ざっとした流れが掴めてから週一ペースでやる(かも)。
さてRoselia結成編ですが今回の話はRoseliaの1章を見直してどこに主人公を入れ込むかなど色々試行錯誤してました。Roselia結成編のメインの山になると思います。
2話 トツゼン ト ハッケン
次の朝、僕は目覚まし時計の音で目が覚めた。
時刻は6時半、いつも通りだ。
起きた後は、いつも着替えずに朝食や弁当の準備をしている。
親父は昨日夜遅くに帰ってきていたため、まだ寝ているはずだ。
いつも出勤時間は9時半なのでまだ寝かせていて大丈夫だろう。
いつも通り、僕は準備に取り掛かった。
朝食と弁当を作り終え、親父を起こした後僕は早めに学校へ行くことにした。
氷川さんから教室の位置などは教わったが、まだいまいち覚えきれてない所もあるため早めに出て覚えようと思ったのだ。
うちの学校はいつも7時には校門が開くので早めに着いてもおそらく大丈夫だろう。
そう思って僕は朝食を食べ終え、すぐに準備して学校へ向かった。
午前7時40分過ぎに学校に着いた僕は荷物を置かずに学校の中を見回った。
朝も早いせいか人も少なく、部活の朝練をしている生徒や生徒会や委員会の生徒、教師ぐらいしか人はいなかった。
曖昧だった所や覚えてなかったところを覚えつつ、8時頃に自分の教室へ向かった。
教室の中には数人の女子生徒が授業の準備をしたり話し合ったりしていた。
その中にはこの前の黒髪の子がいた。
「えっと・・・君は昨日の?」
「あっ・・・その・・・はい・・・。」
「えっと、昨日はどうも。ええっと・・・」
「まだ・・・名前・・・言ってなかった・・・ですね。私・・・白金・・・燐子といい・・・ます。」
「あっ・・・九条奏多です。昨日はありがとうございます、白金さん。」
「いえ・・・昨日・・・帰っている時に・・・オロオロしている人がいて・・・多分・・・新しく・・・入った人じゃないかと思って・・・。」
「うん・・・本当に感謝しているよ。あのあこっていう子にもお礼を言わないと・・・」
「あこちゃんには・・・私から・・・言っておきます。」
「あぁ・・・うん、ありがとうございます。」
・・・会話が弾まない。
僕もそうだが彼女もかなり人と話すのが苦手なんだろう。白金さんの手元を見ると本があった。
「本・・・好きなんですか?」
「あの・・・えっと・・・はい。私・・・本ばかり読んでいるので・・・。」
「うん・・・本は読み始めると集中してしまいますよね。」
「はい・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
・・・まさかここまで弾まないとは。
どうしようかと呆然としているうちに氷川さんが教室に入ってきた。
「あぁ、九条さん、白金さん、おはようございます。」
「あの・・・おはよう・・・ございます。」
「えっと・・・おはようございます。」
僕は氷川さんが大きなケースを持っていることに気がついた。
「氷川さん、その大きな黒いケースは一体?」
「これですか?ギターです。今日、バンドの練習があるんですよ。昨日の予定もバンドの練習に行っていました。」
(氷川さんがバンドを!?)
僕はこの事実に衝撃を受けた。
まだ会って日にちは少ないが、いつも風紀委員の仕事や勉強などに集中して取り組んでいて他のことにはあまり興味を持たなさそうなイメージを持っていた僕にはとても意外に思えた。
「そんなに驚くことですか?」
「いえ・・・ちょっとイメージに無くて・・・。その」
キーンコーンカーンコーン
言い終わる前にチャイムが鳴った。
「チャイムも鳴ったので席に戻りましょうか。HRも始まりますし。」
「あっ・・・はい。」
最後まで言い切れず、もどかしい気持ちを抑えながらも僕は席についた。
氷川さんのバンドの話も気になるが今日は本のしおりの持ち主を探してもらう予定なので気持ちを切り替えて授業を受け始めた。
放課後
(授業も終わって終礼も終わったし、図書室へ向かいますか・・・)
そう思いつつ足を運ばせると携帯に通知が来た。
どうやら親父かららしい。
「親父から?こんな時間に?」
内容は『急だが話がある。とっとと帰ってこい。』というものだった。
いつもは仕事で忙しいはずの親父が今家にいるということに驚きつつ、僕は図書室に向かうのをやめ、家に帰った。
家に着くとそこには親父がかなり難しい顔をして座っていた。
「親父、仕事どうしたのさ。んでもって話ってなんだよ。」
「奏多・・・落ち着いて聞いてくれ・・・」
親父が静がながらもはっきりとした声で話し始めた。
「実は出張で1年ほど大阪へ向かうことになった。」
「えっ!?また転勤?」
「俺が引き受けたプロジェクトでどうしても大阪で働かなければならなくなった。規模が大きいプロジェクトだからどうしても断れなかった。」
「そんでいつ行くのさ。僕も準備しないといけな・・・「そこで話がある」・・・え?」
僕が喋り切る前に親父が話を持ち出した。
「お前も高校生だ。もうあらかた家事はできるよな。」
「・・・まぁそうだけど。」
「ならお前、一人で暮らせる自信はあるか?」
「えっ?ちょっと?突然そんな事言われても・・・。それに金はどうするのさ?あっちの滞在費とかめちゃくちゃかかるだろ?」
「金は仕送りも送る。しかも大阪には俺の実家があるからそこで何とかするつもりだ。俺の親にも話はつけてある。後はお前がどうするかだ。」
「・・・。」
何とも言えなかった。
突然こんな事言われて戸惑わない方がおかしいし、一人で何とかする自信もない。
しかし、新しい学校で話してきた人たちに会えなくなるし、あの音色の正体もわからずじまいになってしまう。
それだけは困る。
あの音色は、自分の心に響くものだったから。
「・・・わかった。やるよ。」
「そうか。無理させて悪いな。」
「そんでいつからなの?」
「明日からだ。」
「明日!?もし僕が一緒に行くって言ってたらどうするつもりだったのさ!?」
「お前なら了承してくれるって信じていたからな。」
はぁ・・・と僕は大きなため息をついた。
「んで、行くことはわかったけど大丈夫なのか?最近親父夜遅くまで仕事してただろ?体壊すんじゃねぇか?」
「俺を誰だと思ってる。このくらい大丈夫だ。俺は出発の準備に取り掛かるから先飯作っといてくれ。」
そう言って親父は居間を離れ、自室で準備を始めた。
親父の唐突な出張に驚きつつも僕は夕飯の支度を始めた。
・・・しかし何か忘れているような気がする。
音色のことではなく今日なにかする予定だったような。
Roselia結成編の最初はどうだったでしょうか?
まだRoseliaのロの字も出てないですが次の話辺りで『鳥籠の歌姫』を出す予定なので!
今週中にあと2話ぐらい出せたらいいな~