今でもネタ募集してますのでメッセージ等でよろしくお願いします。
(なお今来てるのはモカだけです。)
ということで久々の番外編です。
時系列的にはクリスマス後となってます。
そしてこの話は前編と後編に分かれています。
あと、この小説を上げたあとお知らせがあるので活動報告の方をご覧下さい。
ということで本編どうぞ!
大晦日から遡ること数日前、クリスマスの次の日の出来事である。
日曜日だったクリスマスがすぎ、次の日に終業式が行われるために僕は今学校に来ている。
最近、先生の手伝いばかりしているせいか生徒会長にも目をつけられて終業式の手伝いをさせられている。
しかしそんなことはどうでもよかった。
なんせ僕は今寝不足で何も考えられないからである。
昨日、燐子に対してとった大胆な行動が思い返せば返すほど恥ずかしいやらなんやらで眠ることが出来ず、結局午前3時半にやっと寝付けたと思えば起きたのは4時半、つまり僕は今日1時間しか寝ていないのである。
元々滅多なことがない限り疲労を感じない僕でもこればかりは疲労を感じざるをえなかった。
そのためわざわざ朝からバイト先であるコンビニに向かい、疲労回復用のエナジードリンクやら甘い物を購入したのだがあまり効果が出ていない。
そのため気を紛らわせるために早めに学校へ向かったのだがそれが仇となってこうして手伝い、主に運搬などをさせられている。
ここまでやってしまったら特別手当を出して欲しいぐらいだがここは学校なため給料は出ないし、もし報酬が出ても生徒会長の感謝の言葉と笑顔だけだろう。
そうして疲労感と共に教室へ戻った僕はうつ伏せになっていた。
「・・・あぁ、疲れた・・・」
「お前が疲れたとか珍しいな。」
声がしたので後ろを振り向くとそこには炎がいた。
こんな時間に来るとは珍しい。
「炎・・・おはよ・・・珍しく早いね・・・」
「おはよう奏多・・・って!そのクマ何!?」
炎がスマホの内カメラを起動させて画面をこちらに向ける。
するとそこにはくすんだ銀髪で少し中性的な顔立ちの少年、紛れもない僕の顔が映し出される。
しかしその目の下には濃いクマが出来ていた。
「クマなんて・・・いつ以来だろ・・・」
「お前クリスマスの日に何があった?バイトは休みって言ってただろ?」
「そうだけど・・・昨日は寝不足でさ・・・1時間しか寝てないんだよ・・・」
「い、1時間!?そりゃ誰でもそうなるわ!」
炎が的確なツッコミを入れる。
いつも1時間もあれば疲労が取れるのだけれども・・・僕だけだろうか?
「そ、そうなのかな?」
「それが普通だっつーの!なんだ?NFOを徹夜でやっていたか?」
昨日あったことを思い返すとまた恥ずかしくなる。
それに燐子と付き合ったことを伝えるとなんだかややこしいことになりそうなのでいくら親友とはいえ伝えにくい。
「ま、まぁ・・・そんな感じかな?」
「全く・・・身体壊すなよ?」
「親父譲りだ、多分大丈夫。」
今思えば最近親父と連絡をとっていない。
おそらく仕事が忙しいのだろう。
一人暮らしを始めた当初はちょくちょく連絡をとっていたが最近取っていないので今度取らなければ・・・
「そうだ、年末年始にうちに来ない?年越しそばとか作るけど?」
「あー悪い、年末はちょっとムリだわ・・・」
炎がバツの悪そうな顔をする。
こういう表情は珍しい。
「何かあるの?」
「あぁ、ちょっとパスパレの芸能事務所のお偉いさんに呼ばれててよ、そっちのパーティーに行くんだわ。」
「パスパレの!?何があったの?」
「えっと、まぁ、色々とな・・・」
炎が学校で白鷺さんとなんやかんや話しているのはよく見る(と言ってもほとんど白鷺さんに怒られるか連れていかれているかのどちらかだが)のだがまさかそこまで進展しているとは思わなかった。
通りで最近丸山さんが炎の話をするわけである。
「まぁ、それは後々聞くよ、けど正月は来れるの?」
「あぁ、その日は楽しみにさせてもらうぜ!」
するとガラガラと扉が開く音がする。
そっちを見ると燐子がいた。
「あ、奏多くんに陰村くん・・・おはようございます。」
「おっす燐子!おはよう!」
「おはよう燐子。」
「うん、おはよう・・・」
燐子がニコッとして挨拶を返す。
