無色と灰色の交奏曲   作:隠神カムイ

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次のイベントが蘭と聞いてめちゃくちゃやる気な隠神カムイです(燐子の次に蘭推し)

しかし誕生日にイベントの顔って・・・蘭運営に愛されすぎだろ・・・

明日書くかは少し考えます。

ということで今回はさっきまでの話題のAfterglowではなくハロハピメインです。

まぁ、タイトルでわかる通り2章なのですが無灰の場合Roseliaの2章が時系列的に1番最後(ハロハピのラストと少し被るぐらい)にしています。

まぁ、バンドリ本編でその辺の大まかな時系列語られてないのでこうさせてもらいました。

ということで本編どうぞ!


76話 キミがいなくちゃ!

「い、1週間だけ、僕をハロハピのメンバーにしてくれませんか?」

 

「もちろん!大歓迎よ!」

 

考えることも無く弦巻さんはそう言った。

 

やはり彼女ならこういうと思っていた。

 

その事に対して北沢さんはとても喜んでいたが奥沢さんは驚きの声を上げていた。

 

「そ、そんなに驚くことです?」

 

「当たり前ですよ!確かに九条先輩がハロハピに入ってくれたらまともな人が増えて三バカを抑えられるかなって思ったこともありますけど!そんなことよりRoseliaはどうするんですか?2バンドのマネージャーをやるのはしんどいって言ったのあなたでしょ?!」

 

一気にまくしたてられ、少し引いてしまった。

 

しかし奥沢さんの言うことも確かである。

 

「Roseliaに関しては・・・また後で話させてもらいます。それに1度他のバンドのマネージャーをすることで今の僕に何が必要なのか掴めるような気がしたんです。」

 

そう言うと奥沢さんは「むぅ・・・」と顔を顰めながらも諦めたようにため息をついた。

 

「はぁ・・・そこまで言われては仕方ないですね。その代わりあとでRoseliaについて明日、あたしと花音さんの前でしっかり話してもらいますから。」

 

「明日どこで練習を?」

 

「そうよ!私の家に集まってハロハピみんなで練習するの!ミッシェルもあとから来るって言ってたわ!」

 

「今の時期のミッシェルはモコモコで暖かいんだ〜!」

 

その事で練習風景を察することが出来た。

 

奥沢さんも大変だ。

 

「お、奥沢さんも・・・大変ですね・・・」

 

「あはは・・・もう慣れましたんで・・・」

 

この先の練習がRoseliaよりかはハードでないことを祈るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ということで弦巻邸に到着し、とりあえずハロハピの演奏を聞いてみることにした。

 

聞いた話によると明日『花咲川スマイル遊園地』という所で盛大にパレードを行うらしい。

 

花咲川に住み始めてそろそろ1年になるのに全く知らないその場所は閉園間近の遊園地でその遊園地に笑顔を取り戻すためにそこでライブをするなど試行錯誤し、最終的に盛大にイベントを行うことになったそうだ。

 

そこにある遊具全て直した弦巻家の財力と黒服さんの腕には驚かされるがそれ以前にそこまで思い立った弦巻さんの凄さである。

 

本当に真似できない。

 

「お待たせしましたーミッシェル入りまーす。」

 

着替えを終えた奥沢さんことミッシェルが弦巻家スタジオに入る。

 

これでハロー、ハッピーワールド!の5人が揃った。

 

「九条くんにはもう渡してあると思うけど、明日私達はそのセットリストで演奏するからサポートよろしくね。」

 

松原さんに言われたセットリストを見る。

 

これは弦巻邸に着いた途端黒服さんに渡されたものだ。

 

おそらく商店街でのやり取りを見ていたのだろう。

 

「あ、1曲目から新曲なんですね。」

 

「そうさ、その曲にはこの遊園地を彩るための全てが込められている。その時の楽しさ、嬉しさ、儚さの全てが込められている・・・あぁ、儚い!」

 

「ご、ご説明どうも・・・」

 

正直未だに瀬田さんの儚いの基準がわからない。

 

とりあえずこの曲がいい曲だということはだいたい分かった。

 

「それじゃあ始めるわ!『キミがいなくちゃ!』!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リサside

 

紗夜との『Roselia復帰作戦(仮)』が開始してからとりあえず一日が経った。

 

いつもの練習日にCIRCLEに来ても私と紗夜の二人しかいない。

 

友希那は今日、元から予定が入っていたらしく来ることは出来ない。

 

燐子とあこは昨日から適当なことは返してくれるものの練習のことになると濁されてしまう。

 

なので来ないのではないかと思ったら案の定来ることは無かった。

 

おそらくソータも似たようなものだろう。

 

連絡しても返事はないしバイトもソータは今週シフトが入っていないので確認をとることが出来ない。

 

ということで今日はベースとギターのみでの練習である。

 

紗夜が言うなり「おそらく今の私たちに出来ることはバラバラになったRoseliaを元に戻すことと己の技量をあげるのみ」だそうだ。

 

確かにRoseliaの中ではアタシが一番下手なので一番技量を磨かなければならない。

 

紗夜の言うことは最もだ。

 

SMSでの3曲とその他にDetermination SymphonyとLOUDERのハイテンポな2曲をやって休憩を入れた。

 

