なぜ唐突にこんな話だしたかと言うと今日は専門学校のオープンスクールに行ったからです。
こう見えてしっかり考えております。
さて、今回で『~Determination Symphony~秋時雨に翡翠の姉妹』のラストとなります。
Roseliaのストーリーの中でも屈指の人気を誇るこの作品もラストとなります・・・見てて何回泣きそうになったか・・・
それでは8章のラスト、お楽しみください!
紗夜はその日、結構練習には来なかった。
しかし練習が終わり、外に出るとさっきまでの雨は嘘のようにやんで太陽の光が差し込んで空には綺麗な虹が出来ていた。
「うわぁ・・・綺麗!」
「さっきまでの雨が嘘のようだよ!まるで・・・悪天を払い舞い降りし・・・聖なる・・・その・・・ドバーんとしたなんかみたいな感じ!ね、りんりん!」
「そうだねあこちゃん・・・けど・・・本当にキレイ・・・」
雲の隙間から除く空の色がまた虹の派手な色を目立たせる。
しかし僕含む2名は虹の綺麗さよりほかのことを考えていた。
「ねぇ、友希那・・・これって・・・」
「ええ・・・多分・・・」
言わなくても伝わる。
恐らくこれは紗夜が日菜さんと正面から話し合い、答えを見つけたから。
そう思いざるを得なかった。
次の日の練習日、今日は学校が休みなので早めに家を出る。
スタジオに着くともう殆どのメンバーが揃っていた。
しかし、紗夜の姿が見当たらない。
「おはよう。・・・紗夜は?」
「紗夜はまだ来てないけど・・・」
「もしかしてまだ調子なおってないんじゃあ・・・」
「そんなことないですよ。」
「ほら、本人もそう言ってる・・・し・・・」
後ろにばっと振り返る。
そこには紗夜が何気ない顔をしながらそこに居た。
「「「「「さ、紗夜!」」」」」
全員が驚きの声をあげる。
当の本人は不思議そうな顔をしていた。
「お、おはようございます・・・どうしたんですか、一体?」
「い、いえ・・・氷川さん・・・いつもより遅かったので・・・」
「色々ありまして遅くなりました。しかし、九条さんまで驚くことないじゃないですか。私の言葉を返したのだからいた事に気づいていたのでは?」
「い、いや・・・あの・・・あれは・・・流れ的に・・・」
あたふたしていると友希那が前に出る。
友希那の顔はとても落ち着いていた。
「紗夜・・・調子は大丈夫?」
「・・・ええ、みなさん、ご迷惑をおかけしました。今度こそ、言葉通りこれまでの分を取り返します。」
紗夜の表情はとても落ち着いていて、そして覚悟を決めた顔をしていた。
どうやら答えは見つかったようだ。
「紗夜・・・!うんっ!よし、じゃあみんな練習はじめよっか!」
リサが嬉しそうに声を上げる。
それを聞いて紗夜はいつもより柔らかい表情をしていた。
「うん、ライブまであと少しだよ!新曲も、これまでの曲も、極限まで完璧にするよ!」
「「「はい!」」」
みんながいつもの位置につく。
新曲はギターのソロがあるため紗夜がいないと練習ができなかったのだがこれで練習ができる。
そして紗夜の弾くギターの音はいつも通り正確で、いつも以上にかっこよかった。
燐子side
「ねえねえ!今日の紗夜さんのギター、かっこよくなかった?」
「うん・・・私もそう思ったよ・・・」
練習の間の休憩時間、私とあこちゃんと今井さんで外のカフェに来ていた。
氷川さんは昨日の分のギターの練習を、友希那さんと奏多くんは次のライブのための打ち合わせをしている。
「だよねだよね~!いつものチョーシ取り戻せた感じがした!」
「やっぱり・・・氷川さんの妹さんのお陰・・・ですかね。」
「友希那言ってたもんね。身近で親しい人の声ほどよく届くって。ソータの時もそうだったもんね!」
「うん、あの時はりんりんが奏多さんを連れ戻してくれたもんね!」
「あ、あの時は・・・必死で・・・奏多くんを・・・助けなきゃって・・・ずっと思ってて・・・」
「へぇ~、それでさ、燐子はソータのことどう思ってるの?」
今井さんが突然そんなことを聞いてきた。
びっくりしたけど少し考える。
私が・・・奏多くんをどう思っているか・・・
「・・・奏多くんは・・・私に、色々なことを教えてくれたんです。本人は・・・全然気づいていないと思います・・・でも、私にとって・・・奏多くんは・・・落ち着いて話せる人・・・あこちゃんと一緒で・・・私が持っていないものをたくさん持っている人・・・そんな人です。」
私が思っていることを話すと今井さんは微笑ましい顔をしていた。
