最近ですが実の父親と縁を切りました。HAHAHA。
え、何でこんな話題を持ち出したかって?
今回唯一のシリアス要素です。
冗談はそのくらいにしまして、今回は『魔術』に関する話です。若干ですがFate世界のことが分かるかと。
次回は考えてません。次々回辺りにレイシフトしましょうか。
「ほら、所長。さっさと
「アンタそれ本気で言ってるの!? この状況で私に行動選択権があると思ってるの!?」
「ないだろうな」
そりゃ花子が車椅子押してりゃそうなる。
しかし、まだ本調子ではない所長の車椅子を押している花子は楽しげで、仏頂面で鼻歌を奏でながら、カルデアの壁を勢いよく爆走している。重力が仕事してないね。
現在俺と花子、所長はダニエルの部屋へ向かっている。
特にこの人選に意味はなく、暇してそうな奴を適当に引きつれているだけである。
ボブはロマン、ジョンはダヴィンチちゃんにそれぞれ用があると言い、朝から姿すら見かけていない。レティシアと沖田さんは、今日は非番である職員の方々とスプラ大会してるって聞いた。ジャンヌはガチャで爆死して、当分は俺の部屋から出てこないと思われる。
「……人類史の危機だってのに、ちょっと呑気過ぎないかしら?」
「次の特異点を観測するには時間がかかるんだろう? 職務放棄してるってわけじゃねぇんだから、少しくらい大目に見たらどうだ? 部下の体調管理も、上に立つ者の仕事だぜ」
本来ならば、俺達が第一特異点を修復している間に、同時並行として第二特異点の観測を行う予定だったと、レオナルド・ダ・ヴィンチは語った。
それが今だに成されていないのは、単純に
所長を宥めながら、俺達はダニエルの部屋の前に辿り着く。
アイツが『育った石を回収してほしい』と言っていたので、こうして赴いてやったわけだが。
「ダニエルいるか? いるな? お邪魔しまーす」
「……日本のことわざよね? 『親しき中にも礼儀あり』って」
「別に親しくも何ともないから問題ないな」
カルデアの個室は内部の人間の承認によって開くので、面倒だから花子が物理でこじ開ける。たった今ダニエルん部屋の扉がお釈迦になった。
部屋の作業机で本を読んでいたダニエルは、唐突な来訪に頭を上げる。
「あぁ、もうこんな時間でしたね」
「聖晶石を回収しに来たで」
「それならベットの横に置いてあります。ちゃんと石が100個あるかどうか確認してください」
「……魔術関連の資料?」
聖晶石がちゃんと使えるかを確認しながら、品質確認と個数管理を花子と行っていると、ダニエルの机の上に散乱している資料に目をつけた所長。それは、カルデアの書庫で管理されている、割と希少性の高い魔術の研究資料だった。
特に魔術関連の書籍は厳重な管理をしていると耳にしたが、コイツにセキュリティ対策は意味を成さない。なので、所長は「何でコイツこの本を読んでいるの?」という意味での疑問なのだろう。
「えぇ、少々魔術のお勉強をと思いましてね。今回の人理修復が終わったとき、魔術師の家系でも築いてみようかと考え、今のうちに見聞を広めているというわけです」
「あー、んなこと言ってたなぁ」
「正確には『魔術使い』の家系ですけどね」
俺も最近学んだ話なのだが、『魔術師』とは『根源』に到達することを目的とする連中の総称だ。『根源』を目指す過程で魔術を用いているため、魔術師と呼ばれているのだとか。
『根源』とは全ての始まりであり、その結果である世界の全てを導き出せるもの。ぶっちゃけそれ何?って話なのだが、『根源』に到達した例はないとされているため、魔術師にも『根源』が何なのかは知らないんじゃないだろうか。
そして、ダニエルが言い直したのは、コイツが『根源』に何の興味もないからだろう。他の目的のために魔術を扱う者は『魔術使い』と呼ばれる。 そして『根源』への研究対象ではなくツールとして魔術を使う者は、魔術師からは軽蔑の視線を向けられるらしい。
だから俺も正確には魔術使いだな。もしかして根源に一番近い存在なんじゃね?って感じの花子も、彼ら基準で言えば単なる魔術使いである。
「でも一子相伝の魔術って、基本的に魔術師しかしないよな? 魔術使いの家系って珍しくないか?」
「一代では決して到達できない根源に行くために何代も技を継承していくのが魔術師ですからね。ふと気になったのですが、アニムスフィア家の命題って何なのでしょうか?」
「柿ピーの製造、販売」
「「………」」
亀田製菓は既に魔法の域へ到達していた──?
