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上記のサイトのコミュニティである「探索者交流広場」の一幕をショートストーリー風にアレンジした書き物を投稿する物です。

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今回は広場パート3にて、高光平和(私のキャラシート)と折原青(六花さんのキャラシート)の軽い一幕を文章に起こしてみました。
試験的に書いたものなので、高光の一人称から構成されているものですので、かなり高光の私見や設定が盛り込まれていますので、ご注意を。


高光平和の一幕(広場p3にて)

私が彼女と出会ったのは、あの公園だ。残暑が勢いを落としいよいよもって色めく秋の季節が訪れる丁度その狭間だった。

その時の私はある依頼を熟していた。我がクイーンがあのような事件が遭ったにも関わらず、証拠にもなく私の祖国でもある日本に足を運ぶといい始め、クイーンの飼い猫が罰当たりにも逃げ出したことから、その場に足を延ばしたのだ。

元々祖国でも探偵をしていた私は、ホームグラウンドでもあった東京都で飼い猫を探すのは造作もないことだったが、その場所は候補には入っていなかった。風に運ばれたとでもいえばいいのか、それとも属する組織の神が私を導こうとしたのかはわからないが、とにかくあの広場に行くことを思い立った。

私は広場につくと、目を凝らして辺りを見渡した、猫が隠れるであろう場所に大まかな「目星」を建てようと試みたのだ。

だが、結果はよくなかった。私はその行動から老いを感じたのだ。

思えばもう三十路を超えている私は、残すところ老いるだけの人生なのだろうと何処か理解していた節もある。人間が抜群のパフォーマンスを引き出せるのは二十代からちょうど三十路ごろだという。つまり私の体には人間性を文字通り捨てなければ克服するのは困難であろう老いを体感していた。

「ああ…霞んで見えるねぇ。うん、私は現実を受け入れなければならないのかな」

思わず言葉が出る。私のその何気ないつぶやきが、彼女と引き合わせたのだ。

「ん……誰かいるのか……?」

私の語彙力では彼女の声色をどう表現すれば良いのだろうか、しかしながら確かに暗闇の中から徐々に姿を現すようにして、彼女は私の前に現れた。

「おや、誰かとは…私かね?いやぁ恥ずかしい所をみられてしまったようだ。安心してほしい。私は不審者ではないからね」

そうは言うが、私の行動や発言は現代社会においてやはりと言うべきか不審であろう。事実彼女はそのことについて苦言を漏らした。

「そういう奴が1番怪しいというが……まぁ、私も大して変わらないだろう。私は別に、貴方が気にしていることについては知らないし見てないと思うからご安心を」

そう言いつつ、彼女は再び暗闇に腰掛ける。暗がりで見落としていたが、どうやらそこにベンチがあったようだ。藍色で塗装されたそのベンチは、保護色をしているようにも思えて、意識しなければ判りづらかった。

彼女の印象は、美人のように見えるが草臥れたような顔つきの為、幾分か「魅力」が下がっている。またそれ故に、年齢も判別が付きにくい。と、こんなところだ。

そう一瞥していると、彼女はポケットからタバコとライターを取り出そうとする。だが、周囲の状況を見たのだろう。喫煙か禁煙が分からない故に、そっとしまい込んだ。どうでも良い話だが、入園する前にその旨は確認済みであった。おそらくだが彼女はそれを見落としていた故の行動だったのだろう。つまり発言こそ厳しい物があるが、常識のある人間の用だ。

ここまではただそれだけの話だが、ここで不思議なのは、私の行動だった。普段の私なら、そそくさと去ってしまうだろう。私は体こそ人間であるが、属する組織はあまり公然に知らしめるわけにはいかないものだ。それ故に一般人とは距離を置くのだが、今回は気まぐれに、彼女に少し興味が湧いた。だからこそ、話を続けたのだ。

「おや、これは手厳しいお言葉をどうもありがとう。しかしだねキミ、初対面の相手によく言えたねぇ。おじさん驚いたよ」

私がそういえば、彼女はふとした様子を見せ、やや気まずそうな態度を取る。そして頬をかきながら、素直に頭を下げた。

「あー……うん、済まない。確かに無礼だったな……そこら辺に関してはこちらに非がある。……ごめんなさい」

その行動、言動からは「心理学」的な推察をすると、彼女は言いすぎたと反省しているようだ。苦い笑いを漏らしたあと、私は発言した。

「へえ、尖った奴かと思ったがなかなかどうして、可愛いじゃないかね。なあに、私も只の悪ふざけだ。気にする必要はない。しかしまあ、このまま変人扱いされるのは些か癪に触るのでね。身分を明かしておこう。名刺だ。マナー的受け取り方は必要ないよ」

身分を偽る目的で持ち歩いている過去の名刺を、私は彼女にそっと差し出した。もっとも私もマナー的儀式は捨て去った、二つ指で挟み突き出すような邪道な渡し方だ。

「これはご丁寧に……」

彼女はそれを難なく受け取ると、内容を見るや否や目を丸くした。その様子に何故かと少し警戒心が芽生えたが、どうやらそれは空振りだったようだ。純粋に探偵であることに、驚いた様子だった。

このままでは一方通行であるのは言うまでもない、彼女もまた私に続くように身分を明かした。

「あいにくこちらの名刺は家に置いてあるから……自己紹介だけ。折原青、しがない物書きをさせてもらってる」

ああどうりで。私はこの時、腑に落ちた。

物書きは、大きく分ければ二種類の人間が存在すると聞いたことがある。一つは活発的で、且つ情報の探求に貪欲な秀才タイプ。そしてもう一つが、冷静沈着であり付き合いにくい、また不可解な行動をとる天才タイプだ。おそらくだが彼女は後者なのだろう。持ち前の雰囲気は、常人とは違うものだったからだ。

