無色と灰色の交奏曲   作:隠神カムイ

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祝50話!
これからも『無色と灰色の交奏曲』をよろしくお願いします!(話すネタないので・・・)

ということで本編どうぞ。


50話 Roselia ト レイン

友希那と紗夜が私欲に負けてNFOをすることになった。

 

時間としては練習にそのままネットカフェへ赴き、NFOをプレイする予定だ。

 

友希那、紗夜、リサの3人はネトゲ初心者なのであこはリサに、燐子は紗夜に、そして僕は友希那について色々教えることとなった。

 

まずは練習との事で日付が変わった今日、いつも通りCIRCLEへ向かうはずだったのだが。

 

「・・・レインさん。」

 

「ミャア」

 

「あの・・・どうしてもそこから動く気がありません?」

 

「ンミャ」

 

「僕、今からバンドの練習行くんですよ。流石にスタジオに猫はダメだと思うんすよ・・・なので・・・出てくれません?」

 

「ミャン」

 

この前の雨の日に拾ってそのまま家族の一員(もちろん手続きには行った)となった猫の『レイン』が頑固として動かない。

 

そのままほっといて行けばいいと思うのだがレインがいるのはなんと僕が今着ているパーカーのフードの中なのである。

 

まだ子猫のため体が小さいレインはパーカーのフードの中がたいそう気に入ったらしく、僕が着る瞬間にタイミングを見計らってフードの中に飛び移ったのだ。

 

 

 

 

 

・・・さて、今更だが生活費が足りないためアルバイトまでして一人暮らしをしている僕が余計金がかかる猫を飼い始めたのか、それは少し前に遡る。

 

僕が母親と決着をつけ、母親が逮捕された後の裁判にて僕は十数年ぶりに母方の祖父母に出会った。

 

そこで2人はこれまでの虐待や今回の件の慰謝料として300万円を受け取ってほしいと言われた。

 

僕は最初それを断った。

 

悪いのは僕を虐待し、その後音信不通となった娘である母親であって親である祖父母ではないのであなた方から受け取ることは出来ないとそう言った。

 

しかし2人はその反対を押し切ってあの子を育てたのは私達だ、それに私達はあなたの成長を見守る義務があったはずだったのにそれが出来なかった。

 

その後悔を罪を償わせてくれと頼まれたので断りきることが出来ずに受け取ってしまった。

 

僕は全額を銀行に預け、もしもの時やなにか困ったことがあった時に限ってそのお金を頼ることにしようと決心した。

 

そして昨日、にゃぴねすのマスターから猫と暮らすのに必要なものを聞いて、そのお金を使って猫のトイレやゲージ、餌におもちゃに猫タワーなどを買い込んだ。

 

 

 

そしてレインは昨日買った猫タワーのてっぺんからフードの中に飛び移ったわけである。

 

まさか買って一晩で制するとは思わず、餌を与えたあとなんかレイン見つからないな~と思っていたらいきなり衝撃とともに首がしまったのである。

 

「・・・少し苦しいんすよ、出る気ない?」

 

「ニャゴ」

 

「・・・はぁ、仕方ない。まりなさんに説明したらなんとかなるかな・・・」

 

こうなれば仕方がないのでそのままレインをフードの中に入れながらCIRCLEに向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フードの中に異常がないかチマチマ確認しながら(レインは移動中ずっと寝てた)CIRCLEに到着した。

 

中に入るとまりなさんは受付にいた。

 

「あ、奏多くん。今日予約の日だったよね。」

 

「はい、そうなんですけど・・・」

 

「ん?どうかしたの?」

 

「あの・・・実は・・・」

 

話そうとするとフードの中からレインが顔だけ出す。

 

どうやら起きたようだ。

 

「うわっ!ね、猫?」

 

「あの・・・絶対にここから出さないので連れ込み大丈夫ですか?」

 

「え、えっと・・・少し待ってて!」

 

そう言ってまりなさんは受付裏に行く。

 

まぁライブハウスに猫を連れ込む人間なぞ僕しかいないだろう。

 

するとすぐにまりなさんは帰ってきた。

 

「店長に確認したけど楽器とかコードとかに触れさせなければいいよって。それと猫の写真撮らせてって・・・」

 

