さてやっと初対面です
気がつけば僕は道の真ん中で30分ほど立ちすくんでいた。
あの音色は何だったのか、夢や幻ならばここまで立ちすくむはずがない。
そう考えていると後ろからの自転車のベルの音が鳴った。
その音で僕は我に返り、そのまま家に帰った。
家に着くと時間は4時半を過ぎていた。学校を出たのが3時半で家と学校は大体15分ほどの距離しかない。
それほど音色に夢中だったのかと僕は自分に呆れながらも自室へ行き荷物を置いた。
ふと、自分のスマホを見ると親父から今日は帰りが遅くなるから先に飯作って食べとけという連絡が来ていた。
最近、親父は大きなプロジェクトを任されたらしく、一週間前からこの調子だ。
「親父・・・体壊すんじゃねぇか?」
僕は心配しながらもカバンと財布を持って近くのスーパーに買い物に出かけた。
夕飯のメニューはどうしようか。
親父が帰ってからも食べれるように保存のきく食べ物の方がいいよな。
そんなことを考えながらスーパーに着いて材料をえらんでいると、そこには氷川さんがいた。
「あ、氷川さん。」
「あぁ、九条さんですか。あなたも買い物ですか?」
「はい。家の都合上親父が帰ってくるのが遅いんで。今日も夕飯は自分で作って食べとけって連絡が来たんです。」
「それは大変ですね。」
「いえ、もう慣れたんで。あっ今日はありがとうございます。」
「いえ、気にしないでください。元々こういう性格なの・・・」
「おねーちゃーん!」
突然大きな声がして後ろから氷川さんにそっくりな青髪の子が飛び出してきた。
「ちょっ・・・日菜!」
「おねーちゃんその人誰?もしかして彼氏?」
「違うわよ・・・今日うちの学校に転校してきた九条さんよ。」
「ふーん。確かに男女混合校になるって言ってたね。私氷川日菜!よろしく!」
「うっ・・・うん。九条奏多です・・・よろしく・・・。」
・・・姉妹でこうもテンションが違うものなのか?
僕には兄弟がいないからわからないがそういうものなんだろう・・・
「日菜・・・ところで何しに来たのよ?」
「ん~?暇だったのとアイス買いに」
「日菜・・・アイスばっか食べてると体壊すって何回も言ってるじゃない・・・」
「実際に壊したことないからだいじょーぶだって!」
はぁ・・・と氷川さん(姉)がため息をつく。
「話してる途中悪いけど、日菜さんだっけ?アイス持ってると溶けるよ?」
あぁー!っと日菜が叫んだ。
「ありがとうソータくん!じゃあおねーちゃんまたあとで~!」
バタバタと日菜が走ってレジに向かった
「・・・出会って数分でもう下の名前呼びなんだ。」
「すみません・・・妹がご迷惑をかけて。」
「いえいえ・・・気にしないでください。僕がこういうの慣れていないだけんで。」
「そうなんですか。失礼ですが人付き合いは苦手なんですか?」
「はい・・・そこまで得意ではないです。」
「私はそう思えませんが・・・あぁ、もうこんな時間ですか、私はこれで失礼します。」
「はい。それではまた明日。」
こうして氷川姉妹と別れ、僕は具材を買って家に帰った。
・・・はずだったのだが。
「・・・ここ、どこだ?」
実は僕はかなりの方向音痴なところがある。
普段の生活ではこんなことは起こらないのだが、たまにこんな感じに道に迷う時がある。
幸い、買ってきた食品はすべて常温でも大丈夫なものだったので急いで帰らないといけないという訳では無いが時間も遅くなってきたので早く帰りたい所なのだ。
しかしこの街に慣れていないせいかどの道をどう進めばいいのか分からず、少々焦り始めた頃だった。
「あの・・・どうか・・・されたんですか?」
後ろを向くと黒髪でロングの女の子がいた。
「あっ・・・えっと・・・その・・・道に・・・」
「あっ・・・はい・・・その」
「りんりーんどうしたのー?」
黒髪の子の後ろから紫髪の恐らく中学生辺りであろう女の子が出てきた。
「あこちゃん・・・その・・・この人が・・・道に迷った・・・みたいで・・・」
「なんだその人に声をかけに行ったんだ~。りんりんがいきなりどっか行っちゃうからびっくりしたよ・・・」
あこと呼ばれた女の子が胸をなで下ろした。
「だいたいこの辺って分かる?」
「確かコンビニとスーパーの近くのところだけど・・・」
「スーパーならこの道を真っ直ぐだけど・・・」
「えっ?」
どうやらいつの間にかスーパーの前の道まで戻ってきていたようだ。
「見つかって・・・良かったですね・・・」
「あっ・・・はい・・・」
僕は少々赤面しながらも2人の案内に従った。
あこと呼ばれた少女の案内もあってなんとか無事に家に着いた。
荷物を置き、キッチンに立って料理をした後親父の分を残し、僕は自室へ向かった。
パソコンか借りてきた本を読むかで少々考えたもののやはり借りてきた本を読もうと思い本を読み始めた。
本を読み始めるとしばらくは止まらなく、本を読み終えると時刻は11時半を過ぎていた。
1冊を読み終えもう1冊は明日読もうと手にとって直そうとした時その本から何かが落ちた。
どうやら本のしおりのようだ。
そのしおりには鍵盤の柄が描かれていてリボンが付いている。
少々傷んでは入るがその様子からそれがとても大切に使われていたことがわかる。
このしおりをどうするか少々悩んだがやはり貰うわけにもいかないので明日図書室で持ち主に返してもらえるよう渡しに行こうと決め、その日は眠りについた。
しかしあの音色綺麗だったな・・・
眠りにつきながらもあの音色がいつまでたっても消えずにいた。
初日編はこれにて終了です(まだ三話しかしてない)。
次の章は燐子やほかのキャラとの交流を多くするのとRoselia結成編に入ります。