今回恐らく氷川姉妹がメインとなります。今回はプロローグにあたるため少し短めとなります。
それに今回でプロローグ、番外編含めると50話になります!まさかここまで続くとは・・・
それでは新章スタートです!
41話 ヒスイ ノ シマイ
私の妹は一言で言えは「天才」だった
見たものはすぐに覚え、自分の技術にすることが出来た。
私とは生まれた時間が数時間しか変わらないのにこの差である。
私は今まで妹、日菜から逃げるように生きてきた。
日菜が芸能事務所にスカウトされてからほとんど話さなくなってきた。
私は日菜と同じものにならないように違うことを極めようと思った。
それがギターだった。
私の中学生活はギターの素晴らしさに魅入られた。
高校受験の時も日菜とは違う学校を選び、花咲川に入学した。高校に入れは何かが変わると思っていた。
しかし日菜の芸能事務所がアイドル業をすることになり日菜がアイドルバンドでギターをすることになった時、私の人生は日菜から離れなれないことを悟った。
そのため私は高校人生の殆どをギターに費やすことを決めた。
あの子はどんな事でも自分のモノにしてしまう。
緩い気持ちでは越されてしまう。
最悪他のことは抜かされても構わない。
しかしギターだけは抜かされたくなかった。
そのためソロではなくバンドを組むことで技術が上がるのではないかと考えた私はたまたまギターを募集していたバンドに入ることにした。
しかしそこはただバンドというものを楽しむだけのバンドで私の技術に見合わないものだった。
楽しむだけでは技術が上がらないと思っていた私にバンドを組まないかと誘ってくれた人がいた。
それが湊さんと、「Roselia」との出会いだった。
そこから今井さんや宇田川さん、白金さんに九条さんと出会い、そこで多くのことを学んだ。
そこで格段に技術を磨けたと思っている。
そして夏のある日、日菜は私にこう言った。
「おねーちゃん、夏祭り行かない?」
私は最初否定した。
けど考えているうちに日菜と話せなければこれまでと変わらない、自分が成長するにはまず日菜とまっすぐ向き合わなければならないと思うようになっていた。
しかし私はその時日菜と話すことはできなかった。
だが、七夕の日に母から頼まれた買い物をしている途中、日菜を見つけてその時日菜が書いていた短冊を鳥に取られてしまい取り返すために追いかけ、そのまま七夕祭りに行くこととなった。
祭りに行って本当のことを思えば楽しかった。
その時日菜が書いたように私も短冊に願いを書いた。
『日菜とまっすぐに話せますように』
それが私の願いだった。
願いだけでは変わらないことは知っていた。
けどこれがその時、頭の中で思ったことだった。
日菜とまっすぐ話すこと、それを願いだけで終わらせないように努力しようと決心した。
そして夏祭りから3ヶ月が経った。
九条さんの1件も終わり、私が家のリビングで本を読んでいる時だった。
「ただいま~あ、おねーちゃん!聞いて聞いて!」
日菜が仕事から帰ってきてすぐに私の所へ来る。
『日菜とまっすぐ話せますように』そう短冊に書いてから少しずつだが日菜との時間が増えてきたような気がする。
日菜と過ごす時間も悪いものではない。
それに、会話することで新しい発見もある。
「おねーちゃん、今、話聞いてなかったでしょ!」
「え・・・」
「おねーちゃんは、『考え事モード』に入るとピタッとして、んーってなるんだよね。だからすぐにわかるよ!」
「ピタッと・・・?私そんなに瞬きが減っていたかしら?」
「そーだよ~!ちゃんと話聞いてよ~!」
最近少しだけ、日菜の言う擬音が何を指しているのかわかるようになってきた。
「・・・まぁいーや。ねぇねぇ、今日さ、テレビでパスパレのライブが放映されるんだよ!一緒に見ようよ!」
「え・・・」
「この前やったライブが一部だけ放送されるんだって!まぁ、ローカル局なんだけどね。おねーちゃん一緒に見ようよ!」
そう言えば修学旅行でのライブ以降、日菜のライブ姿を見たことがない。
