6月から週一投稿となります。
理由としては・・・隠神カムイさん、AO入試に入ります。
ということで進学の関係で書く時間が極端に減るんすよ。
なので、週一投稿になります。
投稿日は水曜日にしようかと思っております。
もうひとつの方は後々そっちの方で連絡する予定ですが、本決まりしたら活動報告で報告します。
ということで本編どぞ。
ポピパのバンド演奏が終わって僕は一目散に家に帰っていた。
香澄さん達に挨拶もせず出ていったのにはもちろん訳がある。
見つけたのだ、Roseliaの音に誰も振り向かなかった理由が。
まず大きな理由としてはそれぞれがFUTURE WOULD FES.という大きな目標をめざしながらも、お互いを意識しきれてなかったところ。
簡単に言えばそこばかり見すぎて『Roselia』というものにしっかり向き合えてなかったところだ。
燐子が叫んだ『誰も皆の音を聴いてないから』は恐らくそういった意味だろう。
あの時、恐らくRoseliaのことを一番見ていたのは燐子だろう。
あこもあの後話したけど、あんな辛いことがあったのに『それでもRoseliaは超カッコイイから』と言っていた。
多分今のRoseliaに2人の存在は必要不可欠だ。
そのためにも2人と話をしなければならない。
多分電話やチャットは今の2人に効果を示さない。
僕と燐子とあこ、この3人が1番繋がれるのはそう、ネットである。
巴さんは『ずっとネトゲをしているみたいでした』と言っていたし、実際あこと話をしたのもネットの中だ。
だから今の2人にはネットの方がしっかり話せると判断したからこうして帰っているのである。
久しぶりにまたがる愛車『黒叫号』(宇田川あこ命名)をかっ飛ばし、家に着いた途端ダッシュで自室のパソコン前へ。
パソコンを起動して燐子に『今から話せる?』とメッセージを送った。
するとすぐにビデオチャットが開かれた。
『奏多くん・・・?どうかしたの・・・?』
『りんりん、誰から?あ、奏多さん!』
画面の奥には燐子とあこがいた。
まさか2人が燐子の家に揃っているとは思わかなった。
「あれ、あこも一緒なんだ。」
『うん!あこ達でRoseliaを取り戻すために衣装作ってる!』
『私たち・・・自分の気持ちを言葉にすること苦手だったから・・・衣装でみんなをまた繋げようって思って・・・』
なんとも彼女ららしいやり方だ。
『それでどうしたの?』
「あ、うん。今度会えないかなって思ったんだけど・・・」
『うん・・・じゃあ、私の家に来てくれないかな?私の部屋で話したい。』
「わかった・・・・・・・・・( ;゚Д゚)エッ!?」
燐子の家に?それも中で??
『どうしたの?』
『あれ、奏多さん、りんりんの家来たこと無かったっけ?』
「げ、玄関というか・・・門の前までしか・・・」
『りんりん、奏多さんのことりんりんのお母さんとかに説明したことあるの?』
『えっと・・・したことない・・・かも・・・』
それもっと緊張するやつ!!
自分にとって見ず知らずの男が自分の娘に会いに来たとかめちゃくちゃ怪しまれるし!
