無色と灰色の交奏曲   作:隠神カムイ

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絶賛イベント頑張ってついにExpertフルコン数100曲になった隠神カムイです。
バレンタインの燐子可愛いよね、尊いよね!

ということでバレンタインとは全く関係ないお正月番外編の続きです。
この話が終わり次第(今週の土曜日はやる予定)お休みをいただきます。
Neo-Aspect編頑張らなくては・・・

ということで本編どうぞ!


10章番外編 無色と多色の交奏曲(中編)

12月29日

 

僕がRoseliaの練習後、CIRCLEを出るとそこには黒い車と黒服さん達がいた。

 

Roseliaのみんなには元日に弦巻邸でパーティーを行うことを伝達済みである。

 

それに僕が弦巻邸のシェフとして雇われて29日、30日も弦巻邸にて仕込みを行うことを伝えてはいるがこうして迎えが来てみると驚いていた。

 

「こ、こころの家ってホントすごいね・・・」

 

「うん・・・わかる・・・」

 

「九条さん、元日にも弦巻さんの家にも行くなら年末年始はかなり忙しいのではないですか?」

 

「うん・・・みんなと年越ししたらすぐに・・・」

 

「奏多くん、体大丈夫?」

 

「親父譲りで疲れは貯まりにくいから大丈夫だと思う。それに少しだけ仮眠はとるつもりだし。」

 

「九条様、そろそろ・・・」

 

「あ、はい。そ、それじゃあ頑張ってきま~す・・・」

 

Roseliaのみんなに見送られ僕は弦巻邸に送ってもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが弦巻邸の調理室となっております。我々は外にて待機しておりますのでわからない点やアシスタントなどが必要ならお申し付けください。」

 

そう言って黒服さんが部屋の外に出る。

 

弦巻邸の調理室は一言で言うと「凄い・・・」の一言だった。

 

調理器具は包丁から鍋、フライパンなど様々なものがあり、それも調べれば何万円もするお高い物ばかりである。

 

それに冷蔵庫(しかもとてつもなく大きなものが5台ある)を見るといくらや伊勢海老などの海産物や京野菜や黒豆などの野菜類、肉類も豊富にあった。

 

恐らくどれもこれも僕の生活費では賄えないほどの代物だ。

 

壊したり調理をミスったら大変である。

 

「・・・とにかく試したいな。」

 

包丁や鍋の使い心地を試したいのとこの中には使い方がよくわからないものもあるのでそれを試したいのもある。

 

とりあえず黒服さんに聞いてみることにした。

 

「あの~黒服さん。」

 

「どう致しましたか、九条様。」

 

「出来れば試しに調理してみたいんですけど・・・黒豆とかの仕込みは明日やりたいんで今日は調理器具の使い心地を試してみたいんですよ。」

 

「わかりました、食材に関しては右端にある冷蔵庫の食材をお使いください。」

 

「あ、それと・・・」

 

僕は黒服さんにもう一つお願いしてから適当に調理を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・んで、俺が連れてこられたと。」

 

「ごめんね炎、いきなり呼び出して・・・」

 

「いいっていいって!奏多のメシ食えるなら!」

 

「奏多のご飯、トーっても楽しみだわ!」

 

黒服さんに頼んだこと、それは炎を連れてきてもらうことだった。

 

そして味見役として弦巻さんにも来てもらっている。

 

「今回は試しに筑前煮を作ってみたんだ。」

 

今回のおせち料理の1つとして作る予定の筑前煮を今回作ってみた。

 

調理器具の使い心地としては最高だった。

 

僕の家には長年相棒として使っている包丁があるがそれに負けず劣らずの手の馴染みようだった。

 

包丁に関しては愛包丁に軍配は上がるが鍋やその他の器材の使い心地はすごかった。

 

「うおぉ・・・美味そう・・・」

 

「それじゃあ頂くわ!」

 

弦巻さんと炎が筑前煮を口に運ぶ。

 

1口入れると2人が固まった。

 

「あれ・・・お口に合わなかった・・・?」

 

「・・・う、うめぇ・・・こんなに筑前煮って美味かったっけ・・・」

 

「とーっても美味しいわ!いつも作ってもらっている料理も美味しいけど奏多が作った筑前煮はそれ以上に美味しいわ!」

 

2人とも口に入れた瞬間固まったからびっくりした。

 

一瞬調理をミスったかと思ってヒヤヒヤした。

 

「よ、よかったぁ・・・初めて使う器具や食材だから心配した・・・」

 

とにかく筑前煮はこれで行けそうである。

 

あとは黒豆や伊達巻き、数の子や海老など色々やらなければならない。

 

しかしそれは30日と当日でどうにか出来そうだ。

 

「黒服さん、明日は今日と同じぐらいに、当日は6時ぐらいに家の前にむかえにきて貰えますか?」

 

「わかりました、その時間にお迎えに参ります。」

 

