あと感想ください。なんでもいいです。ほんとになんでもいいので感想欲しいです。
女の子になりたい
ぼくはいつもこればかり考えていた。だが、誰でも分かるように性別を変えることはできない。ならばどうするか?それは…
『Lunaちゃーん!ラストヨロシクー!』
『わかりましたー!』
そう、ネカマプレイである。現実では女になれない。だがゲームの中だけなら相手の顔など分かるはずもないし通話もしなければ声もわからない。このゲームをしている間だけは本当に女の子になったみたいでとても楽しかった。が、時間はすぎる。誰にも止められない。
さっき倒したボスで貰った報酬を受け取り時間を確認する。
《23:55》
『明日は学校があるので落ちますねー!お疲れ様でしたー!』
『お疲れ様〜』
『乙』
『我、ニート、明日も自宅警備ぞ?』
『総プレイカンスト廃人は黙ってろww』
『草』
『(*´∇`*)オツカレサマー』
「ふぅ…」
クランのみんなに挨拶をしてからゲームを落としてパソコンの電源を切る。寝て起きれば憂鬱な学校だ、考えるだけで嫌になる。
「…はやく寝よう。 おやすみ。」
明日の朝のことは明日の自分に任せよう。 そう考えぼくは布団に入った。
夢を見た。自分が美少女になって生活している。学校では人気者、友達にも恵まれ毎日を楽しく過ごしている夢を。
(こんな風になりたかったなぁ……)
夢と理解したせいか意識が浮上していく感覚になる。
(起きよう)
〔ア……ノ…………ヲ…エマ……ウ〕
夢が覚める前に何か聞こえた気がする。
「…なんだったんだろ」
起きた時から体がだるい、それに何故か目線が低くなった気がする。
「顔洗おう…」
朝起きたばかりだから体がだるいだけだろう、そう思い洗面所に入って鏡を見てみるとそこには
おかしい。この家には自分以外には誰もいないはずである。黒髪蒼目の美幼女なんていないはずだ。
別に家族が死んだという訳では無い。
ただ高校が実家からだと遠かったため親に無理を言ってアパートで一人暮らしをしているのである。
ならば今鏡の中に映っている美幼女は誰なのだろう…。気になったので自分が手を動かして頬を抓ってみると鏡の美幼女も頬を抓っている。
普通に痛かった。
鏡の美幼女も痛かったのか少し顔を歪めている。
憶測だがこれは最近小説で流行っているTSと言うやつではないだろうか?
ぼくは確かに女の子になりたいと思っていたがいくらなんでもこれは御都合主義が働きすぎている気がする。
ただまぁ1つ言えるとすれば
(可愛い)
そう、とても可愛いのである。ツリ目がちだか大きな蒼色の目、サラサラしたショートヘアの黒髪の美幼女がいる、胸はないが…。
御都合主義とかどうでも良くなるほどに可愛い。高校生くらいまで育てばぼくの好みにドストライクの美少女になること間違いなしだろう。胸はないが…。
ぼくはロリコンでもナルシストでもないが世界中を探してもここまで可愛い幼女はいないのではないだろうか!?
憧れの女の子の体になったぼくは有頂天になってしまい2時間も鏡の前でポーズを取ったりそれを写真になったりしてニヤニヤしていた。
満足したぼくは仲のいい1人の友人に連絡を入れようとしてアプリを起動しようとして気がついた。いつも使っているlineがなくなったのだ。
(いつ消したんだろう?)
lineがないなら電話は?たった1人の友達の電話番号なのだ、間違えることはない。電話番号をうち、友達に連絡を入れようとしたが。
《おかけになった電話をお呼び出しいたしましたが、おつなぎできませんでした》
「間違えたのかな…?」
もう一度かけてみたが結果は同じだった。
…少し冷静になったぼくはなぜ友達が電話に出ないのか気づいた、むしろなぜ気づかなかったのか。
「今2時間目の授業中じゃないか…。学校に連絡してないや、まぁ後でいいか。」
ピンポーン
「なんか注文してたっけ?まぁいいか、はーい!今いきまーす!」
扉を開ける。
「鰆急便でーす!は…n?!」
「どうしました?」
「いやいや珍しいもんですみません、えらい可愛い子が出てきたもん で、ここにハンコ押して貰えるかな?」
「珍しい?あ、ハンコです。」
「自分はこの仕事40年程やってますが最近は女の子なんてどこに行っても見ませんからねぇ、お嬢さんも気をつけた方がええですよ。」
「??わかりました。お仕事、お疲れ様です。」
「ありがとう。ではね。」
宅急便のおじさんが去っていった。おじさんが言っていた気を付けるって言葉が妙に気になる。
「調べてみるか?(グゥ)…先に朝ごはんにしよう。」
よくよく考えてみるとまだ朝ごはんすら食べていない。時計を見てみるともう10:30である。
「作るのもめんどくさいからカップ麺でいいかな。」
買い溜めしてあるカップ麺にお湯を入れテレビを付けてみて気になるニュースを見つけた。
「【女性保護施設の設立】?なんだこれ?スマホスマホ…」
カップ麺が出来上がったので食べながらスマホで色々なサイトを見てわかったことがある。
【男女比が10:1】 【一妻多夫制】 などなど自分が知っている世界ではありえないようなことである。さらに、【女の子の赤ちゃんを産んだ家庭には毎月50万円が口座に振り込まれる】などの国からの援助が出るものもあった。
「ぼくは平行世界に来ちゃったのか?女性が少なく男性の多いこのあべこべな世界に…」
宅急便のおじさんが気を付けるって言っていた意味がわかった気がする。女性の少ないこの世界で女性の外出は危険だろう、何をされるかわかったものじゃない。
「宅急便のおじさんが優しい人でよかった。これからは気をつけよう。」
この世界の情報を集めている中気がついた事がほかにもある。それは動画配信者で女性がいないということ。中身が男のぼくからすると男の人の動画も嫌な訳では無いが、女の人の動画も見たい。だが誰もやっていない。ならば、ぼくのやることはただ一つ!
