とりあえずサクっと人理修復   作:十六夜やと

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 どうも、十六夜やとです。
 まだ風邪が治りません。どういうこっちゃ。
 とりあえずスローペースなこの作品ですが、私が運転免許証を取得したら多少投稿スピードが上がるかと。

 今回は決戦前夜。
 次回は……その、はい。お祭りです。


皇帝は聞く相手を間違える

 草木も寝静まる丑三つ時──訂正、大体23時ちょい過ぎくらい。

 明日の作戦決行前に十分な睡眠は必要。そのため、カルデアのマスター&サーヴァントはレティシアの設置したテントの中で英気を養う。簡単に言うと寝てる。テントそのものが物凄く大きく、10人寝ても余裕があるレベルなので、各々が自分の布団などを敷いて寝ているだろう。

 そりゃ、バーベキューであんなに馬鹿騒ぎしてたら寝るのも早い。

 

 肝心の俺は荷台の調整を行っていた。

 今回の特異点でしか使わないアイテムだが、使い捨てだからこそ調整が必要なのだ。

 

 俺は黙々と作業する。

 ひっそりと、静かに。

 彼女等の眠りを妨げるのは酷だろう。

 

 

 

 ウィイイイイイイイイイイイイイイイイガガガガガガガガガガガガガガガガウィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイガガガガガガガガガガガガガガガウィガガガガガガガガッガガガ

 

 

 

「ん? 皇帝陛下おはよう。まだ寝ててもいいぞ?」

 

「それを本気で言っておるのか? え、マジで? え?」

 

 荷台作りに飽きた俺がチェーンソーアートで遊んでいると、自称皇帝陛下が恨めしげに起きてきた。『余だよ♡』と日本語で書かれた白いTシャツ、黒のハーフパンツ、カルデアから至急取り寄せた『ばすたー』のパーカー……要するに『カルデア英霊だらだらセット』に身を包む皇帝は、一見するとめっちゃ可愛い女子高生にしか映らないだろう。

 皇帝は俺が用意した光源の近くに腰を下ろす。

 光源はただの古びたカンテラにしか見えないだろうが、これはボブのポテトフライ実験の副産物で誕生した『半径五キロ以内に虫を寄せ付けないライト』である。魔術ってスゲー。

 

 荷台側面にチェーンソーアートで薔薇をほどこした俺は、そこそこの出来栄えに満足しながらチェーンソーを地面に置いて、紅いペンキで色付けを開始する。

 只の荷台じゃ面白くない。

 

「──余は、間違ってしまったのだろうか?」

 

「ん? 何が?」

 

 薔薇が掘られていない部分に金箔を貼りつけていると、体育座りで俺の様子を見ていた皇帝陛下が、力なくボソッと呟くのが耳に入った。今日出会っただけの関係ではあったが、その短時間でも『自分がめっちゃ大好き』という印象を抱くほどの人物だと記憶していただけに、正直彼女の発言は予想外だった。

 さっきまで、バーベキューの光景に歓喜乱舞し、俺の分の食事まで平らげた少女だとは思えん。

 

 俺は荷台のタイヤにイルミネーションで使う豆電球をつける作業を続けている。

 そのため彼女の顔は見えない。あえて見ないと言った方が正しいか。

 

「話したであろう? 余のローマを簒奪した連合、その王は……」

 

「ロムルス、だっけ? ローマ帝国を建国した凄い人……って認識しかないんだが」

 

「何おうっ!?」

 

 ロムルス誰それ美味しいの?

 荷台の中に45口径51cm連装砲を取り付けながら、適当に返した俺の反応が気に食わなかったのだろう。一転してネロ・クラウディウスはロムルスという人物についての歴史を語る。さすがに作業しながら聞くのは無礼だと思ったので、道具を置いて彼女の言葉に耳を傾けたが、それが間違いだと後になって気づく。

 俺が相槌をうったり、時折質問したり、素直な感想を述べるものだから、皇帝陛下のロムルス話はヒートアップしてしまった。ついでに連合に所属しているカリギュラやカエサルの話にも飛び火する。

 

 話は長かった。

 俺が荷台の後方にジェットエンジンを設置する作業に戻るのは日付が変わった後だった。

 

「そんで? その建国の王がどうしたって?」

 

「……余は、負けてしまった。ローマを奪われてしまった。せっかく余を支えてくれた者達──スパルタクスや呂布、荊軻……そしてブーディカ。そのような者たちまで失ってしまった。余はロムルスに会った。……あぁ、彼の建国王は偉大であった。余は──連合に下りたいとさえ思ってしまったのだ」

 

「そんな凄い人と今から戦うのか。面倒臭ぇ、俺も下っていいか?」

 