まりなさんの手には恐らく店長から借りてきたのであろうデジカメがある。

 

ここの店長は猫好きなのだろうか。

 

「あ、はい、ありがとうございます。レイン~ちょっとゴメンよ~」

 

そう言ってフードの中を開ける。

 

レインはその中で丸まっていた。

 

「撮るよ~」

 

と言ってまりなさんはレインの写真を撮る。

 

幸いレインはカメラに驚かなかった。

 

「ありがとう!スタジオはいつものところだからね。」

 

「はい、すみませんお手数をお掛けしました。」

 

僕はいつものCIRCLE第三スタジオへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レインの落下に気をつけながら先に機材の準備をしているとガチャりとドアが開く。

 

入ってきたのはRoseliaの僕以外のメンバー全員だった。

 

「あ、おはよう。みんな一緒って珍しいね。」

 

「今日やることを色々教えてもらおうと思ってあこと燐子に色々聞いてたんだ~」

 

「私はだいたい理解しました。白金さん、本日はよろしくお願いします。」

 

「はい・・・こちらこそよろしくお願いします・・・」

 

みんながわいわいする中、友希那はじっと僕のことを見ていた。

 

「友希那・・・?なにか顔についてる?」

 

「いえ・・・けど奏多の方から猫の匂いが・・・」

 

友希那の猫センサーはバケモノか。

 

そう思うとフードの中からレインが顔を覗かせた。

 

「ね、猫ぉ!?」

 

「そ、ソータ!?その猫どうしたの?」

 

「え、えっと・・・今日からうちでお世話になるレインでーす・・・」

 

「その子が・・・この前言ってた猫・・・」

 

「九条さんどうしてここに猫を連れてきたんですか?」

 

「じ、実は・・・」

 

僕は今さっきまでの出来事を手短に話した。

 

「・・・ということで・・・まりなさん達には許可はもらってる。」

 

「なるほどね・・・そんな事が・・・」

 

「しかしライブハウスに猫を連れ込むのはダメでは?」

 

紗夜以外のメンバーは納得してくれたようだ。

 

「だいたい猫なんていたら練習にならないじゃないですか。ねぇ湊さん。」

 

紗夜は友希那に同意を求める。

 

友希那はキリッとした顔で紗夜の言葉に答えた。

 

「もちろん構わないわ。」

 

「ですよね・・・って、構わないんですか!?」

 

紗夜は驚きの声をあげた。

 

この反応には僕も驚いた。

 

「ここがOKを出したならそれに従うべきだわ。それにそのにゃ・・・猫は大人しそうだし多分練習の音も平気だと思うわ。」

 

そう言って友希那はスタスタと僕の方まで近づいてフードの中からレインを抱き上げた。

 

レインは特に暴れる様子もなく大人しくしていた。

 

「名前はレインと言ったわね。」

 

「う、うん・・・そうだけど・・・」

 

「レイン、あなたは私達の音聴いてくれる?」

 

「・・・ミャ」

 

「そう・・・なら奏多と一緒にいてね。」

 

「ンミャ」

 

友希那がレインを僕に渡してくる。

 

僕がレインを受け取るとレインはそのまま服をよじ登ってフードの中に入っていった。

 

「それじゃあ練習始めるわよ。」

 

「「「「は、はい!」」」」

 

「奏多、先に一度音合わせをしてからフルで通していい?」

 

「う、うん・・・良いけど・・・」

 

「ありがとう。」

 

そう言ってメンバーが所定の位置に動く。

 

「みんな・・・今日はお客さんのレインが来てくれている。だから最高の音を届けましょう。」

 

友希那の気迫がいつも以上に強い。

 

やはり猫が絡んでくると友希那は強い。

 

「それじゃあ・・・始めるわよ。」

 

友希那がいつも以上にやる気がある。

 

やはり猫がいる時の友希那はとても強いと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

結果から言うとライブはこの前のライブの時より良くなっていた。

 

特にボーカルが1人無双していたのは置いておくがこれまで以上の完成度だった。

 

「友希那の・・・猫パワー恐るべし・・・」

僕はそう思わざるを得なかった。




今回は珍しくストーリーよりかは日常目線です。
それでは次回もお楽しみに!

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