「ふぅ・・・疲れたぁ。」

 

「今井さん、お疲れ様です。この前よりミスがかなり少なくなっていると思います。」

 

「ありがとう紗夜。でもまだミスはいっぱい残ってたからもっとミスを無くさないと・・・!」

 

「あまり焦らずに一つ一つしっかりやりましょう。焦ってしまってはいい演奏も出来なくなりますよ?」

 

紗夜がそう言った。

 

確かに今焦ってしまえばSMSの二の舞だ、冷静にならなければ・・・

 

「ところで今井さん、あの3人とは連絡が取れたんですか?」

 

「あー、あこと燐子はちょくちょく返信してくれるけど練習のこととなると言葉濁しちゃうんだよね・・・ソータに至ってはまるでダメ。 連絡つかないしバイトもソータ、今週シフトが入っていないから話すこと出来ないんだ・・・」

 

「九条さんのことです、どこかで自分の答えを見つけているのでしょう。」

 

ソータならきっと自分の答えを探しているのだろう。

 

茂樹さんによれば『根がめちゃくちゃ優しすぎて怒るのにむいてない。もし怒ったとしても数分後にやりすぎたと自分を責めるタイプ』らしいので昨日もそんな感じだったのだろう。

 

それから考えるとソータはこの前自分が怒りすぎてRoseliaに帰りにくくなったと考えているはずだ。

 

相変わらず他人第一な人だ。

 

それでもソータは他人の幸福が自分の幸福みたいに楽しそうに笑っていた。

 

そこまで来てアタシはあることに気づいた。

 

昔のソータと今のソータ、何が違うのかを。

 

「・・・今井さん?」

 

「紗夜・・・多分だけどさ、ソータが音聴けなくなった原因かはわからないけどそれっぽいものを見つけたかも。」

 

「それは・・・?」

 

「今のソータってさ、SMSの時から・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奏多side

 

『キミがいなくちゃ!』、『ゴーカ!ごーかい!?ファントムシーフ!』、『えがおのオーケストラ』とハロハピの新曲から定番曲まであらかた聴き終えた。

 

しかし、結果からしてこの前と変わらずに音を聴き取れなかった。

 

Roseliaとハロハピはテーマも雰囲気も全く違う。

 

だからもしかしたらほかの音を聴けばなんとかなるのかと思っていたのだがどうやら無意味だったらしい。

 

「どうしてだ・・・何が違う・・・?」

 

「そーくん?どうかしたの?」

 

「あ、いえ・・・なんでも・・・」

 

変に気を使わせては明日が本番のハロハピのメンバーに悪い。

 

ここは平然を装わなければ・・・

 

すると弦巻さんは不思議そうな顔をした。

 

「ん〜・・・ねぇ奏多、なにかあったの?」

 

「え、いや別に。特にはないです・・・」

 

「だったらなんで・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「笑ってる所見た事ないんだよね」

『笑っていないのかしら?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弦巻さん(今井さん)がそう言った。

 

「笑っていない・・・ですか?」

 

「ええ、さっきからなんか難しい顔しているわ!」

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

「笑っていないですか?」

 

「うん、SMSの後からソータが練習中に笑ってるところ見た事ないなって。いつもなら練習中に真剣に聴きながらも口ずさんだりリズムをとったりしてたけどそれがこっちから見てると全くなかったしずっと厳しい顔してた。だからもしかしたらって・・・」

 

「確かに楽しむことは大事ですが・・・」

 

紗夜が少し考え込む。

 

しかしソータが笑わなくなったのは何もSMSだけが原因では無い。

 

「考えてみて、ソータはSMSの前にお父さんのお葬式に行っていたから笑う機会なんてなかったんだよ。その後にこのことが起きたからどんな音も楽しめないから聴くことができないんだと思う。」

 

「なるほど・・・」

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

今考えれば確かに笑っていなかった。

 

そもそも親父の葬式やSMSでの出来事、その後の練習で笑うことなんてできなかった。

 

『楽しめないからどの音も響かない』だから最近音を聴けなくなったのだろう。

 

「笑うためにはどうすれば・・・」

 

「そんなの、簡単じゃないか!」

 

瀬田さんが前に出て肩を叩いた。

 

「え・・・?」

 

「だってはぐみ達はみんなの笑顔のために活動してるんだよ?そーくんだって笑えるよ!」

 

「みんなが笑顔になれるためにバンドをする。これが私たちの中で1番の活動内容ですから。」

 

「九条くんが元気なさそうなら私たちの音楽で元気づけてあげるから!」

 

「だから笑って!奏多!」

 

弦巻さんが満面の笑みで手を差し伸べた。

 

そのことに少し呆然としたが、思わず込み上げるものもあった。

 

「・・・ふふっ、弦巻さん、あなたは僕を面白い人って言ったよね。」

 

「そうよ!あなたは面白そうな人だもの!」

 

「僕にとってはあなたの方が面白いよ。だって今こうして笑えているんだから!」

 

今の僕にとって1番程遠かったものが今こうして戻ってきた。

 

このことが後にどうなって行くのか、まだ予測できなかった。




次回、『燃えるScarlet』

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