お布団から出られない季節になりましたが実際お布団最強説。
しかし我が家はベッドなのであった。(そんな変わらん)
さて、雑談はここまでにしてここから九条奏多の精神を粉ッ粉のボロッボロにしようと思います!←鬼か!
九条奏多が絶望し、Roseliaがどうなるか。
それを暖かい目で見てくれると幸いです。
それでは本編始まります!
先生からの頼みは新しく入った陰村のために新しい机と椅子を運んでほしいとのことだった。
あらかじめ運んでおく予定だったが何を手違えたのか運んでいなかったらしく今はバタバタしているらしいので運んでくれとのことだった。
(なんで間違える!?それに理由も酷くない!?)
そう思ったがしかし口には出せないので適当に答えて机を運ぶ。
机も椅子も使い回しではなく新品のものだった。
A組に着き、扉を開くとA組生徒に不思議な目で見られた。A組担任が気づき話しかけてくる。
「九条くん、一体どうしたの?」
「あの、先生に机と椅子を持っていけと言われたんですけど・・・」
「あら、本当に!ごめんなさいね、私が持っていくはずだったのだけど急遽会議が入ってしまってね。」
あとから松原さんに聞いた話ではA組の担任はかなり天然でおっちょこちょいらしい。
しっかり者だが雑いうちの担任といいここの担任といいここの先生教えるのは上手いのだがその他がへっぽこすぎないか?
「それじゃあ中へ運んでもらえるかしら?まだ陰村くんも来てませんし。」
そんな失礼なことを考えてるとは知らずにA組担任はおっとりした口調で運ぶように言ってくる。
僕も頷いて席を一番後ろに置いた。
すると白鷺さんが話しかけてきた。
「九条さんも大変ね。断っても良かったのではないかしら?」
「別にこれくらいは平気です。流石にもっときつかったら断ってますよ。」
「でも頼られすぎるのも良くないわよ。たまにはほかの人にも頼ったら?」
「自分でできることはできるだけやりたいと思っているので。」
そうは言ったもののこの言葉に自分は不思議に思う。
よく考えてみると昔の自分なら結構すぐに人に頼っていたのに今じゃ一人でやろうとしている。
今と昔で変わってきていると思うと少し嬉しく思った。
「九条さんどうしたの?にやけた顔をして。」
白鷺さんが不思議そうに見てくる。
「あ、いや・・・人に頼るのも悪くないかな・・・って思いまして。」
「そう、無理はしないようにね。」
僕はA組を出て隣のB組へ戻る。
自分の席に座ると燐子が話しかけてきた。
「さっきは・・・何を手伝っていたんです?」
「はい、今日入った陰村くんのために机と椅子を運んでくれって言われました。」
そう言えば燐子から話しかけてくるのが多くなったような気がする。
海の時以来から練習の時やNFOでも彼女から話題を持ちかけるのも少しずつだが多くなってきている。
「九条さん・・・ずっと何かを手伝ってたり・・・働いていたりしているイメージがあります。」
「そうですかね・・・確かにバイトとか手伝いとか色々していますけど。」
「Roseliaのマネージャーもやってくれて・・・疲れてないんですか?」
「疲れですか・・・」
今思えば疲れてはいるが疲れが残る疲れをしたことがない。
自分があまり疲れが残りにくい体質なのかそれとも他にあるのか自分でもわからない。
「はーい、みんな席について。HR始めます。」
「この話は後でしましょうか。」
「はい・・・それじゃあ後で・・・」
燐子が自分の席に戻っていく。
全員が席につきHRが始まった。
