なんだかんだで高校生活のラストに生徒会に立候補しましたが、少しばかり燐子の影響もあると思う(正直自分でもわからんが、1度やってみたいと感じていた)
まぁ、燐子みたいに生徒会長になる気は無いから多分良くてつぐみ副会長かなー?
私は人を率いる器ではないので・・・
まぁ演説ってかなり勇気のいることだし、聞いてくれるだけでもありがたいって感じたからそれを頑張ってやりきった燐子にはあらためて惚れ直しました(笑)
皆さんも人の話をしっかり聞いてあげてください。
話している方も聞いてくれるだけでも嬉しいものです。
ということで残すとこあと2〜3話(で終わらせたい!)
では本編どうぞ!
紗夜に言われた『湊友希那の正体は何か』の答え。
考えても考えてもその答えはひとつでしかない。
けどその答えをどう伝えれば良いのかがわからない。
自分が思ったことを伝えるだけで本当にみんなに伝わるのだろうか。
逆に傷つけてしまうのではないだろうか。
私はそれが怖かった。
けどこのままでは変われない、変わらなければ前に進むことすら出来ない。
あと少しで紗夜や奏多達が来る。
それまでに・・・それまでに『自分なりの言葉』を考えないと・・・
奏多side
集合時間の15分前に僕・・・いや、
そこにはもう紗夜が先に来ていた。
「おはよう、紗夜。早かったね。」
「おはようございます、九条さんに
「おはよー紗夜!いやぁ、バイクっていいね!」
そう、今日は何かあったらすぐに移動できるようバイクで向かっていた時に偶然リサと鉢合わせた。
リサは「この前の約束ってことで〜乗っけて?」と言ってきたので断る理由もないため乗せてきたのだ。
しかしそんなことを知らない紗夜は怪しそうな眼差しを向けてきた。
「さて、まずなぜ今井さんが九条さんのバイクから降りてきたのか説明を貰えますか?事によっては白金さんに報告させていただきますので。」
「ちょ、待ってください!それだけはご勘弁を!変に誤解されるとせっかくしっかり話せるようになってきたのに、また話せなくなるから!」
「えっと・・・紗夜?別にソータは悪くないよ。たまたま鉢合わせてアタシがソータに乗せてって頼んだんだよ。」
リサが代弁してくれる。
下手に誤解されてしまってはRoseliaを元に戻せても僕の今後が危うくなる。
紗夜はその言葉に対して少し間を開けるとクスッと笑った。
「冗談ですよ。あなたがそういう人ではないのはわかってますから。」
「お、驚かさないでよ・・・ただでさえココ最近悪いことが起こりすぎる上に走り回ってるから心臓に悪いよ・・・」
体調管理はしっかりしているつもりだが9月の件もあるためその月から本当に気遣っている。
勘弁して欲しいものだ・・・
「湊さんは先に1人で練習していました。あとは白金さんたちを待つだけですが・・・あ、来たようですね。」
紗夜の視線の先を見ると燐子とあこが一緒に来ていた。
さっきチャットで聞いた時『あこちゃんと衣装の確認をしてから行く』と言われたので多分それで一緒にいたのだろう。
燐子とあこの手には紙袋があった。
「2人ともおはよー、衣装完成したの?」
「おはよーリサ姉!」
「おはようございます・・・衣装は・・・あと少しって感じなんですが・・・少し手を加えたいなって思って・・・でも、ほとんど完成しているので・・・一応持ってきました・・・」
「衣装の件については後にしましょう。まずは湊さんとしっかり話をつけなければ。」
「うん・・・行こう。友希那が待ってる・・・」
僕達はCIRCLEの中に入っていく。
CIRCLEの、いつものスタジオの扉を開く。
そこには友希那が1人座っていた。
「奏多・・・それにみんな・・・」
「友希那・・・おはよ。」
とりあえずみんなの荷物を置いて、僕達は友希那と向かい合うように立っていた。
友希那も立ち、僕達の前に立った。
「みんな・・・・・・っ・・・・・・」
友希那がなにか話そうとするが行き詰まったような顔をする。
まだ自分のことを話す決心がついていないのかどうかはわからない。
でも、僕達は友希那が話し出すのをずっと待っていた。
途中、リサが口を出そうとするのを紗夜が止めながも待っていると、ようやく決心が着いたのか友希那はゆっくりと話し出した。
