サブ垢で探偵こころと2周年モカ引きました。
なんだよ・・・結構当たんじゃねぇか・・・
あと最近デジモンtry見始めたけど3章でボロ泣き・・・このまま6章まで持たなさそう・・・
てかこのままバンドリの方のButter-flyやったら出来なさそう・・・
ということで作者の涙腺が弱いことを踏まえながらの本編ですがここから重さMAXで行きます。
では、本編どうぞ。
ひとり家に帰った私はこれからのことを考えていた。
音が変わった原因は予測が着いた。
ならこれから私はどういつものRoseliaの音に戻すのか。
「・・・みゃーおー」
レインが足元にすり寄ってくる。
「・・・ごめんなさいね、今は構ってあげられる余裕が無いの。・・・あっ。」
ここで私はあることを思い出した。
そういえば奏多が帰ってきたからレインを返さなくてはならない。
つまりレインと生活できるのも今日でラストという事だ。
「・・・こうして猫を世話するの、何年ぶりかしら。」
少し昔の余韻に浸る。
・・・もし、昔の私ならこの状況をどうしただろうか。
「・・・そんなの、決まってるじゃない。」
私は私、今も昔も湊友希那のままだ。
ならやることはひとつ。
「一度・・・引き返す必要もあるかもしれない。」
Roseliaの音を昔のようにする方法、それはまだわからない。
けど間違ったっていい、模索し続ければいずれ元のRoseliaになるはずだ。
「・・・まずは、明日の練習ね・・・」
明日の練習の様子を見てこれからの方針を考えた方がいい。
たとえそれが・・・皆の意見と別れても・・・
奏多side
次の日、練習のためにCIRCLEに集合した。
しかし、昨日練習で残っていた人もあまり調子が出ていないようだった。
今の僕は音を聴き、判断することは出来ないが場の空気でわかる。
正直あまりいい気はしない。
「・・・ストップ!今、テンポが崩れたわ。・・・あこ、前回の練習で、今日までに苦手な箇所を潰しておくことと言ったはずよ。」
「・・・すみません。」
曲が途中でとめられ、友希那があこに注意をする。
しかしいつもよりキツめだ。
「この間のライブのこと、覚えているでしょ?私達にはまだまだ足りないものがあるのよ。足らないなら埋めるまで。あこ、あなたは特にもっとスキルを磨かなければ、振り落とされるわよ。」
「・・・は、はい!すみません・・・っ!」
「このまま上達しなければ、抜けてもらうこともある。その覚悟を常に持って演奏して。」
「はい・・・」
友希那があこを突き放すように言う。
違和感を感じた僕はさすがに口を挟んだ。
「ちょっと友希那どうしたんだよ。さすがにそこまで言わなくてもいいよね?」
「いいえ。基準にみたなければ抜けてもらう。これは前から言っていることでしょ。そのくらいの危機感をもって練習に取り組まなければ、FURTHER WOULD FES.にはいつまで経っても出られないわ。」
「けどさ、その言い方だと・・・」
「そもそも演奏中の注意をするのは奏多、あなたの仕事でしょ?」
「・・・っ!ええっと・・・その・・・」
正直1番言われると困ることを言われ、動揺する。
すると紗夜が口を挟んだ。
「確かに今の演奏は、少し緩んでいたかもしれません。緊張感をもって演奏しなければ。宇田川さん、もう一度やりましょう。それに九条さんも作業があるとはいえ、仕事は仕事です。よろしく頼みますよ。」
「うう・・・」
「はい・・・」
正直紗夜が口を挟んでくれなかったら何も言えなくなっていただろう。
「・・・それじゃあ、二つ前のパートから。」
友希那は練習を再開させる。
しかしどれだけ聴いても、どれだけ頑張っても音を聴きとることが出来なかった。
「・・・送ってくれてありがとう。少し待ってて。」
友希那を家まで送り、レインを連れてきてもらう。
練習後から全く話すことも無く、そのまま着いてしまった。
エサはちょうど使い切ってしまったそうなので持って帰るのは皿とタオルと何故か持って行っていたコートである。
「皿と・・・タオルと・・・コート・・・よね。お待たせ。」
「うん、ありがとう。」
その3つが入ったコートを受け取り、抱かれているレインを受け取る。
「ミャン」
「ひさしぶりレイン・・・この前はごめんね・・・」
「ミャー」
バイクに乗ってきているのでいつも通りパーカーのフードや肩には乗せられないがその代わりにペット用の移動用キャリーバッグを持ってきている。
これなら落ちずに済む。
「今日まで世話ありがとう。それじゃあ・・・」
「・・・ちょっと待って。」
バイクを発進させようとした時に友希那に呼び止められた。
慌ててブレーキをかける。
「・・・っと。どうしたの?」
「・・・あなた、この前の練習からそうだけど、音が聴こえてないんじゃない?聴力の問題じゃなくて・・・あなたの得意な善し悪しの聞き分けが出来ないんじゃない?」