「へえ、腑に落ちたよ、これが。物書きすなわち小説家だろう?小説家は気難しい人間が多いと聞く。折原氏もそうした類いな訳だ。持ち味と言うんだよ。それは」

私の発言に、彼女は笑って見せた。

「これはこれは、お上手なことを…。それに、私みたいな草臥れた女に先ほど見たいに可愛いなんて言うくらいなら、キャバのおねーさんとかを口説いたほうが建設的だぞ…っと、まぁそれはいいとして、なかなかの慧眼。探偵っていうのは本当みたいだな…まぁ、私の周りの探偵が変わり者ばかりだからそうみえるだけか」

冗談交じりにそう言いながらも、彼女の強張っていた肩の力は抜けたように思えた。おそらく私のことを人畜無害な人間だと察しがついたのだろう。事実、彼女は敵ではない。今のところは。

さて、同時に私も警戒心が溶けていたのは言うまでもない。それにこうした何気ない会話をしたのも、組してからはずいぶんと久々なものだった。だからこそ、魔が差したというべきだろうか、つい、昔のことを踏まえた発言をしてしまう。

「あながち間違いては無いかもしれないがねぇ?探偵は基本的に変わり者か、警察崩れが着くからねぇ。警察官もまともな精神力を持っているだけでは勤まらない職だよ。つまり…探偵のほとんどはまともではないと言っても過言ではないのだ。ま、私も元刑事故に…ははっそう言う事さ」

自虐混じりに私は言うと、懐からタバコを携帯灰皿を取り出し吸い始めた。バツが悪くなると私はいつもこうしてしまう。また刹那に、なぜ私は赤の他人にこんな発言をしたのか疑問に思えたが、まあいいさ、とタバコの煙とともに、ふわりと消し去った。

すると彼女も私の自虐に釣られたようだ。乾いた笑いを漏らし、口を開いた。

「なるほど、貴方は元警察か。探偵のほとんどがまともではない…まぁ、それには一理ある。調査といっても場合によってはしょっ引かれても仕方ないかもしれないしな。まともじゃない精神のほうが自衛にもいいかもしれないな。…まぁ、創作者もまともな精神している奴はいないし、そこら辺だけを見れば私もお仲間か」

やや複雑そうに毒を吐き、先ほど仕舞った煙草を一本だけ取り出して、それを着火する。おそらく彼女も口元が寂しかったのだろう。だから私と同じく、そうしたはずだ。

「私のはハイライトだが、折原氏のはなにかね?」

当たり障りのない話題だが、彼女は答える。

「私はpeacelightだな。他のは…まぁ、もらえば吸うが甘いのは苦手だしな」

彼女はただ、自身の吸う煙草を発言しただけだろうが、私にはそれが衝撃だった。いや、正直な話、私はどこかメルヘンな思考とその場の雰囲気に酔ってしまったのかもしれない。

「へぇ、ピースか…。しかし甘いのが苦手なのにピースはいいのかね?バニラ風味な甘く深みのあるタバコじゃないか。おっと、つまりピース以外の甘いタバコは苦手というわけかね。まあ、私が驚いたのは実をいうとそこじゃなくてね、こう…なんだ。ちょっと面白いなと思っただけなんだ。私はハイライト、そして貴方はピース。はは、私の名前を半分にされた気分でね」

ハイライトは直訳すれば、高く、光。そしてピースは平和を意味する。くだらない言葉遊びではあるが、私はどこかそれがおかしかった。

私の言葉に、彼女はくすっと笑みを浮かべた。

「な、はは。言葉遊びか。そこまでは考えつかなかったな。私よりも物書きに向いているんじゃないか?あー…それで、ちょっといろいろあってこれ以外の甘ったるいタバコはな…あと、個人的に黒い見た目のタバコも苦手になったな…それでもタバコをやめられないのはもう癖か一種の習慣だから」

「そうかい。しかし、はは。物書きからご推薦を頂けるとは光栄だね。副業で自伝でも書いてみようか。なんて、自惚れ過ぎた発言は無しかな」

私の自伝など誰も読みたがらないだろう。それに内心、自虐の意味も込めている発言だが、彼女にはわかるはずもない。だからこそ、彼女は純粋に言葉の意味を受け止めた発言をした。

「ははっ、では出来が良かったら担当編集者に見せてみるか?場合によっては上手く仕上げてくれるぞ」

そんな彼女の発言に、私は微笑みを漏らす事しかできなかった。ただ、それでいいのだ。そこまで深く読み取れてしまったのならば、私は彼女を始末しなければならなかっただろう。

会話も途切れ、私は腕時計を一瞥する。そろそろ仕事に戻らなければならない。クイーンが首を長くして待っているはずだ。それに外野も騒がしくなってきた。これ以上の一般人との接触はもう避けなければならない。

「さて…話し込んでしまったが私は仕事を全うする義務がある。此処等で失礼するよ。夜だと言うのにあちこちで騒がしさが耳にはいるし、ここにはいないと踏んだのでね。また機会があればゆっくりお話しよう。名刺の番号は、人生相談も受けているからね」

踵を返し、私はその場を去ろうとする。彼女は同時に口を開いた。

「あぁ……気まぐれとはいえ、話に付き合ってくれてありがとう。そうだな、何かあったら連絡くらいはするさ」

振り返れば彼女は手を振っていた。それはどこか無邪気の用にも思え、私は少し心が痛くなる。

その罪悪感から逃れるように、私もまた軽く手を振り、以降振り返ることはなかった。

折原青。私は彼女がどうか、計画の邪魔にならなければいいと思う。

何故ならおそらく彼女も、いずれ教団と戦うことになるかもしれない。

そう、彼女は私やクイーン。それに彼らの用な、探索者のはずだからだ。

 



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