しかも投稿日は10月!友希那さんと燐子の誕生月じゃん!(しかも押し2人の誕生日の中間あたりに作者誕生日という奇跡)
こんな雑談はほっといて本編始まります。
突然の親父出張問題から日が変わり、朝起きると親父はもう出発していた。
だが不思議と孤独感には見舞われなかった。
(いや、昔から自分は孤独で無色だったじゃないか。)
そう自嘲気味に受け流しながらも僕は一人で朝食の準備に取り掛かった。
今日は土曜日。
学校も休みで部活も部費を払う余裕もないので入っていない。
だから今日はのんびりとできる日だ。
窓の外を見ると、空は澄み渡るほどの青色。
外の眩しさに目をすぼめつつも、僕は今日することを考えた。いつも通りにネトゲで1日を潰そうかと考えたが流石にそれだけでは味気ない。
すると僕はふと、この前道に迷ったことを思い出した。
街に慣れていないならこういう日こそ街に出て覚えるべきなのではないか。
「・・・よし。外に出る準備をするか。」
朝食を食べ終え、外に出る支度をした。
まだ四月なので外は暑くもなく寒くもない。
薄い上着を羽織っていくべきか悩んだがあまり長く出る予定ではないので長袖のシャツと少し厚めのズボンで出ることにした。
しかし、いざ出発しようと思ったもののどこから回るべきかを決めていなかった。
大体家の近く辺りから覚えようと思ってもいざ考えると迷うものだ。
「・・・こんな時こそゴーグル先生だな。」
困った時のみんなの味方ゴーグル先生に頼ることにしてこの周辺で良さそうな所を検索した。
すると20分ほどの距離に商店街があることがわかり、まずはそこに行こうと思い商店街を目指した。
所々道を間違えながらもなんとか商店街に到着した。
商店街は思っていたより広く、休日とあってかかなり繁盛していた。
商店街の中心辺りにはピンク色のくまの着ぐるみが風船を配っていた。
この商店街のマスコットなのかと思いつつ、まずは近くの店に立ち寄った。
そこは「山吹ベーカリー」というパン屋で店の中には焼きたてであろう、いろいろな種類のパンが並んでいた。
どれも美味しそうだったが所持金もあまり多くはないので適当にメロンパンとチョココロネを選択してレジに持っていく。
そこには自分と同じぐらいか1個下ぐらいの女子が立っていた。名前を見るにこの店の子なのだろう。
その子にこの商店街でオススメの店を聞くと手前の精肉屋のコロッケが美味しいのとその隣のカフェがオススメだと聞いた。
どちらとも寄っても良かったが、全ての店を回ると流石に予算オーバーなので今回はカフェだけ寄ることにした。
支払いを済ませその女子に礼を言って僕はそのオススメの店の「羽沢珈琲店」という店を目指した。
中に入ると昼過ぎなのか人が少なく、すぐ案内された。
店にはバイトの子であろう茶髪と銀髪の2人と水色の髪でまとめてある子と金髪でロングヘアの子の2人組がいた。席に着くと茶髪の子がオーダーを渡しに来た。
「いらっしゃいませ。ご注文はどうされますか?」
「それじゃあコーヒーとクッキーのセットをお願いします。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
注文を取るとすぐにコーヒーのいい匂いがしてきた。
そして数分後コーヒーとクッキーのセットが運ばれてきた。
「お待たせしました。コーヒーとクッキーのセットです。」
「ありがとうございます。」
持ってきてくれた子に礼を言って僕はコーヒーに口を付けた。
「・・・美味しい!」
「ありがとうございます!それ、うちのオリジナルブレンドなんですよ!」
道理でほかの店とは違う味がした。
苦味もありながらもコーヒーの旨みがとてもわかりやすく出ていて香りもとても良い。
確かにこれは勧められて満足しないわけがない。
コーヒーとクッキーを堪能したあと僕はその茶髪の子に声をかけた。
「あの、この周辺でおすすめな所ってありますか?僕この街に来て日が浅いので・・・」
「そうですね・・・イヴちゃんなんか思いつく?」
茶髪の子は考えながら近くにいたもう1人の銀髪のバイトの子に話しかけた。
「そうですね・・・ジンジャなんてどうでしょうか?」
「なるほど!あそこなら景色もいいしね!」
「あの・・・その神社ってどこにありますか?」
「大体この商店街を出て5分ぐらいです。鳥居と階段でわかると思いますよ。」
