投稿遅れてすみません!
ということでひっさびさの連続投稿です。
というわけで本編どぞ。
奏多くんと電話してから1時間が経った。
今でも練習には行けてない。
しかし、電話した時から・・・いや、その前からもずっとRoseliaのことばかり考えていた。
悩んで考えて、そして私がたどり着いた場所。
それは衣装だった。
さっき、衣装のほつれがあったことを思い出して手に取った時に気がついたのだ。
私なりに『Roselia』を表現したものがすぐ近くにあったことを。
これまでの衣装は全て私が手作りしたものだ。
さらにそれぞれのメンバーにあわせて同じ衣装でも多少違いをつけている。
例えばあこちゃんの衣装ならドラムを叩く時に邪魔にならないよう動きやすさを重視して袖などを短くしている。
私なりにRoseliaのことを見て、考えた結晶がこれらの衣装なのだ。
私たちがRoseliaでいられる大切なもの。
「また・・・着たいな・・・」
そう呟いた時、パソコンにメッセージが届いた。
パソコンの前に座って画面を見るとあこちゃんからだった。
「あこちゃんから・・・?どうしたんだろ・・・」
メッセージを開く。
チャットではなくメッセージなので長文を送ることは出来るのだが、そこには1文だけしかなかった。
『りんりん!Roseliaのこと、取り戻そう!』
単純で、それでも簡潔な言葉。
そして今の私たちに必要な覚悟。
その言葉だけであこちゃんが何を言いたいのか長い付き合いの私にはすぐわかった。
「あこちゃん、私、今・・・あこちゃんと同じこと考えてるよ・・・」
パソコンの横に備え付けたカメラを起動させ、ボイスチャットを起動させる。
するとパソコンの画面にあこちゃんの顔が映し出された。
『りんりん!』
「あこちゃんの言いたいこと・・・わかったよ。」
『うん!あこ、りんりんと一緒に衣装作りたい!』
「うん・・・なら、まずはデザインからだね・・・」
ということであこちゃんと衣装を作ることになった。
「それなら・・・こういうモチーフは・・・どうかな・・・?」
『うーん・・・それだと可愛すぎるきがする・・・もっと、リサ姉っぽいかっこいいやつ、ないかな・・・』
それからずっとあこちゃんと衣装のことを話し合っていた。
大まかなテーマは決まったものの、それぞれのモチーフがパッとしない。
いつも衣装を制作する時もこんな感じなのでいつもとあまり変わらないが、今回は私よりあこちゃんの方が考えてくれている。
Roseliaのことを考えている時のあこちゃんはとても楽しそうだ。
『あれ、りんりんどうしたの?』
どうやらその思いが顔に出ていたようでそれに気づいたあこちゃんが聞いてきた。
「あこちゃん・・・ずっと、みんなのこと・・・カッコイイって言ってるなって・・・」
『だ、だって〜!メンバーはみーんな超カッコイイもん!だから、そのカッコよさを全面に出した衣装にしたい!』
「うん・・・そうだね・・・」
あこちゃんは難しい言葉をあまり使えないのでこういった単調な言葉になることが多い。
でも、簡単だからこそRoseliaにぶつける気持ちは強く、楽しそうだ。
そして私も、こうやってみんなのことを考えている時は好きだ。
「こうやって・・・一緒に・・・バンドのことや・・・メンバーのみんなのことを考えている瞬間・・・すごく、好き・・・とっても・・・心地いい・・・」
『うん、あこも!』
「あこちゃん・・・私たちで・・・Roseliaのこと・・・取り戻そう・・・!」
『うん!』
いつの間にか私はこんな正直に自分の思いを伝えられるようになっていた。
これも、Roseliaがあったから・・・Roseliaのお陰である。
そして、そんなRoseliaを早くとりもどしたい。
その思いでいっぱいだった。
それから数日後、Poppin’Partyのライブから翌日
リサside
あこ達や友希那達の行動など露知らず、アタシと紗夜はいつも通りCIRCLEで己の技術を磨いていた。
しかしこれが本当に正しいのかわからなくなってくる。
「ねぇ、紗夜〜・・・アタシ達、本当にこうやって練習しているだけでいいのかな?」
「宇田川さん達や湊さん、九条さんが戻ってこない以上、私たちでRoseliaの音を守らなければならないでしょう?今、誰もRoseliaの楽曲を演奏しなくなったら、今度こそ崩壊してしまうような気がして・・・たとえ今の音に、以前のような迫力がなかったとしても・・・これが、私の音だから・・・やるしかないのよ・・・」
