四日連続投稿の最終日!
明日からは修学旅行のため次の更新は土曜日となります。
修学旅行のせいでBRAVE JEWELを発売日に買いに行けない!悔しい!けど帰り道死んでも買いに行く!な覚悟です。
ということで死んだらフリージアが流れそうな作者が書く本編、始まります!
紗夜side
スタジオに入るとまだ誰もいなかった。
集合の一時間前である。
私の次に早く来る九条さんでも来るのは集合時間の20分前なので当たり前だろう。
ギターケースからギターを取り出そうとする。
しかしやはり腕が止まる。
やはり頭ではわかっていても体が動かない。
どうしようか立ちすくんでいた時だった。
ガチャりと扉が開く音がする。
入ってきたのは湊さんと九条さんだった。
「紗夜・・・!随分早く来ていたのね。」
「・・・ええ。しかし珍しいですね。九条さんが早く来るのはわかりますが湊さんまでも早く来るなんて・・・」
「次のライブの打ち合わせや新曲とかの相談をするために早く来てもらってたんだ。そういう紗夜こそどうしてこんな時間に?」
私はその質問に対してすぐには答えなかった。
湊さんと九条さん・・・一度挫折を経験している2人にならこの不調のことを話したら何か解決策が得られるのではなかいかと考えた。
私は腹を括って自分の思いを2人に話すことにした。
「・・・先日からの不調の分を取り戻そうと思って。だけど・・・見つからないんです。」
「紗夜・・・?」
「見つからないんです。私の音が・・・」
私は2人になぜ自分がこうなったのか話した。
2人は私の話を静かに、そして真剣に聞いてくれた。
「・・・そう・・・不調の理由は、そういう事だったのね。」
「日菜に負けないことでしか、自分を信じられなかったんです。でも、そのせいで私の音は、何にもなれない、つまらない音になってしまった。私は・・・私は、日菜のことも、音楽も、自分を信じようとする道具にしか使っていないんです。・・・最低、ですよね。」
自分の言葉を自嘲的に流す。
しかし2人はそんな私を否定しなかった。
「・・・紗夜、それは私だって同じことよ。初めはあなた達を仲間だとは言っても頼ったり信じようとしなかった。私の夢のためにあなた達を巻き込んでいいものか・・・そう考えたしそんな自分に自己嫌悪したこともあった。今でもたまにそう感じる時がある。こんな自分が歌を歌っていいのかと思って悩んだこともあったわ。」
湊さんの苦悩・・・それは今の私に似ているような気がした。
「けれど・・・そんな風に悩み、真剣に考える気持ちこそ、音楽と純粋に向き合おうとしているからだと教えてくれた人がいた。紗夜、あなたの演奏は正確で素晴らしい。それは間違いなく誇りを持っていいことよ。」
「・・・けど、そんな音・・・ただ正確なだけで・・・」
すると今まで黙っていた九条さんが口を開いた。
「紗夜、音楽は自分を信じる道具だと言ったけどそんな風に思っているのは君だけじゃない。僕も、初めは音楽を、Roseliaを自分の『色』を見つけるために始めたんだ。」
「九条・・・さん・・・」
「けど、無意識のうちに自分が音楽に対して真剣になってきていることがわかった。初めは誰だって気が付かない。それに君達のことを心から信頼していなかった。そのせいで1度は今の君より酷くなってしまった。けど、みんなに言われてわかったんだ。『ぶつからなきゃ伝わらないことだってある』って。だから今は信じることが出来てるし今もこうやって信じられてて相談を受けている。」
「ぶつからなきゃ・・・伝わらない・・・」
九条さんが言ったことを繰り返す。
その言葉は今の私にとって重すぎた。
「紗夜、私もまだ未熟だし、未だに音楽を好きだと言いきることが出来ないでいるからこそ、今の私の言葉を受け止めきれないことも、あなたの苦しみもわかるわ。」
「うん、だからこそその苦しみと向き合わないといけない、向き合わないと変わることができないんだ。」
「苦しみと・・・向き合う・・・」
「そう、だからこの苦しみと逃げずに向き合うことこそが何よりも大切で、とても尊いことなのだと、わかって欲しい」
