無色と灰色の交奏曲   作:隠神カムイ

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はい、この11月というくっそ寒くなっていく中無灰世界では水着イベです。
夏だ!海だ!水着だ!って感じではありますが現実世界でくっそ寒い中考えるのはまあまあ難しかったです(作者はめちゃくちゃ寒がりで登校する時は完全防具)
ンなわけでテンションは常夏!外は寒気という中新章始まります!


6章 ムショク ト ハイイロ ノ ナツヤスミ
27話 ムショク ト ウミ マヨウ ハイイロ


『夏』それは学生にとって夏休みという一大イベントの一つである。

 

バイトに追われるもの、部活で汗を流すもの、家でのんびりするものと色々あるが我らがRoseliaはこの暑い中絶賛練習中である。

 

しかし、いくらCIRCLEの冷房が聞いているとはいえ外は気温30度に近く、熱中症の危険性があるため少し練習時間を短くしている。(友希那には熱中症で倒れては元も子もないと言って言いくるめた。)

 

さらに週末は基本休みにさせてあるのでそれぞれのメンバーが思い思いの時間を過ごすことが出来るためそのリフレッシュ期間もあってかメンバーの実力は前よりかなり上がっている。

 

そしてある日、練習していてそろそろ終わろうとしている時だった。

 

「・・・あの、友希那さん。」

 

「どうしたのあこ?」

 

「なんか・・・暑くないですか?」

 

「あこちゃん・・・大丈夫?」

 

あこを見るとかなり汗をかいている。

 

よく見るとあこだけじゃなく、他のメンバーをいつも以上に汗をかいていた。

 

「と、とりあえず一回休憩挟みましょう。」

 

そう言って僕は全員分のタオルとスポーツドリンクを準備した。

 

「なんかいきなり暑くなったね・・・」

 

「もしかして冷房が壊れたのではないでしょうか。」

 

「ちょっとスタッフさんに聞いてみます。」

 

「ええ、頼むわよ奏多。」

 

僕はスタジオを出て受付の方へ向かった。

 

受付にはまりなさんがいた。

 

「あれ、奏多くんじゃん。どうしたの、練習は?」

 

「すみませんまりなさん、冷房の調子が悪いようで見てもらってもいいですか?」

 

「うん、わかった。」

 

そう言ってまりなさんは受付の人を他のスタッフさんに任せてみんながいるスタジオについてきてもらった。

 

 

 

 

 

 

まりなさんに見てもらっている中、僕達は作業の邪魔になってはいけないと思いCIRCLEの待合スペースでミーティングをしていた。

 

10分後にまりなさんが帰ってきた。

 

「まりなさん、どうでした?」

 

「うーん多分故障したんだと思う。あそこの冷房そろそろ古くなってきてたからね・・・」

 

どうやらこの暑さでオーバーヒートしてしまい故障してしまったらしい。

 

中を見ると回線が焼けていたそうだ。

 

冷房の修理には1週間もかかってしまうらしい。

 

「うーん・・・どうしよっか、Roseliaのみんなの予約は全部あそこのスタジオだったし・・・他のスタジオで空いている時間ないか見てくるよ。」

 

そう言ってまりなさんは受付の方に戻った。

 

流石にこの暑さの中で冷房なしで練習するのはもちろんきついがかといって冷房が直るまで練習できないのはもっときつい。

 

戻ってきたまりなさんによると次空いている時間は明後日の朝からだけらしい。

 

「友希那、どうしますか?」

 

「そうね・・・明日は各自自主練にするわ。それぞれ各パートの練習をしておくように。」

 

「「「「はい!」」」」

 

「それじゃあ解散ね、また明後日に。」

 

そう言って友希那は颯爽と帰っていった。

 

紗夜も後に続き帰っていく。CIRCLEには僕、リサ、燐子、あこの4人が残っていた。

 

「ねぇ、三人ともこのあと暇?」

 

「あこは大丈夫だよ!」

 

「私も・・・大丈夫です。」

 

「僕もこの後特に予定はありません。」

 

「それじゃあさ、今からショッピングモール行かない?この前新しいカフェが開いたみたいでさ~」

 

「あこ行きたい!りんりん行こっ!」

 

「えっと・・・うん、そうだね・・・行こっか。」

 

「良いですね、たまにはそういうところへ行っても。」

 

そう言って僕達は駅前近くのショッピングモールへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

ショッピングモールへ着くと平日とあってか人は少なめだった。

 

「よかったですね、人が少なくて。」

 

「はい・・・これなら安心できます。」

 

「燐子~ソータ~早く行くよ~」

 

リサに急かされ、僕達はカフェへ向かった。

 

カフェに着くと甘い匂いが漂ってきた。

 