紗夜がアタシに、そして自分に言い聞かせるようにそういった。
アタシは素直に紗夜のことを感心していた。
「紗夜、ホントに変わった。ヒナとの約束はかなり大きかったみたいだね?」
「まあ、そうね・・・だから、私個人がここで立ち止まるわけにはいかないのよ。」
「立ち止まると・・・」
するとアタシの中で何かがはじけたような感覚が来る。
今まで別れていたものがひとつに繋がり、ひとつの答えが出てくる。
「そうか・・・そういうことだったんだ・・・!紗夜・・・っ!!アタシ、わかったかもしれないっ!」
「わかったって・・・何が?」
突然の大声に紗夜が驚いた顔を見せる。
しかし今は謝っている余裕はない。
何故なら、アタシが今わかってしまったのは・・・
「Roseliaを取り戻す方法!!!」
紗夜side
「Roseliaを取り戻す方法っ!!!」
今井さんが確信を得たかのようにそう言った。
突然の事で何がなんやらまだ理解できない
「ぐ、具体的にはどうするの?」
「紗夜はさっきこういったよね、『私個人がここで立ち止まるわけにはいかない』って。」
「え、ええ・・・日菜との約束ですし・・・」
「でもさ、それって『紗夜個人で』であって『Roseliaで』ってわけじゃないと思うんだ。」
「それってどういう・・・?」
「紗夜だけじゃない、アタシもそう、友希那もそう・・・多分みんなひとつを目標にしながらも『Roseliaで』目標を目指すんじゃなくて『個人で』目標に向かっているって感じがしてさ。」
ここまで来てようやく今井さんの言いたいことが理解できた。
私たちは『Roselia』というバンドにいながらも、それぞれ個にとらわれすぎていた。
たぶん今井さんはそう言いたいのだと思う。
「なるほど・・・つまり、私達はRoseliaというバンドにいながら、個にとらわれていたと。」
「なのかな?アタシ達、Roseliaっていうバンドでさ、FURTHER WOULD FES.を目指していたつもりだったけど・・・それって、本当に目指せてたのかな?・・・って。みんな、Roseliaの中でそれぞれの目標にしか向かえてなかったような気がしてきてさ。Roseliaにいるのに、もしかして誰もRoseliaのことを見てなかったんじゃないかなって・・・」
「・・・・・・」
今井さんの言うことに思わず絶句する。
確かに今井さんの言う通りかもしれない。
「紗夜?ごめん、アタシこういうのうまく説明するの下手で・・・」
「いえ、その通りだと思ったの。私は、自分の音を探すために、妹との約束を違えないために、ギターを続けているけれど・・・はたして、Roseliaという集団を意識できていたかしら?と・・・」
「アタシもさ、Roseliaの為とか言いながら、友希那のことしか見てなかったんだよ、実際は・・・きっと、Roseliaにいるのにみんな見てるもの、目指しているところが違ったんじゃないかなって。燐子が飛び出して行った時に言っていた『みんな誰の音も聞いてない』ってそういう事だったのかも。それにソータも『そのあり方が間違っているから怒る』って言ってたじゃない?あの時は友希那に向けてだったけど、あれってRoselia全体に向けても言われたんじゃないかな。アタシ達だけじゃなく、自分自身にもさ。」
今思えばバラバラになったあの日になるまで、九条さんはずっと自分に怒っているようだった。
音の聞こえない自分自身に苛立っても仕方ないことを知っていたから、そうなってしまっている自分に。
「一番集団を意識できていたのはひょっとすると、白金さんと九条さんだったかもしれませんね。」
「それから、あこも。あこは『Roseliaは超カッコイイ』ってずっと言ってた。アタシ達5人が出す音を、そしていつもの6人での練習を、一番大切にしてくれているのかも。」
「Roseliaを取り戻すためには、その3人の力が必要みたいね。」
「うん、ソータは多分今連絡したら通じると思うけど・・・あこと燐子はどうしよっか・・・」
この前今井さんが連絡をとってみたところ、練習の話ははぐらかされてしまうのだそう。
なら、九条さんを通じて連絡を取れば多分繋がると思う。
そう考えていると、突然扉が開いた。
そこにはくすんだ銀髪で、中性的な顔立ちの見慣れた少年がいた。
その少年はもちろん・・・
「そ、ソータ!?」
「く、九条さん!?」
「や、やっほー・・・二人と話したくてさ。」
……To be continued
次回、『キズキアゲタモノ』