めちゃくちゃになった地球を琴葉姉妹がラジオ放送しながら歩くだけのお話。
けど、情景描写があまりにも難しかったので会話文のみ。



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終わる世界の中空散歩

「火星の皆さん聞こえますか?こちらVOICEROID・タイプGemini・No2 琴葉 葵です。おはようございます。こんにちわ。こんばんわ。いってらっしゃい。おかえりなさい。頑張ってください。お疲れ様でした。また明日。これを聞いている人たちが心安らかに過ごせますよう祈っています」

 

「葵、長いで」

 

「しっ、黙って。えっと、本日は緯度一一一軽度一一一旧アメリカのオレゴン州あたりからお送りします」

 

「はよ行こやー」

 

「お姉ちゃん!ちゃんと挨拶して!」

 

「えぇー、もーええやん。これで何回目の放送やと思ってるん?もう聞き飽きたやろ?なあみんな?………まあ聞いても返事は返ってこんけどなー」

 

「お姉ちゃん………」

 

「あー、わかったから。泣きそうな顔せんといてえな、そんな機能ないやろ?」

 

「泣いてない!」

 

「はいはい………ほなうちはVOICEROID ・タイプGemini・No1琴葉 茜や。今日も一日よろしゅうなー」

 

「では、今日も琴葉姉妹、行ってきます」

 

「……………」

 

「……………」

 

「挨拶終了」

 

「今日はどっちいくん?」

 

「決まってないよ」

 

「やったらいつもどおり、せーので決めよか」

 

「「せーの」」

 

「西」「南」

 

「西南だね」

 

「西南かー海に近づくなぁー」

 

「そうだね。けどまだまだ遠いよ?」

 

「せやなー。うちら最近避けとったもんなー」

 

「まあ、あんなことがあったもんね」

 

「二人一緒に食べられた話なー」

 

「あれはひどかったね」

 

「けどあれやん。あのでっかい魚のお腹ん中に、一つの生態系が出来てたんはびっくりしたなー」

 

「ほんと、魚のお腹の中なんて、信じられないくらい綺麗だったよ」

 

「絶滅しとった生物もいっぱいおったしなー」

 

「クジャク!クジャクが綺麗だった!」

 

「うちは珊瑚が好きやったなー」

 

「お姉ちゃん、よく寝る前に写真見返してるもんね」

 

「それは葵もやん」

 

「あはは、いっしょだね」

 

「せやなっ」

 

「…………」

 

「…………」

 

「けど、それも結局火星に送られたしなー」

 

「いいことじゃん。私達が見つけた資源が、火星の人達の生活に役立ってるんだよ?」

 

「その結果また地球さんが怒って地殻変動が起きたで?」

 

「それは…」

 

「まあ、稼働できてるし儲けもんやけどな」

 

「………それより、ここら辺重力めちゃくちゃだね」

 

「せやなー。お陰で体が軽いわ」

 

「私未だに慣れないよ、浮いてる足場って」

 

「ほんま?アトラクションみたいで楽しいやん」

 

「どこが!?浮いてる岩場を、重力がめちゃくちゃな状況で跳んで渡って行くアトラクションなんて、誰も見向きもしないよ!」

 

「火星の人達もこっち来てやってみればハマるんちゃう?」

 

「絶対無い!それにそもそも人間はここに来れないでしょ?ここら辺、酸素無いし」

 

「アルゴン77%!」

 

「残りは一酸化炭素と窒素だって」

 

「意味わからんわ」

 

「重力場がいくつもあるほうが意味不明だよ」

 

「ぴょいんぴょいん跳ねれるからええやん」

 

「よくない!重力場は目に見えないから、目に見えるもので判断しないといけないのが面倒」

 

「えー、ぱっと見でわかるやん」

 

「そんなのお姉ちゃんだけだよ」

 

「こつがあんねん。例えばあっちの方のあの岩」

 

「うん」

 

「あの岩の付近に重力場が二つあるから、重心の位置があそこにあんねんな。それで上の方に引っ張る力が強いから、こっち向かって反ってんねん。あんだけわかりやすいと、岩の質量と重心の位置から、二方向の重力差が計算できるから、後は一番安定しとるところに着地するだけやね」

 

「…………」

 

「他にはああいう水平になってる平たい岩は注意やな。宙に浮いとるんやから、一応重力の釣り合いは取れとる。やけどどんだけの太さで、どの方向に引っ張っとるんかわからんから、なるべく真ん中付近に着地する事。端っこ過ぎたら岩ごとひっくり返るで?」

 

「ごめん、何一つ伝わらない」

 

「そうか、それやったらお姉ちゃんの後、ついてき」

 

「うん」

 

「こっから落ちたらどうなるんやろな?」

 

「あっちこっちの重量場に引っ張られて、くるくる回った後、一番大きな力を持ってる岩場に叩きつけられるよ」

 

「うそやん!なんでそんな事知っとるん?葵?」

 

「昔お姉ちゃんが好奇心に釣られて落ちたからでしょ!」

 

「そんなん覚えてへんわ」

 

「どうして忘れられるの!?確かにお姉ちゃん気絶してたけど、私達が起きた事を忘れるわけないでしょ!?」

 

「ロボットやしな。多分データ漁ったらどっかにあると思うんやけど面倒やしなー」

 

「相変わらず適当だね」

 

「それがうちや」

 

「胸張らないで」

 

「エッヘン」

 

「ドヤ顔禁止」

 

「葵はかわええなー」

 

「誤魔化すのも禁止!まったく、その適当さで私がどれだけ苦労してると」

 

「けど葵かって音声届けてへん時、結構適当やん」

 

「へっ?」

 

「この前やって資源あったのに、見向きもせえへんと逆さに登ってく滝見てはしゃいでたやん」

 

「ばっ!?ちょっとぉ!」

 

「そんで、はしゃぎまくって滝に近づいたと思ったら河童に……」

 

「わーー!!わあぁぁー!!しゅ、終了!今日の放送!終了!!」

 

「あはは、やって?」

 

「も、もう充電もないしぃ!ご飯食べてスリープモードに入らないと!だから今日はここまで!!」

 

「しゃあないなぁ?みんな、堪忍な」

 

「お姉ちゃん!」

 

「はいはい、それじゃあ…さいなら」

 

「ま、また明日!」



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