やめて!!白金燐子と九条桐花の行動によって氷川紗夜に怒られちゃったら!
現状を理解出来ていない九条奏多の精神が燃え尽きちゃう!!!
お願い!(精神的に)死なないで奏多!!
あんたが居なくなったら燐子との約束はどうするの!!?
怒られるまでの時間はまだ残っている!これを乗り切れば何とかなるんだからっ!!!
次回!
『九条奏多死す』
デュエルスタンバイ!!!
奏多「・・・いや、死なないから!」
Kai『たまには面白いだろ?』
「いやいやなんでいるのよ。本授けて消えたんじゃないの?」
『あいにく僕は作者だ。君に物語の進行はさずけたけど別に消えてはないさ。どこかのグランドキャスターみたいに君の物語を見させてもらうよ。さぁ、君の話をするとしよう。』
「爆死したからってマー○ンのモノマネしないでください。」
『(´;ω;`)』
「早く本編初めてよ。ここでぐだぐだしてたら読者に悪い。」
『仕方ないなぁ奏多くんは。さて、本編どうぞ!』
・・・さて、そんな謎の前書きがあった訳だが現状はその通りと言っても過言ではない。
片方に燐子、片方にキリちゃん、そして背後にはものすごい覇気を纏った紗夜。
はっきり言おう、大ピンチである。
両手に華となったこの状況がどうやって作られたのかわからない。
昨日燐子と話してから記憶が無いので恐らく寝落ちしてしまったのだろう。
そこまでは考えられるし、紗夜も燐子が気遣って動けなかったとわかってくれるはずなのでもし燐子と一緒に寝ていたのならそれで話が済んだのかもしれない。
そう、『それだけなら』話は済んだのだ。
しかし僕の右側には何故かキリちゃんがいる。
キリちゃんは確か僕の部屋で先に寝ていたはずなのだ。
それなのに何故か今はここで寝ている。
これでは僕にその気がなかっとしても普通こんな状況を他人に見られたら普通如何わしいことをしたのではないかと怪しまれる。
実際僕の背後にいる紗夜の覇気が物語っているのだ。
さて・・・どう言い訳しよう。
2人を起こすにもなんか気が悪いし、2人に余計な責任は押し付けたくない。
とりあえず話すことが先決か。
「それで九条さん、これは一体どういう状況なんです?」
「さ、紗夜こそなんでこんな時間に?確かにいつでも来ていいとは言ったけど早すぎやしないかな?」
「やはり心配になって昨日湊さんに無理を言って鍵を借りたんです。それに昨日の夜確認をとったはずですが?」
「え?そんなの僕知らないよ?」
「あれ?昨日の深夜に既読がついて『了解』とスタンプが送られてきたのですが?」
紗夜がスマホの画面を見せる。
確かに僕の所に紗夜がメッセージが送っていて、それに僕が『了解!』とスタンプを送っている。
しかしスタンプが送られた時間を見るとその時間はもう寝ていた頃だし、そもそも僕はあまりスタンプを使わないタイプだ、明らかおかしい。
「僕これ送ってないよ?」
「けどこれは九条さんとの会話ですよね。」
「いや、全く身に覚えがない・・・」
すると右側で僕によりかかって寝ていたキリちゃんが目を覚ました。
「むにゃぁ・・・あ、おはようございますお兄様。」
「えっとキリちゃん?僕の部屋で寝ていたはずの君がなんでここに?」
「えっと、夜に喉が渇いてお水飲んだらお兄様とお姉様がここで寝ていて・・・写真を一枚撮ったあとお兄様のスマホに通知が来ていたので適当に返して羨ましかったのと部屋に戻るのがめんどくさかったのでここで寝させてもらいましたぁ・・・もうちょっと寝まぁす・・・」
そう言ってキリちゃんはこてんとまた僕の肩によりかかって寝てしまった。
・・・うん、全てが繋がった。
僕はキリちゃんが1度起きたことで自由になった右手を使ってゆっくり燐子が掴んでいた左手を引き抜くとキリちゃんの顔に左手を当てて指に力を入れた。
そう、世にいう『アイアンクロー』である。
「あいたたたたっ!痛いですお兄様ぁ!!」
「うん、やめて欲しかったらとりあえず起きて事情説明してもらおうかな?」
「わかりましたぁ!わかりましたからぁ!!」
「・・・九条さん、結構大胆なんですね・・・」
紗夜が呆れてそう言った。
昔からキリちゃんはこうして暴走しがちなので、シゲさんが暴走を止められないせいなのもあって、こうやって止めるのが昔からの役目だった。
昔自閉的だった僕でも親戚だったからこそ出来た所業である。
「とりあえず白金さんも起こしましょうか。このことをしっかり説明してもらいますので。」
「は、はーい・・・」
というわけで燐子にも起きてもらって(起きた瞬間の状況に少しパニックになって落ち着くのに時間はかかったが)全員紗夜の前で正座している。
世にいう『お説教タイム』である。
「さて、ことの経緯を教えてもらいましょうか。」
「はい・・・昨日の夜、キリちゃんが寝たあと・・・私と奏多くんと話していて・・・ 」
「その途中にある事があったせいで精神的に疲れちゃってた僕が寝落ちしちゃって・・・」
「お姉様も動けずじまいで寝てしまわれたようで、キリが水飲みに起きて来た時には寄り添いあって寝ていました!なので写真を一枚撮ったあとお兄様のスマホに通知が来ていたのでキリが代表して返信してお兄様に寄り添って寝てました!」
キリちゃん反省の色ゼロである。
さっきまでの悪かったことをすぐ忘れることが出来る。
彼女の良い点でもあり、欠点でもある。
「聞いた話だと今回の件は全員に非があるようですね。」
「「「は、はい・・・」」」