「・・・そっか、燐子にとってソータは大切な人なんだ。」
「はい・・・だから・・・氷川さんの調子が悪くなった時に・・・奏多くんと友希那さんは気づいたんだと思います・・・どうすれば『今まで通り』じゃなくて『いつも通り』になるかを・・・」
1度挫折を味わった2人だからこそ今回の氷川さんの気持ちをわかってあげることが出来た。
そしてどうすればいつも通りに戻るかを。
『今まで通り』と『いつも通り』はちがう。
『今まで通り』は元には戻るが『元に戻ったまま』に、つまり後退してしまう。
けど『いつも通り』は元に戻るだけでなくそこから変わる、つまりいつもと同じように前に進んで行く。
それがわかったからこそ2人はあんな行動をとったのだと思う。
そんなことを考えているとあこちゃんが口を開いた。
「そういえばこの前、紗夜さんが元気なかった時にこのカフェに誘ったんだけど断られちゃったんだ・・・」
「あこ・・・あこは心配して紗夜をカフェに誘ったんでしょ?あこの気持ちはきっと伝わってると思うよ。」
今井さんがあこちゃんにそう言うとあこちゃんはいつも通りの元気を取り戻した。
「リサ姉・・・!うん、そうだよね。ありがとう!紗夜さん少し元気を取り戻したみたいだし、今日ならカフェに来てくれるかな?」
「うん・・・来てくれるかもしれないね・・・もう1度・・・誘ってみよっか。」
「そうだね!あこ、声かけてくる!!」
あこちゃんがそう言ってスタジオの方へ走っていく。
氷川さんがいない間、ずっとあこちゃんは元気がなかった。
話を聞くとどうやら元気がない氷川さんに『お姉さんを尊敬しているか?』と聞かれて、それに答えたせいでまた調子が悪くなったと責任感を感じていたらしい。
けど今は元気が戻って心から安心している。
離れそうになってもまた戻って成長していく。
これがバンドの楽しみであり良いところなのだと改めて思った。
奏多side
休憩の間、僕と友希那と紗夜で新曲の合わせと次のライブの演出を相談していた。
そこで新曲のギターソロの部分を紗夜に演奏してもらっていた。
「・・・ふぅ。」
ギターの演奏が終わり、紗夜が軽く息を吐く。
そこに友希那が静かに声をかけた。
「紗夜。」
「はい、どこか悪い点でもありましたか?」
「・・・いえ、今更だけどあの日、日菜から傘を受け取ったの?」
紗夜は少し目を瞑る。
そしてその質問に静かに答えた。
「・・・ええ、受け取りました。」
「今日のあなたの音色を聴いてそう思っいたけど・・・やはり受け取ったのね。敢えて言うわ。今日のあなたの演奏は正確で素晴らしかった。」
「・・・私の演奏は、ただそれだけです。今はそうとしか思えません。」
紗夜が首を降る。
しかしその後しっかりと友希那を見つめて言った。
「・・・ですが、いつかこの音を好きになれるよう・・・これが、『氷川紗夜の奏でる音』なのだと、胸を張って言えるようになるまで、私はギターをやめるつもりはありません。これが妹との・・・日菜との約束ですから。」
紗夜が自分の思いをはっきりと言ってくれた。
そして紗夜の覚悟や決意をしっかりと受け取ったような気がした。
「紗夜、私も父の曲・・・LOUDERを歌おうと悩んだ時、同じような事を感じたわ。何かを決断することはとても怖いこと。勇気のいること・・・その恐怖と立ち向かったあなたの音はこれからどうなっていくのでしょうね。」
友希那が微笑んでそう言うと紗夜も微笑み返す。
「ええ、湊さんや、メンバー全員・・・そして日菜も驚くような演奏ができるようにこれからも精進していくつもりです。」
「期待しているわ。」
するとバタバタと足音が聞こえる。
足音の主はあこだった。
「紗夜さーん!あ、友希那さんに奏多さんも!一緒にカフェで甘いものでも食べませんか?」
「悪くないですね、さっきまで弾きっぱなしでしたし。」
「ええ、行きましょうか。」
友希那が先にあこと一緒にカフェに向かう。
紗夜がギターを元の位置に戻すと紗夜は僕に話しかけた。
「九条さん。」
「ん?どうした?」
「九条さんは・・・今の自分をどう思いますか?」
その質問に僕はすぐには答えられなかった。
けど自分の思うことを素直に話した。
「・・・今の自分がどうかはまだしっかりとはわかってない。今でもまだみんなにきつく当たった暗い面が残っているかもしれないし、またあの時みたいになるかもしれない。けど、今は信じられる君たちがいるし今の自分色を・・・『無色』であることを誇りに思っているよ。」
