少し予定を変えて前中後編にしようと思います。
そしてSMSには次回出場してもらう予定です。
それまでの前日譚(?)の友希那sideとなります。
前書きはこの辺にして本編どうぞ!
奏多が大阪に向かってから数十分後、私たちのグループに奏多からメッセージが届いた。
それは奏多の家の猫のレインの世話を頼めないかという事だった。
昔飼っていたのもあるが、あの見た目から何もかも全てが可愛い。
最近この街の商店街に猫カフェが出来てから週5の割合で通っている。
私が猫好きだと知っているのは奏多やリサなどの極わずかな人間だけ・・・なはず。
もちろん、奏多の家のにゃーんちゃ・・・猫のレインもふれあい済みである。
なので出来れば私の家で世話をしたい。
「猫の世話なら私がやるわ。昔飼っていた時の道具は残っていると思うし。」
「猫の世話をするなら経験者の方がいいでしょう。ここは湊さんに任せた方がいいかもしれません。」
紗夜が賛同する。
ここでの紗夜の賛同は王手に等しい。
「鍵は燐子が預かっているのよね。」
「は、はい・・・お正月の日に・・・念の為にって言われて・・・持っていました・・・」
燐子が奏多の家の鍵を持っていたことは驚きだったが、今奏多が一番信用しているのは燐子だ、妥当な判断である。
「そうだリサ、出来れば奏多の家についてきてくれないかしら?奏多の家から猫用のものを色々持っていきたいのよ。」
レインをいきなり違うところに連れていったら絶対に怯えてしまう。
なにか馴染みのあるものがあった方がレインも落ち着くだろう。
「わかった!」
リサが快く受け入れてくれた。
おそらく1人では持ちきれないのでありがたい。
「友希那さん・・・これを・・・」
燐子が鍵を差し出す。
私はそれを受け取った。
「ありがとう燐子、明日返すわ。」
「それじゃあアタシ達はレインちゃんを迎えに行くから!また明日!」
私とリサは奏多の家へ向かった。
皆と別れた地点が良かったのか、奏多の家には10分もかからず到着した。
こうして奏多の家に来るのは3回目である。
「こうしてここに来たのは3回目だけど・・・そのうち2回は奏多いなかったよね。」
「そうね・・・でも、最初来た時とは違うわ。最初は茂樹さんの独断だったけど今回は彼に頼まれてここに来ている。とりあえず入るわよ。」
燐子から預かった鍵で奏多の家の扉を開く。
「おじゃましまーす・・・」
「お邪魔します。」
するとタタタッと何かが走る音が聞こえた。
その正体は白と黒の毛並みの猫、レインだった。
「ミャオ」
「フフッ、久しぶりねレイン。」
「ミャン!」
レインは撫でろと言わんばかりに足元に頭をすり寄せてくる。
「ぐっ・・・!」
「友希那〜やることあるでしょ〜」
「そ、そうねリサ。とりあえず餌や皿、毛布などを借りましょうか。・・・ごめんねレイン、あとで遊んであげるから・・・」
レインは言葉の意味がわかったのか諦めてどこかへ行った。
賢いが自由人(?)な猫である。
家にはまだ猫用のゲージや猫用トイレ、猫用のおもちゃ等があったはずだ。
飼っていた猫が亡くなってしまってからは使い物にならなかったが処分するのも勿体なく、家の倉庫にしまっているはずだ。
とりあえず家に電話をかける。
『もしもし、友希那?どうしたの、あなたが電話をかけるなんて珍しいわね。』
「お母さん、この前来たうちのマネージャーのこと覚えてる?」
『奏多くんね、もちろん覚えているわよ。自分の気に入った子をそう簡単に忘れるもんですか。』
確かこの前奏多とお母さんは料理の話をしていた。
奏多は飲み込みが早いからそれで気に入ったのだろう。
『それで、その奏多くんがどうしたの?』
「彼は少し訳あって今は大阪に向かっているの。それで奏多が大阪にいる間、猫を預かって欲しいって言われたのよ。だから倉庫にあったアレ、出しておいてくれないかしら?」
『その訳は後で聞くわ。とりあえずわかったわ、出しておく。メルの使ってたもの残しててよかったわね。』
