とりあえずサクっと人理修復   作:十六夜やと

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 どうも、十六夜やとです。
 確か英霊召喚のシステムって、遠坂の魔法『並行世界の運用』とか何とかのシステムが用いられていると聞きました。つまり、召喚された英雄が主人公たちの世界の歴史に生まれた人間ではない可能性があることを明言しておきます。
 じゃないとマジでカオスになる。もうカオスか。

 今回はオルタ視点の回です。原作オルタの性格から既に崩壊しているので、キチガイ思想に染まった読者の方々だけ読み進めることをお勧めします。
 次回はオルレアンにレイシフトする前の話です。


影響されやすいお年頃

 私は祖国に殺された。

 私は政治のために殺された。

 私は──国民に裏切られた。

 

 熱かったのに。

 痛かったのに。

 謝ったのに。

 

 許してくれなかった。

 みんなの前に殺された。

 

 

 

 

 

       どうして?

 

どうして?

 

どうして?

 

  どうして?

 

どうして?

 

どうして?

 

 

 

 

 

 

 だから私は復讐したいと思った。

 私を見捨てた祖国を、私を処刑した執行人を、私の処刑を決定した連中を、私の処刑を野次馬根性で見に来やがった国民を、私を殺す要因となった宗教を、私の国に攻めてきた敵国を、私を生んでくれなかった各国を、私を助けてくれなかった人々を、私を拒絶した全人類を──

 

 いつからだろうか。

 何もかも信じられなくなったのは。

 

 愛なんてくだらない。私が求めるのは血だ。

 友情なんてまやかしだ。私が求めるのは復讐だ。

 絆なんて脆く崩れやすい。私が求めるのは怨嗟の声だ。

 

 そんな私が、どうして──どうして──

 

 

 

『カイリ 俺はずっとそばにいるよ これからも ずっと 必ず帰るから』

 

『約束だよ』

 

~宇多田ヒ〇ル 『光』~

 

「ゾラ゛ア゛ァ!! ガイ゛リ゛イ゛ィ!!」

 

 

 

 ──たかがゲームで号泣しているのは。

 

 マスターと共有している自室にて、テレビと呼ばれる機械の前。ハーフパンツに赤いTシャツを着て、背中に『ばすたー』と書かれた黒いジャージを羽織り、『人をダメにするクッション』を抱きかかえるようにコントローラーを握りしめる自分。床にはふかふかのマットが敷かれており、テレビに繋がっているゲーム機と『キングダムハーツ』と書かれた箱。

 私はゲームのヒロインの住んでいる島がBGMと共に復活していく画面を見せられながら、濁音が混じった声で主人公とヒロインの名前を叫んでいた。

 もはやそれ以外の感想しか出てこない。

 

 冬木市からカルデアに戻ってから一週間程度。

 他の連中が次のレイシフトする準備を進めている間、戦うことしか能のない私は暇の極みだった。

 そんなときクソマスターが持ってきた「なんか感動する神ゲー」と、暇を潰すために始めたゲームを借りた。最初は何か主人公がクソ甘っちょろい幻想を抱いていると鼻で笑っていたのだが、いつの間にか感情移入してしまっている自分がいた。この奇妙な動物たちにも愛着がわいてきた。

 

 ひたすら光だの絆などを連呼する主人公。

 スカした中二病気質のライバルみたいな奴。

 ぶっちゃけゲームにほとんど出てこないヒロイン。

 

 そんなんで物語が進んでいくのに、途中から寝ることすら忘れてプレイしていた。

 主人公が動物と戯れているときは鼻で笑った。主人公とライバルが対立した時は嘲笑った。主人公が仲間を失ったときはザマァと思った。仲間が助けに来てくれるシーンは何か涙が出た。ライバルがボスを食い止めるシーンは名前を叫んでしまった。扉を閉めるシーンでは涙が止まらなかった。エンディング始まった瞬間にトドメを刺された。

 そして現在進行形でタオルなしにエンディングを見れない。

 

「……なんで全員島に帰れないのよぉ」

 

 何だこのシナリオは。

 決してハッピーエンドではない。いつもならそれで喜ぶのに、どうしてこうも胸が締め付けられるほど苦しいのだろう。

 

「何でソラみたいな奴がフランスにいなかったのよ……」

 

 そうすれば少しは私の運命も変わったのに。

 いつもなら絶対思わないようなことを、何故か口に出してしまう。

 

 最後にムービーが入る。

 未来を感じさせるような最後だ。彼等の旅はまだ続いていくのだろう。

 丁度終わってセーブをしたので、クソマスターに教えてもらった通りにゲームの電源を切り、おもむろに立ち上がって涙をぬぐう。自分が考えるよりも先に鬼畜クソキチガイマスターに会いたくなったのだ。

 

「……あっちか」

 

 魔力のラインでマスターの居場所を検索し、重い足取りで部屋を離れるのだった。

 

 

 

   ♦♦♦

 

 

 

 クソマスターの自室を出て、職員用居住区画の一室の前で足を止める。あのクソマスターにくっついて来た3人……名前を覚えてないから『馬鹿共』って呼ぶか。あれの同類だし。そいつ等の誰かの自室の前だったはず。

 

 鍵もかかってなかったので私は何の躊躇もなく扉を開ける。

 礼節とかどうでもいいし、気にするような相手じゃないし。

 

 ただ、入った瞬間に部屋の中にいた全員が警戒したように腰を浮かせたのは驚いた。馬鹿共が化物を見るような目をしていたことに対して一瞬イラッとしてしまったが、後に「何だよ……ビックリさせんな……」みたいな表情になったのもイラッとする。

 部屋にはクソマスター、脳筋マスター、馬鹿3人組、盾女、白いモフモフが輪を作るように座って居た。

 おもむろに一番反応が大きかった黒髪のマスターが口を開く。

 