紗夜は僕の言葉を聞いて話し出した。
「私も・・・私もこのただ正確な『つまらない音』を『誇れる音』に出来るでしょうか・・・」
「うん、今の紗夜なら出来ると思うよ。ゆっくりでもいい、確実に1歩ずつ進んでいけば、いずれね。」
「・・・はい、ありがとうございます。私達もカフェに向かいましょうか。」
そう言って紗夜は僕と共にカフェに向かった。
本音を打ち明けた紗夜はとても清々しい顔をしていた。
『Determination Symphony』
決断の交響曲、これが新しい曲の名前だった。
迎えたライブ当日。
今回は新衣装や新曲など色々てんこ盛りである。
「新しい衣装・・・どうでしょうか・・・」
「うん、今回もすごいよ燐子!」
今回のテーマは『青薔薇と雨』らしく色々な青がたくさん使われている。
「みんな、今回のライブは熱色スターマイン以外はどれも新曲ばかり。でもやることは同じよ。私達は・・・最高の演奏を目指すだけ、頂点に狂い咲くために。」
「「「「「はい!」」」」」
「それじゃあ・・・行くわよ。」
友希那達がステージに上がる。
カメラはいつも通りセット済みだ。
後はみんなの、Roseliaのライブの成功を祈るだけだ。
「・・・Roseliaです。まずは聞いてください。『熱色スターマイン』」
燐子のキーボードから入り、『熱色スターマイン』が始まる。
テンポのいい曲のため観客のテンションが上がる。
そして最後のサビ前、実はここだけ少し変更点を加えた。
それは・・・
『・・・頂点へ狂い咲け!』
中二臭いようだがこのセリフを入れることでテンションを上げれるようにしてある。
実際、観客のテンションはいつものライブよりテンションが高い。
そして熱色スターマインが終わる。
次のMCはリサだ。
「次から新曲3連発です!それでは2曲目『Re:birthday』」
そう言って『Re:birthday』の演奏が始まる。
流石新曲とあって歓声が物凄い。
『Re:birthday』の演奏が終わると新たにMCが入る。
しかも今回は珍しく燐子がMCをした。
「え、えっと・・・3曲目・・・いままでのRoseliaとは・・・少しちがう・・・初めての曲です・・・聞いてください・・・『軌跡』」
キーボードの演奏が入って観客の歓声がかなり収まる。
この曲はRoselia初のバラードだ。
この雰囲気に歓声が合わないのが観客はわかっているのだろう静かに聞いている。
この曲は僕にとって思い出深い曲だ、こうして静かに聞いてくれるのは正直ありがたい。
軌跡が終わると観客の拍手が上がる。
拍手がなり止むとMCを入れる。
このライブの最後のMCは紗夜だった。
「・・・次で最後の曲です。大切な人を思う曲です・・・聞いてください『Determination Symphony』」
ギターの音とともに曲が始まる。
観客はさっきまでの静けさが嘘のように歓声が上がる。
この完成の大きさははじめの2曲より大きかった。
そして2番のサビが終わる。
『セカイデ ヒトツノ タイセツナヒト ツナゲ ココロ フカク ツナゲ ユメヲ シナヤカニ・・・・・・紗夜! 』
紗夜のギターソロが入る。
その時のギターの音は確かに正確で素晴らしかった。
しかしそれ以外の音も入っていた。
その音は・・・音楽を楽しんでいる、そんな音だった。
ライブが終わって楽屋。
僕達は反省会を行っていた。
「紗夜の演奏、今までより良かったわよ。」
「はい、ありがとうございます。」
「とりあえずみんな着替え終わってるし、いつものところ行こうよ!」
いつものところ・・・つまりいつものファミレスである。
「そうですね・・・行きましょうか・・・」
「今、ポテト増量で20%オフらしいですよ!みんなでまた分けましょうよ!」
「ははっ!だって紗夜!」
「な、なぜ私に振るんですか!べ、別に・・・みなさんが食べるなら・・・私も・・・」
流石ポテトがあれば心が折れる紗夜、いつも通りの平常運転である。
すると通知音がなる。
「・・・すみません、少し失礼します。」
どうやらその音の主は紗夜のスマホのようだ。
すると紗夜はフフッと笑った。
「紗夜、どうかしたの?」
リサが紗夜に質問する。
すると紗夜はにこやかに、そして少し恥ずかしそうに話した。
「私の・・・世界で一つの大切な人からです。」
ということで『8章~Determination Symphony~秋時雨に翡翠の姉妹』はこれで終わりです。
次こそNFO編やります!
ということで次回をお楽しみに!