「・・・あのさ、出来れば僕とだけじゃなくて紗夜やリサとも話をして欲しいんだ。」
『今井さん・・・達と・・・?』
「うん、今のRoseliaに必要なのはRoseliaのことを1番見ていた2人だから・・・僕は・・・いや、僕達はRoseliaでありながらRoseliaを見てなかった。だから、せめて2人だけでも話して欲しい。」
『・・・どうしよう・・・あこちゃん。』
やはり少しばかり抵抗はあるようだ。
あこに救いを求めるように聞いている。
『あこは・・・出来れば紗夜さんやリサ姉、友希那さんと話したい。あって、やっぱりみんなRoseliaのこと大好きなんだって気づいて欲しい。それにこの衣装も明日で完成しそうだし、あこはそれをみんなに着て欲しい!』
あこは強くそう言った。
やっぱり、あこが一番Roseliaのことを大好きでいてくれている。
いてくれるからこうして取り戻そうと動いてくれている。
「燐子・・・頼めるかな?」
『・・・わかった、明日お昼に私の家に来て。そこで・・・私も話がしたい・・・出ていっちゃったことや、練習に行かなかったこと・・・謝りたい・・・』
「・・・うん、わかった。明日2人を連れてくるから・・・会えるのを楽しみにしてるから・・・それじゃあ。」
そこまで言ってチャットを切る。
とりあえず・・・明日だ。
・・・ということで時は流れて次の日。
約束の時間まであと30分ほどなのだが、僕は今CIRCLEに向かって走っていた。
燐子の家は少しばかり遠いのでいつもはバイクで行く。
定員問題も、この間家の地下倉庫(親父が買ったはいいものの使わずに残していったものが大量にある)で何故かバイク用のサイドカーが見つかった。
なぜバイクを持ってなかった親父がサイドカーなんて買ったのかてんでわからないが、幸い黒叫に取り付けることは可能だったので昨日の夜に取り付けたのだ。
しかし肝心のガソリンが残り少なく、ここからガソリンスタンドまではかなり遠い。
なのでそこによる時間も余裕もなく、こうして走っているわけだ。
走ってCIRCLEにたどり着き、いつものスタジオに入る。
そこにはやっぱりリサと紗夜がいた。
「そ、ソータ!?」
「く、九条さん!?」
2人が驚きの声を上げた。
それもそのはず、連絡なんて全く入れてないからだ。
「や、やっほー・・・二人と話したくてさ。」
「とりあえず・・・落ち着きましょうか。」
「まだ2月なのに汗ダラダラじゃん!走ってきたの?」
「う、うん・・・バイク使えなくて・・・」
ということで少し休憩を入れてから、本題に入った。
「あのさ、Roseliaがばらばらになったのってさ・・・」
「うん、さっきアタシ達もその事話してた。」
「私達はRoseliaというバンドにいながら、個にとらわれていた、だからそのためにもあなたと白金さん達の力が必要不可欠・・・そう話してました。」
まさか自分と同じ答えにたどり着くとは思わなかったがこれなら話が早そうだ。
「だったら話が早い、燐子とあこに会ってくれないかな。」
「「えっ!?」」
2人が同時に声を上げた。
2人にとっては願ったり叶ったりと言ったところか。
「昨日、燐子とあこと話そうと思って連絡したら2人とも燐子の家にいるから今日来てくれないかって言われてさ、燐子にお願いして2人と話をしてくれることになった。だから僕と一緒に来て欲しいんだけど・・・」
「今井さん、すぐに準備を。」
「わかってる!ソータナイスタイミング!!」
2人がそれぞれの楽器を直して準備をする。
どうやら本当にタイミングがよかったみたいだ。
「よし、準備できた!」
「なら、行きましょう。九条さん、ありがとうございます。」
「お礼はこの件が終わってからにしよう。とりあえず行こう。」
僕達は燐子の家に向かうため、CIRCLEを後にした。
そして歩きながらもお互いの意見を交換し、どうするべきかを考えていた。
「今までのRoseliaを築き上げてきたもの・・・音楽でもない、何か決定的なものを見落としている気がする・・・」
「紗夜もそう思う?アタシも普通に再認識するだけじゃ何か足りないと思ってさ・・・」
そう、恐らくお互いのことを再認識し、僕達はRoseliaであることを証明できても、その後がダメならまたバラバラになってしまうかもしれない。
そのために、何か再認識の他にもっと必要なものがあったはず。
あったはずなのだが・・・
「・・・だめだ、思い出せない・・・何か、何か大切なものがあったはずなんだよ・・・Roseliaをつなぎとめてた何かが・・・」
なんかこう・・・全員が共感できて、お互いに楽しめたもの・・・
身近にあって、慣れ親しんで、その大切さに気づかなくなってしまっていたもの・・・
全員で考えながら歩いているといつの間にか商店街付近まで来ていた。
時刻はお昼時なので1番繁盛する時間帯だ。
そして当然のごとくパン屋の袋を抱えた脳内パン祭りがパン片手にする時間でもある。
「あ、モカじゃん。相変わらずすごい量食べてるなー・・・」
「九条さん、悪いけど今は青葉さんに話しかけてる余裕は・・・」
こっちがそんな感じなのをお構いなく、こちらに気づいていないモカはメロンパンを取り出していた。
・・・・・・ん?メロンパン?
メロンパン・・・メロンパン・・・
「「「あーっ!!!」」」
3人同時に声を上げる。
やっとわかった、やっと気づいた!
何が足りないと思ったのか、何が必要なのか!
「リサ・・・紗夜・・・!」
「はい、わかってます!」
「帰ったら・・・やるよ!」
そう、Roseliaで大切なもの。
僕達はそれにやっと気づけたのだった。
次回、『Roselia』