昨日は燐子誕生日だったのに前話は燐子出てない・・・!
てなわけで今回しっかり出るので!
まぁ最初は友希那sideから入るので出てくるの多分中盤辺りだと思うけど!
いい加減進展させないと面白みが薄れるな・・・タグ詐欺になりそうだし・・・←怖いのそこかよ
そういう事で未だ友達関係な本編始まります!
私は今CIRCLEの前に立っている。
練習の日ということもあるが、その鞄の中にはいつもは入っていないものも入れている。
それは昨日見つけたカセットテープだ。
昨日これを歌うべきかを悩んだ私はとりあえずみんなに聞いてもらうべきだと考えてこうして持ってきている。
『LOUDER』
父が残していた私が知る中で一つだけの父の曲。
まだ10年以上前、父がバンドに熱意を向けていた頃の曲。
この曲からは音楽に対する熱意と楽しさが感じられる。
今のRoseliaならこの曲を完璧に演奏できるかもしれない。
しかし、他のメンバーが演奏出来ても私が歌わなければ完成しない。
この曲を歌ってみたい気持ちはある。
しかし、私が『最高の音楽』を求める思いとこの頃の父の思いはどうもかけ離れすぎているような気がする。
この曲を歌う資格は私には無いのかもしれない。
昨日散々悩んでその結果持ってきているのだが、これを聴かせて皆はどんな反応をするのだろうか。
その反応に私はどう返せばいいのだろうか。
「・・・そんなこと考えても変わらないわね。」
この時間だと他のメンバーは揃っているだろう。
この件は練習の後みんなに話そうと思い私はCIRCLEの中に入った。
奏多side
僕はいつも通り集合時間の15分前には準備を始めている。
・・・といっても大体先に氷川さんが居るので、ほとんどは練習中に飲む水の準備や重い荷物の運搬などぐらいなのだが。
「そういえば氷川さんって何時ぐらいに来ているんですか?」
「そうね、大体集合時間の20分前ね。いつもこれぐらいですよ。」
「そんなに早く来て暇にならないんですか?」
「遅れて皆に迷惑をかけるぐらいなら早く来て待っていた方がいいと思いますけど。」
それもそうかと納得しつつドラムのセットを運ぶ。
すると僕の携帯にメールが来た。
「LINEじゃなくてメール?誰からだろう?」
僕は携帯を取り出して内容を見る。
差出人は・・・「九条茂樹」と書かれていた。
「え?シゲさん?」
シゲさんは僕の親父の弟で叔父に当たる人だ。
今、音楽雑誌の仕事をしているのでいつも忙しく、会うことが出来るのは正月ぐらいだ。
しかし小さい頃から母親がいない僕のことを可愛がってくれたので昔からシゲさんと読んでいる。
「シゲさん・・・とは?」
氷川さんが僕の反応に気づき、尋ねてきた。
「僕の叔父です・・・仕事で滅多にメール送ってくれないのに・・・」
とりあえず内容を読んでみた
『ひさしぶりだな奏多。突然で悪いが兄貴に頼まれてお前の様子を見に行くことになったから今からそっちに行くぜ。今日の夕方辺りに着くと思うから飯と部屋の準備よろしく! 茂樹』
いや、そんな唐突に言われても!?
僕はシゲさんが親父とは違いかなり自由人な性格をしているということを今更ながら思い出した。
「どうしました九条さん、顔がひきつってますけど・・・」
「え、えっと・・・叔父が今からこっちに向かうって言われて・・・」
「お、お疲れ様です・・・」
氷川さんもこちらの心境を察したようだ。
「しかし、それはそれこれはこれ。練習にはしっかり集中してくださいね。」
氷川さんがそう言って準備を再開する。
そろそろ他のメンバーも来る頃なので僕もシゲさんに『今日6時ぐらいまでバイトあるから早くついたら適当に時間つぶしといて』とだけ送って準備を再開した。
今日の練習が終わって片付けを開始しようとした時、
「・・・みんな、ちょっと集まって。」
と友希那に呼ばれた。
いつもこんなことは無いのでみんな不思議に思いながら友希那の前に集まる。
「友希那、一体どうしたの?」
「皆に聴いてほしいものがある。」
リサの問いかけに友希那はカセットテープを見せてCIRCLEにあるラジカセに差し込む。
(カセットテープ・・・どうしてあんな古いものが?)
