とりあえずサクっと人理修復   作:十六夜やと

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 どうもお久しぶりです十六夜やとです。

 風邪引きました。
 だから投稿します。

 次回は決戦前夜です。
 某暴君と主人公の会話です。


暴君とキチガイ

「──レイシフト完了っと」

 

「敵のど真ん中」

 

「言うなよ脳筋マスター。悲しくなるから」

 

 不吉な言葉を残してうま〇棒を頬張る花子を諫めながら、俺は周囲に気を配る。それは一緒にレイシフトしてきたマシュは勿論のこと、ゲーマー姉妹の片割れたるレティシアや、早く人を斬りたくて仕方がない沖田さんも、同じように警戒を解かない。

 俺達がレイシフトしたのは、ひらけた森の中。若干だが木の生えていないスペースであり、野宿やら何かをするには適した広さを持つ場所だった。あまりにも不自然な空間だったため、俺は勝手に『当時のローマ軍が何らかの軍事目的で使用していた』と邪推する。兵などを隠すにはぴったりの広さだしな。

 野営にぴったりな場所を選んで転送してきたあたり、新生レイシフトシステムの正確さを伺える。

 

 それにしても、これが約2000年前の森林かぁ。

 我等が故郷のド田舎の森と大して変わらんな。若干だが空気が澄んでいるくらいか?

 

「……マシュは通信機器の調整を。レティシアは寝床の確保」

 

「了承しました、先輩!」

 

「要はテントを立てろってことでしょ? ……普通女の子にやらせる?」

 

 俺の指示にマシュはピシッと敬礼し、レティシアは不満を表す。後者はブツブツ愚痴を零しながらも、ちゃんとテントを立てるための骨組みを用意するんだから、生粋のツンデレ少女ここに極まれりって感じだ。

 

 紳士なら女性に力仕事を押し付けないだろうが、俺は自他共に認めるクズ野郎なので、立っている人間は親でもサーヴァントでも躊躇なく使う。

 俺は厚めの皮手袋をはめながら、竜の魔女を煽る。

 

「別に俺がテント立てるのやってもいいんだぜ? 元聖女様が日曜大工やってくれるんならな。お前だって俺が乗るための荷台を作りたくはないだろう?」

 

「……テント立てる」

 

「納得してくれたのなら結構」

 

 俺は作業を始めたレティシアを横目に、手の空いている二人にも指示を出す。

 というか、二人のが一番重要な仕事だったりする。

 

 

 

「よし、二人はバーベキューの用意よろしく」

 

「「はーい」」

 

「ちょっと待ってや、クソ雑魚セクハラ変態マスター」

 

 

 

 謂れのない誹謗中傷を浴びせてくる、テント立て係。失礼な、俺がセクハラしたのは後にも先にも白い方の聖女様だけだぞ。しかも合意の上だ。

 俺は黒いのを無視して、二人に詳細な指示を伝えた。

 

「沖田さんはそこの野菜を洗って来てくんない? 確か近くに川があったし、それ採れたての野菜だから泥も少しついてるからさ。野菜のつまみ食いも許す」

 

「マスターの作った、あのタレをつけて食べるんですよね? つまみ食いなんてしませんよ。もったいないじゃないですか」

 

「花子は動物を狩って来い。そういうの得意だろ?」

 

「わかった」

 

 近所のババアより継承された秘伝のタレの虜になってしまった沖田さんと、よく狩猟会のジジイ共と素手で熊狩りしてた花子は、俺のお願いを喜んで引き受ける。スキップしながら川へ向かう新選組の人斬り侍と、残像を置いて走り出す花子を見送り、作業に戻る俺。

 レティシアは何か言いたそうにしていたが、複雑な表情を浮かべながら作業に戻る。

 何を呑気にバーベキューしてんの!?というツッコミ魂と、でも炭火の肉を食いたいという欲望がせめぎ合い、後者が勝利したのだろう。竜の魔女様の心境の何と読みやすいことか。ちょっろ。

 

 とは言っても俺の作業は、最初の二人よりも重労働であり、物凄く時間がかかる。

 先に仕事を終えたマシュとレティシアは、設置したカルデアとの通信システム経由で、狩りゲームを楽しんでいた。ちなみに参加プレイヤーは盾の後輩と竜の魔女、暇を持て余した医療チームのホープや技術班の不良少年だ。

 

 何やら所長の怒号が聞こえるが気にしない。

 俺は彼女等の笑顔を背景に、黙々と作業を続けるのだった。

 

 

 

   ♦♦♦

 

 

 

「花子、俺は食える動物を狩って来いって言ったな?」

 

「うん」

 

「つまり、お前は俺が女を(性的に)食うと思ってるわけだな?」

 

「うん」

 

 何断言してやがんだ、この脳筋クソマスターが。

 俺は花子が狩って来た(と本人は言っている)獲物を前に、怒りを通り越して呆れるしかなかった。

 

 足元に転がってるのは金髪の女性。現地の方なのは明白として、赤を基調とした服を身に纏う綺麗な人だった。割ときわどい衣服なので娼婦か何かかと思ったが、それにしては服の素材が上等すぎる。まぁ、その服もボロボロであり、さらにエッチ度が増しているんだが。

 しかし、ボロボロであっても彼女の美しさは損なわれない。

 コイツ本当はどっかの貴族の令嬢でも攫って来たんじゃないだろうな?

