無色と灰色の交奏曲   作:隠神カムイ

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燐子を除く4人のメンバーの結成編です!
奏多をどう絡ませるか悩みましたがなんとかさまになったので感想とかバンバン言ってもらえると幸いです!

それでは本編どうぞ!


7話 ボロボロ ノ スコア ト バンド ノ キセキ

NFOの協力から3日後、あの日から白金さんと少しずつ話すようになってきた。

 

主にNFOの話以外あまり話題が無いのだがお互いのプレイやクエストの話でほとんど尽きることがない。

 

リサとの会話の練習の甲斐があってか最近は少しずつだが緊張せずに話せるようになってきている。

 

「そういえば・・・ルナの様子は・・・どうですか?」

 

「はい、攻撃時のサポートやデバフ解除とかかなり役立ってもらってます。

 

けどまだわからないこともたくさんあって・・・」

 

「ファーリドラをテイムした人は・・・まだ九条さんしか・・・いないと思いますし。」

 

すると携帯に通知が来た。差出人はリサのようだ。

 

「どう・・・したんです?」

 

「あぁ・・・バイトの先輩からの連絡です。えっと?『今日バイトの事で相談があるから悪いけど羽丘まで来てくれない?』ですか・・・」

 

「大変ですね・・・場所は・・・わかりますか?」

 

「はい・・・わからなけれは調べますので・・・」

 

大まかな場所しかわからないがとりあえず放課後に羽丘へ向かうことになった。

 

 

 

放課後、少し急ぎ目に花咲川を出て羽丘に着くと門の前で何やらざわついているようだ。

 

そこには湊さんと宇田川さんとリサがいた。

 

「リサ!どうしたんですか?」

 

「あっ!ソータ!」

 

「九条さん!なんでここに?」

 

「いや、今日リサにバイトの話で呼ばれて・・・」

 

「あなたは・・・この前の。」

 

「はい・・・九条奏多と言います。とりあえず何があったか話してもらえますか?」

 

リサの話によると、湊さんと話している時に今日も宇田川さんが入りたいと申請しに来て、湊さんから聞きリサが宇田川さんを試してあげればと提案している時に僕が来たようだ。

 

「とりあえず1回!1回だけ合わさせてください!それでダメだったらもう諦めるから!」

 

「とりあえず友希那、試させてあげれば?あこはやる時はしっかりやる子だよ!」

 

「・・・仕方がない、1回だけよ。」

 

「は、はい!」

 

どうやらまとまったようだ。

 

「友希那、アタシも見学していい?」

 

「別に構わないけど・・・」

 

「やった!」

 

「すみません、僕もいいですか?リサとはまだ話がありますし、おそらく第三者からの声もいるかと・・・」

 

「・・・それもそうね、けど今回だけだから。」

 

「ありがとうございます!」

 

湊さんから許可を貰い、僕達はCIRCLEに向かった。

 

 

 

CIRCLEでは氷川さんが先に準備していた。

 

「九条さん!?どうしてここに?それと湊さん、その人達は?」

 

「どうも、アタシは今井リサ。友希那の幼なじみで今回は見学に来ました!」

 

「う、宇田川あこですっ!今回はオーディションに来ました!」

 

「僕は元々リサに予定があったんですけど、このオーディションの第三者からの意見として見学させてもらえることになりました。」

 

「オーディション?」

 

「ごめんなさい紗夜。今回は私がテストの許可を出したの。」

 

「テストということは、それほど実力のある方なんですよね。」

 

「努力はしているらしいわ。勝手に練習時間を使ってごめんなさい。5分で終わらせるから。」

 

そう言って湊さん達は準備を始めた。

 

「出来ればベースもいるとリズム隊として総合的な評価が出来るのですが・・・」

 

「こればかりは仕方がないわ。このまま・・・」

 

「あ、あのさ!アタシが弾いちゃダメかな?」

 

「えっ?リサ姉ベーシストだったの?」

 

「昔ちょっとやってたんだよね。ちょっと待って!ベース借りてくるから。」

 

リサがベースをしていたとは思わなかった。

 

湊さんの会話によると一応譜面を一通り弾くことは出来るらしいが氷川さんは少々不満そうだった。

 

リサが戻ってきて、あこのテストが始まった。

 

 

 

 

 

曲が始まってすぐに違いがわかった。

 

曲はこの前、湊さんが歌った「魂のルフラン」なのだが、この前とは明らかに違う。

 

ボーカルはこの前より声の張りが良く、ギターの音はこの前より正確で強く、そして久々に弾いたらしいベースの音でさえ今でも活躍しているベーシストと同じぐらいかそれ以上に感じた。