 俺は荷台側面の片方に丸十字の旗を掛けながら嘯く。俺の言葉は冗談半分であったが、それは赤の皇帝を笑わせるには不足していた。

 いや、さらに自虐的にしてしまったというのが正しいだろう。また作業に戻っているため皇帝の顔は見えないが、小さな体をさらに小さくしているに違いない。

 

「逃げながら連合の街を転々とした。連合の民には笑顔がない。それは余には許せぬが、ロムルスの統治は完璧であった。許せぬという感情は変わらぬが、国を奪われた余が言う資格が果たしてあるのだろうか? 敗者である余が、ロムルスの統治を批判する資格があるのだろうか?」

 

「知らんがな。確かに、今の陛下が批判したところで、その統治すら出来なかった奴が何言ってんの?……とは思われるだろうがな」

 

「そう……だな……。連合に負け、ローマを失い、惨めに逃げて、余は考えてしまった。余は、余のしてきたことは、間違いだったのではないか、とな。マイケルよ、余は間違っていたのだろうか? 偉大なるロムルス王に抵抗した余の判断は、間違っていたのか?」

 

 あの自信家の彼女にここまで言わせるロムルスという王は、確かに偉大だったのだろう。負けて、奪われて、逃げて、逃げて、逃げて。彼女は自分のしてきたことそのものに、彼女の人生そのものに自信が持てなくなってしまった、と。

 見ず知らずの、信用に置けるとは到底思えない俺に、そんな弱音を吐いてしまうほどには。それとも誰でもいいから聞いてほしかったのだろうか? 自分がしてきたことが全て無意味だった──まぁ、誰だって気落ちしてしまう事実なのは否定できない。

 

 俺としては聞く相手を間違えていると思うが。

 連装砲の上に紅白歌合戦で使われた小林〇子像をこしらえながら、溜息交じりに肯定の問いに答えた。

 

「それを民主主義の信奉者である俺に聞くこと自体間違ってると思うけどね。陛下の良し悪しなんざ、後世の歴史家が決めることであって、俺や陛下が疑問に思うことじゃねぇと思うが。それに──」

 

「それに?」

 

()()()()()()()()()()。それに、口ではなんだかんだ言っているけど、皇帝陛下も諦めてちゃいないだろう? まだロムルスん所言って膝突いてない皇帝陛下の弱音には、あんまり説得力がないと思うがなぁ」

 

「──っ!?」

 

「んー、あれ何の漫画の台詞だったけ? ──皇帝陛下、アンタは敗者じゃない。何故ならまだ皇帝陛下は 諦めきれずにそこに座って居るからだ。いいか? 陛下が連合という強大な敵に対して、一歩でも立ち向かおうとしている限り、人間の魂ってのは真に敗北する事など断じて無い、ってことよ」

 

 俺は小〇幸子像の目にビーム兵装を取り付けながら、似合わないキメ台詞を放つ。言葉的にはマジで格好いいのだが、どうも俺が言うと型落ちしてしまうのが悲しいな。

 

「まぁ、安心しなって皇帝陛下。俺達と陛下の目的は大半が一緒だ。カルデアメンバーがアンタの味方なんだよ。ローマ帝国復興は目の前だぞ」

 

「……連合軍を前にその台詞。可能なのか?」

 

「おいおい、可能とか言うレベルじゃないぜ?」

 

 皇帝の言葉に弱弱しさが見えたが、俺はオプションを付け過ぎて目的を見失った荷台を眺めながら笑う。

 平和ボケしてしまった現代日本の若造の一人だと思っており、自分の祖先がやらかしてきた無謀かつ頭のおかしい言動を嘲笑ってきた俺だが、どうやら俺達の本質というものは変わらないらしい。それがおかしくもあり、尊敬する先達者もこのような気持ちだったのだろうかと考えるほどには。

 

 

 

「──確かにローマの兵は強いだろうよ。だが、こっちは寝ても覚めても殺し合うことしかしなかった島国の侍の末裔ぞ? 今も昔も、薩摩兵子(さつまへご)の目的は何一つ変わっちゃいない。御大将(ロムルス)の首を()る、ただそれだけさ」

 

 

 

 それは、島国の一地方が強大な帝国に放つ宣戦布告と同義だった。

 いつも通りだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ。ローマは世界、世界はローマ。実質、薩摩もローマじゃん」

 

「いや、薩摩はいらん」

 

 

 

 




【Fate/stay nightを見たコイツ等の感想】

マイケル……士郎も十分キチガイだし、俺達実質普通じゃね?
ジョン……キャスターマッマでオギャれる。
ボブ……セイバーかなりまな板だよコレ!
ダニエル……英雄王絶対許しません(イリヤの場面を視聴しながら)。
花子……英霊ってそこまで強くないんだ。
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