「ぼくがやればいいんじゃないか!前から動画配信にも興味があったんだ!どうせならこの世界の初の女性配信者としてぼくがやっていけばいいじゃないか!」
そこからのぼくの行動は早かった。カメラは前に1度購入したものが家にあったしパソコンも快適にゲームなどをプレイできるようにスペックは高い。準備はすぐに出来たのだ。ただ問題が1つ。それは…
「マイクがない!」
以前カメラと一緒に購入したはずなのだがどこを探してもない。
どうしようか迷っている時にさっき宅急便で来た荷物が目に入った。
「注文した記憶はないけど何が入ってるんだろ?見てみよう。もしかしたらマイクなのでは〜?(フラグ)」
ダンボールを開けるとそこには
ヘッドフォンが入っていた。
「えぇ…なんでだよ!欲しかったけど!そこはご都合主義全開でマイクじゃないのかよ!もういいや、注文しよ…ん?」
パソコンでマイクを注文しようとした時ふとダンボールの高さが気になった。ヘッドフォンを1つ入れるだけにしてはやけにダンボールが縦に高いのだ。
ヘッドフォンをどけて緩衝材代わりに入っていた紙をどかすとそこにはマイクがあった。
「いやあるんかーい!」
…荷物の開封だけで疲れた気がするので配信は夜にしよう。このダンボールの中身を入れた人は恨んでおこう。
《キングクリムゾン!》
「マイクも手に入ったし必要な機材は揃ったかな…名前名前名前かぁ、ゲームと一緒でLunaでいいかな。んじゃ配信初めっと。」
特に迷うこともなく配信ボタンを押す。視聴者は4人。まぁこんなものだろう。
「きr...おっと失礼。どもー、今日から配信を始めるLunaです!初めてなので分からないこともありますがよろしくお願いしまーす。今回は雑談と軽く歌を歌って行きたいと思います!」
とかにやるゲームが決まらなかったので雑談と歌枠ということにしておいた。人数も少ないし。
『おにゃのこ?』『また釣り?乙』『かわいい』『幼女っぽい声』『バブみを感じる】
「早速みなさんコメントありがとうございます!ちゃんとした女ですよ!男じゃないですー!」
『この自然な声の出方、ウーン女の子!』『イキリソムリエ草』『ママ?』『何歌える?アイマスとか歌えない?』
「アイマスですかー好きな曲で大丈夫でしょうか?初めてだから緊張して声出ないかもしれないですがよろしくお願いしますね!」
アイマス。アイドルマスターは自分の大好きなアニメだ。きっかけは友達からDVDを借りたことからだがアニメを見てからはゲームにもどっぷりハマってしまい、カラオケでの持ち歌はアイマスばかりになってしまった。
よし、いつも歌っていて慣れている曲でいこう。
「それじゃあ、アイドルマスターから〈マリオネットの心〉」
緊張して歌えないかと思ったが、いざ歌ってみるといつも通りに歌うことができた。
『うま!』『88』『乙』『選曲が神』『本家も好きだけどこっちも好き』『女性配信者、いい!』
「みなさんありがとうございます。リクエストがあったらコメントでかいてくださいねー!質問もある程度なら答えますよー!」
このあとも配信をしていたが、配信終了の時間が来てしまったのでそろそろ終わらないといけない。
「あ、そろそろ配信終了ですね。今日はありがとうございました!また配信すると思うのでその時はよろしくお願いしますねー!」
『いかないで』『ママー!』『バブバブっ』『もうちょっとくらい...やってもええんやで?』『Lunaたそ...覚えとこ』
「チャンネル登録お願いしますね、ではー!」
「ふぅ...楽しかったぁ、今回の視聴者の数は…20人!結構みんな見てくれたんだなぁ。」
今度はゲーム配信でもしようかな?視聴者との協力プレイとかもしてみたいなぁ。
「疲れたから寝ようかな、おやすみ」