準備がおわり、友希那が再生ボタンを押す。
そこから流れたのは激しいシャウトから始まる歌だった。
その曲に全員が驚き、その曲を聴き入っている。
激しくて、だけど繊細で胸がぎゅっと締め付けられるような感覚におちいる。
(こんな曲があったなんて・・・しかし誰が歌っているのだろう・・・)
そう考えているうちに曲が終わった。
「すごい・・・すごいすごいすっごーい!カッコイイ!超カッコイイ!ねぇりんりん!」
「う、うん・・・そうだね・・・すごく・・・カッコイイ。」
「確かにすごい曲・・・しかし誰が・・・」
「ね、ねぇ友希那・・・この声ってもしかして・・・」
リサが思い当たるような質問をする。
しかし友希那はそれに答えなかった。
「・・・ごめんなさい、やっぱりこの曲は私達には見合わない。余計な時間を取らせてしまったわね。」
「え、でも・・・」
「・・・宇田川さん、湊さんは考えていることがあるのだと思います。」
宇田川さんを氷川さんが静止した。
「ゆ、友希那!その曲、録音だけしていいかな?」
「・・・?別に構わないけど。」
特に意味もないかもしれないが、一応残しておいた方がいいと思いラジカセにパソコンを経由して曲を保存する。
保存が終わり、片付けを再開しようと後ろを向くと友希那を除く4人がびっくりした顔をしていた?
「ど、どうかしました?」
「あの・・・九条さんが、」
「友希那さんを・・・下の名前で・・・呼んでる・・・」
「ソータ・・・一体どうしたの?」
そういえばみんなの前で友希那を下の名前で読んだことない・・・
「えっと・・・実は昨日友希那とたまたま会って・・・その時慣れるために下の名前で呼んでって言われて・・・」
僕は少々あたふたした。
「・・・マネージャーがその程度で慌ててどうするのかしら。」
友希那がため息をつく。
「と、とりあえず早く片付けてしまいましょう!リサも次バイトでしょう!」
とりあえずみんなを急かして話を流しその日は解散となった。
燐子side
練習の後、私はあこちゃんと帰っていた。
いつも私と九条さんとあこちゃんの3人で帰っているのだが九条さんはバイトのため今井さんと先に行ってしまったので2人で帰っている。
「ねぇりんりん、あの曲良かったよね」
「そうだね・・・でも今の私達には見合わない・・・って言われたね。」
「見合わないってどういう事だろ・・・あこ達のレベルがまだまだなのかな・・・でも頑張って練習したらできるようになるんじゃないかな。あこ、あの曲に見合う演奏ができるようになりたい!」
「・・・うん、私も・・・同じ気持ち。でも・・・友希那さんがどう言うか・・・。」
2人で悩んでいると噂をすればと言うべきか友希那さんがいた。
どうやら自販機で飲み物を買っていたようだ。
もちろんあこちゃんも気づいた。
「ねぇ・・・あれって友希那さんだよね。・・・よしあこ、もう1回お願いしてくる!」
そう言ってあこちゃんが走り出した。
「ま、待って・・・あこちゃん!」
あこちゃんを追いかけるが運動は得意ではないので全然追いつけない。
追いついた頃にはあこちゃんは話を切り出していた。
「はぁ・・・はぁ・・・あこちゃん・・・早い・・・」
「りんりんっ!りんりんもあの曲演奏したいよね!」
「・・・う、うん・・・私も演奏したい・・・どなたの曲なのかはわからないですけど・・・きっと・・・友希那さんの歌声にあう、素敵な歌だと思いました・・・!」
「私の・・・歌声に?」
「私、友希那さんの歌声が好きです・・・!強くて、繊細で・・・時には音楽を求めすぎるあまり、まるで恋焦がれているような焦燥感を感じる・・・そんな歌声をしています。先程の曲を聞いた時・・・友希那さんの歌声を初めて聞いた時のような感覚に陥りました。」
「・・・」
友希那さんは黙って聞いている。
「だから・・・その・・・友希那さんにあの歌を歌って欲しい・・・そう思います・・・」
「お願いします!友希那さん、あの曲演奏させてください!あこ達のレベルが合ってないなら皆で猛練習します!だから!」
「・・・私の歌声は、そんなに純粋なものではないわ。」
「えっ・・・!?」
「私には・・・今の私にはあの曲を歌う資格はない・・・」
「友希那・・・さん?」
「ごめんなさい、あなた達の熱意はたしかに受け取ったわ。ありがとう。けど、この件に関しては、少し考えさせて・・・」
友希那さんはそう言って帰っていった。
その時のあの人の表情はとても悲しそうな表情をしていた。
自分の歌声を否定し、あの曲に自分の歌声を合わせる資格はないと言ったものの本当は歌いたいから私達に聞かせたのではないだろうか。
「・・・ねぇりんりん、もしもここに九条さんやリサ姉がいたらどう言ってたんだろ。」
