無色と灰色の交奏曲   作:隠神カムイ

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前回で終わりきれなかったので続きです。

バレンタインイベを初の5000位代でクリアしました!
燐子を1日目に欲しかったがために頑張った結果です。
推しの力って怖い・・・

ということでバレンタインとは少し時期の違うお正月番外編のラストです!

それでは本編どうぞ!


10章番外編 無色と多色の交奏曲(後編)

「それではこれよりガールズバンドパーティメンバーによります第一回お正月かくし芸大会」

 

「「開催しまーーーす!」」

 

周りから拍手が起こる。

 

この5バンドでガールズバンドパーティメンバーというのは初耳だが、CIRCLE常連メンバーであるこの5バンドのことをCIRCLEスタッフが総称してそう読んでいるらしい。

 

それを聞いた丸山さんが採用したのだという事だ。

 

「さあ、いよいよ始まりました、お正月かくし芸大会!司会は私、Poppin’Partyのギターボーカルの戸山香澄と・・・」

 

「まん丸お山に彩りを!Pastel*Palettes、ふわふわピンク担当の丸山彩でお送りしまーす!」

 

「拍手ーーーー!」

 

拍手が再度起こる。

 

すると近くにいた市ヶ谷さんが沙綾さんに話しかける。

 

「なぁ・・・あの二人が司会でホントに平気か?」

 

「確かにちょっと心配だけど・・・うん、見守ろう。」

 

そう言われると確かに心配である。

 

戸山さんもさっきから声が震えっぱなしだ。

 

丸山さんも慣れているとはいえあの様子からして緊張しているのだろう。

 

しかしここは見守るほかなさそうだ。

 

「それでは早速1組目に行きたいと思いまーす!1組目はこの方達でーす!」

 

戸山さん達が退くと同じ衣装を着た宇田川姉妹、北沢さん、そしてリサの4人が立っていた。

 

垂れ幕を見ると『羽丘&花咲川ダンス部 ヒップホップダンス』と変わっていた。

 

「ふっふっふ・・・我に眠りし、いにしえの踊り子の力を・・・えーっと・・・バーン!と解き放っちゃうよ~!」

 

「そっか、アタシ達が1組目か。さすがにちょっと緊張するな。」

 

「トモちん、大丈夫だって!みんなでたっくさん練習したもん!ね?リサ先輩!?」

 

「だね!この日のために各学校のダンス部が集結したんだよ!絶対うまくいく!」

 

リサがみんなを励ます。

 

やはりトップバッターだから緊張するのだろう。

 

なお、あとから知った話だがこのかくし芸大会の募集を始めた時に一番最初に応募したのはあこだったらしい。

 

なんせ「おねーちゃんのダンスめちゃくちゃかっこいいからみんなに見てほしい」からなのだそうだ。

 

巴さんも大変である。

 

「それではっ!リサちゃん、巴ちゃん、あこちゃん、はぐみちゃんによるヒップホップダンスです!どうぞ!」

 

会場が静かになり音楽が始まる。

 

曲は恐らくハロハピの「せかいのっびのびトレジャー!」の歌なし、instrumentalというやつであろう。

 

見た感じかなり本格的なダンスだ。

 

「いや、すげぇな・・・かなり本格的だぞ・・・」

 

「うん、素人目にもわかるよ・・・」

 

「そうね、そう思うわ。」

 

炎と話しているといつの間にか友希那と燐子が隣にいた。

 

「友希那と燐子じゃん。久しぶり~!」

 

「久しぶりね、陰村くん。」

 

「お久し・・・ぶりです・・・。」

 

軽く挨拶を交わす。

 

今思えばRoseliaが炎と会うのも久しぶりなのかもしれない。

 

「実は私たちあのダンスに誘われていたの。私はリサに、燐子はあこにね。」

 

「そうなんだ、なんでやらなかったの?」

 

「あんな複雑なステップ、私たちにできると思う?」

 

「あー・・・」

 

僕と炎が納得する。

 

確かに友希那と燐子は運動がかなりと言ってもいいほど苦手である。

 

そんな二人があんな複雑なステップを踏めるとは思えない。

 

しかしダンスを見るとかなり息があっている。

 

特に宇田川姉妹は姉妹だからか息がピッタリだ。

 

巴さんはダンスの始まる前に「あこに頼まれて仕方なく」と言っていたがあれはかなりノリノリだ。

 

