無色と灰色の交奏曲   作:隠神カムイ

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新章『~LOUDER~オモイツナグ ミカンセイ ナ ウタ』のプロローグ的な回です。
本当は投稿日じゃないのですがこの回は前からめちゃくちゃやりたかったので早めに投稿することにしました。

そして今回は新しく友希那sideが追加されます。主に奏多と燐子の目線で書くつもりですがこの回はやっぱり友希那さん目線が欲しいってことで追加することにしました。この3人の目線からのストーリーをお楽しみください!

てなわけで新章本編始まります!


3章 ~LOUDER~オモイツナグ ミカンセイ ナ ウタ
15話 ハゲシイ シャウト


Roselia結成から少し経ち、6月になった。

 

6月といってもまだ始めの方なので梅雨入りしておらず、外は快晴。

 

日曜でRoseliaの練習も珍しくオフなので僕は久々に外をぶらついていた。

 

「んー!たまには散歩も悪くないなぁ!」

 

体を伸ばしながら川沿いを歩いていた。

 

最近ずっとテスト勉強やRoseliaでの作業で座ってばかりいたのでこうしてのびのびと出来るのは久々である。

 

適当に歩いていると公園を見つけた。

 

「・・・ちょっと休憩するか。」

 

僕はそう思って公園に入った。

 

公園に入ろうとすると中に見覚えのある銀色の髪の人がいた。

 

「あれは・・・湊さん?」

 

背を向けてしゃがんでいるのでこちらには気がついていない。

 

声をかけようとしたがその光景に僕は思わず口を閉ざした。

 

そこには・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猫だった。

 

しゃがんでいる湊さんの周りにたくさんの猫がいた。

 

しかもその猫達は湊さんに警戒することなく湊さんの周りに集まっていく。

 

(あの人、なんであんなに懐かれてんの?)

 

すると今まで黙っていた湊さんが口を開いた。

 

「・・・フフッ、にゃーんちゃん・・・お待たせ、今日はお菓子、持ってきたよ~」

 

(み、湊さんが!?に、にゃーんちゃん!?)

 

崩れていく・・・僕のいつも見ていた湊さんのイメージがものすごい勢いで崩れていく・・・

 

その湊さんは見たこともない緩い笑顔で猫達を撫でながら猫用であろうビスケットをあげていた。

 

(み、湊さんにあんな姿あったとは・・・このことリサ知ってるのかな・・・)

 

そんなことを考えている中、何のいたずらか突然くしゃみが出そうになる。

 

(あ、やばっ!)

 

思わず耐えようとするが

 

「・・・くしゅん!」

 

耐えたのだが音が漏れだしてしまう。

 

だがその小さな音でも湊さんが気づくのには十分だった。

 

「・・・誰?」

 

これは出ない方が逆に怪しまれると思い湊さんの前に姿を現す。

 

「そ、奏多!?」

 

「あの・・・ハハハ・・・」

 

「い、いつからそこに?」

 

「そ、その・・・に、にゃーんちゃん辺りから・・・」

「・・・っ!」

 

湊さんの顔がみるみる赤くなっていく。

 

猫達はそんなのお構い無しに湊さんの足に頬を擦り寄せている。

 

とりあえずこのままだと僕がストーカー扱いされそうな空気だったので無意味かもしれないがとりあえず話すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

「日曜で予定もなかったんでたまには散歩しようかなと・・・」

 

「そう、散歩ねぇ・・・」

 

湊さんは少し疑い気味に返す。

 

「そして川沿いを歩いていたら公園があって、その公園で休もうとしたら湊さんがいたんですよ。」

 

「・・・はぁ、そういうことにしときます。けど!」

 

湊さんがこちらをくわっと見てきた。

 

「は、はいっ!」

 

「あの・・・あのことは忘れてちょうだい!」

 

「あのことって・・・」

 

「その・・・ね、猫のこと・・・」

 

(あ、この人あれだ・・・普段はツンとしてるけど緩いとこ見られたら慌てて隠そうとするタイプの人だ!)

 

忘れてと言われても一度見てしまったものはそう簡単に忘れられない。

 

「は、はい・・・」

 

とりあえず相槌を打つ。

 

ここで忘れられないと言われても逆にめんどくさくなるだけだ。

 

すると1匹の猫が近づいていた。

 

「ニャー」

 

「あら、どうしたの?」

 

猫は身軽に湊さんの膝の上に乗ってきた。

 

「ニャァ・・・」

 

「そう・・・ちょっと待ってて。」

 

そう言って湊さんは自分の鞄からさっきの猫用ビスケットを取り出して猫に与えた。

 

「猫・・・かなり懐いてますね。」

 

「・・・えぇ。私、よくこの公園に来るから。」

 

湊さんはそう言って猫を撫でる。

 

猫も目を閉じて喉を鳴らして湊さんの膝の上に丸まった。

 

「そういえば奏多、次のライブのセットリスト考えている?」

 

次のライブは2週間後でそろそろ曲のセットリストを考えなければならない時期だ。

 

