どうも、十六夜やとです。
キチガイ他三人にそれぞれ鯖契約させるか、それとも二人目召喚してマシュ・オルタ・三人目で特異点攻略を目指すか悩んでます。ちなみに今作ではフレポの鯖は召喚できない設定となっております。人類のフレンズが焼却されてるんで。
今回はボス視点のボス戦となります。可哀そうに。
次回は杉田大活躍。可哀そうに。
私は静かに聖杯に背を向けて俯く。
淡く、そして強く輝く金色の杯は、薄暗い洞窟を鈍く照らすが、私はあえて万能の願望器に背を向けていた。アーチャーが消滅したのは既に知っているため、洞窟前で待機しているであろう外来の異邦人を迎える形を取っているのだ。
地面に刺した聖剣の柄を握る力が強くなる。
聖杯戦争に水を差し、聖杯に毒を入れた人ならざる者は語った。
この時代に特異点を作り、人理を焼却せよ、と。
所詮は聖杯に招かれた英霊の現身のため、供給源そのものに毒を入れられた私達サーヴァントに抵抗するすべはなかった。加えて監視もされている。
キャスターを除く他のサーヴァントは闇に染まり、私でさえも自我を保つのがやっと。せめて今の特異点を維持し、来訪者に望みを託そうとし、カルデアのマスターがレイシフトして来たことで私の目的の半分は達成している。
問題はカルデアのマスターが『グランドオーダー』を達成する器であるかどうか、だ。
生半可な人間では──それこそ『英雄』たらしめる存在でもなければ、
それこそ私を討つことすらままならない惰弱には不可能だ。
故に私は聖杯の前で待つ。
異邦の者を迎え撃つために。
さて、カルデアのマスターはどのように来るだろうか? 搦め手を使ってくるのか、真っ向勝負を挑んで来るのか。
そう考えていると洞窟の入り口から一組の少年少女が現れた。
盾を持つ小娘と黒髪の小僧だ。
……ほう、面白い。
彼の湖の騎士の息子を宿した小娘か。汚れ無き円卓の騎士を彷彿とさせる。
そのような感慨深い気持ちに浸っていると、マスターらしき小僧が懐から何かを取り出す。それは折り畳まれた紙のようなもので、開きながら小娘に何か耳打ちをする。何を書いているかまでは読むことが出来ない。
しかし、私の直感が不思議なほどに警報を鳴らしている。ただ紙を出して広げただけ、ただそれだけなのに、どうしてこうも不安になるのだろうか?
小僧は咳払いをした後、大きな声で紙に書かれた内容を読み上げる。
それは洞窟によく響いた。
「──それは全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷──顕現せよ、『
「えーと、マーリン監修『王の話を語るとしよう~私生活の秘密を丸裸編~』」
「
脳が理解するよりも先に私は宝具を使用する。
カルデアのマスターの力量を試すだとか、己のかつて抱いた願いだとか、小僧が宝具を撃ってくることを予想して防御を固めていただとか、んなのはどうでも良かった。
とにかく口を開こうとしている小僧を宝具で跡形もなく吹き飛ばすことこそが最優先事項であると判断したからだ。自然と自分が持ちうる全魔力を聖剣へと注ぎ込んでいた。
なぜカルデアのマスターが知っている!?
