更新が遅くなってすみませんでした!
次回からしっかり更新できるよう最善を尽くします!
ということで本編どぞ!
CIRCLEでリサと別れて家に着いた僕は、早速燐子に連絡を取ることにした。
いつもならチャットで話すのだが、今回はあえて電話で連絡をとってみる。
コール音がなり始める。
燐子は電話に気づいても電話で話すのが苦手なので出るのに時間がかかる。
なので気長に待つことにした。
〜2分後〜
『・・・も、もしもし!』
気長に待つこと2分、ようやく電話に出てくれた。
「もしもし燐子?ごめん、電話の電源切ってたから出ることができなくて・・・」
『ううん・・・こっちも電話に出るの苦手だから・・・出るの遅れちゃって・・・待たせちゃったね・・・』
「燐子が電話に出るの苦手なの知ってるから、でも今回は燐子の声聞きたくて。」
『っ〜〜!』
燐子が電話の奥で悶絶したのを聞いて僕もさっきめちゃくちゃ恥ずかしいこと言ったのを自覚する。
顔が熱くなるのがわかるが、そのまま話を進めた。
「・・・こほん、それよりも大丈夫?その・・・あの日出て行っちゃったこと。」
『大丈夫・・・までは行かないけど・・・自分の中でどうしたらいいか迷ってる感じ。あこちゃんとNFOやっている時・・・あこちゃんが楽しそうにRoseliaの話をして・・・何としてもまたみんなで演奏できるようにしなきゃって思ったんだ。』
燐子が決意のこもったことを言う。
やっぱりみんなそれぞれ今やっていることは違っても、『もういちどみんなのRoseliaを取り戻す』という気持ちは変わらないようだ。
『奏多くんはどうなの?今井さんに聞いた話だと・・・奏多くんもあの後出て行っちゃったって・・・』
「あー・・・うん、あの後ハロハピの薫さんに諭されていろんなバンドに『バラバラになりそうになった時どうやってまたひとつに戻ったか』って言うのを聞き回ってる。」
『奏多くん・・・かなり大きいことしているんだね・・・』
燐子が驚いたような声を上げる。
しかし、実際問題答えを掴めそうで掴めないもどかしい所なのである。
「そんなことないよ、僕もまだ答えを見つけられてないし。」
『でも、私ならそこまで行動的になれないよ・・・だからみんなのために自分から動ける奏多くんが羨ましい。』
「ん〜別に行動だけでみんなの役に立てる訳では無いと思うよ?」
『え?』
電話の奥で燐子が首をかしげているのが言葉からわかる。
とりあえず燐子に自分の思いをぶつけてみる。
「人には得意不得意ってあると思うし、僕はたまたま行動できるようなタイプだっただけで、燐子はそういうタイプじゃないし。燐子ならもっと違うことで伝えられると思うよ?」
『違うこと・・・?』
「うん、Roseliaの中で燐子にしか出来ない事探してみるのも、Roseliaを取り戻すために大切なことだと僕は思う。」
『私に・・・出来ること・・・』
「まぁ、口喧嘩に負けて出て行った僕が言えることじゃないんだけどね。」
『ううん・・・それだけでも・・・なにか掴めるような気がするよ。ありがとう・・・奏多くん。』
「うん、また何かあったら相談して。力になれるかはわからないけど。」
『うん、それじゃあね。』
燐子との通話を切る。
声だけでも聞けてよかった。
これは自分も負けてられない。
・・・まぁ、そもそも勝ち負けなんてないのだが。
「とりあえず明日・・・か・・・」
明日はPastel*Paletteのライブの日。
予想が正しければ日菜さんがスタッフさんに頼み込んで席を無理矢理開けてもらっているのだろう。
とりあえず会場についたらまずスタッフさんに土下座した方がいいのかもしれない。
とにかく明日のために僕は早く寝ることにした。
次の日
会場に着くとそこにはPastel*Paletteのファンの人で賑わっていた。
まだチケット販売1時間前なのにこの人の数とはさすがアイドルバンドである。
「とりあえず連絡入れようか・・・」
実は沖縄の時に連絡先を交換していた日菜さんに連絡を入れると沖縄の時に案内してくれたスタッフさんが来てくれて控え室へと案内してくれる。
どうやら僕と紗夜のために特別に控え室を取っていたらしい。
とりあえずスタッフさんにお礼を言って、控え室でのんびり待っているとドアが開き、日菜さんと丸山さんが入ってきた。
「九条くん!来てくれてありがとう!」
「てか1時間前って早すぎだよ〜」
「こんにちは、日菜さんに丸山さん。今回は呼んでくれてありがとうございます。」
2人に深々と頭を下げる。
「そんな、頭下げなくていいよ!」
