無色と灰色の交奏曲   作:隠神カムイ

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スマホがお逝きになるという緊急事態はあったものの何とか帰ってきた隠神カムイです。
ということで久々の更新となります。
最近この小説書いてなかったせいでネタが全然浮かばなくなってきたのでいつもの火曜、土曜更新にプラスしてゲリラ更新をする予定です。
なお、FROの方は通常更新の予定なのでゲリラ更新するのは無灰のみです。

ということで久々の本編どうぞ!


65話 カイギ ト クッキー ト Roselia

SWEET MUSIC SHOWER、略してSMSの出演依頼を受けた僕達は沸き立つ興奮とそのライブについての会議を行うためにCIRCLE外のカフェに向かった。

 

各々が適当な飲み物を注文して座席に着いた。

 

とりあえず話を切り出してみる。

 

「・・・ということでライブの件だけど・・・」

 

「さっき軽く調べて見たんだけどさ、このイベントかなり大きいイベントみたいだね・・・」

 

「FURTHER WORLD FES.に出たことのあるバンドも多く出演しているイベントよ。」

 

リサの言葉に友希那が返す。

 

そういえば友希那だけはかなり落ち着いている。

 

「Roseliaでこういうイベントに出るのは初めてだけど・・・友希那かなり落ち着いているね。」

 

「だってこのイベントもRoseliaの目標への通過点に過ぎないもの。これぐらいでびびっているようでは目標にたどり着くことが出来ないわ。」

 

「確かに・・・湊さんの言う通りですね。」

 

紗夜が納得した反応を示す。

 

紗夜もああ見えてかなり緊張していたようだ。

 

それを見たリサが少しいたずら気味に話しかける。

 

「あれれ〜紗夜もかなりびびってたんじゃん!いつもなら本番は練習のように、練習は本番のようにって言うのにさ〜」

 

「なっ・・・!び、びびってはいません!湊さんの言葉に納得を示しただけです!」

 

「けど紗夜さん、顔赤いですよ?」

 

あこがそこに追い打ちをかけるように話しかける。

 

しかしあこの場合は悪気があって言ったのではない・・・と思う。

 

「う、宇田川さん!」

 

「だ、だってホントのことですしぃ〜!」

 

こうして紗夜とあこが楽しく(?)会話しているが、今思えばRoselia結成当初はあこのことをしっかり認めていなかった紗夜がここまで話すようになるとは・・・日菜さんの1件があってから紗夜もかなり変わったと思う。

 

「そういえば紗夜、来週一緒にクッキー作るって話してた件だけどさ・・・」

 

・・・え?

 

今なんて言った?

 

紗夜がクッキーを作る!?

 

それもリサと一緒に!?

 

「「ええっ!?」」

 

僕とあこが同時に声を上げる。

 

あこもこのことにかなり驚いたようだった。

 

「紗夜さんがお菓子作り!?」

 

「そ、それもリサと一緒に!?」

 

「い、今井さん・・・!その話はあまり大きな声でして欲しくないと言ったはずです!」

 

紗夜がまた顔を赤らめる。

 

後で燐子に聞いた話によると11月辺りに羽沢珈琲店でお菓子作り教室を開いていたらしく、たまたま燐子と2人で商店街を歩いていた紗夜がそれを見つけ、参加したらしいのだ。

 

そこからちょくちょくお菓子を作っている・・・らしい。

 

僕も自慢ではないが料理は上手い方なのでお菓子作りもするはするがクッキーだけはリサに劣るのである。

 

どうしてもリサのクッキーのようなサクサク食感と風味、そしてあと一つの「何か」が足りないのだ。

 

いずれリサにクッキーの作り方を教わりたいのだがこの間までドタバタしていたのと1度リサに聞いたら

 

「えぇ〜ソータに教えると料理上手だから直ぐに抜かされそうだし・・・また今度ね!」

 

と言われウィンクしながら舌を出されたのだ。

 

あれは教える気がないなとその時悟った僕は何としてもあのクッキーを超えようと努力してみたのだがその努力も呆気なく打ち負かされたのだ。

 

そして紗夜が辱めを受ける原因となった当のご本人はというと。

 

「あれ、そうだっけ・・・ゴメンゴメン。けどさ、もうバレちゃったしいーじゃん?」

 

この通り反省する気ゼロである。

 

しかし2人でクッキー作りとは・・・紗夜も変わったものだ。

 

そしてこのバンドの中で一番リサのクッキーの味に関して詳しそうな人が口を開いた。

 

「あなた達の作るクッキーにはRoseliaの練習パフォーマンスをアップする効果があるような気がするの。楽しみにしているわ。・・・けど、今はライブについて話しましょうか。」

 

「あ・・・ご、ゴメン・・・」

 

「すみません、大事なライブの話し合いだというのに・・・私としたことが・・・」

 

「あはは・・・」と燐子が苦笑いする。

 

確かに今回集まったのはクッキーの件ではなくSMSの件だ、話を戻さなくては。

 

「とりあえずさっきの資料をサッと見たけど、僕達が出演するのはSMSの中のジュニア枠みたい。会場の大きさとかも調べたけどそこは何回か前のFWFの会場にもなったかなり大きな会場だよ。」

 

「ジュニア枠・・・プロのバンドの前座とはいえFURTHER WOULD FES.に匹敵する規模の会場。気を引き締めなくては・・・」

 

「そうね、でもただこのライブに出るのではなくてFURTHER WOULD FES.に繋げられるような演奏をしましょう。」

 

友希那がそう言った。

 

確かにここはRoseliaの目標の通過点に過ぎない。

 

