無色と灰色の交奏曲   作:隠神カムイ

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修学旅行編2話です!
ここまで思いついてるけど3話が思いつかない!!明日全力で考えねば・・・

作者の苦労はほっといて本編始まります!


13話 グウゼン ト ヒツゼン アマカケル ネッショク

修学旅行2日目、家とは違うフカフカのベッドの中僕は目を覚ました。

 

時刻は午前5時半、まだ日も登っていない時間だ。

 

昨日のパスパレのライブで絶対に疲れているはずなのに何故こんなに早く起きてしまったのだろうか。

 

(やはり枕が違うと眠れないのだろうか・・・)

 

そんなことを考えているとカーテンの隙間から光がさしてきた。

 

カーテンを開き、窓を開けると涼しい風が流れ込みんで来る。まだ空は薄暗い中、海から太陽が登ってきた。

 

「・・・綺麗。」

 

沖縄の朝焼けにそんな普通な言葉しか出てこなかった。

 

登ってくる太陽の光が暖かさを感じさせる。

 

それで僕は目がすっかり覚めてしまった。

 

朝の集合時間までにはかなり余裕がある。

 

着替えや身支度を済まし、余った時間で新曲のタイトルを考えていた。

 

しかし、あと少しのところまで出てくるのだがどうにも納得がいかない。

 

朝焼けをテーマに色々な単語を組み合わせ、考えてみたのだが、あの曲調だとどうしても合わないような気がする。

 

そうこうしているうちに集合時間が近づいてきた。

 

モヤモヤする気持ちを切り替え、僕は集合場所であるラウンジまで向かった。

 

 

 

 

 

学校全体で朝食を済まし、氷川さんと白金さんを見つけて2日目の予定である観光名所巡りを始めた。

 

丸山さんとは昨日、氷川さんが行く所を話していたらしく最初に向かう首里城で合流する予定だ。

 

ホテルへ集合する時間は7時ぐらいに設定されているのでかなり余裕がある。

 

午前は首里城で見学などで時間を潰し、早めのお昼ごはんを食べてから人が少ない昼飯時に美ら海水族館へ。

 

一通り見回った後は商店街でショッピングなどをする予定だ。

 

予定の確認をして、丸山さんの待つ首里城へ向かった。

 

 

 

 

 

首里城に着くと丸山さんがサングラスと帽子を被って待っていた。

 

「すみません、待たせましたか?」

 

「そんなことないよ、私も今さっきついたところだし!」

 

「丸山さん・・・その格好は・・・?」

 

「昨日、ライブやったんだから千聖ちゃんにここまで変装しなさいって言われちゃって・・・」

 

「・・・芸能人も大変ですね。」

 

正直あまり変装出来てるように思えないが人が少ない時間帯なのでこれぐらいでもバレないのだろう。

 

「と、とりあえずいこっ!」

 

この空気を変えるために丸山さんが3人を引っ張っていった。

 

 

 

 

 

 

首里城を見学しながら、僕はまだ新曲のタイトルを考えていた。

 

ここでのテーマを思いつく限り当てはめていったがどれもぱっとしない。

 

すると白金さんが話しかけてきた。

 

「九条さん・・・考え事・・・ですか?」

 

「え、えぇ・・・新曲のタイトルを考えていたのですがどれもぱっとしなくて・・・丁度いいスペルや語呂が思いつかなくて沖縄で色々見ればいいのがあるかなーって思いまして。」

 

「そうですか・・・別に・・・全部英語じゃなくても・・・いいんじゃないですか?」

 

「え?」

 

「その・・・たしかに・・・英語の方が・・・Roseliaにあってるようにも・・・思えます。けど・・・無理に英語にしなくても・・・良いものはあると・・・思います。」

 

確かに思いつかなかった。

 

無理に英語に合わせようとして逆にややこしくなっていたのかもしれない。

 

「・・・なるほど、ありがとうございます!また考え直してみます!」

 

「はい・・・けど・・・せっかくの・・・修学旅行です・・・もっと・・・楽しんだ方が・・・いいと思います・・・」

 

「たしかに・・・ここ最近ずっとRoseliaの事ばかり考えていました・・・肩の力が入ってはいいものも思いつきませんね。」

 

白金さんの話に少々苦笑気味に返した。

 

「奏多くーん!燐子ちゃーん!そろそろ次行くよー!」

 

丸山さんが僕達を読んだ。

 

「呼ばれましたね、行きましょう!」

 

「・・・はい!」

 

僕はその時の間Roseliaの事を考えるのをやめ、首里城を後にした。

 

 

 

 

 

少し早いお昼ごはんに沖縄名物のソーキそばを堪能した僕達は美ら海水族館へ向かった。

 

この水族館の名物である巨大水槽に目を奪われながら僕達は水族館内を見回った。

 

見回っている最中、クラゲのコーナーで見覚えのある金髪の人がいた。

 

「あれ?千聖ちゃん?」

 

「あら、彩ちゃん?それに九条さん達も?」

 

やはり白鷺さんだった。

 

それにどうやら1人だけではないようだ。

 