「よろしくお願いします。」

 

僕は黒服さん達に家まで送ってもらって(そうでもしてもらわないとまた道に迷う)次の日の30日に下準備を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・と、こんなことがあって今に至る。

 

みんなと別れたあと家に帰って仮眠を取った僕は予定通り6時に迎えに来た黒服さん達の車に乗って弦巻邸に来た所だ。

 

この前下準備したかいがあってか今回調理するのは5~6品である。

 

「よし・・・やるか!」

 

僕は早速調理に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

7時半から調理を初めて気がつけば時間は11時近くになっていた。

 

いくら6品でも25人という人数である、並大抵の量だと足りないだろう。

 

黒豆も鍋いっぱいに入っているし伊勢海老はなんと5尾である。

 

サイズが大きい上に茹でると時間がかかるのでコンロをフル活用してなんとか仕上げたものである。

 

その他筑前煮や伊達巻き、栗きんとんなどお正月らしいものを作り終えた。

 

完成したものから順に黒服さんに運んでもらっている。

 

結局アシスタント無しでやり遂げたが、もし次やるとしたらさすがにお願いするつもりだ。

 

調理を終え、あと片付けを終えてパーティー会場に向かうともう全員が揃っていた。

 

「もうみんな来てるな~」

 

「あ、九条せんぱーい!」

 

声をかけたのはポピパのリーダーの戸山さんだ。

 

同じ花咲川なのでポピパメンバーとはよく学校で話す。

 

「戸山さん、あけましておめでとうございます。」

 

「おめでとうございます!これ全部九条先輩が?」

 

「はい、結構疲れました・・・」

 

「でもどれも美味しそうです!」

 

「確かに凄いです。」

 

戸山さんと話している途中に美竹さんも入ってきた。

 

「美竹さんは晴れ着ですか・・・」

 

「お父さんにこういう行事には着ていけって・・・」

 

「でも似合ってますよ。お綺麗です。」

 

「九条さん・・・燐子さんに言いつけますよ?」

 

「そ、それだけはご勘弁を・・・」

 

それを言いつけられると燐子の機嫌を損ねそうである。

 

出来れば機嫌を損ねるようなことはしたくない。

 

「みんなー!ちゅーもくー!」

 

声の方をむくと弦巻さんがマイクを握っていた。

 

ざわざわしていた会場が静まる。

 

「今日は来てくれてありがとう!みんな飲み物は持ったかしら?」

 

持ってないのでハッとすると黒服さんがすぐ隣に来てグラスを渡してくれた。

 

中身はおそらく水だろう。

 

「それじゃあ行くわよ!新年あけましておめでとう!カンパーイ!」

 

『カンパーイ!』

 

ということでパーティーの始まりである。

 

テーブルには僕の作った料理と『本日のシェフ 九条奏多』と書かれたプレートが置かれてあった。

 

お陰様で料理を食べてそれを見た人達がこちらに押し寄せてきた。

 

基本的には料理の感想を言ってくれたのだがなんせコミュニケーション能力皆無の僕である。

 

それを答えるのに必死だった。

 

炎はそれを傍らで笑っていた。

 

なんとか乗り切ると炎が肩を叩いた。

 

「ははっ、おつかれ奏多!」

 

「う、うん・・・話すのってやっぱり苦手・・・」

 

「けどよ、どれもこれもめちゃくちゃ美味かったぜ?筑前煮もこの前食べたものより美味しくなってたし!」

 

実は帰った後、友希那にお願いして友希那のお母さんと話させてもらったのだ。

 

その時筑前煮のコツやポイントなどをもらって家でやってみた所とても美味しくなったので今回採用したのだ。

 

やはり料理は少し手を加えるだけで変わるところが面白い。

 

「けどこんなに大量に作ったのは初めてだよ。」

 

「まぁ、この人数だしな。」

 

炎がははっと笑う。

 

テーブルを見ると料理もほとんど無くなっていた。

 

完食とは作った側からしたら嬉しいものである。

 

するとステージに戸山さんと丸山さんが上がっていた。

 

「みんなお腹が脹れたところでお正月ということでかくし芸大会をやります!」

 

え、そんなこと聞いていない。

 

おそらく僕の知らないところで進んでいたのだろう。

 

「予め応募していた人の他にも飛び入り参加OKです!」

 

「では準備のため30分後に始めようと思いますので飛び入り参加の方は私のところに来てくださーい!」

 

「奏多・・・やろうぜ、あれ!」

 

「え・・・やるの、あれ・・・」

 

「こういう時にやるもんだろ?行こうぜ!」

 

「はぁ・・・やるか!」

 

ということで僕達は丸山さんの所に行った。

 

実は隠して練習していた『あれ』をやるために・・・




ということで次回がラストです。

珍しく長い番外編ですが実際これ普通に10章でいいのでは・・・?と思う自分がいます。

ということで次回もお楽しみに!

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