今回はかなり強引に終わらせた感がりますが、沖田総司が誰が呼んだサーヴァントなのかをもう一度確認すれば納得するかと思います。どーせマシュ以外のサーヴァントはガイジになる。
今回はマイケルVS沖田。なんだこの字面。
次回はオルレアンに遊びに行きます。
俺は歴史というものを学んで、一つ理解したことがある。
そう、例外が多少あれども、たいていの英雄は非業の死を遂げている。ジャンヌ・ダルクの異端者の烙印を押されての火刑は言わずもがな、沖田総司も新選組局長の斬首を知ることもなく病気で死去している。ダヴィンチちゃんは割とマトモな最後だったはずだが、彼女を『英雄』のカテゴリーに入れていいのだろうか?
ともかく、ヘラクレスもクーフーリンもアーサー王も、英雄と称賛される人類の宝は、何らかの形で悲劇が付き纏っている。それを『願いを何でも叶える』というエサで、聖杯戦争というものが成り立っていたらしいから、英霊として召喚される者達は、生前に何らかの
なんと歪なんだろう、英霊召喚ってシステムは。
所長は何も考えずポンポンと、キャパシティのギリギリまでサーヴァント召喚しようぜ!って意気込んでいたが、どうにかロマンとダヴィンチちゃんが止めてくれた。
魔術師としては英霊なんざ『魔力の塊』、または『従順が下僕』として考えるのが当然らしいので、考え方が歪んでいるのは彼女だけのせいじゃない。いや、サーヴァントと一個人として認識している俺の方が異端なんだろう。火刑待ったなし。
「………」
「………」
ところで俺は何か悪いことでもしただろうか?
レイシフトするために中央管制室に集まったのだが、現在進行形で祖先たちが残した遺恨の炎と対峙させられている俺は、やんちゃしてたジジババ共に呪詛の一つや二つ呟きたくなった。険しい表情で沖田総司は俺を睨んでいる。
この状況を見れば、容易に英霊を増やしちゃいけないと、オルガマリー所長も理解してくれるだろう。今後の教訓にでもしてほしい。
ちなみにアホ共は司令塔管制室に逃げた。クソが。一緒に死ねや。
「……マスター」
「……はい」
「マスターは──薩摩の人間なんですよね?」
さて、この状況をどうしようか。
俺の出身地が看破されるのは想定の範囲内だ。よくわからん感覚だが、マスターとサーヴァントは記憶というものを一部共有するらしい。実際に俺はオルタの処刑前の記憶を夢で見たし、オルタも俺の記憶を一部夢という形で知っていた。そして記憶は本人に影響を与える。オルタは憎悪以外の感情が出るようになり、俺はフランスとピエールが嫌いになった。
そんな形で、沖田総司も俺の記憶から、俺の出身地を知ったのだろう。ちなみに沖田総司から共有した記憶は、全体的にR-18指定だった。グロい方面で。さすが人斬りと呼ぶべきか。
令呪で何とかしようとも考えたのだが、冬木市で行われた聖杯戦争とは異なり、カルデア産の令呪に絶対的拘束力というものが存在しない。せいぜい簡単な命令であり、かつ英霊側も納得している命令じゃないと、効力が十全に発揮されないのだ。いくら画をつぎ込んでも、たった三回である。沖田総司を三回で止められる自信はない。
それ以前に俺が令呪を信じていない面もある。絶対権という言葉に魅力を感じるが、これに固執するのも危険だと判断したからだ。
……オルタは何で『踊ってみたシリーズ』をやったのかは考えないでおこう。
「あぁ、俺は確かに鹿児島──薩摩の人間だ。君の新選組が命を賭して戦った相手の子孫であり、余談だが俺の家系は島津の血も流れてる。もう取り繕う余地もなく、俺は君の仇だな。残念ながら」
「それを知ってて私の前に現れたんですか?」
「じゃあ逃げるってか? この既に滅んでいる世界の、どこに?」
新選組一番隊隊長の刀より鋭い言葉に、俺は肩をすくめて皮肉を交えた。
これを見守っているマシュは盾を構えて俺を守る準備をし、オルガマリーは「マジかよ、こんなケースあんのかよ」と顔を青ざめている。オルタは俺の後ろに控えている。どんな表情をしているのかまでは分からん。
ちなみに花子は既に俺と沖田の間に入っている。身長ちっさいから、俺の視界に入らなかったけど。
俺は両手を広げた。
すしざんまい。
「ぶっちゃけレイシフト前で時間が押しているから、単刀直入に聞こう。君は俺をどうしたい? 下手に遺恨を残したまま共闘なんざ死んでもごめんだ。ただの足枷になる。俺を殺す気ならさっさとしてくれ。もちろん俺と花子は抵抗させてもらうが」
「先輩!? 何を言ってるんですか!?」
「とは言ってもねぇ。マシュは彼女を止められる? 対人のプロフェッショナルだよ?」