「逃げずに・・・向き合う・・・」
「・・・今日は練習に参加しなくていい。見放しているわけじゃない。あなたが自分で答えを出して、もう一度ここに来てくれることを・・・信じているから。」
「紗夜・・・日菜さんから慕われすぎるのも、大変だね。」
「湊さん・・・九条さん・・・」
『でも・・・あこはアタシのことを慕ってくれている。それなら、アタシはあこの気持ちを大切にしたいし、応えたい。』
私は巴さんの言葉を思い出す。
私が逃げずに向き合う相手。
その相手はたった一人しかいなかった。
奏多side
「・・・これでよかったのかしら。」
「・・・これでよかったんだよ。」
紗夜が出ていったスタジオで僕と友希那が残る。
本当は紗夜が来る前に2人で相談してから話そうかと思っていたがまさか紗夜が先に来ていたとは思わなかった。
しかしお互いに伝えたいことは伝えることが出来たので結果オーライというものだ。
「今日の練習はギターなしでやらないとね。」
「今は紗夜が答えを見つけてくれることを祈るわ。」
時計を見るとそろそろリサや燐子達が来る頃合いだ。
「さて、僕達はそろそろ練習の準備に取り掛かりますか。」
「・・・そうね。」
いつも通り楽器などの準備を始める。
すると友希那が僕が着ているパーカーのフードを掴む。
「ぐわっ!ゆ、友希那ぁ!?」
「あ・・・その、ごめんなさい。えっと・・・」
友希那が言葉を詰まらせる。
一体どうしたのだろうか。
「・・・この前は・・・引き止めてくれてありがとう・・・」
「なんだそんな事か・・・気にしないでいいよ。あれは止めとかないと友希那、紗夜に聞きに行ってただろ?あれは止めるべきだと勝手に判断しただけだよ。」
「でも・・・」
「むしろ僕の方が友希那に感謝することは多いんだ。こんなぐらいで感謝されたら僕はどれだけ感謝しなくちゃいけないんだよ。」
友希那に笑って返す。
しかし友希那はそれを納得しなかったようだ。
「でも、今回は奏多のお陰よ。本当にありがとう。」
恐らくこれ以上言っても変わらないだろう。
これは大人しく感謝を受け取った方が良さそうだ。
「・・・うん、どういたしまして。」
「それでいいんだから・・・」
「さて、早く準備を済ませちゃいますか!」
「そうね。」
友希那も準備に手を貸してくれる。
これならみんなが来るまでに終わりそうだ。
しかし、何故友希那は顔を赤くしていたのだろうか・・・
紗夜が出ていってから30分後、紗夜を除くRoseliaのメンバーが全員揃った。
「さーて!今日も練習頑張るぞ~!」
あこが気合を入れる。
「あれ・・・?ちょっと待って、今日、紗夜は?」
しかしリサは紗夜がいないことに気がついたようだ。
「紗夜は・・・今日はいないわ。」
「何か、あったんでしょうか・・・?」
「・・・・・・」
友希那が口をつむぐ。
今、メンバーに紗夜の状態を言わない方がいい。
賢明な判断だ。
「最近の紗夜、チョーシ悪そうだったもんね。まぁ、少し休んでもいいんじゃない?」
「そう・・・ですね・・・」
「・・・紗夜は紗夜なりに自分の答えを探しているんだろう。だから僕達は答えを見つけた紗夜にいつでも合わせることができるようにしよう。」
「ええ、だから・・・私達は練習を始めましょう。私達だけでも、できることはあるはずよ。」
友希那の一声で全員の気が引き締まる。
今の紗夜が何処で何をしているかはわからない。
しかし、紗夜が自分の答えを見つけるために動いているのはわかる。
だから僕達は帰ってきた紗夜を暖かく迎えて、そのギターの音に合わせて演奏ができるようにしなければならない。
(だから紗夜、君は君だけしかできないことを成し遂げてくれ・・・)
僕達が練習している中、空には暗雲が立ち込め始めていた。
はい、あれはユウキのセリフです・・・
なおSAO2のユウキ編のラストだけで5回ぐらい泣いてます。あのシーン弱いんだよ・・・
そんな訳で次回が一番大事なシーン!でも更新かなり先!
次の更新は土曜日です。それでは沖縄宮古島行ってきます!