「・・・そうだね。」
もし、九条さん達がいたらこの状況は変わっていたのだろうか。
奏多side
「くしゅん!」
「ソータ、風邪?」
「いやそんなことはないと思います・・・」
誰かが噂したのかな・・・
練習が終わって僕とリサはこんなことを話しながらコンビニへ向かっていた。
この後、昨日のことをあれこれ聞かれたが後々怖いので適当に流し、コンビニに付くと着替えてレジの前に立った。
夕方頃なので人もあまり多くなく、そこまで忙しくなかった。
レジにたって2時間後、全然客入ってこないのでがボーッとしてると客が入ってきた。
「いらっしゃいま・・・!」
なんと入ってきたのはシゲさんだった。
「お、奏多!正月以来だな!お前ここで働いてたのか!」
シゲさんが笑顔で話しかけてくる。
「う、うん・・・ひさしぶりシゲさん。」
「ソータ?どうしたの?」
リサが奥から出てきた。
「え、えっと・・・」
「おっす!奏多の叔父の茂樹って言うもんだ!よろしくぅ!」
「よ、よろしく・・・お願いします・・・」
リサもかなり引いている。
「し、シゲさん!今バイト中だから後にして!後に!」
「お、そうか悪ぃ悪ぃ!」
シゲさんはとりあえず商品を選びにレジの前から立ち退いてくれた。
「えっと・・・すみません、僕の叔父が・・・」
「なんか、凄い人だね・・・ソータの叔父さん・・・」
「ええ、かなりの自由人なんで・・・」
そろそろバイトが終わる時間なのでシゲさんには待ってもらうことにした。
バイトが終わり僕とリサはコンビニを出るとそこにはシゲさんが待っていた。
「おう!お疲れさん!ほらよ、差し入れだ!」
シゲさんは僕に缶コーヒー2本を渡してきた。
1本をリサに渡す。
「あ、ありがとうございます。」
「ありがとう、シゲさん。」
「いいってことよ!そういえば、今井ちゃんだっけ?」
「そ、そうですけど、なぜ名前を?」
「いや、店員の胸に名札ついてるだろ?家どの辺?夜の道は色々危ないし送ってやるよ!」
シゲさんはどうやら車で来ていたらしい。
「シゲさん・・・それいきなり言っても困ると思うけど・・・」
「ん~まぁいいか。お言葉に甘えてお願いします!」
「あいよ!」
(いいのか!?それで!)
そう思ったがなんとも言えずに僕とリサはシゲさんの車に乗った。
そこで僕はさっき録音した曲を流した。
(そういえば曲名聞いてないな・・・)
と思って流し始めた時だった。
「お、おい奏多!その曲なんで知っている!?」
シゲさんがびっくりした顔でこちらを見てきた。
「茂樹さん!前向いて!運転中!」
「お、おう悪ぃ・・・」
リサがとりあえずシゲさんを前に向かせる。
「んで、奏多。なぜその曲を知っているんだ?」
「シゲさん、この曲知ってるの?」
「いや、知ってるも何もその曲俺が演奏してんだよ。」
・・・・・・・・・?
え?今なんつった?
「・・・え?シゲさん、今なんて言った?」
「だーかーらー、その曲俺が昔演奏していた曲なの!」
「「えぇ~!!」」
僕とリサは車の中で大声で驚いた。
「なるほどね・・・湊ん所の嬢ちゃんとバンド組んでて今日その曲聞かされてやっぱ辞めると言われたのか・・・」
僕はとりあえずさっきの事をシゲさんに説明した。
シゲさんは納得したようで僕はそのまま質問した。
「ね、ねぇシゲさん。シゲさんはなんの楽器演奏してたの?」
「俺か?俺はベースやってた。」
「ベースですか?アタシもベースやってるんですけど!」
「そうか今井ちゃん!ベース仲間だな!」
シゲさんがニシシと笑う。
「けど、まさか湊この曲のカセット残してたんだな・・・」
「シゲさん、この曲の名前何ていうの?」
「この曲は『LOUDER』と言ってな、俺達が全盛期だった頃にやっていた曲だ。その後解散した時にスコアとかカセットとか全部湊が持っていってよ全部処分したとか言いやがるんだ。」
「友希那のお父さんがバンドやってたの知ってるけどまさかそのメンバーに会えるなんてね・・・」
「そうだ今井ちゃんよ、湊どこ住んでんか分かる?」
「どこってアタシんちの隣だけど?」
「え、友希那とリサって家隣だったんですか?」
「そうだよ、言ってなかったっけ?」
意外な事実に驚く僕を余所目にシゲさんが豪快に笑った。
「ハッハッハ!そりゃ丁度いいや!湊んとこ行くか!」
「え、そんな勝手にいいの?その人にも仕事あるでしょ?」
「えっと・・・今の時間なら多分友希那のお父さんいると思う・・・」
「よし!湊家に突撃だ!」
行き先が今井家から湊家に変更され僕達は強制的にシゲさんの自由人行動に付き合うハメになった。
微妙な終わり方ですが続きは次回です!(こういう焦らす系を試してみたいと思っただけ)
さて、いつになったら奏多くん全員下の名前呼びになるのかな~