 

それは演奏しているメンバーも驚いているようでドラムとベースが入るだけでこれまで素晴らしくなるのかと驚いた。

 

 

 

演奏が終わると僕達は不思議な感覚に襲われていた。

 

「あの・・・さっきからみんな黙ってるけど・・・あこ・・・バンドに入れないんですか?」

 

「そ・・・うだったわね。ごめんなさい。いいわ、合格よ。紗夜の意見は?」

 

「いえ。私も同意です。ただ・・・その・・・」

 

「いやったぁぁ!けど凄かったですよね!体が勝手に動いて!」

 

「もしやこれって・・・」

 

「おそらく・・・その場所、曲、楽器、機材、メンバー・・・技術やコンディションではないその時その瞬間でしか揃い得ない条件下でだけ奏でられる『音』・・・」

 

僕も雑誌で売れっ子バンドのインタビューの時にそんな感じの内容の記事を読んだことがある。

 

バンドの醍醐味とでも言うのだがミュージシャンの誰もが体験できる訳では無い。

 

「なんか・・・キセキみたいだね!」

 

「その言い方は肯定できないけど・・・でも、そうね。皆さん、貴重な経験をありがとうございます。後はベースとキーボードのメンバーさえいれば・・・」

 

「えっ?ベースならここにリサ姉がいるじゃん!」

 

「えっ?アタシ?」

 

「今井さんは今回のオーディションの為だけに弾いただけ。そうですよね?」

 

「でもメンバーがいないんですよね?これだけいい演奏出来たのになんでメンバーにしないの?」

 

「はい・・・僕もいいと思います・・・。それよりもリサ、本当に経験者なだけなんですか?さっきの演奏、まるで弾き慣れているように見えましたが?」

 

「いやぁ・・・なんか体が勝手に動いて・・・」

 

「確かに技術的にまだメンバーとは認められないけど。ただ、足りない所はあるけど確かに今のセッションはよかった。紗夜もそれは認めるでしょう?」

 

「それは・・・今の演奏に限ればそうですけど・・・。そういえば九条さん、さっきの演奏の感想を貰えますか?」

 

氷川さんが突然こっちに話を降ってきた。

 

「えっ?」

 

「あなたは今回の演奏の第三者からの声として見学したはずでは?」

 

「あっ・・・はい。全体的なバランスはとても良かったです。ただ、湊さんは後ろの演奏と歌声が少しズレていた所がありました。氷川さんは正確だったのはよかったのですがはじめの方少しタイミングがズレていたように感じました。宇田川さんは周りに合わせてはいるんですけど、少しずつ早まっていたと思います。今井さんはやはり久々とあってか少しミスもありました。そんなところだと思います。」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

4人が黙り込んだ。

 

「・・・あの、僕なにか悪いこと言いましたか?」

 

「い・・・いえ、その、あまりにも的確だったので・・・」

 

「えっと・・・九条さんだっけ?あなた本当に音楽の経験無いの?」

 

「えっ?はい、そうですが・・・」

 

「それにしてもソータ・・・的確すぎだよ・・・」

 

「うん・・・あこも気が付かなかった・・・」

 

まさか僕がそんなに的確に言えるとは思わなかった。

思ったことをそのまま言っただけなのでこんな反応をされて少し戸惑った。

 

「九条さん・・・いえ、奏多と呼ばせてもらうわ。あなた、これからもこのバンドの演奏を見に来てその都度、感想を貰えるかしら?」

 

驚きだった。

 

湊さんからこんな誘いを貰えるとは思わなかった。どうするべきか悩んだが、もしかしたらこのメンバーと一緒にいると自分の《色》を見つけられるかもしれない。

 

「・・・はい!やらせてもらいます!」

 

「えぇ、よろしく、奏多。」

 

「お願いします、九条さん。」

 

「この5人でバンドを組めるんだ!あこめちゃくちゃ嬉しい!」

 

「え?・・・マジで?アタシも・・・入っていいの?」

 

「練習次第よ。リサ。」

 

「・・・うん!頑張る!」

 

「後は・・・」

 

「キーボードだけですね。」

 

こうしてキーボードを除くメンバーが決まった。

 

 

 

しかし、キーボードが決まるのは容易ではなかった。




とりあえず奏多にはベタだけどアドバイスを言ったりマネージャー的な立場についてもらいました。リサとの会話は次回に持ち越しで・・・←おい!
次回はキーボードメンバー探しです!燐子にはちょっと頑張ってもらいます!

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