 

 彼女の扱いに困っていると、野菜を洗ってきた沖田さんが帰還する。

 幕末の少女は俺と花子と今日の肉(仮)を交互に見て、首を傾げた。

 

「……? 私に人肉を食す趣味はないですよ?」

 

「俺にもないけどね」

 

 あってたまるか。

 さすがにカニバリズムを掲げるほどのキチガイじゃない。

 

 沖田さんもそれを分かってて冗談を言ったのだろう。……本当にそうだよな?

 洗った野菜の入ったかごを地面に下ろし、ついでに汲んできた水入りバケツの一つを掲げた彼女は、何の躊躇もなく中身を気絶した女性にぶちまけた。

 

「うわっ、いきなり水かけんじゃねぇよ! 涼しいけど」

 

「これで水も滴る良いマスターにな──」

 

 花が咲いたかのように楽しそうな、年相応の笑みを浮かべた侍少女は、いきなり目を見開いた。漫画なら集中線が描かれていただろうと考えるくらいには。

 俺も思わず「うっわ……」と表情が引きつった。

 

 そりゃ人斬り侍も注視するだろう。

 水に濡れた赤服の女性は、同性異性問わず見惚れるほどの美しさを醸し出していたからだ。純金色の髪に、陶磁器のように白い肌。整った顔立ち。元々の素材が綺麗というのもあったが、肌に張り付く水滴は彼女の美を際立たせる宝石に相当する。

 これは純真無垢な俺には刺激が強すぎる。えっちすぎます。

 

「つかふと思ったんだけどさ。この人の顔って沖田さんに似てね? というかジャンヌsもそうだけど、英霊組の顔パーツって似たり寄ったりだよなー」

 

「え、それ今言います?」

 

「一理ある」

 

 かなり失礼なことを言った気がするが、遠回しに英霊組の顔面偏差値が高いと言っているのだから許してほしい。綺麗だなーとか、エッッッッッッッッとかいう感想より先に、花子が持ってきた彼女を見た感想は「ジャンヌの3Pカラーかな?」だ。めっちゃ可愛いから不満そのものは感じていないが。

 俺の素朴な疑問に、沖田さんは困惑し、花子は同意する。

 人の顔を覚える記憶力のない花子にとっては、顔が似通っているというのは、俺達が思っている以上に苦痛だろう。この前聞いた話によると、花子は英霊組を色で覚えているとか。ジャンヌは白、レティシアは黒、沖田さんは水色、マシュは茄子色らしい。レティシアが黄色い服を着ていた時に、彼女を「所長」と呼んでレティシアを泣かし、その光景を見ていた所長も泣いていた。

 

 そんな下らない話に花を咲かせていると、今日の夕食(仮)が呻きながら目を開ける。

 エメラルドを淡くしたような瞳を俺達へと向ける。

 

「──っ!? き、貴様等は何だ!? まさか連合の者か!?」

 

「連合って何? ……あぁ、俺はマイケル。そっちが花子で、それが沖田さん。貴女の名前を教えて下さいな」

 

 とりあえず敵意がないことと、簡単な自己紹介をする。連合という単語に引っかかったが、まずは彼女がどこの誰なのか、そして俺は花子のやらかしをどこに謝らなければならないのかを確認することが優先だ。

 

 彼女はバッと立ち上がって高らかに名乗る。

 左手を自分に向け、右手を羽のように広げる姿は、どこかのオペラ歌手のようだ。

 

「余がっ! 余、こそがっ! ローマの全てにして、ローマそのもの! ローマ皇帝・ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクスであるっ!」

 

「」

 

 皇帝かよおおおおおおおおおおおおおおお!!??

 

 

 




【コイツ等の知ってるカルデア小ネタ集】

マイケル……カルデアで開設している食堂『マイケル処』の職員で一番人気なメニューは「鶏飯」
ジョン……カルデアには全員にそれぞれ個室があるが、所長の部屋が一番小さく、所長の部屋だけWi-Fiが届いてない。
ボブ……カルデアの地下に『ボブ・ポッターと秘密の部屋』と称した実験施設がある。実験内容は「魔力をポテトフライで確保する方法」
ダニエル……ロマンの推しのネットアイドルとメル友。
花子……この前間違えて冬木で獲得した聖杯を握り潰したので、紙コップに魔力を注いで聖杯代わりにしている。
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