仕方なく出てる人は、あんな爽やかな笑顔できない。

 

「はじめからこんなレベル高いと俺達のやつかなり低く見られそうだな・・・」

 

炎の顔を見るとかなりひきつっている。

 

やはり緊張するのだろう。

 

「確かにね・・・」

 

「あら、奏多達もやるの?」

 

「うん、と言っても飛び入りだから最後にだけどな!」

 

「何を・・・やるの・・・?」

 

「それは見てからのお楽しみ。まぁ見ててよ『九条奏多の3つの隠し技』の1つをね。」

 

「「・・・?」」

 

友希那と燐子が不思議そうな顔をする。

 

それも無理はない。

 

なんせ今までこの隠し技のうちの2つは日常生活では普段使わないため、思いっきりくさっていたものなのだから言う必要がなかったのだ。

 

余談だが、この少し恥ずかしい名前の名付け親はシゲさんである。

 

・・・まぁ、それは置いといて今回はそのくさっている中の一つをやる予定だ。

 

「まぁ、今はダンスを見よう。みんなのかくし芸気になるし!」

 

「・・・そうね。今日は思いっきり楽しみましょうか。」

 

「はい・・・!」

 

ということでダンスの鑑賞の続きである。

 

僕達もあんな感じに出来たらいいのだが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、色々な人がかくし芸を披露した。

 

次に出た若宮さんは手裏剣で3つの風船を連続で割るというものだった。

 

成功したのだが皆が1番驚いたのはその手裏剣である。

 

なんと自分で木材を削って塗装したものでその中で納得のいく3つを今回のためだけに持ってきたらしい。

 

もはやそっちの方がかくし芸という気がするのだが本人が満足しているのでそれはいいだろう。

 

 

 

続いて出たのは花園さん。

 

題材は『うさぎのモノマネ』なのだが率直に言うと地味でマニアック過ぎてよくわからなかった。

 

・・・そして少しばかり長かった。

 

 

 

続いてはモカがかくし芸を披露した。

 

内容は「目隠し利きパン」、商店街に売っているパンを目隠しして食べてどこのお店のものなのか当てるというものだった。

 

パンも種類がバラバラなのでかなり難しいと思ったがそれをモカは余裕で全問クリア。

 

みんなが拍手する中、美竹さんだけ「凄かったけど正直『・・・で?』って感じだった」とモカに直接伝えていた。

 

モカはかなりしょんぼりしていたが他のバンドのメンバーには凄さがわかっていたので直ぐに機嫌を取り戻したモカなのであった。

 

 

 

続いては日菜さんと紗夜によるテーブルクロス引きである。

 

しかもただのクロス引きではなく二人同時に引くというものでそれを氷川姉妹はすんなりとやり遂げた。

 

後で紗夜に聞いたところ、「子供の頃に遊びでやっていたので、それを体が覚えていたから出来たんです」と言っていた。

 

そもそも遊びでテーブルクロス引きをやるのもどうかと思うが2人が小さい頃には仲が良かったのだと考えると仲良くなってよかったなと別の感情が湧き出てしまうのであった。

 

 

 

続いて、弦巻さんと奥沢さんによるジャグリングである。

 

感想を先に言うとプロ顔負けの完成度だった。

 

2人でボールを投げ合いながらジャグリングをするのだが、そのスピードがもの凄かった。

 

しかもそれをウォーミングアップと言い張り、その後弦巻さんは一輪車に乗りながらジャグリングを始めた。

 

プロの大道芸か、これは?

 

と全員がそう思わざるを得ない芸だった。

 

 

 

そんなやりにくい空気の中、次に出たのはなんとまりなさんだった。

 

一同驚愕の中、お題は「ギター演奏」だった。

 

なんとまりなさんは高校時代にギターをやっていたらしく、その演奏だった。

 

自分では「腕なまっちゃってるけど」と言っていたが演奏するとギター組が驚愕していたほどすごい演奏だった。

 

あとから聞くとギターはいつもCIRCLEに置いてあるらしく、休憩時間に相手あるスタジオがあったらたまに演奏するらしい。

 

まりなさんの意外な一面であった。

 

 

 

そして応募した組ラストは司会の二人によるマジックショーだった。

 

全員が感激より心配の方を強くする中、中盤までは失敗なしだったのだが、最後の最後で『賀正』という文字が逆さまで出てしまい、みんなが「やっぱりか・・・」という空気になった。

