ここまでやってきた自分に拍手を
ここまで読んでくださった読者の方々に感謝を
対面セシ主人公ト創造神
気がつけばそこは真っ白な空間だった。
椅子も、机も、壁も、人も、何もかもが存在しない空間。
唯一確かなのは足が地に付いているという感触のみ。
そんな空間で僕はそこに1人ぽつんと立っていた。
(なんだ・・・またエイプリルフールの時みたいな夢か・・・?)
そう思うが夢にしてはさすがに殺風景すぎる。
あの時はモカ神様や彼女によって作られた世界など色々あった。
しかしこの場には本当に何も無いのだ。
「・・・とりあえず進んでみよう。」
ここに立っているだけでは何も始まらない。
僕はとりあえず前に進んでみることにした。
・・・歩き始めて10分ほどが経った頃だろうか。
周りを見渡しながら歩いては見たが本当に何も無い。
なぜ自分はこんな所にいるのか、なぜ何も無いのか、なぜ僕は今孤独なのか・・・
そういった不安がおしよせてくる。
「・・・何にも・・・無い・・・・・・ん・・・?」
すると数メートルほど先に四角く、小さなものが落ちていた。
僕は慌ててその小さなものに駆け寄った。
落ちていたのは本だった。
遠くから見たので小さく見えたが寄ってみれば文庫本ほどの大きさだった。
「・・・なんの本?」
周りは黒一色で何も書かれていない。
とりあえず表紙をめくってみる。
そこにはこう書かれていた。
『無色と灰色の交奏曲』
初めはよくわからなかった。
本のことは燐子を通じて多少なりとも知っているがこんな題名見た事がない。
しかし、この題名にはずっと前から馴染んできた言葉のように感じられた。
(なんだろう・・・この安心感にも似たような気持ち・・・)
「あぁ、君が見つけてくれたんだ。」
突如声が聞こえて、そっちの方を振り返る。
そこには黒髪で眼鏡をかけた僕ぐらいの身長の青年がいた。
しかしよく見るとその顔は・・・
「・・・僕と・・・同じ顔?」
「そこまでマジマジと見ないでくれるかい?九条奏多くん。」
突如自分の名前を言われて少し後ずさりしてしまう。
この人明らかに怪しいし、絶対この空間のことを知っている。
「とりあえず、君がその本を見つけてくれてよかった。それ僕の本なんだ。」
「・・・あ、うん。どうぞ・・・」
本を青年に手渡す。
青年はそれを受け取るとペラペラと本をめくった。
とりあえずこの場のことを聞いてみる。
「あの・・・ここって一体どこなんですか?」
「あぁ、空間の狭間・・・って感じなところかな?君にとっては夢であって僕にとって夢でない場所。」
「空間の・・・狭間?」
にわかに信じにくい。
響きとしてはかっこいいがそんな場所あるわけないし・・・
「本来は君が来てはいけない場所なんだけど・・・今回だけ私が招待させてもらった。」
「一体なんのために?それとあなたは・・・」
「タメ語でいいよ。私のことはそうだな・・・
青年改め、kaiがそう言った。
なんかとても胡散臭い。
「まぁ、君にとって私は異端な存在だからね。怪しがるのも無理はない。」
「・・・それで、何故僕に会いたかったの?」
そう言うとkaiはペラペラめくっていた本を突然片手で閉めた。
「この本によれば、今日は私にとって特別な日でね。その大役として君を読んだわけさ。」
「その本と僕にどういう関係が?僕はそんな本見たことないけど・・・」
「君だって感じているはずさ、安心感にも似た暖かい感じを。そりゃそうさ、この本は君の誕生を意味しているからね。」
その言葉に心臓が大きく跳ねた。
まさかそんな重大な本だったとは・・・
「僕の誕生に?!」
「おっと、話はまだ終わっていないよ。まずはこっちを見てもらおうか。」
するとkaiは懐からスマートフォンを取り出した。
そして少し操作すると僕に投げ渡してきた。
僕はそれを必死にキャッチして、画面を見る。
『ブシモ!』
『クラフトエッグ!』
『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』
画面には『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』と称されたスマホゲームが映し出されていた。
そして画面には・・・
「ぽ、Poppin’PartyのみんなにAfterglow!?それにハロハピやPastel*Palette・・・Roseliaもいる・・・どういうこと!?」
「そもそもの話、君は私が創り出した存在だ。姿や基本設定を作り出し、性格や経歴を私のものを重ね合わせて生み出された架空の存在。それが九条奏多という人間、つまり君だ。そしてそのゲームのストーリーの中に君という異端者を合わせ、私があらすじから創り出したのがこの『無色と灰色の交奏曲』、つまり君がいままでたどってきたストーリーだ。」
そんなこと信用出来るはずがなかった。
自分が異端者?
自分が創り出された存在?
そんなもの、ただの嘘に・・・
「自分でもわかっているはずだ。時々自分でもよくわからないことを言っていたことを。」
「・・・っ!」
たしかにまれに『一応主人公なんだけどな・・・』とか『なんか色々とメタい!』とか自分でもなぜこんな言葉が出たのかわからない時があった。
「・・・ってことは、僕は本当に創り出された存在・・・本来ありえないものなのか・・・」
「まぁ、落ち着きたまえ。落胆する必要は無いよ。」
「・・・ははっ、創造者様がそんなこと言っても説得力ないよ・・・」
なんかいままで彼の掌の上で踊らされていたと思うとすごく落胆してしまう。
ということはRoseliaに入ったことも、自分の闇を克服できたのも、燐子と恋仲になったのも全て偽りだったということなのだろうか。
「まぁ、確かに君は私が創り出した。Roseliaと関わるきっかけも僕が作った。でも、私が作ったのはそこまでだよ。」
「・・・え?」
突然kaiがそんなことを言い出した。
創造者のくせに作ったのはそこまで?
