あ、前話で出てきたツナマヨゴーヤめちゃくちゃ美味しいのでおすすめですぞ
ということでさくっと行っちゃいましょー!
燐子が大きなコンクールに出たいと言い出した。
かなり前にコンクールにはまた出てみたいと言っていたので、今までコンクールのことはちょくちょく話してはいたがどれもやんわり断ってきたので今回も断ると思っていた。
「確かにコンクールにはいつか出たいとは話していましたが・・・随分前の話じゃなかったかしら?」
「うん、それでちょくちょくコンクールのこと言ってはやんわり断られてきたから今回も断るものだと思ってたよ。」
「うん・・・ごめんね、でもコンクールに出る時は・・・このコンクールにしようって決めてたから・・・」
「お姉様、昔出ていたと言ってましたよね。このコンクールや楽曲になにか思い入れがあるのですか?」
みんなが燐子に夢中になって食事を止めている中、自分の食事をあらかた終えたキリちゃんが口を挟んだ。
この子、結構な早食いなのである。
「えっと・・・思い入れとは違うんだけど、その・・・」
燐子が表情を暗くして言葉を詰まらせる。
言いにくい事情でもあるかもしれない。
「しかし白金さん、コンクールは人が沢山来るので苦手と言っていませんでした?」
「それにこの会場、前に入ったことあるけどかなり大きい会場だったよ。あとから調べたらこの街でトップクラスに大きい会場だったし。」
大ガールズバンド時代と言われている現在、その流れに乗っかって古いホールの建て替え工事や新造ホールの建築、ライブハウスの新設が徐々に増えている。
つい最近も商店街の近くにGalaxyというライブハウスが開いたばかりだ。
そんな中、この会場は昔からあるもので歴史あるホールなんだとか。(ゴーグル先生調べ)
とにかくすごく大きな会場なので当然大量のお客さんも来るわけなのである。
「はい・・・参加する人も沢山いますし・・・このコンクールは公開審査なんです・・・かなり有名なコンクールで・・・それを聞きに来るお客さんやプロへのスカウトの人も沢山いるんだ・・・」
「そ、それは凄いですね・・・」
「大勢の前で1人でなにかするなんて・・・キリには不可能ですぅ・・・」
「燐子、本当に大丈夫?平気なの?」
「平気じゃないけど・・・でも・・・」
燐子はそこで1度言葉を止めて、落ち着いてから自分の意思を話した。
「でも私は・・・挑戦したい・・・挑戦してみたいんだ・・・ずっと逃げていたことにも・・・今なら向き合えるような気がするから・・・これもそう、生徒会の話もそう・・・1歩ずつ、でも確実に私自身を変えていきたいって思ったから・・・」
燐子の決意がここにいる3人に深く伝わった。
こんな燐子、久しぶりに見た気がする。
「・・・そう、上手くいくといいわね。」
「氷川さん・・・はい、ありがとうございます・・・!」
「僕も応援する。頑張って、燐子!」
「私もお姉様を応援します!よーし!私も受験頑張らなきゃです!」
燐子がこんなにも頑張ろうとしているのだ。
応援しなきゃ彼氏でも友達でもない。
とにかくこのあとは練習をして、勉強会の後に学校である。
今日花咲川では午前になにか行事ごとがあるらしく、一般生徒は午後からの授業らしい。
「とりあえずこのあとは練習ですね・・・友希那さん達にコンクールのこと・・・話さなきゃな・・・」
「今日は練習の後、ここで勉強会を開きましょうか。桐花さんが受験となれば私たちで見ることが出来ますし、同じ学年の宇田川さんも同い年の子がいれば勉強しやすいでしょうし。」
「うん、わかった。」
「ほんとですか?ありがとうございます!」
「長ばなし・・・しすぎちゃいましたね・・・」
「あー・・・ご飯冷めちゃってるかな・・・まぁいっか、食べよ食べよ!」
というか朝ごはんまだ食べてないので結構空腹なのである。
食べ終えたキリちゃんはともかく僕と紗夜と燐子はまだ残っているのだ、残さず食べなきゃ勿体ない。
「それと〜あの〜紗夜?さっきキリちゃんに撮った写真送ってって言ってなかった?」