しかし、燐子が戻る時に少し残念そうにしていたのは気のせいだろうか。
燐子side
ここ最近、自分の行動が変わってきていることに自覚し始めた。
それはあの海に行った日からだ。
今まで私は人と話すことを極力避けていた。
話すのが苦手であり人見知りで引っ込み思案なのは自分でもわかるがそれ以上に恐らく人と話すことに恐怖を抱いていたのかもしれない。
言葉は時折ナイフや刀より鋭い刃となる。
たった一言がその人の心に深く傷をつけたり、心境を変えてしまったり、最悪の場合その人を狂わせ自殺に追い込んだりその人が罪を犯すかもしれない。
かつて幼い頃の私は人が言葉で傷つくさまを少しばかりだが見てきた。
当時、親が同じ仕事場で働いており、お父さんはそこで部長をしていた。
そのため、小さい頃はよく親の仕事場に遊びに行った。
その仕事場では誰もが私に優しくしてくれて私はそこが好きだった。
しかし、ある日からお母さんの顔が弱っていくのが見えた。
お母さんに聞いても大丈夫と答えられお父さんに聞いても
「俺もわからない、俺もお母さんが心配だ。」
と答える一方だった。
ある日、私が仕事場に遊びに行くとそこにはお母さんと数人の同僚の人がいた。
私はお母さんの元に行こうと思ったが私は足を止めた。
そこでは母親がほかの同僚から暴言を吐かれていた。
仕事が悪かったのか彼女らの癪に触れたのかわからない。
けどお母さんが一方的に暴言を吐かれているのを私はただ見ているしかいなかった。
お母さんの元によるとお母さんは
「大丈夫だから・・・お父さんには言わないでね。」
と、辛そうに答えた。
私は何も言うことが出来ず、お父さんにも言えず、たまに仕事場に行ってはお母さんが暴言を吐かれているのを見てるしかなかった。
遂にお母さんがストレスで倒れてしまい、パワハラが発覚した頃には私は言葉や会話に対して恐怖を抱いていた。
お母さんはしばらく会社に行けなかったし、お父さんも気が付かなかった自分を責めていた。
小さかった私にも言葉の鋭さや危険性が悪い意味でわかってしまい、そこから人と話すこと、つまり人と関わることを避けていた。
大好きだったピアノも家でしか引くことが出来なくなり、唯一遊べるのがネトゲだけになってしまっていた。
けど、あこちゃんと出会って、Roseliaと出会って、そして九条さんに出会ってからはこの恐怖が薄れているような気がした。
あの人と話していると自然と笑顔になれる。
心があったかくなる。
話をしているともっと話したくなる。
話が終わると寂しく感じてしまう。
あこちゃんやRoseliaのメンバーと話している時の安心感とはまた違う安心感。
話すだけで心臓がドキドキする。
この気持ちはなんなのか今日の練習後ぐらいに九条さんに聞いてみよう。
私にはこの気持ちがなんなのかわからないから。
奏多side
HRが終わり、帰宅の準備を始める。
今日もいつも通りRoseliaの練習なのだがいつも大事に持ってきているRoseliaの活動を記したノートを家に置いてきてしまったのだ。
すぐに準備を済ませ、帰ろうとした時だった。
「九条、すまないが頼み事があるのだが・・・」
また頼み事かよ!
そう思いざるを得なかった。
「・・・次は一体どういうご要件で?」
「ああ、この書類の入った段ボールを職員室に持って行ってくれないか?本当は私が持っていかなければならないのだが生活指導の方で呼び出しをくらってな。」
珍しく担任が真っ当な理由で頼み事をしている。
明日は雪が降るのではないか?