核心を突かれ、それまで考えていたことが全て真っ白になる。
「・・・もし、そうだったらどうするのさ。」
「私はあなたの才能をかってRoseliaに入ってもらった。けど、それが出来ないようじゃ抜けてもらうこともありうる。私達も昔とは違ってあなたの作業もそれぞれができるようになっている。今更あなたが抜けたところで『私達の負担が増える』だけでRoseliaをやり続けるのに支障はないわ。」
友希那が突き放すように言う。
やはり最近の友希那はどこかおかしい。
「・・・大丈夫、たしかに今は聞こえてないけど一時的なものだと思う。すぐに感覚を取り戻すと思う。」
「『思う』じゃ困るのよ。もっと確実にしてもらわないと。」
「・・・っ!・・・もう行くよ。それじゃあ。」
バイクを発進させる。
友希那の言葉に言い返すことが出来ず、ただ言われるままだった自分がとても悔しかった。
月が変わって2月に入った。
月の代わりたてである2月1日、練習はよりハードになっていた。
・・・技術面ではなく、指導面で。
「・・・あこ!またテンポが乱れているわよ!」
「・・・ごめんなさい・・・」
友希那が怒ってあこが謝る。
前回も同じ風景を見たが今日はより強くあたっている。
「前回もそれぞれつまずいた箇所を克服するようにと言ったはずなのに、何度も同じことを言わせないで。」
「ま、まあまあ!ちょっと今回の練習には間に合わなかったかもだけどさ、ダメなら練習すればいいじゃん?あんまり焦ってもいいことないし、友希那もそこまで言わなくても・・・」
リサが止めに入る。
友希那は少し不満そうにしながらも練習を続けようとした。
しかし、あこも黙ってばかりではなかった。
「・・・何度やったって、できないと思います。」
「宇田川さん?」
紗夜が不穏な空気を感じ、あこに声をかける。
しかし、あこの堪忍袋の緒はとっくに切れたようだった。
「何度やったって、どうせあこ、失敗します・・・っ!!だって、どうやったら上手になるのか、もうわかんないし・・・!」
しかし、それを黙って聞く友希那ではない。
当然のように反論した。
「甘えたようなことを言わないで。ダメならできるようになるまで繰り返すしかないでしょう。」
「なんのために上手になればいいんですか!!」
「それは・・・!」
友希那の言葉が少し止まる。
あこはそのまま自分の思いを友希那にぶつけた。
「SMSで失敗したのに、反省会もやらないで!みんなわけもわからないまま、ずっと練習してて・・・FURTHER WOULD FES.に近づいているのか遠くなっているのかもわからないし・・・っ!」
「遠のいているわよ。今のあなたは。」
友希那が落ち着いてあこの言葉を返す。
その言葉に対してあこは言葉をぶつける。
「・・・っ!なんでですか!?あこが上手じゃないからですか?」
「そうよ。それに、こんなことで音をあげているようじゃ先が知れているわ。そんな甘えた様子で、このバンドにいる資格はない!」
友希那がトドメを指すように話す。
さすがに酷すぎるのではないか?
そしてその言葉はあこに深く突き刺さった。
「・・・っ!!!・・・こんなの・・・こんなの、Roseliaじゃないっ!!!!」
「あ、あこっ!!!」
あこはドラムスティックを投げ捨てるとスタジオから走り去ってしまった。
リサが制止の声をかけるもそれを無視して走り去ってしまった。
「・・・友希那さん・・・」
「4人だけでも練習を続けましょう。」
友希那があこのことなんてなかったかのように練習を再開させようとする。
さすがに口を出そうとした時、僕より先に口を挟む人がいた。
それは1番予想外な人、燐子だった。
「どうして・・・あこちゃんにそんなこと・・・言うんですか・・・?」
「燐子・・・?」
「きっと・・・わたしたち・・・どれだけ練習したって・・・音なんか・・・あいません・・・!こんな演奏・・・誰も・・・振り向いてくれません・・・!だって・・・誰も・・・みんなの音、聴いてないから・・・っ!!」
燐子はそれだけを言うとあこと同じように走り去って行った。
普段ここまで言うことの無い燐子が頑張ってここまで自分の思いを伝え、苦しみ、そして泣いていた。
「燐子!!!」
リサが制止の声をかけるもあこと同じように止まることは無かった。
友希那は少し驚いた顔をしつつも落ち着こうとしていた。
「友希那、どうしちゃったの?この間の練習の時から、なんかヘンだよ?」
「私は、Roseliaを取り戻したいだけよ。」
『Roseliaを取り戻したいから』と友希那は言った。
・・・Roseliaを取り戻すためなら、仲間すら切り捨てるのか。
目的のためならどんなことでも言えるのか。
そう思ってしまった途端、僕の中の何かがふっ切れた。
「・・・Roseliaを取り戻したいって何。」
