれている事実を皆は知るだろう。
花子……『BLAZBLUE(XBLAZE)』のEsがモデル。検索してみて。めっっっっっっっっちゃ可愛いから。