「なんのことでしょうか?この写真を見て喜ぶのはあなた達ぐらいですし、何かあった時の脅迫材料にはなりますが。」
「ちょっと紗夜さん?怖くないです?」
「冗談ですよ、早く食べましょう。」
そう言うと紗夜は自分の箸を手に取り、ご飯を口に運んだ。
まぁ白金さんは写っていますが、湊さんに送っても問題ないでしょう。
食事を終え、練習のためいつものCIRCLEへ。
CIRCLEにはもう友希那、リサ、あこが来ていた。
「おはようございます。皆さん珍しく早いですね。」
「まぁね〜ちょっとは気になっちゃって・・・」
「紗夜に鍵は預けたけど気になるものは気になるのよ。」
「あこも気になっちゃって!あ、キリりんと話したいから今度泊めてください!」
「僕は構わないけどまずは紗夜の許可取ろうか。」
「ちょっと、なんで私がわざわざ許可を与える役をしないといけないんですか?」
「氷川さん・・・もしかしたら今日みたいなことするかもしれないから・・・じゃないですか?」
というか許可取ろうが取らまいが来そうなのだがそこは置いておく。
というかこのままだと練習始まりそうにないし燐子のコンクールの件も話せないから話をそらさなければ。
「とりあえずこの件は置いといて練習しよ。次のライブまで結構時間はあるけど新曲含めてやることは沢山あるんだからさ。」
「そうね、やることは沢山あるわけだし新曲もいい感じに仕上がっては来ている。」
「『BRAVE JEWEL』・・・まだそれぞれ完璧とは言い難いですが完成すればかなりのものになると思います。」
今Roseliaで練習している曲『BRAVE JEWEL』
これからのRoseliaの進歩と決心を形にした曲である。
それぞれにパートがしっかり分けられており、今までやってきた曲の中でも難易度はかなり高い方だ。
しかしその分Roseliaらしい重厚感と壮大さはかなり高い。
完成すればこれからのRoseliaを担う曲になるかもしれない曲だ。
「今日はそれぞれミスが多かったところを重点的にやるわよ。」
「はーい!」
「あ、あのっ!」
ここで燐子が友希那を呼び止めた。
多分コンクールのことを話すのだろう。
「どうしたの、燐子?」
「あの、実は私・・・これに出ようと思って・・・」
そう言って燐子はうちから持ってきたコンクールのパンフレットを友希那に見せた。
友希那はそれを見ると少し驚いたような顔をした。
「これってコンクール?それにこれ・・・かなり大きいコンクールよね。」
「あー、確かにりんりんコンクールにいつか出たいって言ってたよね。でも大丈夫?人たくさんいるんでしょ?」
「うん・・・でもいつかは挑戦しないと前に進めないし・・・今なら向き合えるかなって。」
「そう・・・燐子が決めたことなら否定はしないわ。でもコンクールの準備を進めなきゃ行けないわね。課題曲の練習はどうするの?この曲、確かクラシックの曲だったわよね。」
友希那がそう言うと燐子の顔が途端に暗くなった。
家で話していた時もそうだった。
昔出ていたことやコンクールの楽曲の話をするととたんに表情が暗くなる。
昔何かあったに違いない。
「この曲は・・・その・・・昔、このコンクールに出場した時・・・演奏した曲なんだ・・・」
「ええっ?燐子がコンクール出てた時って・・・確か小学生の頃って言ってなかったっけ!?」
「その頃から、高校生向けの課題曲をやっていたの?」
「あ、あの・・・昔通っていたピアノの先生が・・・これぐらいの曲なら弾けるはずだからって・・・」
「すっご〜い!その頃からピアノ上手だったんだー!」
「そ、そんなことないよ・・・」
燐子は否定しているがこれは本当にすごいことなのだ。
燐子が昔賞を取ってきたのも納得出来る。
「りんりんよかったね!弾いたことある曲なら余裕だよ!!」
「頑張ってね燐子!応援してる!」
「は、はい・・・ありがとうございます・・・」
燐子は笑ってそう返したが、結構無理に笑っているように見える。
その燐子の表情がどうしても気がかりで、過去の自分を見ているよううで、不安だった。
まだまだ続くぞ連続投稿〜
一応ペースはひとつの話につき、1〜2日出やりたい