「それじゃあ行ってみようと思います。2人ともありがとうございます。」
「いえいえ、気をつけて行ってきてください!」
「困っている人を助けるのもブシの務めですから!」
「う、うん・・・そうだね。」
イヴという子のブシ発言に少々驚きながらもコーヒーのお金を払い、僕は2人に礼をしつつその神社に向かった。
神社には着いたのだがその階段はとてつもない長さだった。
僕は運動が得意な方ではないので上りきった頃には息が上がっていた。
しかし後ろを向くとそこには街が一望できた。
「・・・凄い。」
この言葉しか出てこなかった。
神社から見える景色はとても言葉で表すことが出来ないほどの壮大さだった。
昼はこうだから夕方や夜は違う顔を見せるのかと想像を膨らませつつ神社に参拝して僕はそろそろ帰ろうかと思い始めた。
あの長い階段を降りつつも僕はきっとあの景色は忘れないだろうと思った。
しかし、帰る途中僕は道に迷った。
同じ道を帰れば良かったのにあえて違うルートで帰ろうとしたのが間違いだった。
今更後悔しても遅いと思いつつ道を探した。
しかも不幸なことに携帯は古い型のせいかバッテリーの消費が激しくほとんど無い。
緊急用で残さないといけないため今は電源を切ってカバンの中にある。
そのため一人で何とかしなければならない。
あっちこっち道を聞けるところを探しつつ、僕はあるライブハウスにたどり着いた。
そのライブハウスは「CIRCLE」と言うらしく、ちょうど今色々なバンドがライブをしているそうだ。
道に迷って疲れたのもあり、僕はそのライブハウスで休息がてらライブを見ることにした。
まさかこんな偶然が起こるとは思わなかった。
僕がライブ会場に入るとちょうど前のバンドが終わって交代のタイミングだった。
しかも入ってきた3人組の1人はなんと氷川さんだった。
(確かにバンド活動しているとは言ってたけどまさかこんな所で会うとは思わなかった。ちょうどいいし見てみよう。)
そう思って僕は人混みから少し離れた所で氷川さんのライブを見ていた。
そして氷川さん達のライブが始まった。
メンバーはおそらく全員高校生なのだろう。
その年代の子が歌いそうな曲を歌っていた。
しかも氷川さんのギターはものすごく迫力と正確さがあり、とても素晴らしかった。
しかし、僕はその演奏に少し違和感を覚えた。
おそらく氷川さんのギターの演奏とメンバーの演奏がうまく釣り合ってないのだろう。
ギターばかりが目立ってしまい他のメンバーが置いていかれている感じがした。
そう思っているうちに氷川さんの演奏が終わり、僕は氷川さんに声をかけに行こうと席を後にした。
僕が氷川さんを見つけ話し掛けようと近づこうとすると何やらバンドメンバーと揉めているようだった。
僕は3人の会話を聞くことにした。
「あなたにはギター以外のことは頭にないの?私達は仲間なのよ!もっと他のメンバーに合わせてよ!」
「えぇ、私にはギターの事しかありません。第一、仲良くしたいのであればバンドなんかせずに高校生らしくカラオケやファミレスで騒ぐだけで充分です。」
おそらくギターばかり目立って他のメンバーに合わせなかったことで口論に発展したのだろう。
(しかし氷川さんかなり強い言い方するな。)
僕はそう思いつつ話を聞いていた。
「どうやら私達とあなたでは考えが違うようね。」
「そうですね、私は抜けますのでどうかあなた達でバンドを続けてください。今までありがとうございました。」
そう言って氷川さんと2人は別れていって氷川さんだけがその場に残った。
声をかけるのは今なのだろうと思い動こうとすると氷川さんの後ろから銀髪でロングヘアの子が話しかけていた。
どうやらバンドを組まないかとの誘いらしい。
声をかけた子は湊友希那というらしく次の次が出番だそうだ。
最初は否定していた氷川さんだったがどうやらその実力を確かめるらしくその子の演奏を見るために残るらしい。
2人とも別方向に去っていってしまったため氷川さんに話しかけるタイミングを逃した僕はその湊友希那という子の演奏が終わってから帰ろうかと思いライブ会場に戻った。
その頃ライブハウスの出入口にはとある2人が話し合っていた。
片方は湊さんの演奏を見ようと誘い、もう片方は人混みを嫌うので何とか帰ろうとしていた。
今回前編後編に分けた方が読みやすいかなと思い、分けました。
後編も本日中に出す予定なのでそちらも見てください!