「ふええ・・・千聖ちゃん、勝手に行かないで~」

 

「あら、花音!ごめんなさい、置いていってしまって・・・」

 

「う、うん。その人達は?」

 

「ええ、昨日ライブに来てくれたB組の人達と・・・」

 

「えっと、千聖ちゃんと同じバンドのボーカルの丸山彩です!」

 

「B組の氷川紗夜です。」

 

「同じくB組の九条奏多です。」

 

「えっと・・・白金・・・燐子です。」

 

「えっと、A組の松原花音です。宜しくお願いします。」

 

松原さんと軽い挨拶を交わす。

 

「へぇー、千聖ちゃんもここに来たんだー。」

 

「花音がクラゲを見たいって言ったからよ。私もそれなりに楽しんでるけどね。」

 

「松原さんクラゲ好きなんですか?」

 

「はい・・・あの丸っこい形やふわふわした感じが好きなんです。」

 

意外な趣味に驚きつつ、白鷺さん達は他にも回るところがあるらしいのでここで別れた。

 

館内も大体回り僕達は美ら海水族館を後にして商店街へと向かった。

 

 

 

 

商店街に来るとそこは地元の人や観光客で賑わっていた。

 

今日は平日なのだがどうやらほかの学校の修学旅行も来ているらしくそこは別の学校の生徒でごった返していた。

 

「うわ~人が多いね。」

 

「まさかほかの学校も修学旅行とは・・・迂闊でした・・・」

 

「し、白金さん・・・大丈夫・・・です?」

 

「ひ、人混み・・・無理・・・」

 

白金さんの顔が青くなっていたので僕達は商店街内で人が少ない所を探し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・のだが

 

「はぁ・・・自分の方向音痴が嫌いです・・・」

 

白金さんと一緒にいるのだが気を使いながら進んでいたせいでどうやら氷川さん達とはぐれてしまったようだ。

 

「すみません・・・私の事を・・・気にしていたせいで・・・」

 

「いえ、そんなことは無いですよ。ただ始めての場所であることと僕が方向音痴のせいで・・・」

 

幸い、人の少ないところに来たおかげで白金さんはだいぶ落ち着いているようだ。

 

すると携帯が鳴った。

 

相手は氷川さんのようだ。

 

「もしもし、九条です。」

 

『九条さん、今どの辺にいますか?』

 

「えっと・・・こっちからはわからなくて・・・」

 

『そうですか・・・では商店街の入口あたりで一度集合しましょう。白金さんとは一緒ですか?』

 

「はい、一緒です。多分そこならマップを見ればわかると思います。」

 

『では後で。』

 

そこで通話は切れた。

 

「白金さん、最初に入った所で集合だそうですけど行けますか?」

 

「はい・・・なんとか・・・しかし・・・」

 

「問題は・・・あの人混みですね・・・」

 

2人が途方に暮れる時だった。

 

「あれ?ソータに燐子じゃん!?」

 

聞き覚えのある声がした。

 

後ろを向くとその声の正体はリサだった。

 

「い、今井さん!?」

 

「り、リサ!?どうしてここに?」

 

「何故って、修学旅行だけど?言ってなかったっけ?」

 

どうやら羽丘も今日から修学旅行だったらしい。

 

「リサ、どうしたの?あら、燐子に奏多?どうしてここに?」

 

後ろから湊さんも出てきた。

 

「あの・・・実は・・・」

 

リサと湊さんに事情を説明した。

 

「プッ・・・ハハハッ!えっと、紗夜と彩と一緒に行動してたらはぐれてしまって集合場所に向かおうにも人混みで通れない上にソータ方向音痴だって!」

 

「リサ・・・そんなに笑うことないですよ・・・」

 

「とりあえず紗夜も来ているって事ね。」

 

「とりあえず、一緒にいこっか!」

 

「す、すみません・・・ありがとう・・・ございます。」

 

リサと湊さんに助けられ、何とか氷川さん達のいる所についた。

 

 

 

「み、湊さん!?そして今井さんも!?」

 

「迷っているところにばったり会ってしまって、あれ?丸山さんは?」

 

「ええ、彼女なら」

 

話を聞くと、どうやら事務所から連絡があり昨日のライブとはまた別で沖縄ロケをすることになったらしくそのため先にホテルへ戻ったそうだ。

 

とりあえず僕達は近くに海があったので休憩がてら海の家へと向かった。

 

 

 

 

 

「結局あこ以外のRoselia揃っちゃったね~」

 

「私はあまりこういう店は、」

 

「氷川さん、ここ限定のフライドポテトあるみたいですよ。」

 

「フライドポテト!?」

 

実は最近知ったことだが、氷川さんは大のフライドポテト好きのようだ。

 

この前のライブの反省会の時に頼んだフライドポテトがすぐに無くなり宇田川さんが「そんなに量なかったねー」と言っていた。

 

他のメンバーは気づいてないがその殆どを氷川さんが食べていたことを見ていた僕は昨日のライブの後こっそり日菜さんに聞いたら大のフライドポテト好きということがわかった。

 

