無色と灰色の交奏曲   作:隠神カムイ

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や、やっと奏多出来た・・・
お待たせしました!『九条奏多を描いてみる』計画終了です!


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絵の上手い下手は置いといてやりきった感とやはり白黒すぎた感もあるけど作者は満足してます!

ということで本編始まります!


30話 ムショク ト ウミ ト フワフワピンク

「んっ・・・」

 

なんだろう・・・頭がクラクラする。

 

僕は今まで何をしていた?

 

僕は今までの事を振り返ってみた。

 

(確か海に来てブルーシートとパラソルを設置して満足していたのは覚えている。その後確か・・・)

 

そこまで来て僕はある異変に気づく。

 

目の前が真っ暗で手足に力が入らない。

 

周りの音は微かに聞こえるぐらいだ。

 

(あれ・・・なんで倒れてんだ?熱中症?いや、そんなはずは・・・)

 

何とか指を動かすとガシャと音が鳴る。

 

恐らくブルーシートの音だろう。

 

ということはまだ海にいて病院ではなさそうだ。

 

すると声が聞こえた。

 

「・・・九条さんどうします?」

 

「このままだと・・・熱中症の危険が・・・」

 

「どうするリサ姉?」

 

「う~ん・・・海の水でもぶっかけてみる?ちょっと待ってて~」

 

今なんかやばいこと言わなかった?

 

そう思った瞬間意識がはっきりしだして体に力が入る。

 

ガバッと僕は勢いよく起きた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・僕は・・・一体・・・」

 

「あ、九条さん起きた!」

 

「よ、よかった・・・」

 

隣を見ると上原さんと燐子が安堵したように隣に座っていた。

 

顔、特に鼻の部分に違和感を感じ触ってみると両鼻にティッシュが詰められている。

 

通りで息がしづらいはずだ。

 

「これは・・・一体?」

 

すると2人に変わってあこが説明を始めた。

 

「奏多さんがみんなの水着を見たあとにりんりんが話しかけたら鼻血出して気絶したんです!みんな心配したんだから~」

 

今更だが雑誌の表紙の水着の女性で顔が赤くなる僕が海に来るとこうなるのを予想出来なかったのは何故だろうか。

 

すると水をいっぱい入れたビニール袋を持ったリサが帰ってきた。

 

「あ、ソータ起きたんだ~せっかく汲んできたのに・・・」

 

「辞めてもらえます!?」

 

リサの危うい行動に全力でツッコミを入れる。

 

まだ体に力が入りにくいのと鼻が塞がれているせいですぐに息が上がってしまう。

 

「ソータ大丈夫?」

 

「はぁ・・・はぁ・・・大丈夫です。すみません、僕が迷惑かけて。」

 

「大丈夫ですよ!それじゃあ九条さんも起きたことだし!」

 

「海行こっか!」

 

女子がキャッキャ言って海に入っていった。

 

しかし燐子は海に行かず僕の隣に座った。

 

「燐子は入らないんですか?」

 

「私・・・泳ぐの苦手で・・・みんなが楽しそうにする姿見るの・・・好きだから・・・」

 

そう言って燐子は自分のカバンから薄い上着を取り出して羽織った。

 

さっき水着を見ただけでぶっ倒れた僕からしたら正直有難い。

 

「九条さんは・・・なぜ泳がないんですか?」

 

「いや・・・色々ありまして。」

 

燐子の質問に曖昧に返す。

 

燐子は不思議そうな顔をしながらもそれ以上聞かないでくれた。

 

とりあえず僕はカバンの中からタブレットを取り出した。

 

本当はもっと本を持ってこようかと思ったが潮風で傷んでしまう可能性があるので昔親父が買ったはいいものの使い方がわからないという理由で置いていった防水(しかも海水も平気)のタブレットを引っ張り出してきたのだ。

 

「九条さん・・・それは?」

 

「防水のタブレットです。本当はもう少し本を持ってこようかと思ったんですけど濡れるのと潮風が怖くてこちらを持ってきたんです。」

 

燐子が興味津々にタブレットをのぞき込む。すると肩と肩がぶつかった。

 

「ヒャッ!」

 

「わっ!」

 

お互いビックリして距離を開ける。

 

お互い何があったかわかってなく見つめあっていたがいきなり弦が切れたみたいに笑い合う。

 

するとタイミングが良いのか悪いのか海に行っていたメンバーが帰ってきた。

 

「あれ?りんりんと奏多さんどうしたの?」

 

「何か面白いことでもあったんですか?」

 

「あれ~?もしかしてお邪魔だった?」

 

「「ち、違いますっ!」」

 

最後のリサの発言に僕と燐子が否定しようとしたら偶然声が重なる。

 

リサはそれが可笑しかったみたいで笑い出した。

 

上原さんはリサの発言にキャーキャー言っているが1人理解出来ていないのかあこはポカンとしている。

 

「リサ・・・そんなに笑うことですか。」

 

「い、いや~ソータも燐子も顔赤くしちゃって。それにハモったから可笑しくってさ・・・」

 

燐子は顔を赤くして下を向いている。

 

リサにこれだけ言われたら流石に恥ずかしくなるだろう。

 

僕はとりあえず平然と返す事にした。

 

「と、とにかくリサ達はどうしたんです?別にこれが気になったわけでもないですよね。」

 

「ああ、そろそろお昼近いしご飯食べに行かない?って誘いに来たんだよ。あとはそのための財布とか色々取りに来た。」

 

「確かあそこに海の家ありましたよね。そこで食べましょうよ!」

 

上原さんが指す海の家とはおそらくNFOのコラボカフェの会場の店だろう。

 