「──っ!? ……何だよ、オルタか」

 

「あぁ?」

 

「んなカッカすんなよ。こちとら命の危険性孕んでんだから、それくらい見逃してくれ。ほれ、こっち座りな。ジュースと菓子あるぞ」

 

 状況を正確には理解していないが、こいつ等は誰かから隠れているらしい。

 内心ザマァと嘲笑いつつ、私はマスターの隣に座った。白髪の奴から紙で作られたコップを貰い、胡散臭い奴からジュースを注いでもらう。

 聖杯からの情報供給で、適当に手に取った菓子が『ポテチ』と呼ばれるものであることを知る。芋に塩振りかけたものを菓子と呼ぶのかと訝しむが、口に入れた感想は悪くなかった。パリッとした食感や、塩の旨みが自分の食欲を満足させる。

 さすがに脳筋のアレみたいに『ポテチ』と『コーラ』という飲み物を馬鹿食いしたりはしない。

 

 他のお菓子もと手を伸ばしていると、クソマスターは話を進め始めた。

 あんまり興味がないけど耳だけは傾ける。

 

 

 

「つわけで奴が来たらオルタを囮に使って逃げる算段でOK?」

 

「「「異議なし」」」

 

「待って」

 

 

 

 私の知らないところで私が贄にされていることが決定されている。私の処刑だってもうちょっと当事者も関与していたはず。この馬鹿共はフランスの外道共以下か。

 制止の言葉に灰色の奴が「あァ」と思いだしたようにクソ外道マスターへと提案する。

 

「コイツ来たばっかだから、話しぐらいはしといた方がいいンじゃねェの? 理由や事情も分からず座に帰りたくはねェだろ」

 

「一理ある」

 

「違う、そうじゃない」

 

 何か納得したようにしているクソ畜生マスター。

 別に理解したからって死ぬことに肯定しているとは思わないでほしい。

 

「さっき俺が新しい英雄を召喚したんだけどさ、とんでもない化物を呼んじまったんだよ。主に俺達の命を狙ってくるようなタイプの化物」

 

「アンタ等殺しても死ななさそうな連中なのに。ってかソイツ誰よ」

 

「──史上最悪の戦闘殺戮集団『新選組』の一番隊隊長・沖田総司」

 

 言葉を引き継ぐように白いのが語り始める。

 この白いのいっつもヘラヘラしてるイメージがあるが、この時は真剣な表情をしていた。

 

「江戸時代末期の旧幕府軍で反幕府勢力を取り締まる活動をしていた連中、その中でも剣豪ひしめく一番隊の隊長ってんだから、沖田総司の強さは分かるよね? 日本でも割と人気の高い幕末の侍なんだけど……」

 

 ここで言いよどむ。

 そんな強い奴のどこに不満があるんだろうか?

 

「新選組は旧幕府軍との戦い──戊辰戦争にも参加している。まぁ、相手は反勢力の権化そのものだからね。あ、戊辰戦争で新選組が戦ったのは、薩摩・長州・土佐などの藩だよ。薩摩藩……今で言うところの鹿児島県。僕達の出身地だ

 

「オレ達の状況は、ピエール司教の前にテメェが現れるようなモンだ」

 

「あー……」

 

 あのクソハゲジジイの前に召喚された日には、やることはたった一つだ。

 聞くところによると、新選組にとってコイツ等の住んでいる『薩摩』は敵以外の何者でもないらしく、「薩奸死すべし慈悲はなし」という名言も残っているという。

 

 そして頭を抱え始める馬鹿男4人組。

 

「これは非常に困りましたねぇ。英霊召喚には縁のある者、または本質が似ている者が召喚に応じると聞きますが、このような形の縁があるとは……」

 

「ダニエルの言う通りだな。よりにもよって俺等の祖先のジジイ共ですら手を焼いた化物とか洒落にならんぞ? 田ノ浦のじいさんをひよっ子呼ばわりする連中と、ガチの殺し合いしてた侍集団の筆頭とか悪夢かよ。熊をタイマンで殺した近所の田ノ浦のじいさんがだぞ?」

 

「というか江戸末期の薩摩兵子とか奇跡の世代じゃん。あのドリフターズの豊さんがノンフィクションのレベルだった時代でしょ? 当時は刀一振りでビーム出すのが当たり前って、近所のばあちゃんに聞いたよ、僕」

 

「つか縁あるなら『島津豊久』だろうが。何で仇敵寄越してきたンだよ」

 

 ちょっと待って。

 私の生きていた時代の少し後の日本って、そこまで人外魔境の巣窟だったの?

 

 召喚された英霊と、コイツ等の祖先に恐怖を抱く私だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな化物に私ぶつける気なのかコイツ等。

 

 

 

 




オリキャラ勢の口調の特徴(誰が喋ってんのか分かんないとき用)

マイケル……一人称が『俺』。よくあるラノベ主人公の口調。「~だ」「~さ」「~だな」みたいな。時々ネタで口調が変わる。あと非常識な発言をする。
ジョン……一人称が『オレ』。台詞の「ん」「ぁ」「ぇ」がカタカナ。地の文が少なくても判別できるよう、コイツ等の台詞には極力どれかを入れてる。あと非常識な発言をする。
ボブ……一人称が『僕』。マイペースっぽい口調を意識している。コイツと主人公の台詞の違いが分かりにくいかと。あと非常識な発言をする。
ダニエル……一人称が『私』。基本敬語だから一番判別がつきやすいと思う。あと非常識な発言をする。
花子……一人称が『私』。一人称が上と同じだが、判別はつくと思う。口数が少なく、長文は喋らせない。あと非常識な発言をする。

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