日菜さんからは「おねーちゃんの機嫌悪い時とか叱られる前にフライドポテト出したら落ち着くよー」と入れ知恵された。

 

「そ、そんなものに興味はないですがあるというなら試してみる価値はあります。」

 

湊さんは「歩き疲れたから丁度いい」と言って先に白金さんと席を探しに行ってもらってる。

 

それぞれのドリンクと氷川さん用のポテトを購入し、2人の待つ席へと向かった。

 

テラス席で4人と会話している中、追加のドリンクを購入しに、席を立つとみせの端にキーボードやギターが置かれていた。

 

それを見ていると店の人が話しかけてきた。

 

「坊主、それに興味があるのかい?」

 

「い、いえ・・・その海の家になぜベースやギターなどがあるのかなと思いまして・・・それとあなたは?」

 

「俺はここで店長やってるもんだ!それらは今度ここでライブするとき用で今日届いたもんなんだけれどよ、まだ試し弾きしてなくてよ・・・」

 

「そうなんですか、どれもこれもいいものを使ってますね。」

 

「おっ、わかってるねぇ!坊主、バンド組んでるのかい?」

 

「いえ、たしかにバンドは組んでいますが僕はマネージャー的なやつです。メンバーはあっちに・・・」

 

「そりゃいい!頼む坊主、試しで良いから弾いてくれねぇか?」

 

突然のお願いに僕は戸惑った。

 

「えっ、ちょっ、いきなり言われても・・・それに弾くのは僕じゃないですし・・・」

 

「頼む!ここには楽器弾けるやついなくて・・・礼ならする!ポテトやドリンクサービスするからよ!」

 

「ち、ちょっと待っててください!」

 

流石に僕だけでは決められないので湊さん達の所へ向かった。

 

湊さん達のところへ行き、訳を説明した。

 

「そんなこと言われてもね・・・」

 

「でも友希那、たまにはいつもと違う所で新曲を弾くのもRoseliaの成長としていいんじゃない?」

 

「そうですね、たまには違う場所、違う楽器で演奏するのもいいかもしれません。」

 

いつもこういうことは否定する氷川さんが珍しく賛同している。

 

やはりポテトの力が大きいのか・・・

 

「白金さんはどうしますか?」

 

「その・・・私は・・・やって・・・みたい・・・です。」

 

「でもドラムはどうするの?」

 

「ドラムの音は宇田川さんの音を録音していますけどそれで流すしかないと思います。」

 

「全員揃っていないのが残念だけど仕方ないわね・・・行くわよ。」

 

店長の元へ戻り、楽器を準備してもらった。

 

ドラムはまだ届いていなかったらしくキーボード、ベース、ギターそしてマイクが2本準備された。

 

「あれ?なぜ2本あるんですか?」

 

「そりゃ坊主、お前が歌え。」

 

「えっと・・・僕はマネージャー的な役割なんですけど・・・」

 

「いいじゃねえか!嬢ちゃん!別にいいか?」

 

「はぁ・・・お客さんの提案よ、早くステージに来て。」

 

まさか新曲をダブルボーカルでやるとは・・・

 

歌詞は今までずっと聴いてきたので完璧に覚えている。

 

歌詞名は・・・と考えているとぱっといいものが浮かんだ。

 

これなら曲調や歌詞にも合う。

 

「何しているの奏多、早く来て!」

 

「す、すみません!」

 

僕は湊さんの隣に立った。

 

初のステージからの景色に緊張しつつ湊さんのMCが始まった。

 

「Roseliaです。今回この場を借りて演奏させてもらいます。ここで私達の新曲を披露したいと思います。名前はまだ・・・」

 

「『熱色スターマイン』・・・」

 

「え?」

 

「この曲の名前は『熱色スターマイン』ですっ!」

 

「フフッ、それでは聴いてください。『熱色スターマイン』!」

 

唐突の命名にメンバーは少し驚きつつ、新曲『熱色スターマイン』が始まった。

 

今はいない宇田川さんのパートと湊さんのパートの一部を僕が歌い、他を湊さんが歌う。

 

ダブルボーカルに海の家の人達のテンションは最高潮まで達していた。

 

(楽しい・・・ここで歌うことがこんなに楽しいなんて!)

僕は歌いながらステージに立って演奏する楽しさを感じていた。

 

今回だけの特別なライブだがそれでもステージに立てたことに僕は喜びを感じていた。

 

 

 

 

 

ライブが終わると店長からお礼としてドリンクと大量のポテトを貰った。

 

その半分が気が付かないうちに氷川さんの所に行ったのは僕のみぞ知ることだった。




修学旅行編2話どうだったでしょうか?
この話の海の家の行はBanG Dream!のOVAのポピパの所をベースにしています。今回どうしても氷川さんのポテト事情を書きたかったのと奏多と湊さんのダブルボーカルを試してみたかったのもあります。
羽丘と花咲川が一日ずれて修学旅行なのは少し強引だったかな・・・と思いつつもいい作品ができたと思います。
1人だけライブに行けなかったあこちゃんと仕事で修学旅行をあまり楽しめていない彩ちゃんには心からドンマイと言わせて貰います・・・

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