「どうした九条。ぼーっとして。」
「いえ・・・わかりました、持っていきます。」
「いつもすまないな、頼むよ。」
僕は渡された段ボールを持って職員室へ向かった。
持っていくだけで済めばいいのだが・・・
職員室の前に来るとそこにはあの転入生、陰村くんがいた。職員室にようがあるのか扉の前で立っている。
「えっと・・・陰村くんでしたっけ?」
「う、うん・・・そうだけど。君は?」
「僕は九条奏多、同じ2年生でB組です。」
「そっか、君が俺と同じ学年の唯一の男子ってやつか。知ってると思うが陰村炎だ。炎でいいよ。」
「ええ、よろしく炎。」
段ボールを持っているため握手はできないが会釈で返す。
僕は本題を聞いた。
「炎は何故職員室の前に?誰かを待っているんですか?」
「ああ、母さんを待ってる。どうやら職員室の奥で書類の手続きやらなんやらやってるみたい。奏多は?」
「うちの担任にこれを持って行けと言われたんです。」
「大変だな、扉開けようか?」
「ええ、頼みます。」
炎に扉を開けてもらい、中の教師に事情を話して段ボールを担任の机に置いてもらう。
中にはさっき事情を話した教師と奥で炎のお母さんと話している教師しかいないらしい。
職員室を出ると炎が話しかけてくる。
「奏多ってさ、何かやってるの?部活とかその他のこととか。」
「部活はやってないです。今事情があって一人暮らししているんですけど仕送りが少し足りなくてバイトしながら生活してるんです。」
「へぇーすごいな、なら料理とか出来るんじゃねえか?」
「料理は親父がいる頃からやっているので人並み程度にはできます。これくらい覚えとかないと毎日コンビニ弁当だと家計が厳しくて・・・」
「ははっ、言ってることが親父臭いぞ。そうだ、今度飯食いに行っていいか?」
「ええ、構いませんよ。腕によりをかけます!」
「うっし!楽しみにしてるぞ!」
今思えば男子と話すのは久々で炎がフレンドリーなのか もしれないがここまで仲良くなれるとは思わなかった。
同じ年頃の男子と話すのがこんなに楽しいとは思わなかった。
するとガラガラと扉が開く音がした。
音がする方向を見る。すると女性が出てきた。
「あ、母さん。お疲れ。」
「待たせたわね炎、その子は?」
「ああ、この学校で初めての友達の九条奏多!」
「九条・・・奏多・・・?」
その時僕は何も言えなかった。
炎に友達と言われたからじゃない。
話すのが苦手だからじゃない。
炎の母親の顔を見たからだ。
その顔は見間違うはずがなかった。
忘れたいと思っても脳裏にこびりついて離れなかった。
炎が母と言った人物は昔、男を作って僕の前から消えた僕の母親だった。
「奏多、どうした?」
「炎、あなたは先に行ってなさい。母さん彼と話してみたい。」
「・・・?わかったよ。奏多また明日な!」
炎が肩を叩いて走っていく。
廊下には僕と母親が残された。
「・・・まさかあんたがここの生徒だったとはね。」
「・・・なんで・・・何でここにいる。あんたは・・・」
「そんなのわが子の転校に付き合わない親はいないでしょう。あ、先に言っとくけどアンタを子供と思ったことないから。この不良品。」
体ががくがく震える。
冷や汗もかき、今すぐここから離れたい。
しかし体がいうことを聞かない。
「あんたの事はどうでもいいわ。とりあえず炎と絡むのは辞めてくれる?アンタの無色さが炎にうつると困るから。」
「・・・それを決めるのは・・・炎だろ。」
「あら、いっちょ前に口答えする気?あんたも成長するのね。」
僕の発言を鼻で笑い、炎の走っていった方向に母親は歩き出した。
そしてすれ違いざまにこう言った。
「次、口答えしたら昔みたいに優しくは済まないわよ。」
カツ、カツとパンプスの音が遠のいていく。
遠のくにつれて僕の頭に昔された惨劇を思い出させる。
呼吸が荒くなる、心臓が不定期に荒れる、目眩がする、吐き気がする、頭が痛い。
何故人と話してはいけない。
何故反抗したらいけない。
そして何故僕は生きてはいけない。
様々な疑問が頭をよぎる。
そして限界をむかえ、僕の意識は闇に落ちていった。
僕は・・・一体・・・
どう・・・すれ・・・ば・・・
次回、『ゼツボウ』