次やる曲は3曲、あらかじめ湊さんに言われていたので考えてはいた。

 

「えっと・・・1曲目を熱色スターマイン、2曲目をBLACK SHOUTの流れで行こうとは思うんですけど3曲目をそのまま勢いに乗らせるか、緩急をつけるべきかで考えているんですけど・・・」

 

「そう、はじめの2曲はいいセットだと思うわ。」

 

「はい。ここはあまり外したくないので残りの1曲は明日皆に聞いてみようと思います。リサや白金さん達の意見も聞きたいですし。」

 

「それでいいと思うわ。」

 

湊さんは納得したように相槌を打った。

 

「そういえば前から気になってたのだけれども。」

 

「はい?」

 

「奏多は何故ほかの人は名字なのにリサだけ下の名前で呼んでるのかしら?」

 

突然のその質問に僕はビクッとした。

 

とりあえずバイトであったことをそのまま話した。

 

「その・・・リサにバイト始めた日に話の練習するついでにアタシの事はリサって呼んでと言われて・・・」

 

「そう・・・リサらしいわね。」

 

今考えると僕が今下の名前で呼んでいるのはリサと日菜さんしかいないかもしれない。

 

「なら私の事は友希那って呼んで。」

 

「は、はい!?」

 

「話す練習をしているのでしょ?それぐらい慣れてもらわないとマネージャーとしてどうかと思うけど?」

 

「は、はい・・・ゆ、友希那さん?」

 

「さん付けは無し。」

 

「はい!その・・・友希那・・・?これで・・・いい・・・ですか?」

 

「はぁ・・・本当は敬語も直して欲しいけど、まぁそれでいいわ。」

 

みな・・・友希那が少しため息をつく。

 

「話がズレたけど私の方でも考えておくわ。」

 

「はい、よろしくお願いします。」

 

友希那が移動するのを察して猫が膝から降りる。

 

「それじゃ、また明日練習で。」

 

「はい、また明日よろしくお願いします。」

 

友希那と別れ、時間もいい所なので僕はそのまま家に帰ることにした。

 

ライブの件は正直新曲を試してもいいとは思うのだが2週間で作詞からやるのはかなり難しい。

 

その上氷川さんなら「中途半端なものはライブで演奏出来ない」と言いそうなのでもし、新曲をするとしたらカバー曲ぐらいなのだ。

 

「あぁ・・・Roseliaに合ってアップテンポのいい曲無いかな~」

 

僕はそう考えながら来た道を帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友希那side

 

奏多と別れそのまま家に着いた私は鞄を置いて色々な曲のスコアを置いている棚の前に立った。

 

「奏多が言っていた曲で合いそうなもの・・・たしかこの辺りに・・・」

 

探していると黒い四角のものが入っていた。

 

「・・・なにこれ?」

 

それはカセットテープだった。

 

音楽配信が普通な今の世の中ではカセットテープはかなり古いほうだ。

 

見たところ10年以上前のものだった。

 

恐らく何かの拍子に入れてそのままだったのだろうか。

 

最近この棚の中を見ていなかったので何時頃から合ったのか覚えていない。

 

「この家にあるということは曲・・・なのかしら。」

 

悩んでいても仕方が無いのでそのカセットテープをラジカセに入れた。

 

私のラジカセは昔から使っているのでカセットテープに対応していた。

 

テープの巻取りが終わり、私は再生ボタンを押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは私にとって衝撃的な音楽だった。

 

(何・・・この激しいシャウト?)

 

ラジカセから流れ出す激しいドラムとギターの音。

 

聴いたいるだけで心が揺さぶられる感覚に陥るしかし衝撃的なのはその歌い手の声だった。

 

(これは、お父さんの声!?)

 

その声は自分の父の声だった。

 

私の父は昔、インディーズというバンドを組んでいてボーカルをしていた。

 

しかし10年前あることがきっかけでバンドは解散してしまった。

 

曲の殆どのスコアは父が処分してしまったらしく私は父がバンドをしていたこと以外その内容をよく知らない。

 

しかしこの声は間違いなく父のものだ。

 

(お父さん・・・すごく楽しそう・・・。この曲から純粋な音楽に対する熱意が伝わってくる・・・。)

 

曲が終わりカセットテープを取り出した。

 

そのカセットテープの背面によく見ると題名らしきものが書かれてあった。

 

そこには

 

 

 

『インディーズ LOUDER』

 

 

 

と父の文字で書かれていた。

 

「LOUDER・・・この曲、私も歌ってみたい・・・!」

 

この曲なら今回のライブのセットリストに合うかもしれない。

 

しかし・・・

 

「私にこの歌を歌う資格は・・・あるのかしら・・・」

 

私の歌声に、この曲を重ねる資格・・・

 

私はその後、その有無をずっと考えていた。

 




今回、燐子は出てこなかったけど投稿日の今日は燐子誕生日なのでしっかり祝ってます!
次の友希那さんの誕生日は特別編やる予定なんでよろしくお願いします!
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