 

やはりこういう方が二人らしい。

 

 

 

「・・・という感じでお送りしてきたかくし芸大会も、次でラストです!」

 

「最後の人は今日飛び入りで参加受付をしてくれた奏多くんと炎くんの唯一の男子組でーす!」

 

僕と炎が呼ばれた。

 

いよいよ出番である。

 

「炎・・・」

 

「奏多・・・行くぜ!」

 

「うん!」

 

僕達はステージの上に立った。

 

「おっす!Roseliaのマネージャーこと九条奏多とその親友、陰村炎だ!知らない奴はここで宜しくなって言っておく!」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

やはりかなり緊張する。

 

そんな中、司会の二人が話しかける。

 

「九条先輩!今日の料理は九条先輩が担当したんですよね!とっても美味しかったです!」

 

「ありがとう戸山さん。あの料理は僕の隠し技の一つって言ってもいいですかね。」

 

「一つってことはまだ幾つかあるの?」

 

「うん、料理を含めて3つかな。料理を作ること、音楽の善し悪しを聞きわけるとこ、そしてもう1つ・・・今回はそのもう1つを披露しようと思います。」

 

「炎くんは?」

 

「俺はそれに合わせて歌う!」

 

「歌うってことは・・・九条先輩なにか演奏するんですか?」

 

「一つだけ・・・できる楽器があるんです。」

 

僕はステージ裏の黒服さんに合図を送る。

 

黒服さんは頼んでいたものを持ってきてくれた。

 

それは・・・バイオリンだった。

 

「バイオリン?奏多くん、バイオリン弾けたの?」

 

「うん、小学校の頃、親父が買ったものをずっと触っていたんだ。その代わり、演奏は独学流だけどね。」

 

僕はバイオリンを構える。

 

炎が初めて家に遊びに来た時に炎が見つけたものでその時引いたら「かくし芸としてお前が弾いて俺が歌う」という謎の約束を交わし、それ以来練習はしてきたのだ。

 

最近弾く時間がなかったので上手くいくかは心配だったがまぁ大丈夫だろう。

 

「それでは、奏多くん、炎くんによるバイオリン演奏&歌です!どうぞ!」

 

あたりが静かになる。

 

僕はアイコンタクトで炎に合図を送ると演奏を始めた。

 

選択した曲は『Break the Chain』、昔見ていた特撮ヒーローのオープニングである。

 

静けさの中、響き渡るバイオリンの音色と炎の歌声。

 

ものすごい集中のせいか演奏は一瞬で終わってしまったように思えた。

 

演奏を終えると辺りはしんとしていた。

 

「・・・あれ?どこかミスってた?」

 

「い、いやわからねぇ・・・」

 

するとぱん、ぱんと音が聞こえた。

 

その方を見ると燐子が拍手をしていた。

 

そこから広がるように拍手の嵐がきた。

 

「い、以上二人の演奏でした!ホントに凄かったよ!」

 

「九条先輩!そんなかくし芸があったんですね!陰村先輩も素敵な歌声でした!」

 

「私、あのバイオリン演奏に惹かれちゃったよ!また今度弾いてね!」

 

「う、うん!もちろん!」

 

「やったな奏多!大成功だ!」

 

炎が肩を組んでくる。

 

その満面の笑みに僕も笑って返す。

 

片や人から好かれる『多色』の少年。

 

片や色を失っても自分でいようとした『無色』の少年。

 

その2人が奏でる音は繊細かつ独特な音を醸し出していた。

 

「またやろうな!奏多!」

 

「もちろん!炎!」

 

その後、閉会式と共に解散となったが僕にとってこの年末年始はかけがえのないものになっていた。

 

さっき演奏した『Break the Chain』の歌詞にこういうフレーズがある。

 

『目に見えない繋がり信じて動き出そう』

 

僕と炎の繋がりは確かにあってはならない繋がりだったと思う。

 

しかしそれが僕と炎を結びつけたものであり、動き出せるものであったのは間違いない。

 

たとえ悪しき繋がりでも僕と炎は互いに支えあって進んでいく。

 

どうかそれがずっと続いていきますように。

 

炎だげてなくRoseliaとも・・・

 

 




ということで10章番外編はこれで終わりです。

次回よりNeo-Aspect編のため1週間お休みをいただきます。

それでは次回をお楽しみに!
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