「そもそも呼んだのあたしだしね〜おねーちゃんもそろそろ来るって言ってた!」
紗夜がそろそろ来ると言った瞬間、扉が開いて紗夜が入ってきた。
「あら、丸山さんに日菜・・・って九条さん?!どうしてここに?」
「あ、こんにちは紗夜。日菜さんにお呼ばれされて・・・」
「なんかなんか、ソータくん来たらるんっ!ってくるかなって思って呼んでみたんだ〜」
「そんな理由で・・・」
紗夜が頭を抑える。
まぁ、気持ちはわからなくもない。
「・・・少し二人で話したいから二人とも戻ってくれるかしら?」
「え〜もっと話したいんだけ「わ、わかった!日菜ちゃん、私達はリハ行こ!リハ!」
「ち、ちょっと彩ちゃん引っ張らないで!あたし1度やったらリハなんて要らないし!」
「私がいるの〜!お願いだから〜!!」
そう言って2人が退席する。
少し間が空いてから紗夜は話しかけてきた。
「・・・羽沢さんから聞いたわ。色々なバンドに話を聞き回っているらしいわね。」
「う、うん・・・今の僕にできることを探そうって思って・・・迷惑だったかな?」
「いえ、あなたらしいと実感しました。・・・九条さん、練習には来られそうなんですか?」
僕はその質問にすぐに答えられなかった。
確かに今の僕なら練習の方に行っても自分の才能を存分に使えるかもしれない。
でも、自分の成すべきことはまだあるような気がする。
「・・・たぶん、今の僕なら練習に行っても大丈夫かもしれない。でも、今の僕にはまだやるべきことがあると思うんだ。」
紗夜に自分の考えを伝える。
紗夜はその話を聞くと静かに瞳を閉じた。
「・・・紗夜?」
「・・・ぶつからなければ伝わらないこともある。」
「え・・・?」
「あなたが言ってくれた言葉です。私も・・・どうすればまた昔の威厳を保ちながらも今の音でRoseliaでい続けるかを考えていました。でも、日菜や他の皆さんから色々言われてどうすればいいのかわかったような気がするんです。私はRoseliaで培った苦労や努力を無駄にしたくない。だから、後ろには下がらず前に進んでいきたい・・・そう思ったんです。私はこの思いを、湊さんにぶつけてみます。あなたがそうしたように・・・」
紗夜が笑顔でそう言った。
紗夜の笑顔、それは昔の紗夜なら絶対に見せない表情だった。
するとドアがノックされる。
ドアが開くとそこには案内してくれたスタッフさんがいた。
「そろそろ本番20分前なので席に案内させていただきます。」
「わかりました、すぐに行きます。」
「行きましょうか。」
僕達は控え室を出て座席に案内される。
座席は前列の1番中央だった。
「・・・日菜・・・ここまでしなくても・・・」
「ははは・・・スタッフさんの苦労がわかるかも・・・」
周りにはパスパレを待つお客さんでいっぱいだ。
そして本番、周りが暗くなってステージに光が灯る。
そこにはPastel*Paletteのメンバー全員が立っていた。
「みなさーん!こーんにーちはー!私達、Pastel*Paletteでーす!」
ボーカルの丸山さんがMCを担当する。
今回は噛まずにやっているので驚きである。
「・・・というわけで、最後まで盛り上がっていきましょー!聞いてください!『Y.O.L.O!!!!!』」
曲が始まった。
1曲目は『Y.O.L.O!!!!!』、Afterglowが作曲した曲であることをさっき教えてもらった。
そして流れるようにライブは進んでいき、ついにラストの曲となった。
本番前、日菜さんは「ラストの曲はPastel*Paletteの今を詰め込んでるから、ソータくん達の言うあたし達なりの答えみたいなもの!」と言っていた。
ハロー、ハッピーワールド!の『キミがいなくちゃ!』、Afterglowの『ツナグ、ソラモヨウ』のようなそれぞれの答えをまとめた曲、それは・・・
「・・・それじゃあ、次が最後の曲になりますっ!今はまだ、届かないかもしれないけど・・・私達、もっともっと光り輝く存在になっていきたいと思います!聴いていてください、『もういちどルミナス』!」
Pastel*Paletteの答え、『もういちどルミナス』が始まる。
この曲を演奏しているパスパレのみんなはとてもイキイキしていた。
「これが・・・Pastel*Paletteの答え・・・」
「今は届かなくても、いつか届くよう今を輝かせる・・・そういった感じですかね・・・」
紗夜がそう言った。
その言葉に今のRoseliaを重ね合わせる。
多分今まで見てきた中で1番似ているのかもしれない。
僕はRoseliaがまたひとつになるための答えが着実に近づいていることを実感していた。
次回、『友希那の葛藤』