その匂いの正体は入るとすぐにわかった。

 

「うわぁ!ケーキがいっぱい!」

 

「すごい品揃えだね、ケーキ屋さんみたいだよ!」

 

「確かに・・・すごい・・・」

 

「・・・まじですか。」

 

その品ぞろえの凄さはケーキ屋顔負けの種類だった。

 

僕は無類の甘いもの好きなのでこういうのには目がない。

 

僕の様子の変化に気がついたのはリサだった。

 

「あれ、ソータどうしたの?いつもと様子違うけど・・・」

 

「もしかして奏多さん甘いもの好きだったりして!」

 

「そうには・・・思えないけど・・・」

 

「・・・!す、すみません・・・ぼーっとして何も聞いてませんでした。さっきは何を話していたんですか?」

 

「・・・ほんとに甘いもの好きみたい。」

 

「とりあえず・・・注文しましょうか。」

 

「うんっ!あこは何にしようかな~奏多さんはどうする?」

 

「あ、はい僕は・・・」

 

とりあえずカウンターで適当な数のケーキとコーヒーを注文する。

 

みんなのオーダーを聞くと全員がケーキ一つとドリンク一つという組み合わせだ。

 

やはりケーキ複数買いは異質なのだろうか。

 

「ソータ、早くしないと置いていくよ~」

 

「あ、はい待ってください!」

 

気がつけばみんな先に行っている。

 

カウンターで注文したものを貰い、お金を払ってからみんなを追いかけた。

 

「・・・ん?今あこ僕のこと奏多さんって言わなかった?」

 

僕があこの呼び方の変化に気がついたのは初めて呼ばれてから5分後のことだった。

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・美味しかった!」

 

「はい・・・とっても美味しかったです。」

 

「そうですね、どのケーキも美味しかったです。」

 

「そ、ソータあの量全部食べたの?」

 

リサが若干引きつった笑顔で聞いてきた。

 

「はい、そうですけど・・・甘いものは別腹って言いませんか?」

 

「九条さん・・・それ女の子が言う台詞だと・・・思うんですけど。」

 

「奏多さんが甘いもの好きって意外だよね~」

 

「そんなに意外ですか?CIRCLEでもよく甘いもの食べてますけど・・・」

 

「いや、ソータっていったらアイスコーヒーのイメージしかなくてね~」

 

「はい・・・そんなイメージです。」

 

確かにコーヒーもよく飲むがそんなに甘いもの好きが意外なのだろうか。

 

僕がコーヒーを飲みながら考えていると

 

「あ、やっぱりリサ先輩と九条さんだ!」

 

という聞き覚えのある声がした。

 

声のした方向を向くとそこには上原さんがいた。

 

「あれ、ひまりじゃん。どうしたの?」

 

「はい、ショッピングモールによってぶらついてたらリサ先輩と九条さんの姿が見えたんで声をかけに来たんですよ。」

 

「そうですか。あ、上原さんこの2人とは初めてでしたよね、まず彼女が」

 

「白金・・・燐子です。よろしく・・・お願いします。」

 

「宇田川あこですっ!いつもおねーちゃんから話は聞いてます!」

 

「宇田川って巴の妹!?初めて見たよ!よろしく!あこちゃん、燐子さん!」

 

初めて会う3人が挨拶を交わす。

 

すると上原さんは思いついたように話し出した。

 

「そうだ!このメンバーで海行きませんか?実は他のメンバーが行けなくて誰と行くか考えていたところなんです!」

 

「海か!いいね、行こうよ!」

 

「あこも行きたい!ねぇ、りんりん、奏多さん一緒に行こうよ!」

 

「う、海・・・ですか。訳あってあまり行きたくはないですけど・・・」

 

海はある事情があってあまり行きたくはない。

 

別に泳げないって訳では無いがあまり人前に肌を晒したくないのだ。

 

「お願いですっ!女の子だけじゃ何があるかわかんないですし!」

 

「そうだよソータ!アタシ達に何かあったらバンドとして困るでしょ?」

 

「そ、そこまで言うなら・・・泳がなくていいのであれば行かせてもらいます。しかし・・・」

 

燐子を見るとかなり青ざめていた。

 

海はやはり人が多い上に色々と危険がある。

 

「う、海・・・む、ムリです・・・海、こわい・・・」

 

これは本当に怖がっている時の声だ。

 

無理に行かせるのもかわいそうだ。

 

「り、りんりん無理しなくていいよ!」

 

「あこちゃん・・・ごめん・・・」

 

「ううん。謝ることなんかないよ、気にしないで!りんりん、いつかぜーったい海に行こうね!」

 