死ぬのは確かに怖いが、もう目の前に人間より数百倍強いサーヴァントがいる時点で、ある程度の覚悟はしている。そもそもライン繋がってるから、逃げるにしても、もうどーしようもない。
桜のサーヴァントは刀をつきつける。
あまりにも早い抜刀だった上に、牽制であることは明白だ。俺を助けようとした者達全てが動くことが出来ない。俺自身でさえも抜刀動作が見えなかった。
さすが、日本屈指の剣豪だ。
「貴方そのものに怨みはありませんが、貴方が『薩摩』である理由だけで、私は貴方を殺す動機になる。私はたとえ人類の危機であろうと、仇敵の命令に従うつもりはありません」
「さすが、新選組のサーヴァント。反論が何も思いつかねぇ」
「薩摩死すべし、慈悲はない」
「……うーん、どうしたものか」
俺だって言いたいことは山ほどある。
だが、彼女の言い分も理解できる。そうなると、衝突でしか解決しないだろうし、力のない俺が物理的に折れる道しか残ってない。
でも俺は困る。
解決の糸口を探そうとも、相手が会話の通じる類の人間じゃないし、最後の最後まで脳みそをフル稼働しているが、全く持って全然思いつかな──
「……あれ?」
ふと彼女の表情が和らぐ。
目を見開き、何かをひらめいたような表情だ。
「マスターは薩摩人……それだけで斬る理由になる。でも、その点を除けば、人斬りだと怯えることもなければ、一緒に居るとなんか安心しますし、マスターとして仕えるに値する? というか主としては最高なのでは? うん?」
ぶつぶつと何かつぶやいている。
「マスターが新選組になれば解決するのでは?」
「お前それでいいんか?」
いや、めっちゃ名案みたいな顔しているけど、それ暴論に近い何かだぞ? 俺を斬らない理由というものを、自分なりに考えてくれていたのは嬉しいけど、根本的なものは解決してないからね? 新選組入れば、お前にとって全員友達なの?
セイバーとして召喚された日ノ本の侍は、興奮したように花子をどかし、俺の両肩をがしっと捕まえる。そして整った綺麗な顔を、ぐいっと俺に近づけた。
どう考えても強引だとは思うが、彼女は本気で名案だと信じ込んでいるらしい。
「ま、マスター! 唐突ではありますが、幕府を守護するお仕事とかに興味はありませんか!? 今なら私が稽古もつけますし、薩摩とかいう蛮族狩りも楽しくできますよ!?」
「俺その蛮族出身なんだけど……」
「有給も取れるアットホームな職場ですよ! あと給料が高い! 福利厚生もしっかりとしてます!」
「え、給料高いんですか?」
ちなみに鹿児島の最低賃金は日本でも三本の指に入るほど低い。
しかも、ド田舎だから最低賃金以下のバイトも普通にある。
「あ、羽織りは後で送らせていただきます! ってか私の羽織もどっか行ったんですよね。どーこになくしちゃったんでしょう? いやー、私もうっかりしてました。そっかそっか、マスターが新選組の一員になれば薩摩とか長州とか関係ないですよね──」
「はいはいはい、そこら辺後にしてー。さっさと次の特異点行って頂戴」
パンパンと手を叩きながら、所長がもう見ていられないと空気を切り変える。
一話半を使った壮大な茶番の結末がコレかよと、俺は肩透かしを食らった気分なんだろう。俺達なんかノリが完全にキチガイな英霊に翻弄されただけじゃねぇか。このキチガイさが似ているとでも言いたいのか、英霊の座さん。
「さーて、気を取り直して特異点行ってくるかぁ」
「マスター頑張ってくださいね! 新選組の件は後ほど……」
「てめぇも来るんだよ人斬り」
ちゃっかり留守番しようとしている沖田を、花子がラリアットで引きずる。
マスターの俺と花子、デミ・サーヴァントのマシュ、ポンコツサーヴァントのオルタと沖田による、最初の特異点修復の旅が始まったのであった。
「俺が薩摩なのは全部ダニエルって奴の仕業なんだ」
「許せませんねソイツ!」
【サーヴァントのステイタス】
・ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕
クラス アヴェンジャー
属性 混沌/悪
筋力A 耐久C
敏捷A 魔力A+
幸運C 宝具A+
クラス別スキル
復讐者:B
忘却補正:A
自己回復(魔力):A+
保有スキル
自己改造:EX
竜の魔女:EX
キチガイの従者:A+
・沖田総司
クラス セイバー
属性 中立/中庸
筋力 C 耐久 E
敏捷 A+ 魔力 E
幸運 B 宝具 C+
クラス別スキル
対魔力:E
騎乗:E
保有スキル
心眼(偽):A
キチガイの従者:A+
縮地:B
キチガイの従者……常識の範囲外の思考回路を有するマスターを持つサーヴァント。幸運に補正がかかり、ステータスの(+)作用が働きやすくなる。ついでにマイナス補正のスキルが何故か消える。