その上あの時は初めてやる曲に必死で日菜の演奏などろくに見ていなかった。
いや、見たことがないというより見ないようにしていただけだ。
「・・・ダメ?おねーちゃん、忙しい?」
日菜が少し寂しそうに顔を見てくる。
今日は特に予定もない。
これからも少しずつ変わるためには日菜の演奏を見てみるのもありだろう。
「いえ、今日は練習もないし、生徒会や風紀委員の仕事もすべて済ませてあるから時間はあるわ。」
「やったー!時間は・・・あと5分くらいで始まる!あたし、飲み物とか用意してくるね!おねーちゃんはテレビよろしく!」
「ひ、日菜!私はチャンネルわからないからあなたがチャンネルを合わせて!飲み物とかは私が用意するから!」
「そ、そっか。わかった、おねーちゃんよろしくね!」
チャンネルも伝えずに行こうとしたので引き止めて日菜にテレビのチャンネルを合わさせる。
私は冷蔵庫から紅茶を、棚からクッキーを取り出して持っていく。
「おねーちゃん早く早く!」
「わかったから少し落ち着きなさい。」
最近こういった会話をよくするようになってきた。
これはうまく話せている方なのかわからないが、私としては話せているように思える。
机の近くの棚からグラスを二つ取り出して紅茶を注いだ。
紅茶に口をつけた時にテレビの画面にパスパレのメンバーが映し出された。
「あっ!はじまった!!わあーっ、すごいお客さん!こうやって見るとすっごいな~!」
「日菜、少し落ち着きなさい。」
「だってだって!お客さんから見たらあたし達ってこんな風に見えてたんだなーって思って!」
今思えば日菜達はこうやってお客さん目線でライブをあまり見たことがないのだろう。
私達の場合は九条さんが動画を撮ってくれているので、楽屋での反省会の時に見ることが多い。
パスパレのあらかたな紹介は終わり、丸山さんのMCが入った後に演奏が始まった。
「あ!演奏はじまった!」
「もう、日菜ったら・・・」
日菜のはしゃぎ様に呆れながらパスパレの演奏を見た。
隣で日菜がその時の状況を説明する。
「この時さー、すっごく照明がギラッギラだったんだ!眩しいし、暑いし大変だったんだー。それにね、彩ちゃんがちょいちょい音外してさー。」
日菜の解説を他所に私は日菜の演奏をしっかり見ていた。
やはり私より技術は高い。
私より後に始めたのにここまで技術が高いとはさすが天才だと思った。
しかし、他のメンバーの演奏よりテンポが走りがちだし、主張が強い演奏をしている。
「あっ、ほらほら!次はあたしのギターソロだよ!」
日菜の言う通り、ギターソロに入って日菜が大々的に映し出される。
テレビの日菜の音は・・・凄く楽しそうな音をしていた。
日菜の表情、それに、はやるメロディーでさえ・・・
「おねーちゃん?大丈夫?」
日菜が心配そうに聞いてくる。
また日菜が言う『考え事モード』に入っていたのだろう。
「・・・!ごめんなさい、私、また・・・」
「うん。考え事?」
「いえ、大丈夫よ。大丈夫・・・」
日菜に言うより自分にそう言い聞かせながらパスパレの演奏を最後まで見続けた。
私の心に残ったのは・・・自分の音に対する疑問だった。
演奏が終わったあと日菜に少しやることを思い出したと言って部屋に戻ってきた私は壁にかけてある自分のギターを見た。
日菜に真似されたくない。
負けたくない。
その一心で私はギターの技術を高めてきた。
しかし日菜の音は技術力だけではなかった。
私とのもう一つの違い、それは『魅力』だった。
日菜の音は技術だけではなく魅力的な音をしていた。
テンポが走っていることでさえ日菜の個性であるように感じた。
それに比べて私の音は・・・
「私の音は、日菜と比べて、どんな音をしているの・・・?」
その事が私の心を揺さぶり始めた。
はい、本文を見るように文の書き方変えてみました。
これの投稿後にこれまでの全文をこんな感じに変えようと思います。
骨が折れるぞぉ!しんどいぞぉ!けど少し見やすくなるぞぉ!
てなわけで次回もお楽しみに!