「・・・奏多?言葉の通りよ。私は・・・」
「なら、自分の考えを否定した仲間すら切り捨てることが取り戻すってことなのか?」
「私はただ私達の音を取り戻したい。ただ、それだけよ。それに技量が足りなければ抜けてもらうのは前々から言っていたことよ。」
「こっちからしたら別にあこは甘えたことなんて言ってない。自分で頑張って、努力して、それでもわからないから人に聞くことになんの甘えがあるんだよ!」
「それが甘えなのよ。自分の音ぐらい自分で見つけられないと自分のためにならない。人の音なんて参考でしかないわ。」
「人の音を聞いて初めて自分の音を見つけられることもある!友希那だって、1度はそれを感じたんじゃないか!」
「感じたから言っているのよ。でも、音を見つけるのは自分自身。あこはそれをしようとしなかった。しようとしていたら今回の音のズレだって直せるはずだもの。」
「それは友希那基準での話だろ?友希那みたいに変われる人もいたらあこみたいに変わるのが遅い人もいる。だからああやって頑張っていたじゃないか!」
「努力だけではRoseliaの音楽に合わない。だからこうして・・・」
「それでも切り捨てて言い訳じゃない!!」
久しぶりにこんな大声を出した。
僕を除くここにいる全員が驚いたような顔をしていた。
「・・・僕だってさ・・・怒るんだよ。仲間を怒鳴ったからじゃない、彼女を泣かせたからじゃない、そのあり方が間違っているから怒ってるんだよ。」
「あなたが怒った所で私達の音が変わるわけじゃない。あの二人が現実に向き合わず、逃げたことに変わりはないもの。」
友希那がそう言い放つ。
その言葉に対してさらに怒りが沸き立つ。
「現実を見ていないのは友希那じゃないか!反省会もせず、前みたいに完璧な音を取り戻したいからと言って昔に戻ったような練習をして・・・振り返ることと後退は違う、君のはただ後退してその現実から遠のいているだけだ!」
「なら、あなたにはRoseliaの音を取り戻す最善策があると思うの?」
友希那が強くそう言った。
その言葉に対して僕は言い返せなかった。
「それは・・・」
「ろくに音も聴くことが出来ないで、偉そうな口を叩かないで!」
その言葉が深く突き刺さる。
僕の怒りは次第に呆れへと変わっていた。
「・・・もういいよ、どうなっても知らないから!」
ドアを開け、スタジオを後にする。
リサの制止の声が聞こえるが今の僕にそれは届かなかった。
リサside
「・・・もういいよ、どうなっても知らないから!」
「奏多っ!!」
あこ、燐子までもなく奏多までもスタジオを出ていく。
「友希那・・・」
「湊さん、さすがに言い過ぎでは・・・」
紗夜が話しかけるも友希那は自分に言い聞かせるように呟いた。
「私達の音を取り戻すために、Roseliaに馴れ合いは必要ない。クッキーはもう、いらない。」
「ちょっと待ってよ!そんな、どうして昔に戻っちゃったみたいなこと言うの?」
「・・・そうでなければ、私たちの音は取り戻せないからよ。私達、少し仲良くなりすぎてしまったんじゃないかしら。」
「・・・!」
友希那はそれだけ言い残すと出ていってしまった。
その場にアタシと紗夜が残された。
「湊さん・・・っ!・・・行ってしまったわね。」
「・・・・・・」
胸が苦しくなって思わずため息のようなものが出る。
それを紗夜は心配してくれた。
「今井さん、大丈夫?」
「あ・・・ご、ごめん・・・なんか、驚いちゃって。」
自分を落ち着かせる。
紗夜は少し下を向いて話し出した。
「・・・湊さんの言っていたこと・・・少しわかるような気がしました。」
「分かる、って・・・?」
「私達は、バンド、それから個人としても色々な経験をしました。その結果、私個人としては成長出来ましたし、バンドの空気も以前よりかなりよいものになっていると思います。ですが・・・それ自体が、Roseliaにとって大きな問題だったのでは、と思ったんです。私達が無意識的にまとっていた張り詰めた空気が消え、いつしか、『いい雰囲気』が音に乗っていたのではないでしょうか。それによってRoseliaのサウンドは以前と比べて迫力が失われてしまったのかもしれません。」
「昔の迫力を取り戻すためには、前みたいにならないといけないってこと・・・?」
紗夜にそう質問した。
それに対して紗夜は首を横に振った。
「・・・以前の私たちに戻ることが正しいとは私には思えません。ですが・・・どうすれば私達の音を取り戻せるのかは、わかりません。」
「そんな・・・!」
紗夜ですらわからないことなんてアタシがわかるわけがない。
もしかしてアタシがいままでやってきたことって、バンドにとってすごくダメな事だったのかもしれない。
「「・・・・・・」」
2人だけになったスタジオには不穏な空気が残るだけだった。
次回、『ココニイルワケ』