思い当たる秘密が多すぎて、カルデアのマスターが何を口にするかが全く予想できなかった。
もしやマーリンのアホが直々に教えたのか!?……十分あり得る。だからこそ、私は
非力な小娘の外見と相反するように、かつてはバラバラとなった円卓は、砕けることなく聖剣の魔力を受け止める。それは反転した私への壮大な皮肉とも呼べるが、同時に私が渇望したものだったのかもしれない。
細い腕は確かに星の一撃に耐えていた
「頑張れ頑張れできるできる絶対できる頑張れもっとやれるって、やれる気持ちの問題だ頑張れ頑張れそこだ! そこで諦めるな絶対に頑張れ積極的にポジティブに頑張る頑張る、北京だって頑張ってるんだから!」
「は、はいっ……うああああああああああ!!」
やがて魔力は尽き、肩で呼吸する私の前には、盾の少女と諸悪の根源たる小僧が健在であった。しかし、盾の少女は小僧に支えられて立つのがやっとという具合だ。
奇襲は素晴らしかったが、所詮はその程度だ。
これでは人理の修復どころか、特異点の解決すらおぼつかない。
「──っ!?」
「へぇ……! 天下のアーサー王様にしては、ちょっとばかり隙が多すぎるんじゃない……!?」
直感のスキルの御蔭だろう。
とっさに反応したことで致命傷は免れたが、大きく弾き飛ばされる。
追撃を防ぐために受け身を取って態勢を立て直すが、奇襲を仕掛けてきた白髪の英霊の顔を目視したことが最大の敗因だった。
「はっ──!?」
「笑ってる余裕があんの? あぁ!?」
それを
互いに剣を出して鍔迫り合いが起こる。本来ならば星の聖剣の前に生半可な武具などないに等しいのだが、鼻眼鏡の無様な顔をちらつかせているせいなのか、聖剣を握る力が上手く入らない。
あと個人的にその胸も気に入らない。
「貴様には恥じらいという概念が存在しないようだな……!」
「生憎だけど恥じらいとかそんなもん気にするようなマスターじゃないんでね……! アンタのようなスカした王様ボコれるんなら、あのクソみたいな令呪に意味があるってもんよ! 勝てば官軍じゃあああああ!」
自暴自棄にも受け取れる攻撃ではあるものの、鼻眼鏡を見る度に力が抜けてしまうためか、上手く目の前のクソ女を屠ることが叶わない。
その結果が何十合と続く打ち合いであり、ついには腹に蹴りを入れられる始末。
こんな
「確かにこりゃ『騎士の果たし合い』じゃなく『戦争』だわな。同情するぜ、心から、な。焼き尽くせ木々の巨人――『
「──っ!? 貴様キャスターかっ!」
「じゃなかったら何だってんだよ!」
直後、私の足元から無数の細木の枝が生え、拘束するかのように形作り、やがてそれは植物で構成された構成された巨人へと変貌する。形を成した巨人は炎を纏い、檻状になった胸部に拘束される私を有しながら荒れ狂う。
この宝具はドルイド信仰における人身御供の祭儀が大本となっており、ルーン魔術ではなく、キャスターを『ケルトの魔術師』たらしめるものなのだろう。
つまりキャスターは光の御子だと推測する。
抜け出そうと檻を切り刻もうと試みるが、どうにも上手くいかない。盾の少女との戦闘で想像以上に魔力を使ったようだ。
ケルトの魔術師は鼻で笑う。
「いつものテメェならまだしも、嬢ちゃんに全力出した奴に俺の檻は壊せねぇぞ? 不本意ながらキャスターしてるとはいえ、何も弱くなったわけじゃねぇ!」
「だが私は対魔力が高い。貴様の宝具で燃やし尽くせると思っているのか?」
「んなわきゃねぇだろ。──だが
キャスターの意味ありげな言葉の真意を理解するよりも早く、この戦闘において何度も発揮した直感が新たな脅威を察知する。しかし、この狭い檻の中ではどうしようもなかったが。
顔を上げるとキャスターの宝具を粉々に粉砕する拳を持つ金髪の小娘が映った。
この描写だと助けに来たように思えるが、神代の魔術師が創造した檻をいとも容易く破壊した拳は、私の鳩尾めがけて振り下ろされた。
なるほど。カルデアのマスターに注意を引きつけ、宝具を打つ最中に三人が洞窟内部に移動、鼻眼鏡の英霊が奇襲することで私を再度誘導し、キャスターが私の動きを封じ、最後に天井に張り付いていた摩訶不思議な小娘が仕留めるわけだ。
「あんぱーんち」
気の抜けた言葉と共に、小娘の拳は私の身体を貫通させ、ついでに大地を穿つ。
洞窟を破壊しかねない衝撃は余波ですら災害となり、聖杯ですら後方に吹っ飛んでしまう。私の下には若干のクレーターが形成され、洞窟の壁に無数の亀裂が生まれる。そもそも初撃で身体に穴の開いた私には関係ないことだが。
あぁ、これは文句のつけようがないだろう。
謎なことが多かれど、カルデアのマスター達は人理を守るに相応しい力があったのだ。これで満足せずして何とする?
致命傷を受けながら消えゆく意識と肉体の中、私はひそかに笑みを浮かべるのであった。
「で、これ誰?」
やっぱ不満が大きい。
【前回よりはマトモな自己紹介】
マシュ・キリエライト……『Fate/GrandOrder』に登場する『