すると炎が肩を組んでコソッと話しかけた。
「おい、燐子ってあんなに柔らかかったっけ?」
「え?変わってないように思うけど?」
「それにしては奏多に対する態度が変わりすぎだろ!奏多と話す時もうちょっと堅いイメージがあったぞ!」
「そんなことないと思うけど・・・」
するとちまちまと他の生徒が入ってくる。
時間を見ると8時半前である。
「あ、俺教室戻るわ。話はまた放課後に!」
「うん、また後で~」
炎が教室に帰っていく。
「・・・あれ?疲れ取れてる?」
僕は何故か疲れが取れたことに少し頭を悩ませた。
しかしすぐに終業式が始まるのでそんなことすぐに忘れて移動の準備を始めた。
終業式や諸連絡を終えて放課後。
燐子はこのあとの練習のために先に帰ってもらっている。
このあとバイクで向かいに行く予定だ。
「奏多~!またせた~!」
炎が走って僕の元に来た。
こうして練習の日は基本家の近い炎と帰っている。
「それで正月の件なんだけどさ・・・」
「あら?奏多じゃない!」
明るい声が聞こえるのでそちらを振り向くと弦巻さんがそこにいた。
「弦巻さん、勧誘はお断りだよ。」
「あら、私がいつも勧誘しているように見える?」
いつも僕と出会うとハロハピに勧誘してくるではないか。
しかしそれを胸の内に抑えて話を続ける。
「いや、でもどうしたの?」
「あなた達がお正月の話をしていたから気になったのよ!」
「あぁ、奏多ん家でパーティーするんだよ。」
炎が平然と答える。
確か初対面のはずだ。
「まぁ、パーティーするのね!」
「そうだけど・・・弦巻さんも来る?」
「もちろん行きたいわ!でもお正月は家から出してくれないのよ・・・」
弦巻さんが少し頭を悩ませる。
するとパァっと顔が輝いた。
「そうだわ!ならうちでパーティーすればいいのよ!」
「え?まじで言ってます!?」
「そこでバンドのみんなを招待すれば絶対楽しいわよ!」
「つ、弦巻邸にまた行くのか・・・」
何も飲み込めない炎が肩をつついてきた。
「そ、奏多、彼女は?」
「あぁ、彼女は弦巻こころ。あの弦巻家のお嬢様だよ。」
「す、凄いやつと知り合いなんだな・・・俺は陰村炎、奏多の1番の親友!」
「あら、奏多の親友なのね!私、弦巻こころ!よろしくね、炎!」
「おう、こころ!」
炎と弦巻さんが意気投合する。
話しながら校門を出ると黒服の人に捕まった。
「く、黒服さん達!?」
「九条様、正月の日に弦巻邸の一日シェフとして働いてはくれませんか?」
するともう1人の黒服がノートパソコンを開く。
そこには巨大な調理スペースと機材一式が載せられていた。
「こ、これは・・・!」
「我が弦巻邸の調理スペースには全世界から取り寄せた最高級の調理器具と最高級の食材を準備しております。それをいくら使っても構いませんので働いていただけませんか?もちろん、報酬も出させていただきます。」
僕は少し悩んだ。
料理ができるようになってからはテレビで見た巨大な調理場で料理をするのが夢だったし最高級の食材も取り扱ってみたい。
けど朝からの準備や前日の仕込みなどをしなければならないのでバンドの練習と重なる可能性がある。
・・・さらに言えばあの家の庭でまた迷うかもしれない。
散々悩んだ結果、僕は自分の欲に倒れ込んだ。
「・・・わかりました、やらせてもらいます!」
「では、この契約書にサインをお願い致します。」
黒服さんが紙を差し出す。
そこには雇用契約書と書かれ、内容がびっしり書かれていた。
とりあえず僕は署名のところにサインをした。
「あの・・・出来れば下見や仕込みなどをしておきたいんですけど・・・」
「わかりました。では、29日に迎えに行かさせていただきます。」
黒服さん達はそう言うと車に乗り込んで走り去って行った。
「奏多~!俺もこころの家に行くことになった・・・奏多?」
炎が心配そうに見る。
僕は少しふざけ気味に炎にこう言った。
「九条奏多、弦巻邸の一日シェフやるってよ。」
「・・・え?」
「あ、はい、すみません少しふざけました。えっとつまり正月の日に弦巻邸でシェフやることになった。」
「え・・・ええっ!」
炎が大声で叫んだ。
ここからお正月の日に働くことが確定した。
続きは次回やります。
それでは次回もお楽しみに!