「・・・そうね、ありがとう。それじゃあ家に帰ってから話はするわ。」
そう言って通話を切る。
「通話終わった?」
そうリサが話しかけてきた。
リサの方を見るとその手には色々なものがあった。
「えっと、お皿に餌にタオルでしょ?これでいいかな?」
電話をしている間、リサがあらかた準備してくれていたようだ。
さすがリサである。
「ええ、ありがとうリサ。あとはレインだけど・・・」
「あ〜その〜レインなんだけどさ、少し来てくれない?」
リサが言葉を濁すのでリサの案内する方について行く。
リサが案内したのは奏多の部屋だった。
「レインがさ、ここから出なくて・・・」
それは大きな猫タワーだった。
確かレインはこれがお気に入りと言っていたはず。
でもさすがにこれは持っていけない。
「レイン、奏多はしばらく帰って来れないの。だから私の家で面倒見るのだけど・・・そこから出てくれないかしら?」
「ミャ!」
レインが顔を出すもすぐに猫タワーの奥に隠れてしまう。
無理やり出すのもあるがそれはレインが嫌がるのでやりたくない。
「・・・あ!そうだ友希那!」
隣でリサが大きな声を出した。
それに私とレインは驚いた。
「どうしたのリサ、大きな声を出して・・・」
「あるじゃん!猫タワー以上にレインちゃんのお気に入りのところ!」
「・・・?」
リサがニヤリとニヤつく。
私は少し嫌な予感がした。
・・・が、もう遅かった。
「ふ〜っ!なんとか帰ってこれたね〜!」
「ミャン!(特別意訳:あれもいいけどやっぱりここ最高!なかなかいこごち良かったよお姉ちゃん!)」
「・・・結構疲れるのね、これ。」
なんとかレインを連れ出して来れたのだがその連れ出し方がすごかった。
「でも結構似合ってるよ?奏多のフード付きコート!」
「奏多はいつもこうしてレインを連れてくるのね・・・」
奏多の家でリサが手にしたのは奏多のフード付きコートだった。
リサは目にも止まらぬ速さでコートを着せるとレインはそれを見てフードの中に飛び込んできたのだ。
いきなりのことに驚いて倒れそうになるもリサが腕を引いて止めてくれたおかげでなんとか転けずに済んだ。
そしてフードに入った途端レインは寝静まってしまった。
時間帯的にあまり人の以内時間帯だったのも幸いし、電車もバレずに乗ることが出来たのである。
しかし子猫とはいえフード内にいると結構重たい。
「けど悪いわねリサ、奏多の家から持ってきたものを全て持たせてしまって・・・」
「いいよいいよ、友希那はレインちゃんを預かってるんだからさ!それに・・・フフっ」
リサが話の途中で笑い出す。
何かおかしいところでもあるのか?
「なぜ笑うのよリサ。」
「だってさ!友希那が燐子より先に奏多のコート着てるのがすごく意外でさ!」
「なっ・・・!」
その途端顔が赤くなるのがわかる。
奏多への気持ちは実は捨てきれてない。
奏多と燐子が付き合っているのはもちろん知っている。
それでも影でもいいから彼のことを好きでいようとする自分がいるのが事実だ。
そんな中私は
そう思うと燐子にはわるいが嬉しいやら気恥しいやら複雑な気持ちになる。
「ごめんごめん!とりあえず早く帰ろ?」
「・・・リサのバカ。」
「ミャーオ(特別意訳:ごしゅじんはモテモテだね〜)」
私はそのコートの襟を顔に寄せながらリサと共に家に帰った。
そして私はこの気持ちを歌にしてもいいかと考えるようにもなっていた。
『レインのことは私に任せて。けどあなたの家から猫用の皿、餌、タオルとあなたのコートを借りていくわ。帰ってきたら返す。』
新幹線の中でスマホを見るとそう返信が来ていた。
友希那はかつて猫を飼っていたと言っていた。
それにレインも友希那のことを気に入っているのでおそらく大丈夫だろう。
まぁ、レインを放ったらかしに無我夢中で走った自分も悪いのだが。
しかし・・・
「・・・なんでコートも借りてった?」
それが実に不思議だった。
To be continued・・・