上原さんの発言にさっきから下を向いていた燐子がピクッと反応した。

 

「いいねひーちゃん!りんりんも行こっ!」

 

「そうだね・・・行こっか。」

 

ということで僕達は昼ごはんを食べに海の家へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

海の家に着くとそこにはたくさんの人が列を作っていた。

 

「人でいっぱいですね・・・」

 

「あちゃ~やっぱりお昼時は混むな~」

 

「ひ、人・・・いっぱい・・・」

 

「やばい!りんりんのいつもの発作が!」

 

「り、燐子!落ち着いてください!」

 

燐子が顔を青くしだしたので僕とあこで全力でなだめていると聞き覚えのある声がした。

 

「いらっしゃいませ~!まん丸お山に彩りを!パステルパレットボーカルの丸山彩ですっ!本日はNFO特別コラボカフェへようこそ!限定ドリンクやゲームのアイテムをモチーフとした色んなメニューがたっくさんあるので皆さん楽しんでくださいね!」

 

声の主は丸山さんだった。

 

しかもテレビで見るパスパレの時の格好のような水着を来ているのでおそらく仕事関連だろう。

 

他のみんなも気づき、丸山さんに声をかけに行くことにした。

 

「彩さん!こんにちは~!」

 

「あれ、ひまりちゃん!それに・・・あこちゃんとリサちゃんに燐子ちゃんと奏多君まで!?なになにみんなどうしたの?」

 

「彩は仕事?ってそのネームプレート・・・『一日店長』!?」

 

「えへへ、そうなの!今回のコラボカフェで、この海の家の一日店長を任された丸山彩でーっす!みんなよろしく!」

 

まさかこんな偶然があるとは思わなかった。

 

道理で異様に人が多いわけだ。

 

「すごい!あや先輩が店長さんなんだ!だから、こんなにたーっくさんお客さんが来てるんだね!」

 

「そ、そうなのかな?えへへ、だったら嬉しいな・・・あ、でもコラボしているゲームの人気も凄いみたいだよ。ほら、見て。お客さん、みーんな展示の写真撮ってるでしょ?」

 

ネット情報ではゲームキャラが水着になったりカフェの壁紙がNFOの海ステージっぽくなっているらしい。

 

しかし来てみるとそれだけではなく再現された実物の装備やなんとキャラのラフ画まであった。

 

「あっ!このゲームあことりんりんと九条さんもやってる!九条さんはRoseliaに入ってからだけどあことりんりんはリリースの時からずっとパーティ組んでてねっ、それでね!」

 

すると店の奥から人が出てくる。

 

店の店員さんだろうか?

 

「彩ちゃん、彩ちゃーん!悪ぃまたホール手伝って欲しいんだが・・・」

 

店の奥から出てきたのはなんと沖縄で会った店長さんだった。

 

「お、沖縄の店長さん!?」

 

「お、誰かと思えば坊主じゃねぇか!それにベースの嬢ちゃんとキーボードの嬢ちゃんも久しぶり!」

 

「どうして沖縄にいた店長さんがこっちに!?」

 

「いやぁこの店の店長は俺の親友でよ!コラボカフェするのに人手足りねぇからって呼び出されたんだよ!けどまさか坊主達に出会えるとはな!」

 

日本って狭いな・・・

 

そんなことを考えていると店長さんが思いついたように提案してきた。

 

「そうだ!坊主達悪いけど店を手伝ってくれねぇか?」

 

「あ、アタシ達がですか?」

 

「ああ、頼めねぇか?今日彩ちゃん来るの知っていたかみたいに人が多くて人手が足りなくてよ・・・」

 

「私たちに出来ることならお手伝いしたいですけど・・・」

 

上原さんが悩む。

 

確かに今日はお客さんとして来ている訳だし手伝おうにも作業がわからない。

 

「そんなに難しい事じゃねぇ、基本的にはスタッフを手伝ってもらえればいいからよ・・・頼む!この通りだ!」

 

店長さんが深々と頭を下げる。

 

僕でもこの人の量はやばいと思う。

 

この前のソフトボール軍団の3倍はあるのではないか。

 

それを数少ないスタッフで賄おうというのは流石に無理があると思う。

 

しかもここまで頼まれているのだ、断ることなんてできない。

 

「・・・わかりました、任せてください!ここまで頼まれたら断れないよね!」

 

「はい、私も手伝います!料理とかは無理でも接客やホールぐらいなら出来ると思います!」

 

「僕もやります。バイトでこういうのは慣れているし料理もレシピさえわかれば出来ると思います。」

 

「あこも手伝う!お店で働くのなんで初めてだから、楽しそう!りんりんも一緒にやろー!」

 

「わ、私・・・裏方なら・・・出来ると・・・」

 

「ありがと!それじゃあよろしく頼むよ!」

 

そう言って店長はあらかじめ手伝ってくれるのをわかっていたかのように仕事を振り分けていく。

 

その結果、あこと上原さんと丸山さんがホールと接客で、僕と燐子とリサが裏方で料理をすることになった。

 

「それじゃあ頑張るよ!」

 

「「「「「おー!」」」」」

 

丸山さんの掛け声にみんなで答える。

 

僕達の海改め、僕達の海の家での手伝いとなった今、僕は与えられた仕事を頑張ることにした。




久々に登場沖縄の店長さん。
少々強引な出し方だけどこの人のキャラ好きなんで出てもらいました。(キャライメージはFateのクーフーリン)
次でラストかな?って所なんで水着イベ編の後の流れを大体作っている所です。っていうかそもそもここを大切なポイントにしようと思ってたので考えるのは楽。
次回もお楽しみに!

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