「そうだ燐子!代わりに新しい水着を見てよ!燐子ならいい水着見つけてくれるだろうしさ!」

 

「え、その・・・」

 

「そうなんですか?確かに燐子さんそういうセンスありそう!」

 

「だってRoseliaの衣装担当はりんりんだもんね!」

 

「そ、それくらいなら・・・大丈夫です。」

 

「よーし!それじゃあ水着コーナーへレッツゴー!」

 

「「おー!」」

 

上原さん、リサ、あこの3人はノリノリだが白金さんはまだ少し怯えているし僕はこのノリについていけなくなっている。

 

その上男子1人に女子4人で水着コーナーとかめちゃくちゃ行きにくい。

 

「ぼ、僕は適当に本とか見に行くので・・・皆さんで水着見てきてください。」

 

「えー、奏多さんも一緒に行こーよ!」

 

「いや、その、女子4人の中に男子1人は流石に・・・」

 

「ほーら!ソータ行くよ~!」

 

リサに腕を引っ張られ、そのままカフェを出ようとする。

 

僕はこの後のほかの人の目線を浴びながら移動しなければならない事に覚悟を決め、なすがままに連れていかれた。

 

 

 

 

 

 

 

その夜、リサと上原さんに連れていかれ振り回されクタクタになった僕は部屋に戻るなりベッドに倒れ込んだ。

 

行くのは今週末でまだ3日もあるのにノリノリではないだろうか。

 

ふと気分でパソコンを開くと通知が来ている。

 

通知の内容はNFOの通知だった。

 

どうやら夏限定のコラボカフェイベントで一部の海の家に行くと特別な装備のコードが貰えるそうだ。

 

装備は夏らしく麦わら帽子に向日葵などの夏らしいアクセサリーが着いたものだった。

 

性能は配布としては悪くなく、見た目も悪くない。

 

僕はどこで入手できるか調べてみるとなんと今度行く海にある海の家で入手できるようだ。

 

(燐子ならこの装備欲しそうだな・・・)

 

そう思ったがコードはもちろん一人一枚限定だ。

 

僕が代わりに二つもらうわけにも行かない。

 

(燐子来てくれるといいけど・・・)

 

僕は叶えそうにないことを考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

燐子side

 

今日は何かと振り回されてとても疲れた。

 

海はあこちゃん達と一緒に行きたいという気持ちもあったがやはり人混みは苦手だ。

 

出来れば行きたくないがよく九条さんは行くって言ったものだ。

 

ここ最近、あの日のことをずっと疑問に思っている。

 

それはこの前九条さん達が一時的にいなかった時ファミレスでの九条さんの発言に大きな声で反応してしまったことだ。

 

あの時の九条さんの考えは間違っている。

 

同じメンバーとしてその考えを変えて欲しいと思ったから反論したが本当に『メンバーだから』ってだけだろうか。

 

初めは同じクラスメイトとして、そして同じNFOのプレイヤーとして、Roseliaのメンバーとして関わってきたが今の私は九条さんの事をどう思っているのだろうか。

 

ふとパソコンを見ると何やら通知が来ている。

 

あこちゃんとよくチャットをするのでパソコンの電源はつけたままだ。

 

私はその通知がNFOからのものであることを知るとすぐに確認した。

 

内容は夏限定の限定装備のコードの事で装備のデザインを見るととても可愛らしいものだった。

 

「手に入れたいな・・・どこでやるんだろ・・・」

 

NFOの通知をよく見ると開催場所のマップが乗っていた。

 

しかし、その場所は海の家だった。

 

「ここって今度九条さんやあこちゃん達が行くところ・・・」

 

しかも今度九条さん達が行く所だった。

 

限定装備は欲しいが海に行かないとコードが貰えないことに私はとても悩んだ。

 

するとふとあこちゃんの言ったことを思い出した。

 

『ううん。謝ることなんかないよ、気にしないで!りんりん、いつかぜーったい海に行こうね!』

 

あの時のあこちゃんの表情は笑っていたけど寂しそうだった。

 

あの表情はもう見たくないし、いざとなれば今井さんや九条さんがいる。

 

私は決意を固めた。

 

「あこちゃんに・・・連絡・・・しよう!」

 

私はあこちゃんに海に行くことを連絡した。

 

コードのために、何よりあこちゃんの笑顔のために。




はい、水着イベ最初はどうでしたか?
ネタバレ(?)になりますが奏多が素肌を見せたくないという所は後々の展開に大きく左右されます。
そのため沖縄編でも海に入れていません!
それとそろそろ『九条奏多を描いてみる』の企画が終わりそう・・・(あと色塗るだけ)
なお、奏多の髪色は銀色か灰色にしようかと思います。
完成まであと少しなので乞うご期待!

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