「あと白金さん、あなたから見てどう感じましたか?」
「は、はい・・・!えっと・・・確かにキリちゃんは少し危なっかしいけど・・・女の子としての嗜みはしっかりしてたし・・・大丈夫だと思います・・・」
「いずれは立派なレディーになるでぃすてぃにーですか!」
「うん、キリちゃんすこしだまってよか。」
キリちゃんの流れに乗せられては話が進まないからね。
とりあえず燐子の意見を聞いたうちの風紀委員は少し考えたあと軽くため息をついて結論を出した。
「まぁ、やましいことも起きなさそうですし、九条さんも桐花さんに対しての対処法はしっかり出来ていそうですから大丈夫でしょう。今回のことは目を瞑りますが、今後こういったことが起きないように気をつけてください。」
「「はーい」」
僕とキリちゃんが返事を返す。
まぁ紗夜も朝早くから来てくれたわけだし、朝食でもご馳走するか。
「とにかく僕達は朝ごはんだね。紗夜も食べていきなよ。」
「そうですね・・・お言葉に甘えさせてもらいます。」
「よし、待っててすぐ作るから。」
僕は吊るしてあるエプロンを着るとキッチンの前へ向かった。
・・・キッチンに経つ直前、紗夜が「写真後で送って貰えますか?」と言っていたのは空耳だろうか・・・空見であって欲しい・・・
さて、調理するのはいいのだが昨日キリちゃんが来る前にシゲさんからあるものが送られて来ていた。
受け取ってすぐ勉強会に出たので中身は確認していなかったが、昨日の夜見てみると中には何故か夏野菜類が入っていた。
添えられていた手紙を見ると『沖縄来ててなんか気分が乗ったから送るわ!それとうちの愛娘をよろしく!!』と書かれていた。
今は3月とはいえ、沖縄の方では暖かくなる頃なのだろう。
かと言ってこちらでは季節外れの夏野菜を送られてどうしようか悩んでいたところ、ちょうどゴーヤがあったのでこれで簡単なごはんのお供を作ることに。
まずはゴーヤをみんながよく知るあの形に切りそろえ、塩を降って揉み込む。
この時に出るアクが苦味の原因となるのだが、取りすぎるとゴーヤ独特の苦味が薄れてしまう。
しかし今回はしっかりと搾り取り、軽く茹でて水洗いする。
そして水を切ってそこにツナ缶、マヨネーズを入れてよく和える。
これで完成。
名前は特に考えてなかったが・・・まぁ、仮として『ツナマヨゴーヤ』と名付けておこう。
ツナマヨと和えることで苦味を感じなくさせつつ、ゴーヤの食感や風味を味わうことが出来る。
そしてこれが何より白ご飯と合うのだ。
そういえば友希那はゴーヤ苦手と言っていたので、今度やるのありだな・・・
まぁ、そんなこんなであとは白ご飯、味噌汁、卵焼きなど適当なものを作ってみんなの前に出した。
「とりあえず出来たよ。後片付けとかするから先食べてて。」
「私も手伝いま・・・」
「氷川さん・・・ここは有難くいただきましょう・・・奏多くん、こういうところ変に頑固なので・・・」
「そうです!お兄様は昔から変なところだけ頑固なところあるんです!とにかくいただきましょう!うわぁ〜お兄様のご飯久しぶりだ〜!」
「・・・ですね、いただきます。」
「いただきます。」
「うん、素直でよろしい!ゆっくりしててね〜」
とりあえず僕は調理器具を軽く洗い、キッチン周りを簡単に整備したあと自宅ポストを確認する。
シゲさんに「マネージャーたるもの音楽関連には目を通すべきだぞ」と言われてから音楽系の雑誌やこの周辺で行われるコンクールなどのチラシが届くようにしている。
ポストの中身を全て取り、部屋に戻ってから確認する。
今日は五通ほどで、4通はあまり関係の無いことだった。
そして最後の1通はコンクールの開催のお知らせだった。
かなり大きなピアノのコンクールで、とても大きい会場で演奏するようだ。
ピアノといえば燐子だが、燐子は人混みが苦手だ。
バンドの演奏中もほかのメンバーがいるのと、客席をあまり意識しないようにしているため演奏出来ているがピアノコンクールは基本ソロでやるため、お客さんの視線が一気に集まる。
まぁ、今までの感じなら拒否するだろうが一応聞いてみるべきか。
「ねぇ燐子。」
「どうしたの?」
「ピアノのコンクールのチラシ来ててさ、これ。」
燐子が橋を置いてチラシを受け取って内容を確認する。
いつも通りならすんなり返して「まだ私には早いかも・・・」と苦笑いして返すのだが・・・
今回は様子が違っていた。
燐子は驚いたような顔をしていた。
チラシを持つ手も震えている。
「このコンクールで・・・この曲・・・あの時とおなじ・・・」
「燐子?どうしたの?」
すると燐子は決心した顔をするとこっちに振り向いた。
「私・・・このコンクール出る・・・!」
突然のその発言に思わず言葉が詰まる。
紗夜も驚いて箸を止めていた。
「出るって・・・その大会かなり大きいコンクールだけど・・・」
「うん・・・しってる・・・私・・・昔このコンクールに出たことあるから・・・」
「白金さんが昔ピアノのコンクールで多くの賞をとってきたのは知っていますが・・・まさかこのコンクールまで出たことがあるとは・・・」
「はい・・・このコンクールに出たいと思ったのは理由があって・・・」
燐子はゆっくりと、その理由を話始めた。
……To be continued
予告
これより無灰は9月までに1期を終わらせるため、怒涛のほぼ連続投稿期間に入ります。
今まで長らくお待たせした分取り戻そうと思いますのでよろしくお願いします。