「・・・SMSの失敗から、ずっと考えていた。なぜ、お客さんが離れていってしまっていたのか。昔の私たちと違うところはどこなのか。・・・昔に戻れば、昔のような雰囲気で練習をすれば、昔のような音が取り戻せるんじゃないかと思った。でも、それは間違いだった。音を取り戻すこと・・・それは、Roseliaを取り戻すこと。そう思ってずっと考えてきたけど・・・わからなかった。・・・誇りを取り戻すまで、あなた達に顔向けできない、そう思ってた。けど・・・私は・・・私は・・・Roseliaの湊友希那だから・・・!誇りを失おうが、惨めだろうが、私はRoseliaの湊友希那でいたい・・・!その為に、ここにいさせて欲しい!私は・・・ここで歌を歌うことしか・・・できないから・・・!」
友希那が声を絞り出すようにそう言った。
友希那の思いが、友希那の考えが、そして友希那の悲しみが僕達の心を貫いた。
そして一番最初に口を開いたのは燐子だった。
「友希那さんは、惨めなんかじゃない!・・・そんなこと、あるわけない・・・っ!!友希那さんは・・・そうやってRoseliaのことをずっと・・・考えて・・・一人で悩んで・・・誇りを取り戻そうとして・・・そうやって一人で悩み抜いた友希那さんが・・・惨めなわけ、ない!・・・でも・・・」
燐子はそこで区切ると自分の思いを大きな声で友希那にぶつけた。
「『私達』は『Roselia』です・・・!わからないなら・・・一緒に・・・探せばいい・・・!」
あの時みたいに燐子が友希那に大きな声で思いを伝える。
しかし、あの時とは違いその声の響きは違うものだった。
「Roseliaの湊友希那でありたいって言う気持ち・・・そこに、友希那の『誇り』はあるんだよ・・・!」
「あなたは一度だって誇りを失ったことなんかない。ずっと、誇りを持ち続けていたからこそ、こうやって悩み続けていたんです。」
「あ、あこ!Roseliaのこと、やっぱり誰よりもかっこいいバンドだって思ってます!Roseliaがカッコイイバンドでいるために、この6人の誰が抜けてもダメだと思いますっ!!」
リサ、紗夜、あこが友希那に言葉をかける。
それを聞いて友希那の体は震えていた。
「・・・ごめんなさい・・・こんな私を・・・もう一度受け入れてくれて・・・」
声も震えた友希那に、僕が声をかけた。
「何言ってるんだよ。誰も友希那のことを受け入れないわけないよ。だって・・・『Roselia』は友希那が創り上げたものじゃないか。」
「私が・・・」
僕の言葉に友希那は顔を上げて言葉を返した。
「うん、みんな友希那の思いを感じなかったらこうやって今までついてきていない。バンドのことで本気で悩んだりしない。それに・・・僕達も至らぬ点はあったんだから・・・」
「そんな・・・そんなこと・・・!」
僕の言葉を否定しようとする友希那を、リサが優しく話しかけた。
「ううん、友希那。アタシ達だって、ずっと『Roselia』を見てこなかったのは同じことなんだよ。」
「私たちは・・・今・・・ようやく『Roselia』になれたんです・・・!」
「うん・・・うん・・・っ!あこ、Roseliaが大好きです!!」
あこがそう言うと友希那は膝から崩れ落ちた。
そしてその瞳には大量の涙を浮かべていた。
「・・・こんな私を・・・受け入れて・・・私についてきてくれるなら・・・今だけ・・・今だけ泣かせて・・・」
「うん・・・泣きたかったら・・・泣いていいんだよ」
リサが友希那を優しく抱きしめる。
誰も友希那を否定するものはいなかった。
「ううっ・・・ううっ・・・うわあああああああああああ!!!」
友希那は溜め込んだ思いを吐き出すように大声で泣いた。
リサは自分の服が涙に濡れようとお構いなく友希那をずっと抱きしめていた。
すると僕の頬になにかつたうものが流れる。
それは涙だった。
気がつけば僕も涙を流していた。
僕だけじゃない、リサも、あこも、紗夜も、燐子も涙を流して泣いていた。
そして、この涙をきっかけに僕達は初めて『Roselia』になることが出来たのだった。
次回、『ウゴキダス トケイノハリ』