「どういうこと・・・?」
「確かに私はRoseliaに君をかかわらせたりそれぞれのストーリーのきっかけぐらいは作ったよ。主にそのゲームのRoseliaのイベントストーリーをベースにさ。」
僕が画面下の『ストーリー』から『イベントストーリー』を選択するとそこにはいままで僕が体験してきたようなことにそっくりな事が書かれていた。
友希那のお父さんの曲を歌ったこと、リサがバイトでほかのメンバーが大変な目にあったこと、紗夜が日菜さんとわかりあえたことなど・・・どれも経験はしたが、少しばかり違っていた。
僕が存在していないということはもちろん、内容も少し違っていたりガラリと変わっていたりしていた。
「私が導いたのはあらすじまでで、その後は君やRoseliaのみんなが創り出したストーリーさ。どれも私の想像以上の結果になったし、どれも私を満足させるものであったよ。それに君がいたことで変わった未来もあった。Roseliaのバンドストーリーの11話から先のストーリー、君は体験したかい?」
そう言われて僕はそのストーリーを読んでみる。
内容としては友希那がプロにスカウトされそうになり、Roseliaとプロとで悩むストーリーだ。
僕は友希那からそんな話を聞いたことも無いし体験したことも無い。
「こんなの・・・知らない・・・」
「そりゃそうさ、君がいたことでこの未来が変わったんだから。」
「変わった・・・?」
「修学旅行にしてもそう、クリスマスにしてもそう、全てこのストーリーから逸脱した君だけの物語がこの時点から生まれていた。君は確かに創り出した存在だけど、『九条奏多』という1つの人間として、ここに生きてる。それだけでも私は素晴らしいと思うがね。」
Kaiがそこまで言うと新たに本を開く。
Kaiが開いたページは、白紙のページだった。
「こうして、君の物語はまだまだ続いている。たとえつくられた存在でもこうして君は物語を続けている。それでも君は自分の存在価値を疑うかい?」
「・・・・・・」
その言葉にすぐには答えられなかった。
答えようとしてもどう答えればいいのかわからない。
それを見兼ねたのかkaiはまだ話を続けた。
「また、君の気持ちは私が動かしたのではないよ。君が君自身で動いて、成長して、恋をして、今の君がいる。今の君だからこそ僕はこうしてこのことを伝えたんだよ。」
「ってことは・・・!」
「君が燐子に対する愛は本物さ。そこは自信を持っていい。」
燐子との恋は嘘じゃなかった。
それだけでも幸せだった。
「・・・さて!君に質問なんだが、この偽りのストーリー『無色と灰色の交奏曲』は君が願えば終わりにできる。偽りの中で今を生きるか、記憶として永遠に残るか、どっちを選ぶ?」
「そんなの、決まってるよ・・・たとえ偽りでも、全てがあなたの考えで動いていても、僕は今を生きる。君じゃなくて『九条奏多』という人間として。」
僕なりの決意をkaiに伝える。
Kaiはそれを聞いて安心したような笑顔を見せると、本をまた閉じた。
「なら、この本を君に託す。君が君なりに、この本に自らの道を示せ。」
黒い本『無色と灰色の交奏曲』を渡される。
僕はそれを受け取った。
「君の信じる道に、幸せがあらんことを。」
Kaiがそう言うと、目の前が真っ白になった。
「・・・・・・ん・・・・・・た・・・ん・・・・・・うたくん・・・奏多くん!」
体をゆらされる。
気がつくとそこは教室だった。
時刻は10時半、思いっきり寝てしまっていたようだ。
それを燐子が起こしてくれたようだ。
「あ・・・おはよ、燐子・・・」
「おはようじゃないよ・・・次移動だよ・・・」
「そっか。炎達は?」
「陰村くん達は・・・先に行ったよ・・・あとは私達だけ・・・」
周りを見ると本当に僕達しかいないみたいだ。
さすがに4月の初めに授業遅刻は厳しい。
「それじゃ、行きますか・・・」
机の中を探る。
教科書とルーズリーフを取り出すと奥に黒い何かがあった。
それは黒一色の表紙の本だった。
「これって・・・!」
中を見ようとするとメモが落ちてきた。
そこには『きみと、君たちが紡ぐ物語を楽しみにしているよ』と書かれていた。
「Kai・・・」
「何それ・・・本・・・?」
「あ、関係ないものだよ。ほら、早く行こ。」
燐子の手を引いて次の教室へ移動する。
「あ、あの・・・引っ張らないで・・・」
「あ、ごめん!!」
「どうしたの・・・今日、楽しそうだけど・・・」
「いや・・・なんか、今生きていることが楽しくてさ!」
「ふふっ・・・何それ・・・」
「自分でもよくわからいや、早く行こ!」
「・・・うん!」
僕は燐子と共に次へ進み始めた。
『・・・kaiか・・・なんとも適当に名前をつけたものだ。』
『でも、本当の名前を言っても彼には関係の無いことだ、今は大人しく彼の物語を楽しむとしよう。』
『さて、ここまで読んでくださった読者の方々には感謝の言葉でいっぱいです。』
『処女作とも言えるこのストーリー、途中色々なところで長ったらしくなったり勘違いや誤字脱字があったりとしましたが、それでも読んでくださったことには感謝しかありません。』
『いままでありがとうございました。そして、これからもこのストーリーは続きますのでよろしくお願いします。』
5/14日
隠神カムイ