日本が誇る柿ピーの製造会社と、柿ピーに命題を乗っ取られたアニムスフィア家に、畏怖の念を抱いていると、ダニエルが俺に資料の束を寄越してきた。
俺はパラパラと紙を捲る。
内容は『聖杯戦争』に関してだ。
「2004年での冬木市が最初にして最後の開催地とされている聖杯戦争の記録です。サーヴァント七騎で行われた魔術儀式であり、セイバーが勝者となったと記されていました」
「……今更だけど、聖杯戦争って面倒だよなぁ。わざわざ異なるクラスで召喚する意味が分からん。アサシンとかライダーとか誰召喚すりゃいいのって話。セイバーなら適当に七騎くらいパッと思いつくだろうに」
「セイバー、ランサー、アーチャーの三騎は最優のクラスとされています。この聖杯戦争自体は御三家が関わってますので、外来の参加者との優劣をつけるためかと」
「俺なら喜々としてアサシン呼ぶけどな」
御三家が最優を呼ぶのなら、わざわざ真正面からぶつかることはしない。サーヴァントよりもマスターを暗殺した方が確実だろう?
「で、この記録が何だってんだ? お前が聖杯戦争に興味を示すとは到底思えないんだが」
「肝心なのは御三家の一つ。アインツベルン家の情報です。私はこれが欲しかった」
「アインツベルン? あの錬金術の名家の?」
パッと分かるくらいの家門なのか、それとも所長ともつながりがあるのか。アインツベルンと言う単語に、所長はいち早く反応した。
俺にはそれが分からないし、花子なんて完全に聞いてない。聖晶石でタワーを作っているくらいだ。
「所長はアインツベルン……だっけ? そこを知ってるん?」
「知識程度には、ね。ドイツに居城を構える、千年以上の歴史を持つ魔術師の家系よ。錬金術を修めていて、
「錬金術ときたか……」
まさか人生で錬金術の存在に関しての話を聞くとは思っていなかった俺は、真面目な顔で錬金術のあれこれを語る所長に苦笑いを浮かべた。ぶっちゃけ、それ以外の表情が出来そうにない。
錬金術ってあれでしょ?
人体錬成ダメなんでしょ? 扉の向こうに持ってかれるんでしょ?
「でも、ダニエルは何で錬金術の勉強なんかしてるんだ? 本気で人造生命体を作ろうとか思ってんの?」
「
人造生命体の話を持ち出した瞬間、ダニエルは興奮したように机を叩く。
いつもは紳士的な物腰の彼が、魔術の一分野で豹変する姿を見て、所長は目を見開いた。錬金術のどこに彼が希求する物があるのだろうかと、割と真剣に考える程度には。
しかし、俺はダニエルがこんな感じになる傾向を知っている。ダニエルの興奮具合と、ホムンクルス云々の話だけで、コイツが何をしようとしているのを理解しただけだ。
俺は溜息をつく。
「アインツベルン家のホムンクルスの情報は一通り目を通しました。実に素晴らしい! 最高とも言っていい! 確かに錬金術で作った人型の生命を『人間』と定義するのは難しいでしょう。ましてや、生命の創造など、現代社会では大罪と忌避される行為です。ですが、そんなのは関係ない! 私はホムンクルスをこの手で創造したい! そう──」
喜々として掲げるのは方眼紙のノート。
そこにはダニエルの執念を感じ取れるほどに、ノートびっしりに文字が書かれていた。
「──妹系幼女を作り出す……!」
「やっぱりか、このロリコンが」
それはロリコンを拗らせ過ぎた変態紳士の姿だった。
良く目視すると、ノートには彼が思い描く幼女を事細かに記した、言わば犯罪記録と呼べる代物だった。
身長や体重、髪の色から、瞳の色。それだけだったらギリアウトだったのだが、口調や学歴設定、好きな食べ物、スリーサイズ、太腿の大きさ、性格などがパッと見ただけで知ることが出来る。
しかもノートはそれだけじゃない。
机には広辞苑数冊分のノートが積まれている。
そしてロリの素晴らしさを小十時間語りだすダニエルを他所に、俺達はひっそりとダニエルの部屋から退避する。幸いにも妹系幼女のジャンルを語る変態には気づかれなかった。
車椅子を引く俺に、所長はジト目で睨んできた。
「……別にアンタ達が魔術の道を目指すのは勝手だけど、それが一般人に露呈することだけはしないでよ。神秘の度合いが下がっちゃうし、粛正の対象になるんだから」
「お気遣いどうも。ところで所長」
「何?」
「そこで聖晶石を食ってる花子を、『まだまだ青二才の未熟者』と評価する連中が闊歩してる鹿児島県民を、果たして『一般人』とカテゴリーしてもいいんだろうか?」
答えは返って来なかった。
【コイツ等の幸運】
マイケル……若干低い。コイツが悲観主義な理由もそれ。
ジョン……週に一回茶柱が立つレベルには幸運
ボブ……幸運の化物。十連ガチャ引いたら☆5サーヴァントが最低でも5.6体は必ず出る。
ダニエル……「──私的には『のじゃロリ』という分野にも好感を持てます。数千の時を生きながらも、その在り方は幼子のよう。特に外見が背伸びしているようにも見えて、大変微笑ましい。私の幼女に対する愛は体型が主であり、私がホムンクルスを創造する際には体型が成長しないよう──」
花子……過去が不幸の塊。そのうち分かるよ。