ただライブで演奏するだけではなく大きな会場でどれだけ伝わるかを知っておく必要がある。

 

するとさっきまで資料に目を通していた燐子が話し出した。

 

「開催日が月末だから・・・ライブまであと2週間・・・そこに標準を合わせるなら・・・練習量を増やした方がいいかもしれません・・・」

 

「白金さんの言う通りですね。今井さん、クッキーの件はこのライブが終わったあとにしましょうか。」

 

「まー、しょうがないよね。りょーかい!終わったらゆっくりやろ♪」

 

「そうしてくれると助かるわ。楽曲等については奏多、頼めるかしら?」

 

「わかったよ、今夜中に決めてグループに送るよ。」

 

「ええ、よろしく頼むわ。」

 

時計を見ると6時半を過ぎたところである。

 

この時期だとかなり暗い。

 

「そろそろ帰りましょうか。あたりも暗くなってきていますし。」

 

「そうだね。さて、僕はバイクを取りに・・・」

 

「そうだ!ねえソータ、良かったらバイク乗っけてくれない?」

 

リサがそう言った。

 

ヘルメットは自分用ともう1つ予備があるのであと一人なら問題ない。

 

「別にいいよ、あのバイク2人までなら乗れるから。」

 

「あー!リサ姉ずるーい!あこも奏多さんのバイクに乗ってみたい!」

 

リサの発言にあこが反論する。

 

好奇心旺盛なあこのことだ、言い出すとは思っていた。

 

「宇田川さんに今井さん、あまり九条さんを困らせてはいけませんよ!ねぇ、湊さん!」

 

「私も奏多のバイク乗ってみたい。」

 

「ですよね、私も乗ってみた・・・って、湊さん!?」

 

友希那から予想外の言葉が出た。

 

あの友希那がこういうとはかなり驚きである。

 

「私もバイクというものがどんな感じなのか気になるのよ。」

 

「で、ですが・・・」

 

「あれれー?紗夜もさっき乗って見たいって・・・」

 

「い、言ってません!別に乗ってみたら気持ちよさそうだなとは思っていません!」

 

「紗夜さん本音出ちゃってますよ?」

 

「ぐぬぬ・・・はい、私も一度乗ってみたいですよ!」

 

紗夜が吹っ切れて本音を打ち明ける。

 

軽く燐子に目線を送るもそっぽを向かれた。

 

(そ、そんな〜助けて燐子〜!)

 

あの様子からすると自分も乗ってみたいのとたまには譲る方がいいのではないかという気持ちが葛藤しているのだろう。

 

そしてこの状況で言い出せず、気持ちがモヤついているのだろう。

 

燐子と付き合うことになってから彼女のことがよくわかったような気がするがそれとは別に燐子も感情を内に秘めるのではなく外に出すようになってきた。

 

それは嬉しいことなのだがこの状況では少し悲しい。

 

「・・・あ〜やっぱりアタシはまた今度でいいや!」

 

何かを察したようにこの騒動の原因のリサがそう言った。

 

「どうしたのリサ姉、さっきまであんなに乗りたがってたのに・・・?」

 

「だってさ、ソータが乗せるべき相手がこの場にいるからさ。」

 

リサがそう言うと全員が察したように燐子の方を見る。

 

燐子は少し慌てた。

 

「み、皆さん・・・その・・・なんですか、その暖かい顔は・・・?」

 

「りんりん、無理しなくても乗りたいなら乗りたいって言えばいいのに。」

 

「そーそー!今じゃソータは燐子のものなんだしさ!」

 

リサの爆弾発言に僕と燐子の顔が紅潮する。

 

リサには色々と弱み的なものを握られていそうなので敵(?)に回すとめんどくさい。

 

もうこの人怖い・・・

 

「そ、その・・・私は・・・別に・・・」

 

「白金さん、乗りたいって顔に書いてます。」

 

「乗りたいならそう言えばいいじゃない。誰もあなたのことなら拒否しないわ。」

 

「ええっと・・・はい・・・」

 

燐子がどんどん小さくなっていく。

 

ここは助け舟を出さなければいけない気がした。

 

「そ、その・・・燐子、乗る?・・・一緒に帰ろ。」

 

「・・・!う、うん!」

 

燐子の顔がぱぁーっと輝く。

 

その笑顔に自然と笑みが出る。

 

「そういう事だから先に失礼します。みんな、おつかれ。」

 

「二人ともお疲れ様。」

 

「バイバイ奏多さんにりんりん!また明日!」

 

「お疲れ様でした。明日もよろしくお願いします。」

 

「おつかれ〜また今度乗せてね!」

 

みんなの言葉を背に燐子と一緒にバイクを取りに向かう。

 

最近のRoseliaの練習はこんな感じに結成当初より格段に技術が上がり、雰囲気も良くなっている。

 

BLOCK SHOUTから始まったこのバンドだが今ではカバーを抜くと11曲とかなり増えてきた。

 

その中から選ぶのは3曲、かなり悩む。

 

「奏多くん・・・?」

 

「・・・あぁ、ごめん。早く帰ろっか。」

 

「うん。」

 

燐子にヘルメットを渡してバイクに跨る。

 

考えるのは後だ、まずは安全運転で燐子を送り届けることが最優先だ。

 

そう思って僕はバイクを前に進めた。

 

しかし僕はまだ知らなかった。

 

この雰囲気が長く続かないことを。




久々の投稿で誤字脱字も多いかもしれませんので誤字報告とかあればよろしくお願いします。

ということで次回もお楽しみに!
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